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10:海の日
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「う~み~~~! う~み~~~~! う~み~~~~~!」
「やかましいぞ、伊藤!」
「あっ痛ぁ! 何するんですか、先輩! 人がせっかく今回の話題が何かを分かりやすくアピールしたのに! のに!」
「暑苦しい! 沈めるぞ!」
「ううっ、先輩が冷たい。私はただ、海の日のうんちくを語りたかっただけなのに」
「だったら、早く言え。海の日だったな。海の恩恵に感謝するとともに、海洋国家日本の繁栄を願う日だ。明治九年、明治天皇が五十日かけて東北地方を巡幸され、船で青森から函館を経由して横浜に到着された日が七月二十日、海の記念日になったわけだな」
「先輩、知っていました? 今は休日になっていますけど、昔はただの記念日で休みじゃなかったんですよ。それに第三月曜日が休みってワケでもなかったですし」
「ハッピーマンデー制度のおかげだな。海の日を再度七月二十日に固定しようとする動きもあるようだが」
「それはちょっと嫌ですね。日曜と重なると連休になりませんし。でも、高校は今、テスト休みだからあまり恩恵がないですよね~」
「確かにな。それでも、遊びにいけるわけだし、こんな暑い日は海に行って涼みに……」
(そういえば、水泳部ともめたとき、伊藤と泳ぎに行く約束をしていたな。伊藤が学内でビキニ着けてきたとき、内心ドキッとさせられたっけな。目の毒だよな、あれ。それは置いておいて、あのときの約束、果たすべきか。だが、伊藤は今でも俺達と一緒に泳ぎに行きたいと思っているのだろうか? 飯をおごるとはわけが違うし、下手したらナンパと受け取られるかもしれん。そうなれば、伊藤と気まずくなるかもしれないし、最悪調子に乗ってると思われるかもしれん。だが、約束は約束だ)
「先輩? どうかしました? あっ、みーからLINEきた。ちょっと、失礼しますね」
(断られるのは確実。約束は約束。そうなると、いかにして本気と思われずに断れるかだな。雑談に交えて誘ってみるか。それにしても、後ろ向きな考えすぎて泣けてくるぞ。こうなったら、さっさと誘ってみるか)
「先輩、お待たせ致しました」
「ああっ、実はだな、伊藤……」
「先輩先輩、聞いてくださいよ。みーが男の子に海に行こうって誘われたみたいなんですよ。付き合ってもいないのに海に誘うなんてありえないですよね~。水着が目的だってバレバレですし~。やっぱり、海って親しい間柄でいくべきですよね~(私と先輩みたいな!)」
「そ、そうだな(あ、あぶねえ! 誘わなくてよかった。はあ……遊びに誘うだけでどうして、こんなに疲れるんだ。それと悲しくなってきた。別にモテたいとは思わないが、伊藤に断られるのは何気にショックだしな)」
「先輩はその……誰か海に誘う予定あります?」
「誘おうと思ったがやめた」
「ちょ! だ、誰を誘うつもりだったんですか! このスケベ!」
「誘っていないだろうが! 安心しろ。絶対に伊藤は誘わないからな」
「! な、なんでですか……」
「お前が言っていただろ。付き合ってもいない男女が海に行くなんてありえないって。あの約束は忘れてくれ」
「約束?」
「泳ぎに行く約束だ」
「えっ……あ、ああっ! あのときの! 覚えていてくれたんですか!」
「……だから、忘れてくれ。若気の至りだった」
「せ、先輩! ちょ……あ、ありえない~! 絶好のチャンスだったのに~~~~! せ、先輩! 海に行くのは問題ないと思いますから! 肌の露出の高いところに連れていくことで、より距離を縮める効果があるっていいますし! これからのことを考えて、私と先輩の仲はもっと進展させるべきでは! せ、先輩!」
「やかましいぞ、伊藤!」
「あっ痛ぁ! 何するんですか、先輩! 人がせっかく今回の話題が何かを分かりやすくアピールしたのに! のに!」
「暑苦しい! 沈めるぞ!」
「ううっ、先輩が冷たい。私はただ、海の日のうんちくを語りたかっただけなのに」
「だったら、早く言え。海の日だったな。海の恩恵に感謝するとともに、海洋国家日本の繁栄を願う日だ。明治九年、明治天皇が五十日かけて東北地方を巡幸され、船で青森から函館を経由して横浜に到着された日が七月二十日、海の記念日になったわけだな」
「先輩、知っていました? 今は休日になっていますけど、昔はただの記念日で休みじゃなかったんですよ。それに第三月曜日が休みってワケでもなかったですし」
「ハッピーマンデー制度のおかげだな。海の日を再度七月二十日に固定しようとする動きもあるようだが」
「それはちょっと嫌ですね。日曜と重なると連休になりませんし。でも、高校は今、テスト休みだからあまり恩恵がないですよね~」
「確かにな。それでも、遊びにいけるわけだし、こんな暑い日は海に行って涼みに……」
(そういえば、水泳部ともめたとき、伊藤と泳ぎに行く約束をしていたな。伊藤が学内でビキニ着けてきたとき、内心ドキッとさせられたっけな。目の毒だよな、あれ。それは置いておいて、あのときの約束、果たすべきか。だが、伊藤は今でも俺達と一緒に泳ぎに行きたいと思っているのだろうか? 飯をおごるとはわけが違うし、下手したらナンパと受け取られるかもしれん。そうなれば、伊藤と気まずくなるかもしれないし、最悪調子に乗ってると思われるかもしれん。だが、約束は約束だ)
「先輩? どうかしました? あっ、みーからLINEきた。ちょっと、失礼しますね」
(断られるのは確実。約束は約束。そうなると、いかにして本気と思われずに断れるかだな。雑談に交えて誘ってみるか。それにしても、後ろ向きな考えすぎて泣けてくるぞ。こうなったら、さっさと誘ってみるか)
「先輩、お待たせ致しました」
「ああっ、実はだな、伊藤……」
「先輩先輩、聞いてくださいよ。みーが男の子に海に行こうって誘われたみたいなんですよ。付き合ってもいないのに海に誘うなんてありえないですよね~。水着が目的だってバレバレですし~。やっぱり、海って親しい間柄でいくべきですよね~(私と先輩みたいな!)」
「そ、そうだな(あ、あぶねえ! 誘わなくてよかった。はあ……遊びに誘うだけでどうして、こんなに疲れるんだ。それと悲しくなってきた。別にモテたいとは思わないが、伊藤に断られるのは何気にショックだしな)」
「先輩はその……誰か海に誘う予定あります?」
「誘おうと思ったがやめた」
「ちょ! だ、誰を誘うつもりだったんですか! このスケベ!」
「誘っていないだろうが! 安心しろ。絶対に伊藤は誘わないからな」
「! な、なんでですか……」
「お前が言っていただろ。付き合ってもいない男女が海に行くなんてありえないって。あの約束は忘れてくれ」
「約束?」
「泳ぎに行く約束だ」
「えっ……あ、ああっ! あのときの! 覚えていてくれたんですか!」
「……だから、忘れてくれ。若気の至りだった」
「せ、先輩! ちょ……あ、ありえない~! 絶好のチャンスだったのに~~~~! せ、先輩! 海に行くのは問題ないと思いますから! 肌の露出の高いところに連れていくことで、より距離を縮める効果があるっていいますし! これからのことを考えて、私と先輩の仲はもっと進展させるべきでは! せ、先輩!」
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