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第八部 カースルクーム奪還戦 後編
プロローグ パイシース VS F-15J/DJ 生物兵器の使用を阻止せよ!
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「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「クルックー!」
一人のプレイヤーとサポキャラが戦闘機、F-15J/DJに向かって突っ込んでいく。
それは自殺行為としか思えなかった。
地を這う虫が空高く飛ぶ鷹に挑むようなもの。勝算は誰の目にも明らかだった。
だが、そのプレイヤー、コシアンは何の迷いもなく、力強く、ただ駆け抜けていく。まるで勝算があるかのように。
それでも、F-15J/DJは何の躊躇もなく、たった一人を消滅させるために空対地ミサイルを発射させた。
「ソウル『解放』、リミット2!」
コシアンのアバターであるソウルメイトからソウルが爆発的に発散し、発光する。そして、そのまま爆走し、ミサイルの着弾地点を通り過ぎる。
ミサイルはターゲットを捕らえることが出来ず、地面に着弾し……。
「「うわぁああああああああああああああ!」」
「きゃあああああああああああああああああ!」
コシアンの後方にいたプレイヤー、ルシアン、ヨシュアン、ミリアンは今までに体験したことのない爆音と爆風に叫び声を上げる。
彼らが乗っていた馬は恐怖で混乱していた。
ルシアンの規格外の愛馬、ブラックキングでさえ、その場で止まってしまったほどだ。
「あ、姐さぁああああああああああああああん!」
コシアンは同じチームメンバーであるコシアンの元へと馬を下りて駆け寄ろうとする。
「お、落ち着きなさい、ルシアン!」
「そうだぜ! コンソールで確認してみろ! コシアンさんは生きているぜ!」
ルシアンはすぐさまコンソールを確認すると……。
「……生きてる……すげえ! 生きてるぞ!」
ルシアンは狂喜の声を上げるが……。
「ですが、SP(ソウルポイント)がレッドで点滅しています!」
ルシアンのサポキャラであるライリーが悲鳴に近い声を上げる。
SPとはこの仮想世界での体力を示し、このゲージがゼロになった場合、死亡、つまりゲームオーバーになる。
つまり、コシアンは生きているとはいえ、瀕死の状態なのだ。
爆風が消え、視界が晴れると、そこには……。
「ううっ……」
「くる……くぅ……」
コシアンがサポキャラを抱え、地面にうずくまっていた。
彼女の服には焼けた跡はなく、べったりと粘液がついていた。
この粘液はコシアンの潜在能力で生み出したもので、それを体中に包むことで、爆風と熱風、衝撃を和らげた。
尚且つ、ソウルを解放して身体能力を高めていなければ、確実に消滅していただろう。
それはコシアンの強い意志と生きたいと願う想いがソウルメイトを鼓舞し、ミサイルの攻撃を耐えた、まさに奇跡だった。
だが、奇跡は連続で起こらない。
F-15J/DJは大空を悠々と駆け抜け、そのままUターンしている。
狙いは勿論、コシアンである。
F-15J/DJのパイロットはミサイルから20mm機関砲へ切り替え、コシアンにトドメをさす為に近づく。
ミサイルを撃ち込めば確実に勝てる。それを20mm機関砲に変えたのはいたぶって殺すつもりなのか?
マッハ2.5を誇る戦闘機はゆっくりとコシアンに近づく。
パイロットは何の脅威も感じていなかった。逆に余裕があった。
それはそうだろう。戦闘機が生身の人間に勝てるハズがない。そもそも武器が届かないのであれば、恐れる方がおかしいのだ。
それ故の油断だった。
しかし、それを責めることが出来るのだろうか? 子供だってどちらが勝つか分かる簡単な結論だ。
だが、パイロットは知らなかった。コシアンの事を……。
勿論、資料では知っていた。
けれども、それは紙の上での情報だ。実際に会ったこともなく、その片鱗を見たことすらない。
だから、過ちを犯した。
パイロットはコシアンをロックし、後は指で発射ボタンを押すだけでよかった。それでコシアンを蜂の巣にして、肉片にするだけ。
簡単な任務。失敗するはずもない任務。
パイロットは結局、ボタンを押せなかった。押すことが出来なかった。
なぜなら……。
BARIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIINNNNN!
