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40:正道の夏休み
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「今日も暑いな!」
「夏だからな」
「出たよ。何の発展もない返しが。だから、お前はモテないんだよ。ちなみに俺、風紀委員一年、黒井麗子の義兄である武蔵野猛は偶然出会った藤堂正道と喫茶店で涼んでいた」
「……お前もか」
「なにがだ?」
「いや、いい。俺と武蔵野が初めて出会ったのが冬だとか、今の状況を誰に話しているのかとか、もうツッコむのが面倒だ」
「だったら言うな。正道は夏休みを満悦してるみたいだな。綺麗に日焼けしているじゃねえか」
「海のバイトで日焼けしただけだ。やはり、夏は稼ぎ時だな。九月のバイト代が楽しみで仕方ない」
「何か欲しいものでもあるのか?」
「別に。大学の進学費とバイクのメンテ、後は車の購入の積み立てだな」
「おおっ、車が欲しいって珍しいな。走り屋にでもなる気か?」
「いや。買い物とか便利だろ?」
「……お前、本当に高校生か? 生活臭がすげえぞ」
「やかましい。楓さんの手伝いが出来るし、親孝行だろうが」
「ああっ、楓さんって確かあのチャーミングなご婦人だよな。まさにおばあちゃんの代名詞だ」
「なんなんだそれは。武蔵野こそ日焼けしてるじゃないか。バイトか?」
「いや、デートだ。正道、夏にしか楽しめないデートコースがあるんだから、少しは遊べよ。それに、童貞は捨てておけ。童貞のまま、二学期を迎えるとあきらかに残念な気持ちになるぞ。逆に童貞を卒業した新学期の朝は晴れ晴れとした気分になる。これは経験談だ」
「やかましい。風紀委員の俺にそんなこと言うな」
「風紀委員関係なくね? 俺はおすすめするぜ。マジで大人になった気分になれる。自信がついて憂鬱な二学期も少しは楽しくなる」
「はいはい」
「はぁ……ガタイはいいものもってるのにな。マッチョで日焼けのコンボはモテるのに。ソースは俺だ」
「いい加減なことを言うな」
「いやいや、マジだって。にしても、誰か遊んでくれる女はいないのか?」
「いるわけないだろ? いや、そういえば一人、海に誘われたな」
「おいおい、誰だよ! そのマザーテレサな御仁は」
「修道女が男を海に誘うか。後輩だ」
「経緯を教えろ。マジか社交辞令か見抜いてやる」
「はぁ……実はカクカクシカシカ……」
「……おいおい、脈ありだろうが! バカか、お前は! おい、携帯を貸せ!」
「か、勝手にとるな!」
「アドレスは……この伊藤ほのかって女だな。よし、送信」
「おい、やめろ!」
「もう、おせえよ。明日の午前中に海デートのお誘いをしてやったぜ。約束事は早くしたほうがいいだろ?」
「お前な……あんなもん、社交辞令だろうが。それに明日はバイトが……」
「おっ、返答が来たぜ。ほのかちゃん、なんだって?」
「ちゃんづけするな。返信は……」
「返信は?」
「……OKだと」
「だろ? 俺の目に狂いはない」
「あのな……伊藤は俺の後輩だぞ。そういった目で見れるわけないだろうが!」
「だったら、フツウに楽しんでこいよ。海に行くからってやましいことなんてないだろ? 特に海辺に住む正道達なら」
「……そうかもしれないが」
「夏は女と遊んでおけ。絶対に楽しいし、仲良くなれる。正道はほのかちゃんの事、嫌いなのか?」
「だから、ちゃんづけするな。嫌いなわけないだろうが。はぁ……明日のバイト、休めるかどうか、店長と相談してくる」
「そんな不景気そうな顔をするな。明日になれば、絶対に俺に感謝するぞ。賭けてもいい。騙されたと思って、楽しんでこい」
