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ユーザーイベント、ギルド最強決定戦
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その後即座に解散、とはならず集まった面子と一緒に食事へ。和やかな会話とちょっぴり殺伐な会話が入り混じる中、ツヴァイがやってきた。
「よ、歓談中ごめんな。ちょっとアースに相談があってな、ここにいるって事だからお邪魔させてもらった」
相談? 何かトラブルでもあったんだろうか? そう思っていたのだがそうじゃなかった。ツヴァイ曰く、後数日後に最後の最強ギルド決定戦、トリを飾るのはこいつらだ! と言うユーザーが行うイベントが開催されるらしい。そのタイトルはどうなのよと内心で思ったが、とりあえず黙っておく。
で、ツヴァイ達のギルドブルーカラーもそれに折角だから参加するかと言う話でまとまっているらしい。それは良かったのだが、ここにきて追加ルールが追加されたのだという。それは助っ人を設定する事が出来る様になった。あくまで助っ人なので設定は強要ではないが、設定しておいた方が有利になるらしい。
「どういう形で対戦するんだ?」「三ON三の変則版だな。三人が一つのチームとして出場するんだが同時に三人戦う訳じゃなくって一人がメインで二人がサブ、ただし交代は何時でもOK。また三回までならメイン選手の戦闘に五秒間だけ乱入して相手の大技を止めたり連続技のカットも許される。決着はどちらか片方が全滅するまで。つまり最後の一人になっても相手を全滅させれば勝ちって事になる」
なんか、格闘ゲームであるパターンに近いな。もしくはプロレス。プロレスはメインの人がギブアップしたりフォールされてスリーカウント貰ったら終わるから例えとしてはふさわしくないか? なんにせよ、ルールは分かった。
「で、まだルールには続きがある。飯を食いながらで良いから聞いてくれ。その試合を三回やって、先に二本先取で勝利となるんだが──対戦終了後HPやMPは全快せずに多少しか回復しない。つまりダメージを多大に受けてしまうと、次の試合に支障をきたすというかなりキッツいルールだな。もちろん戦いに出なくても試合の決着がつくごとに多少の回復は受けられる」
あー、全快しないのね。以下に消耗を抑えて戦いを続けられるかも強さの一つとして図るっていう趣旨も含まれている訳だ。誰を出して誰を休ませるかも考えていかないと最後まで持たなさそうだな。
「で、登録が許されるギルド所属メンバー数は八名まで。つまり三試合目にもつれ込むと消耗が激しいメンバーであっても誰か一人は出さなきゃいけないという事になるな。絶対に戦闘開始時には三人いないとダメだと言うのが今回の大会におけるルールだから。出せなかったら失格負けだ。しかし、それでは辛いという声も上がってな、運営が妥協して助っ人ルールを追加した」
つまり、九名。最初の試合は全員全快状態で挑めるようにしたってわけか。
「その助っ人ルールも素直な物じゃなさそうだな」「アースの予想通りだ。助っ人は『出場ギルドとは別の人間にする事』と言う縛りが設けられている。逆にこのルールのお陰で出たいけどギルドメンバーが乗り気じゃなかった人とか、ギルドに参加していない人でも参加できるようになったとも言えるんだが」
人数が多い強豪ギルドが、その人数でごり推せるような形にはしないって事が狙いなのかな。もしくはイベントを開催するプレイヤーが少しでも盛り上がる要素を組み込む事と、上がってきた声に対する反抗と言う事を考えたのかもしれない。そしてまあ、ここまで話を聞けばツヴァイの話は分かった。そこの助っ人枠に入って欲しいという事だろう。
「その助っ人枠に、自分が入ればいいという事で間違いないか? 幸いこれと言った外せない用事もないし、大会は夜にやるんだろう? それならば参加は難しくない」
自分の言葉に、ツヴァイが分かりやすく笑みを浮かべた。
「ありがたい! じゃあ飯が終わった後でいいから運営本部に同行してくれないか? ギルドマスターと本人が揃っていないと許可が下りないって事になってるからな」
