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原因判明、そして親方率いる鍛冶集団との共同制作本格始動
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親方について来いと告げられて向かった先は試射を行っている部屋。なんでここに連れられたのだろう……とにかくここは親方の指示に従おう。親方は無意味な事をして時間の浪費をさせるような人ではない。
「さて、アース。まずはそいつで一番左端の鎧の腕あたりを狙ってみてくれ。あの鎧は鋼鉄製だが、弟子が作った奴だから出来は良い。ただ、商品にするとなるともう一つ詰めが甘い所があったから的にしてるんだがな……とにかく、やってみてくれ」
親方にそう言われたのなら、こちらは素直に従うだけだ。射程範囲に鎧の右腕を入れて狙いをつけ、射出。するとどうだ、ハサミは見事に鎧の右腕を斬りおとしたではないか。あっれえ? 鋼鉄が切り裂けるのに、なんでさっきの細い木材が切り裂けなかったんだ? ちょっと混乱してきたぞ……
「おお、予想した通りの結果だな。アース、お前さんのハサミの刃の鍛え方は間違ってはいない。まあ、甘い所がないとも言えないんだがな──が、それも目をつぶれる範疇だ。決して悪い物じゃない。そうなるとアースは当然こう思うだろう、じゃあなぜさっきの細いもくざいが切り落とせなかったんだ? と」
親方の言葉に反論する所は無いため、自分は素直に「まさにそこです、何故先ほどの木材が切れなかったのでしょうか? 鋼鉄の鎧の腕を斬りおとせる切れ味があるならば、木材を斬りおとすのも容易いはず」と答える。耐久性で言えば、先ほど斬りおとした鋼鉄の鎧の方がはるかに高いはずなのだ。なのに……すると親方は、先ほどの木材を取り出しながらその疑問への返答をくれた。
「アース、こいつはな……密にエルフとの共同開発の結果生まれた新しい木材となる木から取れた試作品でな。斬撃、打撃に一定レベル以上の耐性を持たせた一品だ。エルフから実は秘かに相談を受けててな……林業に詳しい奴を交えて、エルフの家をより頑丈かつ押し入り強盗みたいな連中が入りこむことを困難にするべく生み出された品種改良の成果の一つだ」
親方曰く、何でも多くの人がやってくるようになった事で残念ながら不届き者も交じるようになってしまっていたとの事。なのでそう言った連中がそうそう家に押し入る事が無い様に家の防御力の強化が求められた。しかし、木がメインとなるエルフの家の設計上どうしても木材故の弱点が浮き彫りになってくる。
ならば、と言う事で複数の木材の弱点を克服するように生み出された新種の木から取れた木材の一つがこれだったらしい。この木材は物理的な攻撃に耐性を持ち、加工には特殊な材料を使って行わなければ非常に手間がかかると教えてくれた。なお、その必要な特殊材料に関しては極秘であり、親方達とエルフ達しか知らないらしい。
「そうでしたか……そうなると、もしかしてすでに書くエルフの家の改造は秘かに?」「ああ、家の外側は変わってないが内側にはこういった木材を用いた防御が行われているぞ。詳しい事はアースでも言えんが」
そうだったのか……まあ、機密を暴くような真似はするつもりはない。とにかく、自分のハサミの出来が悪すぎたから木材を切り落とせなかったわけではないと言う事になる。
「なんにせよ、鋼鉄の鎧の腕をああもすっぱり切り落とせるなら、依頼者側も文句は言わないだろう……アース、手伝ってほしい所はもちろん遠慮なく言ってくれよ? アースがこっちの依頼を受けてくれているのだから、アースだけに負担を背負わせるのはおかしいからな」