パイロットの頭が吹き飛んでしまったからだ。
操縦席は真っ赤に染まり、ロングスピアが突き刺さっていた。
「クルックー!」
一人のプレイヤーとサポキャラが戦闘機、F-15J/DJに向かって突っ込んでいく。
それは自殺行為としか思えなかった。
地を這う虫が空高く飛ぶ鷹に挑むようなもの。勝算は誰の目にも明らかだった。
だが、そのプレイヤー、コシアンは何の迷いもなく、力強く、ただ駆け抜けていく。まるで勝算があるかのように。
それでも、F-15J/DJは何の躊躇もなく、たった一人を消滅させるために空対地ミサイルを発射させた。
「ソウル『解放』、リミット2!」
コシアンのアバターであるソウルメイトからソウルが爆発的に発散し、発光する。そして、そのまま爆走し、ミサイルの着弾地点を通り過ぎる。
ミサイルはターゲットを捕らえることが出来ず、地面に着弾し……。
「「うわぁああああああああああああああ!」」
「きゃあああああああああああああああああ!」
コシアンの後方にいたプレイヤー、ルシアン、ヨシュアン、ミリアンは今までに体験したことのない爆音と爆風に叫び声を上げる。
彼らが乗っていた馬は恐怖で混乱していた。
ルシアンの規格外の愛馬、ブラックキングでさえ、その場で止まってしまったほどだ。
「あ、姐さぁああああああああああああああん!」
コシアンは同じチームメンバーであるコシアンの元へと馬を下りて駆け寄ろうとする。
「お、落ち着きなさい、ルシアン!」
「そうだぜ! コンソールで確認してみろ! コシアンさんは生きているぜ!」
ルシアンはすぐさまコンソールを確認すると……。
「……生きてる……すげえ! 生きてるぞ!」
ルシアンは狂喜の声を上げるが……。
「ですが、SP(ソウルポイント)がレッドで点滅しています!」
ルシアンのサポキャラであるライリーが悲鳴に近い声を上げる。
SPとはこの仮想世界での体力を示し、このゲージがゼロになった場合、死亡、つまりゲームオーバーになる。
つまり、コシアンは生きているとはいえ、瀕死の状態なのだ。
爆風が消え、視界が晴れると、そこには……。
「ううっ……」
「くる……くぅ……」
コシアンがサポキャラを抱え、地面にうずくまっていた。
彼女の服には焼けた跡はなく、べったりと粘液がついていた。
この粘液はコシアンの潜在能力で生み出したもので、それを体中に包むことで、爆風と熱風、衝撃を和らげた。
尚且つ、ソウルを解放して身体能力を高めていなければ、確実に消滅していただろう。
それはコシアンの強い意志と生きたいと願う想いがソウルメイトを鼓舞し、ミサイルの攻撃を耐えた、まさに奇跡だった。
だが、奇跡は連続で起こらない。
F-15J/DJは大空を悠々と駆け抜け、そのままUターンしている。
狙いは勿論、コシアンである。
F-15J/DJのパイロットはミサイルから20mm機関砲へ切り替え、コシアンにトドメをさす為に近づく。
ミサイルを撃ち込めば確実に勝てる。それを20mm機関砲に変えたのはいたぶって殺すつもりなのか?
マッハ2.5を誇る戦闘機はゆっくりとコシアンに近づく。
パイロットは何の脅威も感じていなかった。逆に余裕があった。
それはそうだろう。戦闘機が生身の人間に勝てるハズがない。そもそも武器が届かないのであれば、恐れる方がおかしいのだ。
それ故の油断だった。
しかし、それを責めることが出来るのだろうか? 子供だってどちらが勝つか分かる簡単な結論だ。
だが、パイロットは知らなかった。コシアンの事を……。
勿論、資料では知っていた。
けれども、それは紙の上での情報だ。実際に会ったこともなく、その片鱗を見たことすらない。
だから、過ちを犯した。
パイロットはコシアンをロックし、後は指で発射ボタンを押すだけでよかった。それでコシアンを蜂の巣にして、肉片にするだけ。
簡単な任務。失敗するはずもない任務。
パイロットは結局、ボタンを押せなかった。押すことが出来なかった。
なぜなら……。
BARIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIINNNNN!
パイロットの頭が吹き飛んでしまったからだ。
操縦席は真っ赤に染まり、ロングスピアが突き刺さっていた。
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