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第一試合終了、第二試合へ
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双方ともに引かない戦いは、残り一分を切ってなお続いていた。もはや三VS三の試合ではなく普通のPvPをしているかの様な空気の中でお互いの武器をぶつけ合っている。たまに血が舞うが、ごく少量であって決定的な一撃ではない。
「楽しいな!」「ええ、とても!」
一方で戦っている二人は獰猛な笑みを浮かべながら互いの技を相手にぶつけあっていた。楽しくて楽しくして仕方がないのだろう。そんな二人の戦いに水を差したのは──制限時間という名の感情のない終了を告げるブザーのような音だった。するとどうだ、あれほど激しく戦っていたというのに双方ともにゆっくりと戦いの構えを解き、ゆっくりと下がった。
(ここら辺も、武術経験者だからこそ素早く意識を切り替えれるんだろうか)
そしてAIによる判定が下される訳だが……一票がブルーカラー、もう一票は相手に入った。そして最後のAIの判断なのだが──長考している様であり、なかなか結果を出さない。周囲がやきもきしている中、ついにAIが票を入れた。入れた先は、ブルーカラーだった。さらにAIが入れた理由を発表した。それは──
『乱入者が明確な被弾をした』
という理由だった。確かに一度、両手剣使いが乱入しカナさんによって一撃を貰っていたな。そこが決め手となったか。逆に言えば、それが無ければ引き分け判定を出した可能性もあるって事か。それぐらい白熱した勝負だったからな……互いに十五分全く譲らない勝負だった。
なんにせよこれでブルーカラーは初戦白星スタート、良い滑り出しと言えるだろう。そして引き上げてきたかなさんはこう口にした。
「素晴らしい相手でした。あの乱入者が無ければ、もしかしたら私が負けと判定されていてもおかしくはなかったかもしれません。ここまで全力でぶつかり合える相手と出会えたのは僥倖と言っていいでしょうね」
そして、カナさん一人で勝ってしまったのでカザミネとエリザを丸々温存できた形になる。次の試合はどちらかが先鋒として出る事となるだろう。これは非常にありがたい話で、他の試合では勝っても参戦した三人全員が大きくダメージを受けている試合はかなり多い。ダメージが蓄積しすぎると、次の試合が苦しくなる仕組みだからな。
「次はカナさんには休んでいただきますよ。私も働いておかないといけませんからね」
カザミネがカナさんにそんな事を言っていた。今回は三戦目まで回ってこなかったけど、次の試合では自分も働かないとな。出来れば次の試合では、ツヴァイチームが完全休養を取れると良いんだが──誰を出すかはツヴァイの判断次第だ。その判断によっぽどのことがない限りは口をはさむつもりはない。
そうして他の試合を見てみるが……圧倒するチームがちらほらいる。当然周囲もそんなチームには警戒心を高めて戦略を考えているのだろう。ひそひそ声が聞こえる。予選の試合は滞りなく進み、時間的に本日最終戦というタイミングでブルーカラーの試合が回ってきた。
「次の試合だが、アースロナ、、ミリーのチームに最初の戦いを務めてもらいたい。いいか?」
ツヴァイの言葉に、自分もロナちゃんもミリーも反対する事は無かった。一試合目では全く働いていないから、これは妥当な判断だろう。そして最初に誰が行くかという話になるのだが、手を挙げたのがロナちゃんだ。
「僕が最初に出たい! 会場の空気に充てられてしまったのかもしれないけど、すごくうずうずしてるんだ。体を動かしたくって仕方がいない!」
ここまでやる気があるのなら、それを引っ込めさせるのはよろしくないだろう。なので自分は反対せず、ミリーも同じ考えの様でロナちゃんが一番手を務める事で確定した。武舞台の傍へと移動し、ロナちゃんが武舞台の上に立つ。相手は──短剣使いかな? 短剣二刀流で武舞台の上に立っている。後は両手剣使いと双剣使いかな? そこで自分はある事に気が付いた。武舞台に上がってきた相手の鎧がおかしい。
(あの上がってきた相手が来ている軽鎧、妙な所が多いな。不自然に盛り上がっている場所もあれば、何かを隠しておけそうな部分もいくつか……暗器使いかも知れない)
アイテムボックスから取り出すよりも、鎧の各所に仕込んでいく方が取り出すのが早い。そして隠し場所を決めておけば咄嗟の時でも使いたいアイテムを間違う事はない。まあ、その分相手にも隠し場所がバレると手の内を読まれる事にもつながるが──そこは暗器使いとしての腕を問われる。
後はロナちゃんが気がつくか……声をかければ相手に警戒させてしまう。暗器使いだと見破った事を気が付かれずに相手の暗器を潰すからこそ効果的なのだ。それに、武舞台に上がって試合開始の合図を集中しながら待っているロナちゃんの邪魔をするべきでもない。ロナちゃんだって歴戦の猛者の一人なのだから、信じるべきだろう。
カウントダウンが終わり、試合が開始された。ロナちゃんも相手も一気に距離を詰めてまずはお互いあいさつ代わりの攻撃を振るう。ロナちゃんのナックルと短剣がぶつかり合って激しい火花を生み出した──パワーはロナちゃんの方が上のようだ。相手の短剣を押している。相手は無理せず少し後ろに下がって短剣を構えなおした。
ロナちゃんもすぐに身構えてお互い軽い体の動きを使って牽制。が、カナさんの時の様なにらみ合いにはならずすぐに両者が動く。お互いの武器でお互いの攻撃を弾きあっているが、パワーで勝るロナちゃんが徐々に相手を押す展開となっている。あ、今のパンチは惜しいな、あとワンテンポ早ければ顎にクリーンヒットしていただろうに。
相手の動きも悪くない──クリーンヒットを貰わないようにしながら短剣の刃でロナちゃんの攻撃に対してカウンターちょくちょく仕掛けている。ロナちゃん側もちょっと危ないシーンがちらほら。が、今のところまだお互い明確なダメージは無し、だな。と、見ていたら短剣使いがロナちゃんのパンチを見切って懐へ。短剣による攻撃を繰り出すのかと思ったが──
(横を通り抜けた? いや、ロナちゃんの脇腹に長い針を突き立てている。毒針か!?)
