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28:相棒のいない日 -伊藤ほのか編-
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「……」
「……」
「ねえ、伊藤さん」
「何っすか、橘先輩」
「暇なら書類整理、手伝って欲しいんだけど」
「すみません。先輩がいないので休業中です。それに今私、『大航海時代 グランドライン』で胡椒をイスカンダルまで届けなければなりませんので、忙しいです。ほ~ら、マサーミチ、サーコン。人参をお食べ。今日も馬車馬の如く、荷台を引っ張ってね」
「伊藤さん、ツッコミどころが多くてついていけないよ。それって、貿易のゲームなの? 航海なのに、馬車で品を運んでいるの? それと僕達の名前を馬につけてないよね?」
「主人公が船酔いする性質ですので。それと馬の名前は架空の名前です。決して風紀委員の誰かの名前ではありません」
「……まあ、頑張って」
「……」
「……」
「あ、あの、橘先輩」
「なんだい?」
「怒らないんですか? 私が言うのもなんですけど、今の態度、人としてかなりアレな態度だったと思うんですけど」
「もしかして、僕のことを試したのかな? 僕はね、伊藤さん。人に試されることが一番嫌いなの。これはおしおきが必要かな?」
「ごめんなさいすみません申し訳ございませんでも橘先輩が悪いんです!」
「どさくさに紛れて僕のこと、デスったでしょ?」
「いやいやいや! 橘先輩が悪いんですよ、本当に!」
「? 僕、伊藤さんに嫌われること、したかな? もしかして、正道を借りたこと、根に持ってる? でも、今日の正道が行っている作業は体育倉庫の整理だよ。力作業だし、汚れるから、伊藤さんを外してあげたんだけど」
「……あ、あの、橘先輩、単刀直入に聞いていいですか?」
「なんだい? 答えられることなら返答するけど」
「橘先輩って……私のこと、好きなんですか?」
「はい?」
「いや! 返答はいいですから! 私には先輩がいますので無理ですごめんなさい勘弁してください! 秘蔵のBL本を奉納しますからあきらめてください!」
「あれ? これって僕がフラれたことになってる?」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
「とりあえず落ち着こう、伊藤さん」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
「僕にそんな気はないから」
「えっ、うそ、本当ですか? 全く、これっぽっちも興味がないんですか? やっぱり、橘先輩は攻めで先輩が受けなんですかっ!」
「伊藤さん、指ささないでね。それと、どっちがいいの? 好きな方がいいの? それとも嫌いな方がいいの?」
「いえ、橘先輩にはよくしていただいていますので嫌われたくはないんですけど、LOVEだと困るというか、先輩一筋というか、二股はしたくないというか、その……」
「それはないから安心して。そもそも、どうして、そんな誤解をしたの?」
「だ、だって、橘先輩が私を優遇してくれるのは、私のことが好きだからって言われたから……」
「誰がそんなことを言ってるの」
「私と同じクラスの明日香とるりかです。これがヤツらの写メです」
「何のためらいもなく瞬時に親友を売る伊藤さんってある意味すごいよね」
「あれ? 私、橘先輩に明日香とるりかとつるんでいること、話しましたっけ?」
「さっき、言ったじゃない」
「同じクラスとしか言ってませんけど?」
「……僕は風紀委員長だから。委員の交友関係は掴んでいるから」
「怖っ!」
「それより、伊藤さんは正道のこと、嫌いになったりしないの? お仕置きとか小言ばかり言われてるんじゃないの?」
「なりません」
「即答だね」
「だって、好きですから。それが恋ですから」
「……すごいね、キミは」
「そうですか? あっ、私、やっぱり先輩に会いたくなったので、手伝いにいってきます!」
「ちょ、ちょっと、伊藤さん! 僕、正道から伊藤さんの事、頼まれてるんだけど!」
「私が勝手に来たと言っておきますから! 橘先輩が怒られそうになったら、一緒に怒られてあげます!」
「全く、人の言うこと聞いてくれないんだから。そこがあの子らしいというか、似ているというか……僕が伊藤さんを優遇する理由か……ごめんね、伊藤さん。キミは正直に答えてくれたのに、僕は嘘をついている。本当に失礼なのは僕なのにね」