そしてただ待つだけもなんだからとツヴァイがここで食事に加わった。その間とりとめもない話をいくつも交わしたのだが、ツヴァイがパイルバンカーの話に食いついた。
「マジで作れたのか!?」「まあ、うん。ちなみに他のメンバーは実際に稼働しているところを見てる」
ツヴァイの言葉に自分の返答。話を聞いていた周りのブルーカラーの面子は頷く。その直後、ツヴァイがメンバーを少々恨みがましいような視線で見つめる。
「なんでそんな面白い事に俺を呼ばなかったんだよ」「いや、今日の予定が埋まってただろ。主にさっきの話のギルド最強決定戦関係の話が」
ツヴァイの言葉に、レイジが冷静に切り返した。それでも、教えてくれたっていいだろーと、ツヴァイはぶつぶつ呟きつつ肉を口に放り込んでいた。
「なんにせよ、助っ人ルールですか。開催まで数日しかないのに急な変更ですね」「幾つものギルドが大慌てした後に走り回るルールの追加だねぇ……ここでアース君がOKしてくれなかったら、ボクたちも同じだったけど」
ルールの追加に、カザミネとロナちゃんが自分の感想を口にした。確かに大会開始数日前に大きくルールが変わりましたってのはちょっと酷い気もするがさっきのツヴァイの話から考えると、八人では辛すぎるという声が恐らくかなり大きかったんだろうな。だから開催したプレイヤーも渋々そう言う形で認めるしかなかったのだろう。そう予想した自分の考えが正しいという事を、次のツヴァイの言葉で知る事になった。
「とにかく大多数のギルドから、八人じゃきついからあと一人枠を広げろーって声が上がりまくってな。一方で俺達はギルドメンバー八人しかいない、だから参加したのにここで枠を一つ広げるとなったら圧倒的に不利じゃねえか! って反論もあってな。滅茶苦茶もめたんだ……正直それを横から見ているだけでうんざりするレベルだったぜ」
疲れた表情を浮かべながらツヴァイがウーロン茶を喉に流し込む。最後の大会だからこそ、揉める規模が大きかったんだろうな。参加するギルドも多そうだし。ましてやこのルール追加は有利不利がはっきりと出る。面子が多い方が有利なのは間違いないんだから。
「それで喧嘩腰な話し合いが繰り広げられた結果、妥協案としてこうなったって訳だ。話し合いが終わったとたんにほぼ全員が駆け出して行ったぞ……助っ人のスカウトの為にな。恐らく今頃名が売れてるけど参加する予定が無かった強いプレイヤーをいかに引っ張ってこれるかの騒ぎになってると思う──」
とツヴァイが喋り終わる前にこの店のあちこちから騒ぎ声が上がり始めた。内容はツヴァイがまさに今口にした事だ。食事に来ていたプレイヤーの中から、強い人を見つけて参加を打診する話をしているのが嫌でも聞こえてくる。だがもちろん皆が皆OKを出す訳でもない。対人には興味がない、すでに用事が入っている、スキル上げが終わっていないなどの理由をあげて断る声も多数聞こえる。
「早速ですね」「ああ、数日間はこんな感じだろうな……食事も終わったし出ようか。もう落ち付いて話は出来ないだろ」
カザミネ、そして続くレイジの言葉に皆で頷き、お代を払って店を後にした。そのままパイルバンカーを見せた面子とは別れてツヴァイと一緒に大会出場の手続きをするために向かう。
「しかし、そんな大会をやる運営会場が良く準備できたな」「何でもここの住人を通じて女神にお願いをかけたらすぐさま対応してくれたって話だ。女神にとってもお互いに腕を磨いて最終決戦に挑んでくれるのは望ましいって事なんだろな」
自分の疑問に対するツヴァイの返答はこれだった。この塔自体が女神様の建築物だから、ある程度の融通は聞かせられるって事なんだろう。そして歩くこと数分、妙に立派で見覚えのないしっかりとしたコロッセウムが目に入ってきた。
「あんなのをぽんと作っちゃったのか」「ああ、滅茶苦茶だよな。でも一瞬で作られたって運営をしている奴は言ってたからな──事実なんだろ」