親方の言葉にうなずく。もうちょっと機構に手を入れたら、そこからは親方達に手伝ってもらう。盾の形はどうするだとか、後このボウガンの仕組みの改良案はないか、射出機構はどうするかなどの意見を出してもらいつつ完成にもっていく形となる。それらの予定も親方に伝えておいた。
「なるほどな……話は分かった。だがもうちょっと手を入れたい所ってのはどこなんだ」「ハサミを打ち出して戻ってくる時の衝撃を和らげる方法ですね。ちょっとばかり戻る時の勢いが強くて、ハサミ自体にダメージが入ってそうなんですよね」
バネの強さを上げた事もあって、戻ってくるときにかかる力も上がっている。それが原因で戻ってきた時のハサミとバネの周辺から鈍い音が聞こえてくるのだ。今はまだ数回しか試射していないから問題はないが、数十回使うとなると耐久力が心配になる。数十回しか使えない武器なんて、個人的にはちょっと信頼できない。もちろんその数十回で並の武器の数十本分の成果があげられるとか言うなら話は別なのだが。
「なるほどな、ちょっと俺にもやらせてくれ。こうやってセットして、こうか。なるほど、確かにちょっとこれは放置できねえな。ここは何とかしねえと武器として長く使えねえ」
親方も自分と同じ結論を出した。親方がこう発言するのだから、自分の方針は間違っていない。やはりここを何とか改良してからじゃないと先に進む事は出来ない。
「バネの力を弱めれば簡単だが、そうすると挟み込む時のパワーが落ちるか。感覚としてはやはりこれぐらいのパワーは無いとな……火力を維持するためにバネを弱めるしかないとなれば刃をより改良する事も考えるべきだが、やはりまずはハサミ自体にかかる負荷をどうにか減らす方法を探るべきだろうな」
元々コンセプト自体が無茶じゃねえか! というご意見ご感想はあるだろうがすべて無視する。この手の物は無茶を積み重ねてなんぼ、その行きつく先に完成すればそれは無茶でも無理でもなくなる。それが常識となってしまうのである。様々な記録媒体、記憶媒体の歴史とか振り返ってみても面白いかもしれない。古い媒体で申し訳ないが、フロッピーディスクと今のSSDを比べた時の差とかもう酷いものだ。
「ふむ、アース、先のの言葉を取り消して今から俺達も全面的に手伝うことにしよう。ここまでアースが形を作ってくれたのだから、弟子達も色々と案が浮かぶかもしれねえ。まずは見せてみることにしよう」
と言う事で、ハサミを打ち出す盾の機構をお弟子さん達にも完全公開する事となった。そのうえで今の問題点と盾としてどういう形になるか、ボウガンをどうやって起動させる&弦を引きなおす? と言った事も話し合う事になった。漠然とした設計図ではなく、ある程度形になった者を見れば、お弟子さん達も色々と意見を出してくれる。
「バネ周辺にショックアブソーバーみたいなものを設置するとか?」「不可能ではないが、良い物を仕込むとなるとちょっとコストがかかり過ぎないか?」「戻ってくる時限定で何らかの衝撃吸収してくれる何かを展開できれば問題はかなり解決しそう」「魔法ありき、ではマズイだろうなぁ。使い手が魔法を使えるかどうかはこちらは分からないわけだし」
自分では出せなかった発想、物の見方、解決案が次々と出てはこういう観点からマズイ、使い手によってその性能が左右されるのはよろしくないと建設的な批判も入る。こうやって意見をぶつけ合わせる事で良い物が出来るのだ。なのでとにかく各自思いついたこと、出来そうなことを口にして現実的ではない部分を削り落としていく。
結果として、ボウガンが打ち出された事によりスイッチが入り、ハサミが戻ってくる場所にスポンジのような物で保護するような仕組みを作ってみてはどうか、という形になった。この場合、ボウガンがハサミを打ち出したことがスイッチとなって展開し、ボウガンが再び引き絞られるともどの場所に連動して戻る、というかとで良いんだろうか?
