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14:クリスマス
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「じんぐるべ~る、じんぐるべ~る、すずがな~る♪」
「ご機嫌だな、伊藤」
「当たり前じゃないですか! クリスマスですよ! テンションあがるぅ~」
「あがりすぎだろ……」
「先輩は相変わらずノリが悪いですね。先輩は子供の頃、わくわくしなかったんですか? サンタクロースとかケーキとか。あっ、今でも子供ですよね~」
「相変わらず一言多いぞ、伊藤。クリスマスは……あまり楽しいイメージはないな」
「どうしてですか?」
「俺が小学二年のとき、担任の教師が言いやがったんだよ。サンタクロースは赤と黒がいるって」
「赤と黒? なんっすか、それ?」
「いい子の元には赤いサンタクロースが、悪い子には黒いサンタクロースが来るって話だ。だから、悪戯ばかりしている生徒は黒いサンタクロースが来て、ジャガイモの皮や動物の内臓とかをプレゼントするんだって言われた。名指しでな」
「地味に嫌な嫌がらせっすね。あっ、思わず駄洒落が……ちなみに、私はクリスマスツリーを飾るのが好きでしたね。クリスマスツリーはキラキラしていて、その中で一番上にある星が綺麗で……」
「ベツレヘムの星か?」
「ベツレヘムの星? それってイエス・キリストの誕生を知らせた星でしたっけ? ベツレヘムはイエス・キリストの生誕の地でしたよね?」
「よく知っているな」
「クリスマスツリーの飾りは木を含めて深い意味がありますからね。興味本位で調べてみたんです。クリスマスツリーのモミの木は針葉樹なので冬でも葉を落とさないことから、 永遠の命の象徴なんですよ。ボールはりんごに見立てていて、知識の実を表し、ベルはキリストの誕生を知らせた天使のベルに見立てて、厄除けにも使われています。杖の形をしたキャンディは羊飼いの杖を見立てて、羊飼いは迷った羊を杖の曲がった所で引っ掛け、群れに戻すのに使っていたことから、助け合いの心を象徴らしいですよ」
「そういうのっていいよな。当時の風習や人々の想いが伝わってくる」
「ですよね~。どんなイベントもそうですけど、気持ち次第って事ですよ。先輩、事後報告ですけど、私もクリスマスは先輩のお手伝いしますから。水臭いですよ、先輩。相棒を差し置いて、市が子供達の為に開催するイベント、クリスマス会の手伝いに参加するなんて」
「おいおい、やめとけ。クリスマスだぞ? クリスマスにガキの相手をしても楽しくないだろうが。こんな日くらい羽を伸ばしても……」
「相棒が頑張っているのに、私だけ楽しむなんて心苦しいですから」
「……すまん。その……なんだ。埋め合わせになるかは分からないが、もし、伊藤の都合がよければ、クリスマス会の後、打ち上げしないか? 労をねぎらいたいというか、その……」
「いいですね~、それ! あっ、もちろん、私と先輩だけの打ち上げですよね! 私をねぎらってくれるんですから!」
「……俺でいいのか?」
「いいに決まっているじゃないですか! 今年は今までで一番楽しいクリスマスを過ごせそうです! 先輩はどうですか?」
「……一番賑やかになりそうだ。悪くない」
「先輩って本当に空気読めないというか、あまのじゃくですよね~。そうそう、先輩先輩、知ってます? クリスマスになぜ、ケーキを食べるのか?」
「それはだな……」
「ご機嫌だな、伊藤」
「当たり前じゃないですか! クリスマスですよ! テンションあがるぅ~」
「あがりすぎだろ……」
「先輩は相変わらずノリが悪いですね。先輩は子供の頃、わくわくしなかったんですか? サンタクロースとかケーキとか。あっ、今でも子供ですよね~」
「相変わらず一言多いぞ、伊藤。クリスマスは……あまり楽しいイメージはないな」
「どうしてですか?」
「俺が小学二年のとき、担任の教師が言いやがったんだよ。サンタクロースは赤と黒がいるって」
「赤と黒? なんっすか、それ?」
「いい子の元には赤いサンタクロースが、悪い子には黒いサンタクロースが来るって話だ。だから、悪戯ばかりしている生徒は黒いサンタクロースが来て、ジャガイモの皮や動物の内臓とかをプレゼントするんだって言われた。名指しでな」
「地味に嫌な嫌がらせっすね。あっ、思わず駄洒落が……ちなみに、私はクリスマスツリーを飾るのが好きでしたね。クリスマスツリーはキラキラしていて、その中で一番上にある星が綺麗で……」
「ベツレヘムの星か?」
「ベツレヘムの星? それってイエス・キリストの誕生を知らせた星でしたっけ? ベツレヘムはイエス・キリストの生誕の地でしたよね?」
「よく知っているな」
「クリスマスツリーの飾りは木を含めて深い意味がありますからね。興味本位で調べてみたんです。クリスマスツリーのモミの木は針葉樹なので冬でも葉を落とさないことから、 永遠の命の象徴なんですよ。ボールはりんごに見立てていて、知識の実を表し、ベルはキリストの誕生を知らせた天使のベルに見立てて、厄除けにも使われています。杖の形をしたキャンディは羊飼いの杖を見立てて、羊飼いは迷った羊を杖の曲がった所で引っ掛け、群れに戻すのに使っていたことから、助け合いの心を象徴らしいですよ」
「そういうのっていいよな。当時の風習や人々の想いが伝わってくる」
「ですよね~。どんなイベントもそうですけど、気持ち次第って事ですよ。先輩、事後報告ですけど、私もクリスマスは先輩のお手伝いしますから。水臭いですよ、先輩。相棒を差し置いて、市が子供達の為に開催するイベント、クリスマス会の手伝いに参加するなんて」
「おいおい、やめとけ。クリスマスだぞ? クリスマスにガキの相手をしても楽しくないだろうが。こんな日くらい羽を伸ばしても……」
「相棒が頑張っているのに、私だけ楽しむなんて心苦しいですから」
「……すまん。その……なんだ。埋め合わせになるかは分からないが、もし、伊藤の都合がよければ、クリスマス会の後、打ち上げしないか? 労をねぎらいたいというか、その……」
「いいですね~、それ! あっ、もちろん、私と先輩だけの打ち上げですよね! 私をねぎらってくれるんですから!」
「……俺でいいのか?」
「いいに決まっているじゃないですか! 今年は今までで一番楽しいクリスマスを過ごせそうです! 先輩はどうですか?」
「……一番賑やかになりそうだ。悪くない」
「先輩って本当に空気読めないというか、あまのじゃくですよね~。そうそう、先輩先輩、知ってます? クリスマスになぜ、ケーキを食べるのか?」
「それはだな……」
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