まあ、それだけの力が女神様にはあるって事で納得しておく。考えても多分無駄な事だし。恐らくツヴァイも同じ結論を出しているのだろう、一瞬お互いの目を見て頷きあった。さて、中はどうなっているのかな? 少し楽しみにしながらコロッセウムに近づいていく。
「よ、歓談中ごめんな。ちょっとアースに相談があってな、ここにいるって事だからお邪魔させてもらった」
相談? 何かトラブルでもあったんだろうか? そう思っていたのだがそうじゃなかった。ツヴァイ曰く、後数日後に最後の最強ギルド決定戦、トリを飾るのはこいつらだ! と言うユーザーが行うイベントが開催されるらしい。そのタイトルはどうなのよと内心で思ったが、とりあえず黙っておく。
で、ツヴァイ達のギルドブルーカラーもそれに折角だから参加するかと言う話でまとまっているらしい。それは良かったのだが、ここにきて追加ルールが追加されたのだという。それは助っ人を設定する事が出来る様になった。あくまで助っ人なので設定は強要ではないが、設定しておいた方が有利になるらしい。
「どういう形で対戦するんだ?」「三ON三の変則版だな。三人が一つのチームとして出場するんだが同時に三人戦う訳じゃなくって一人がメインで二人がサブ、ただし交代は何時でもOK。また三回までならメイン選手の戦闘に五秒間だけ乱入して相手の大技を止めたり連続技のカットも許される。決着はどちらか片方が全滅するまで。つまり最後の一人になっても相手を全滅させれば勝ちって事になる」
なんか、格闘ゲームであるパターンに近いな。もしくはプロレス。プロレスはメインの人がギブアップしたりフォールされてスリーカウント貰ったら終わるから例えとしてはふさわしくないか? なんにせよ、ルールは分かった。
「で、まだルールには続きがある。飯を食いながらで良いから聞いてくれ。その試合を三回やって、先に二本先取で勝利となるんだが──対戦終了後HPやMPは全快せずに多少しか回復しない。つまりダメージを多大に受けてしまうと、次の試合に支障をきたすというかなりキッツいルールだな。もちろん戦いに出なくても試合の決着がつくごとに多少の回復は受けられる」
あー、全快しないのね。以下に消耗を抑えて戦いを続けられるかも強さの一つとして図るっていう趣旨も含まれている訳だ。誰を出して誰を休ませるかも考えていかないと最後まで持たなさそうだな。
「で、登録が許されるギルド所属メンバー数は八名まで。つまり三試合目にもつれ込むと消耗が激しいメンバーであっても誰か一人は出さなきゃいけないという事になるな。絶対に戦闘開始時には三人いないとダメだと言うのが今回の大会におけるルールだから。出せなかったら失格負けだ。しかし、それでは辛いという声も上がってな、運営が妥協して助っ人ルールを追加した」
つまり、九名。最初の試合は全員全快状態で挑めるようにしたってわけか。
「その助っ人ルールも素直な物じゃなさそうだな」「アースの予想通りだ。助っ人は『出場ギルドとは別の人間にする事』と言う縛りが設けられている。逆にこのルールのお陰で出たいけどギルドメンバーが乗り気じゃなかった人とか、ギルドに参加していない人でも参加できるようになったとも言えるんだが」
人数が多い強豪ギルドが、その人数でごり推せるような形にはしないって事が狙いなのかな。もしくはイベントを開催するプレイヤーが少しでも盛り上がる要素を組み込む事と、上がってきた声に対する反抗と言う事を考えたのかもしれない。そしてまあ、ここまで話を聞けばツヴァイの話は分かった。そこの助っ人枠に入って欲しいという事だろう。
「その助っ人枠に、自分が入ればいいという事で間違いないか? 幸いこれと言った外せない用事もないし、大会は夜にやるんだろう? それならば参加は難しくない」
自分の言葉に、ツヴァイが分かりやすく笑みを浮かべた。
「ありがたい! じゃあ飯が終わった後でいいから運営本部に同行してくれないか? ギルドマスターと本人が揃っていないと許可が下りないって事になってるからな」
そしてただ待つだけもなんだからとツヴァイがここで食事に加わった。その間とりとめもない話をいくつも交わしたのだが、ツヴァイがパイルバンカーの話に食いついた。