そうなれば次は当然、そう言った仕組みをどう詰め込むか、という話になる。ボウガンの機構を邪魔しないようにする為、ボウガンと弦が稼働する周辺には置けない。また、連動させるにしてもボウガンがハサミを打ち出した直後ではハサミを妨害してしまう可能性がある為、ほんの少しタイミングをずらす必要がある。
後は素材なのだが──これはお弟子さん達がお互いの得意分野から持ち寄った物で何とでもなる事が判明している。スポンジみたいなもの、ジェルっぽい物、皮なんだけどものすごく柔らかい物(もちろん耐久面もばっちりである)などなど、より取り見取りだ。なのでこれらの素材を使った試作品を作って一番具合が良かったものを使用する事に決まった。
この日はログアウトまでとにかく完成系としてどういう形にもっていくかのアイデアの出し合いと、どのような仕組みでハサミを受け止めるかに絞っての話し合いが続けられた。親方の名前で少量とは言えど正式に売りに出す事になる以上、半端な物は許されない。話し合いでお互いの間に行き交う熱量は、それはそれはすさまじいものであったと言っておく。
(やっぱり物作りって奴は、一人でやってもこうやって大勢の人と一緒にやっても楽しいな)
そんな感想を抱きつつ、この日は眠りにつく事となった。明日からは完成系にもっていくための作業が始まる。心して進めなければならない。
*****
心臓を奪われた事から始まった旅はひとまずの決着をみました。
「さて、アース。まずはそいつで一番左端の鎧の腕あたりを狙ってみてくれ。あの鎧は鋼鉄製だが、弟子が作った奴だから出来は良い。ただ、商品にするとなるともう一つ詰めが甘い所があったから的にしてるんだがな……とにかく、やってみてくれ」
親方にそう言われたのなら、こちらは素直に従うだけだ。射程範囲に鎧の右腕を入れて狙いをつけ、射出。するとどうだ、ハサミは見事に鎧の右腕を斬りおとしたではないか。あっれえ? 鋼鉄が切り裂けるのに、なんでさっきの細い木材が切り裂けなかったんだ? ちょっと混乱してきたぞ……
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親方の言葉に反論する所は無いため、自分は素直に「まさにそこです、何故先ほどの木材が切れなかったのでしょうか? 鋼鉄の鎧の腕を斬りおとせる切れ味があるならば、木材を斬りおとすのも容易いはず」と答える。耐久性で言えば、先ほど斬りおとした鋼鉄の鎧の方がはるかに高いはずなのだ。なのに……すると親方は、先ほどの木材を取り出しながらその疑問への返答をくれた。
「アース、こいつはな……密にエルフとの共同開発の結果生まれた新しい木材となる木から取れた試作品でな。斬撃、打撃に一定レベル以上の耐性を持たせた一品だ。エルフから実は秘かに相談を受けててな……林業に詳しい奴を交えて、エルフの家をより頑丈かつ押し入り強盗みたいな連中が入りこむことを困難にするべく生み出された品種改良の成果の一つだ」
親方曰く、何でも多くの人がやってくるようになった事で残念ながら不届き者も交じるようになってしまっていたとの事。なのでそう言った連中がそうそう家に押し入る事が無い様に家の防御力の強化が求められた。しかし、木がメインとなるエルフの家の設計上どうしても木材故の弱点が浮き彫りになってくる。
ならば、と言う事で複数の木材の弱点を克服するように生み出された新種の木から取れた木材の一つがこれだったらしい。この木材は物理的な攻撃に耐性を持ち、加工には特殊な材料を使って行わなければ非常に手間がかかると教えてくれた。なお、その必要な特殊材料に関しては極秘であり、親方達とエルフ達しか知らないらしい。
「そうでしたか……そうなると、もしかしてすでに書くエルフの家の改造は秘かに?」「ああ、家の外側は変わってないが内側にはこういった木材を用いた防御が行われているぞ。詳しい事はアースでも言えんが」
そうだったのか……まあ、機密を暴くような真似はするつもりはない。とにかく、自分のハサミの出来が悪すぎたから木材を切り落とせなかったわけではないと言う事になる。
「なんにせよ、鋼鉄の鎧の腕をああもすっぱり切り落とせるなら、依頼者側も文句は言わないだろう……アース、手伝ってほしい所はもちろん遠慮なく言ってくれよ? アースがこっちの依頼を受けてくれているのだから、アースだけに負担を背負わせるのはおかしいからな」
親方の言葉にうなずく。もうちょっと機構に手を入れたら、そこからは親方達に手伝ってもらう。盾の形はどうするだとか、後このボウガンの仕組みの改良案はないか、射出機構はどうするかなどの意見を出してもらいつつ完成にもっていく形となる。それらの予定も親方に伝えておいた。
「なるほどな……話は分かった。だがもうちょっと手を入れたい所ってのはどこなんだ」「ハサミを打ち出して戻ってくる時の衝撃を和らげる方法ですね。ちょっとばかり戻る時の勢いが強くて、ハサミ自体にダメージが入ってそうなんですよね」