「……」
「ねえ、伊藤さん」
「何っすか、橘先輩」
「暇なら書類整理、手伝って欲しいんだけど」
「すみません。先輩がいないので休業中です。それに今私、『大航海時代 グランドライン』で胡椒をイスカンダルまで届けなければなりませんので、忙しいです。ほ~ら、マサーミチ、サーコン。人参をお食べ。今日も馬車馬の如く、荷台を引っ張ってね」
「伊藤さん、ツッコミどころが多くてついていけないよ。それって、貿易のゲームなの? 航海なのに、馬車で品を運んでいるの? それと僕達の名前を馬につけてないよね?」
「主人公が船酔いする性質ですので。それと馬の名前は架空の名前です。決して風紀委員の誰かの名前ではありません」
「……まあ、頑張って」
「……」
「……」
「あ、あの、橘先輩」
「なんだい?」
「怒らないんですか? 私が言うのもなんですけど、今の態度、人としてかなりアレな態度だったと思うんですけど」
「もしかして、僕のことを試したのかな? 僕はね、伊藤さん。人に試されることが一番嫌いなの。これはおしおきが必要かな?」
「ごめんなさいすみません申し訳ございませんでも橘先輩が悪いんです!」
「どさくさに紛れて僕のこと、デスったでしょ?」
「いやいやいや! 橘先輩が悪いんですよ、本当に!」
「? 僕、伊藤さんに嫌われること、したかな? もしかして、正道を借りたこと、根に持ってる? でも、今日の正道が行っている作業は体育倉庫の整理だよ。力作業だし、汚れるから、伊藤さんを外してあげたんだけど」
「……あ、あの、橘先輩、単刀直入に聞いていいですか?」
「なんだい? 答えられることなら返答するけど」
「橘先輩って……私のこと、好きなんですか?」
「はい?」
「いや! 返答はいいですから! 私には先輩がいますので無理ですごめんなさい勘弁してください! 秘蔵のBL本を奉納しますからあきらめてください!」
「あれ? これって僕がフラれたことになってる?」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
「とりあえず落ち着こう、伊藤さん」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
「僕にそんな気はないから」
「えっ、うそ、本当ですか? 全く、これっぽっちも興味がないんですか? やっぱり、橘先輩は攻めで先輩が受けなんですかっ!」
「伊藤さん、指ささないでね。それと、どっちがいいの? 好きな方がいいの? それとも嫌いな方がいいの?」
「いえ、橘先輩にはよくしていただいていますので嫌われたくはないんですけど、LOVEだと困るというか、先輩一筋というか、二股はしたくないというか、その……」
「それはないから安心して。そもそも、どうして、そんな誤解をしたの?」
「だ、だって、橘先輩が私を優遇してくれるのは、私のことが好きだからって言われたから……」
「誰がそんなことを言ってるの」
「私と同じクラスの明日香とるりかです。これがヤツらの写メです」
「何のためらいもなく瞬時に親友を売る伊藤さんってある意味すごいよね」
「あれ? 私、橘先輩に明日香とるりかとつるんでいること、話しましたっけ?」
「さっき、言ったじゃない」
「同じクラスとしか言ってませんけど?」
「……僕は風紀委員長だから。委員の交友関係は掴んでいるから」
「怖っ!」
「それより、伊藤さんは正道のこと、嫌いになったりしないの? お仕置きとか小言ばかり言われてるんじゃないの?」
「なりません」
「即答だね」
「だって、好きですから。それが恋ですから」
「……すごいね、キミは」
「そうですか? あっ、私、やっぱり先輩に会いたくなったので、手伝いにいってきます!」
「ちょ、ちょっと、伊藤さん! 僕、正道から伊藤さんの事、頼まれてるんだけど!」
「私が勝手に来たと言っておきますから! 橘先輩が怒られそうになったら、一緒に怒られてあげます!」
「全く、人の言うこと聞いてくれないんだから。そこがあの子らしいというか、似ているというか……僕が伊藤さんを優遇する理由か……ごめんね、伊藤さん。キミは正直に答えてくれたのに、僕は嘘をついている。本当に失礼なのは僕なのにね」
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