毒と言っても色々ある、共通しているのは危険な事と厄介極まりない事だ。ロナちゃんは──表情を歪めている。どうやら何らかの毒を貰った事はおそらく間違いない。その毒の種類は……突如、ロナちゃんの足が折れた。地面に倒れるのは拒否しているが、明確に様子がおかしくなった。
(麻痺系統か!? これはまずい!)
自分はとっさに乱入し、ロナちゃんの首を狩ろうとしていた短剣使いに対して八岐の月による射撃を実行。射撃に気が付いた相手は回避行動をとったが、三本同時に放ったうちの一本が相手の脇腹に命中して軽く吹き飛ばした。それを確認した後、解毒効果のある自作ポーションをロナちゃんに向かって投擲。ロナちゃんの体にぶつかって瓶が割れ、中身がロナちゃんの体にかかる。
「ありがと!」
自分が退場した後、即座にロナちゃんは立ち上がり短剣使いに攻撃を仕掛けたが──すぐさま横にとんだ。見えずらいが、相手が細い針をロナちゃんに対して投擲していたからだ。当然あの針にも毒が塗られているだろう。なので回避行動をとったロナちゃんは正しい。しかし、暗器使いはやはり厄介だ、ロナちゃんはどう対処するだろうか? もしくは交代してくれてもいいのだが──
「楽しいな!」「ええ、とても!」
一方で戦っている二人は獰猛な笑みを浮かべながら互いの技を相手にぶつけあっていた。楽しくて楽しくして仕方がないのだろう。そんな二人の戦いに水を差したのは──制限時間という名の感情のない終了を告げるブザーのような音だった。するとどうだ、あれほど激しく戦っていたというのに双方ともにゆっくりと戦いの構えを解き、ゆっくりと下がった。
(ここら辺も、武術経験者だからこそ素早く意識を切り替えれるんだろうか)
そしてAIによる判定が下される訳だが……一票がブルーカラー、もう一票は相手に入った。そして最後のAIの判断なのだが──長考している様であり、なかなか結果を出さない。周囲がやきもきしている中、ついにAIが票を入れた。入れた先は、ブルーカラーだった。さらにAIが入れた理由を発表した。それは──
『乱入者が明確な被弾をした』
という理由だった。確かに一度、両手剣使いが乱入しカナさんによって一撃を貰っていたな。そこが決め手となったか。逆に言えば、それが無ければ引き分け判定を出した可能性もあるって事か。それぐらい白熱した勝負だったからな……互いに十五分全く譲らない勝負だった。
なんにせよこれでブルーカラーは初戦白星スタート、良い滑り出しと言えるだろう。そして引き上げてきたかなさんはこう口にした。
「素晴らしい相手でした。あの乱入者が無ければ、もしかしたら私が負けと判定されていてもおかしくはなかったかもしれません。ここまで全力でぶつかり合える相手と出会えたのは僥倖と言っていいでしょうね」
そして、カナさん一人で勝ってしまったのでカザミネとエリザを丸々温存できた形になる。次の試合はどちらかが先鋒として出る事となるだろう。これは非常にありがたい話で、他の試合では勝っても参戦した三人全員が大きくダメージを受けている試合はかなり多い。ダメージが蓄積しすぎると、次の試合が苦しくなる仕組みだからな。
「次はカナさんには休んでいただきますよ。私も働いておかないといけませんからね」
カザミネがカナさんにそんな事を言っていた。今回は三戦目まで回ってこなかったけど、次の試合では自分も働かないとな。出来れば次の試合では、ツヴァイチームが完全休養を取れると良いんだが──誰を出すかはツヴァイの判断次第だ。その判断によっぽどのことがない限りは口をはさむつもりはない。
そうして他の試合を見てみるが……圧倒するチームがちらほらいる。当然周囲もそんなチームには警戒心を高めて戦略を考えているのだろう。ひそひそ声が聞こえる。予選の試合は滞りなく進み、時間的に本日最終戦というタイミングでブルーカラーの試合が回ってきた。
「次の試合だが、アースロナ、、ミリーのチームに最初の戦いを務めてもらいたい。いいか?」
ツヴァイの言葉に、自分もロナちゃんもミリーも反対する事は無かった。一試合目では全く働いていないから、これは妥当な判断だろう。そして最初に誰が行くかという話になるのだが、手を挙げたのがロナちゃんだ。