バネの強さを上げた事もあって、戻ってくるときにかかる力も上がっている。それが原因で戻ってきた時のハサミとバネの周辺から鈍い音が聞こえてくるのだ。今はまだ数回しか試射していないから問題はないが、数十回使うとなると耐久力が心配になる。数十回しか使えない武器なんて、個人的にはちょっと信頼できない。もちろんその数十回で並の武器の数十本分の成果があげられるとか言うなら話は別なのだが。
「なるほどな、ちょっと俺にもやらせてくれ。こうやってセットして、こうか。なるほど、確かにちょっとこれは放置できねえな。ここは何とかしねえと武器として長く使えねえ」
親方も自分と同じ結論を出した。親方がこう発言するのだから、自分の方針は間違っていない。やはりここを何とか改良してからじゃないと先に進む事は出来ない。
「バネの力を弱めれば簡単だが、そうすると挟み込む時のパワーが落ちるか。感覚としてはやはりこれぐらいのパワーは無いとな……火力を維持するためにバネを弱めるしかないとなれば刃をより改良する事も考えるべきだが、やはりまずはハサミ自体にかかる負荷をどうにか減らす方法を探るべきだろうな」
元々コンセプト自体が無茶じゃねえか! というご意見ご感想はあるだろうがすべて無視する。この手の物は無茶を積み重ねてなんぼ、その行きつく先に完成すればそれは無茶でも無理でもなくなる。それが常識となってしまうのである。様々な記録媒体、記憶媒体の歴史とか振り返ってみても面白いかもしれない。古い媒体で申し訳ないが、フロッピーディスクと今のSSDを比べた時の差とかもう酷いものだ。
「ふむ、アース、先のの言葉を取り消して今から俺達も全面的に手伝うことにしよう。ここまでアースが形を作ってくれたのだから、弟子達も色々と案が浮かぶかもしれねえ。まずは見せてみることにしよう」
と言う事で、ハサミを打ち出す盾の機構をお弟子さん達にも完全公開する事となった。そのうえで今の問題点と盾としてどういう形になるか、ボウガンをどうやって起動させる&弦を引きなおす? と言った事も話し合う事になった。漠然とした設計図ではなく、ある程度形になった者を見れば、お弟子さん達も色々と意見を出してくれる。
「バネ周辺にショックアブソーバーみたいなものを設置するとか?」「不可能ではないが、良い物を仕込むとなるとちょっとコストがかかり過ぎないか?」「戻ってくる時限定で何らかの衝撃吸収してくれる何かを展開できれば問題はかなり解決しそう」「魔法ありき、ではマズイだろうなぁ。使い手が魔法を使えるかどうかはこちらは分からないわけだし」
自分では出せなかった発想、物の見方、解決案が次々と出てはこういう観点からマズイ、使い手によってその性能が左右されるのはよろしくないと建設的な批判も入る。こうやって意見をぶつけ合わせる事で良い物が出来るのだ。なのでとにかく各自思いついたこと、出来そうなことを口にして現実的ではない部分を削り落としていく。
結果として、ボウガンが打ち出された事によりスイッチが入り、ハサミが戻ってくる場所にスポンジのような物で保護するような仕組みを作ってみてはどうか、という形になった。この場合、ボウガンがハサミを打ち出したことがスイッチとなって展開し、ボウガンが再び引き絞られるともどの場所に連動して戻る、というかとで良いんだろうか?
そうなれば次は当然、そう言った仕組みをどう詰め込むか、という話になる。ボウガンの機構を邪魔しないようにする為、ボウガンと弦が稼働する周辺には置けない。また、連動させるにしてもボウガンがハサミを打ち出した直後ではハサミを妨害してしまう可能性がある為、ほんの少しタイミングをずらす必要がある。
後は素材なのだが──これはお弟子さん達がお互いの得意分野から持ち寄った物で何とでもなる事が判明している。スポンジみたいなもの、ジェルっぽい物、皮なんだけどものすごく柔らかい物(もちろん耐久面もばっちりである)などなど、より取り見取りだ。なのでこれらの素材を使った試作品を作って一番具合が良かったものを使用する事に決まった。
この日はログアウトまでとにかく完成系としてどういう形にもっていくかのアイデアの出し合いと、どのような仕組みでハサミを受け止めるかに絞っての話し合いが続けられた。親方の名前で少量とは言えど正式に売りに出す事になる以上、半端な物は許されない。話し合いでお互いの間に行き交う熱量は、それはそれはすさまじいものであったと言っておく。
(やっぱり物作りって奴は、一人でやってもこうやって大勢の人と一緒にやっても楽しいな)
そんな感想を抱きつつ、この日は眠りにつく事となった。明日からは完成系にもっていくための作業が始まる。心して進めなければならない。
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