「マジで作れたのか!?」「まあ、うん。ちなみに他のメンバーは実際に稼働しているところを見てる」
ツヴァイの言葉に自分の返答。話を聞いていた周りのブルーカラーの面子は頷く。その直後、ツヴァイがメンバーを少々恨みがましいような視線で見つめる。
「なんでそんな面白い事に俺を呼ばなかったんだよ」「いや、今日の予定が埋まってただろ。主にさっきの話のギルド最強決定戦関係の話が」
ツヴァイの言葉に、レイジが冷静に切り返した。それでも、教えてくれたっていいだろーと、ツヴァイはぶつぶつ呟きつつ肉を口に放り込んでいた。
「なんにせよ、助っ人ルールですか。開催まで数日しかないのに急な変更ですね」「幾つものギルドが大慌てした後に走り回るルールの追加だねぇ……ここでアース君がOKしてくれなかったら、ボクたちも同じだったけど」
ルールの追加に、カザミネとロナちゃんが自分の感想を口にした。確かに大会開始数日前に大きくルールが変わりましたってのはちょっと酷い気もするがさっきのツヴァイの話から考えると、八人では辛すぎるという声が恐らくかなり大きかったんだろうな。だから開催したプレイヤーも渋々そう言う形で認めるしかなかったのだろう。そう予想した自分の考えが正しいという事を、次のツヴァイの言葉で知る事になった。
「とにかく大多数のギルドから、八人じゃきついからあと一人枠を広げろーって声が上がりまくってな。一方で俺達はギルドメンバー八人しかいない、だから参加したのにここで枠を一つ広げるとなったら圧倒的に不利じゃねえか! って反論もあってな。滅茶苦茶もめたんだ……正直それを横から見ているだけでうんざりするレベルだったぜ」
疲れた表情を浮かべながらツヴァイがウーロン茶を喉に流し込む。最後の大会だからこそ、揉める規模が大きかったんだろうな。参加するギルドも多そうだし。ましてやこのルール追加は有利不利がはっきりと出る。面子が多い方が有利なのは間違いないんだから。
「それで喧嘩腰な話し合いが繰り広げられた結果、妥協案としてこうなったって訳だ。話し合いが終わったとたんにほぼ全員が駆け出して行ったぞ……助っ人のスカウトの為にな。恐らく今頃名が売れてるけど参加する予定が無かった強いプレイヤーをいかに引っ張ってこれるかの騒ぎになってると思う──」
とツヴァイが喋り終わる前にこの店のあちこちから騒ぎ声が上がり始めた。内容はツヴァイがまさに今口にした事だ。食事に来ていたプレイヤーの中から、強い人を見つけて参加を打診する話をしているのが嫌でも聞こえてくる。だがもちろん皆が皆OKを出す訳でもない。対人には興味がない、すでに用事が入っている、スキル上げが終わっていないなどの理由をあげて断る声も多数聞こえる。
「早速ですね」「ああ、数日間はこんな感じだろうな……食事も終わったし出ようか。もう落ち付いて話は出来ないだろ」
カザミネ、そして続くレイジの言葉に皆で頷き、お代を払って店を後にした。そのままパイルバンカーを見せた面子とは別れてツヴァイと一緒に大会出場の手続きをするために向かう。
「しかし、そんな大会をやる運営会場が良く準備できたな」「何でもここの住人を通じて女神にお願いをかけたらすぐさま対応してくれたって話だ。女神にとってもお互いに腕を磨いて最終決戦に挑んでくれるのは望ましいって事なんだろな」
自分の疑問に対するツヴァイの返答はこれだった。この塔自体が女神様の建築物だから、ある程度の融通は聞かせられるって事なんだろう。そして歩くこと数分、妙に立派で見覚えのないしっかりとしたコロッセウムが目に入ってきた。
「あんなのをぽんと作っちゃったのか」「ああ、滅茶苦茶だよな。でも一瞬で作られたって運営をしている奴は言ってたからな──事実なんだろ」
まあ、それだけの力が女神様にはあるって事で納得しておく。考えても多分無駄な事だし。恐らくツヴァイも同じ結論を出しているのだろう、一瞬お互いの目を見て頷きあった。さて、中はどうなっているのかな? 少し楽しみにしながらコロッセウムに近づいていく。
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