「僕が最初に出たい! 会場の空気に充てられてしまったのかもしれないけど、すごくうずうずしてるんだ。体を動かしたくって仕方がいない!」
ここまでやる気があるのなら、それを引っ込めさせるのはよろしくないだろう。なので自分は反対せず、ミリーも同じ考えの様でロナちゃんが一番手を務める事で確定した。武舞台の傍へと移動し、ロナちゃんが武舞台の上に立つ。相手は──短剣使いかな? 短剣二刀流で武舞台の上に立っている。後は両手剣使いと双剣使いかな? そこで自分はある事に気が付いた。武舞台に上がってきた相手の鎧がおかしい。
(あの上がってきた相手が来ている軽鎧、妙な所が多いな。不自然に盛り上がっている場所もあれば、何かを隠しておけそうな部分もいくつか……暗器使いかも知れない)
アイテムボックスから取り出すよりも、鎧の各所に仕込んでいく方が取り出すのが早い。そして隠し場所を決めておけば咄嗟の時でも使いたいアイテムを間違う事はない。まあ、その分相手にも隠し場所がバレると手の内を読まれる事にもつながるが──そこは暗器使いとしての腕を問われる。
後はロナちゃんが気がつくか……声をかければ相手に警戒させてしまう。暗器使いだと見破った事を気が付かれずに相手の暗器を潰すからこそ効果的なのだ。それに、武舞台に上がって試合開始の合図を集中しながら待っているロナちゃんの邪魔をするべきでもない。ロナちゃんだって歴戦の猛者の一人なのだから、信じるべきだろう。
カウントダウンが終わり、試合が開始された。ロナちゃんも相手も一気に距離を詰めてまずはお互いあいさつ代わりの攻撃を振るう。ロナちゃんのナックルと短剣がぶつかり合って激しい火花を生み出した──パワーはロナちゃんの方が上のようだ。相手の短剣を押している。相手は無理せず少し後ろに下がって短剣を構えなおした。
ロナちゃんもすぐに身構えてお互い軽い体の動きを使って牽制。が、カナさんの時の様なにらみ合いにはならずすぐに両者が動く。お互いの武器でお互いの攻撃を弾きあっているが、パワーで勝るロナちゃんが徐々に相手を押す展開となっている。あ、今のパンチは惜しいな、あとワンテンポ早ければ顎にクリーンヒットしていただろうに。
相手の動きも悪くない──クリーンヒットを貰わないようにしながら短剣の刃でロナちゃんの攻撃に対してカウンターちょくちょく仕掛けている。ロナちゃん側もちょっと危ないシーンがちらほら。が、今のところまだお互い明確なダメージは無し、だな。と、見ていたら短剣使いがロナちゃんのパンチを見切って懐へ。短剣による攻撃を繰り出すのかと思ったが──
(横を通り抜けた? いや、ロナちゃんの脇腹に長い針を突き立てている。毒針か!?)
毒と言っても色々ある、共通しているのは危険な事と厄介極まりない事だ。ロナちゃんは──表情を歪めている。どうやら何らかの毒を貰った事はおそらく間違いない。その毒の種類は……突如、ロナちゃんの足が折れた。地面に倒れるのは拒否しているが、明確に様子がおかしくなった。
(麻痺系統か!? これはまずい!)
自分はとっさに乱入し、ロナちゃんの首を狩ろうとしていた短剣使いに対して八岐の月による射撃を実行。射撃に気が付いた相手は回避行動をとったが、三本同時に放ったうちの一本が相手の脇腹に命中して軽く吹き飛ばした。それを確認した後、解毒効果のある自作ポーションをロナちゃんに向かって投擲。ロナちゃんの体にぶつかって瓶が割れ、中身がロナちゃんの体にかかる。
「ありがと!」
自分が退場した後、即座にロナちゃんは立ち上がり短剣使いに攻撃を仕掛けたが──すぐさま横にとんだ。見えずらいが、相手が細い針をロナちゃんに対して投擲していたからだ。当然あの針にも毒が塗られているだろう。なので回避行動をとったロナちゃんは正しい。しかし、暗器使いはやはり厄介だ、ロナちゃんはどう対処するだろうか? もしくは交代してくれてもいいのだが──
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