「勝手な事ばかり言いやがって……伊藤と海か……アイツは俺と一緒で楽しいのかよ……」
「夏だからな」
「出たよ。何の発展もない返しが。だから、お前はモテないんだよ。ちなみに俺、風紀委員一年、黒井麗子の義兄である武蔵野猛は偶然出会った藤堂正道と喫茶店で涼んでいた」
「……お前もか」
「なにがだ?」
「いや、いい。俺と武蔵野が初めて出会ったのが冬だとか、今の状況を誰に話しているのかとか、もうツッコむのが面倒だ」
「だったら言うな。正道は夏休みを満悦してるみたいだな。綺麗に日焼けしているじゃねえか」
「海のバイトで日焼けしただけだ。やはり、夏は稼ぎ時だな。九月のバイト代が楽しみで仕方ない」
「何か欲しいものでもあるのか?」
「別に。大学の進学費とバイクのメンテ、後は車の購入の積み立てだな」
「おおっ、車が欲しいって珍しいな。走り屋にでもなる気か?」
「いや。買い物とか便利だろ?」
「……お前、本当に高校生か? 生活臭がすげえぞ」
「やかましい。楓さんの手伝いが出来るし、親孝行だろうが」
「ああっ、楓さんって確かあのチャーミングなご婦人だよな。まさにおばあちゃんの代名詞だ」
「なんなんだそれは。武蔵野こそ日焼けしてるじゃないか。バイトか?」
「いや、デートだ。正道、夏にしか楽しめないデートコースがあるんだから、少しは遊べよ。それに、童貞は捨てておけ。童貞のまま、二学期を迎えるとあきらかに残念な気持ちになるぞ。逆に童貞を卒業した新学期の朝は晴れ晴れとした気分になる。これは経験談だ」
「やかましい。風紀委員の俺にそんなこと言うな」
「風紀委員関係なくね? 俺はおすすめするぜ。マジで大人になった気分になれる。自信がついて憂鬱な二学期も少しは楽しくなる」
「はいはい」
「はぁ……ガタイはいいものもってるのにな。マッチョで日焼けのコンボはモテるのに。ソースは俺だ」
「いい加減なことを言うな」
「いやいや、マジだって。にしても、誰か遊んでくれる女はいないのか?」
「いるわけないだろ? いや、そういえば一人、海に誘われたな」
「おいおい、誰だよ! そのマザーテレサな御仁は」
「修道女が男を海に誘うか。後輩だ」
「経緯を教えろ。マジか社交辞令か見抜いてやる」
「はぁ……実はカクカクシカシカ……」
「……おいおい、脈ありだろうが! バカか、お前は! おい、携帯を貸せ!」
「か、勝手にとるな!」
「アドレスは……この伊藤ほのかって女だな。よし、送信」
「おい、やめろ!」
「もう、おせえよ。明日の午前中に海デートのお誘いをしてやったぜ。約束事は早くしたほうがいいだろ?」
「お前な……あんなもん、社交辞令だろうが。それに明日はバイトが……」
「おっ、返答が来たぜ。ほのかちゃん、なんだって?」
「ちゃんづけするな。返信は……」
「返信は?」
「……OKだと」
「だろ? 俺の目に狂いはない」
「あのな……伊藤は俺の後輩だぞ。そういった目で見れるわけないだろうが!」
「だったら、フツウに楽しんでこいよ。海に行くからってやましいことなんてないだろ? 特に海辺に住む正道達なら」
「……そうかもしれないが」
「夏は女と遊んでおけ。絶対に楽しいし、仲良くなれる。正道はほのかちゃんの事、嫌いなのか?」
「だから、ちゃんづけするな。嫌いなわけないだろうが。はぁ……明日のバイト、休めるかどうか、店長と相談してくる」
「そんな不景気そうな顔をするな。明日になれば、絶対に俺に感謝するぞ。賭けてもいい。騙されたと思って、楽しんでこい」
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