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最後の試練の内容は
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翌日、九〇〇階を後にして一〇数分後……ついに自分は九九五階、最後の試練の階層にたどり着いた。途中の道中は説明しなくていいだろう、今までと同じ光景が繰り広げられただけなのだから。
ただ、出てくるモンスターは有翼人関係を除いたワンモアに存在するすべてのモンスターが出てきたのでバリエーションは豊富だった。が、バリエーション豊富であっても守護者さんの前では全てが同じ結末をたどったので代わり映えという物が、ね? もし普通に進むとなったらかなり大変だっただろう。
とにかく、最終試練に到着した自分は……そこでよく知った顔を見る事になった。グラッドを始めとした最強の六人パーティ……彼等が、椅子に座っていたのである。これはどういう状況なのだろうか?
「お待ちしておりました。それでは試練に必要な人物が出そろいましたので最後となる試練の内容を発表いたします。こちらにおかけください」
この階の試験官と思われる人物が椅子を用意してきた。ここの試験官は明確な人族の外見を持っていて、藍色の腰まで伸ばしたロングヘアに黒いシスターの服を身にまとっている。ただ、頭には何もかぶっていない。そして目が糸目? それとも閉じている? とにかくその目が特徴的だった。
とにかく用意された椅子は二つなので、自分と守護者さんが着席する。状況は、自分と守護者さんが横に並び、対面にグラッド達六名が座っている形だ。その間にこの階の試験官さんがいるという形となる。
「試験の内容は、グラッドさん達六名とアースさん一人による直接対決となります。勝った方が先に進め、負けた方は二日間だけこの階層で足止めされたのち、先に進めるようになります」
試験内容が発表されるや否や、すぐさま口をはさんだ人物がいる。グラッドだ。
「おい、それはどういうつもりだ? 俺達六人でアースを叩き潰せと言うのか? 俺達六人で一斉にかからねえとアースとは勝負にならねえと判断したのか? 流石にそれは、俺達を馬鹿にし過ぎじゃねえのか!」
明確な怒りといら立ちを含ませたその言葉に、グラッドのプライドも見え隠れしている。勝負をするのは良い、だが六人で一人を袋叩きにするような真似は恥ずかしくてできるか、と言った感じだな。
「もちろん、普通の直接対決には致しません……まずは、こちらをご覧ください」
試験官さんが軽く指を慣らすと、自分とグラッドの間にあるものがホログラムのような感じで浮かび上がってきた。中央に草原が広がっており、その周囲に六つのバイオームと言えばいいんだっけ? 特殊な環境の地形がくっついている。環境は時計回りに六つ存在し、順に起伏のある雪原、ジャングル、火山帯、市街地、荒野、幾つもの洞窟を通じて地下が広がっている世界の六つだ。
「この場所が、皆様が直接対決する場所となります。そして……グラッド様達一行の勝利条件を発表いたします。それは三〇分以内にこの草原の周囲にある五つの鍵を見つけ出し、草原に設置される扉へと鍵を差し込み開ける事。もしくはアース様を倒す事となります」
この条件を聞いて、自分は何をするか理解した。これは間違いなく、非対称型対戦だ。ホラーテイストな鬼ごっこゲームなどが有名で、他にも片方がモンスター、もう片方はそのモンスターを倒しに来た戦士達と言うのもあったな。そしてこの手の物は、一人で戦う側のスペックが圧倒的に強い事でバランスを取るのだ。
数の多い方は戦うにしろ逃げるにしろ、単独で勝負が出来る事はまずない。手に入る道具や地形を利用して隠れたり欺いたりして撃退や逃亡を狙うのである。そうしないとスペックの差であっという間に叩き潰されることになるのだ。バランスを取る事が難しいゲームジャンルなのだが……まさかここで出してくるとは。
「そしてアース様の勝利条件は、グラッド様達を全員倒して牢に封じるか三〇分扉を守り通す事になります。質問はもちろんございますでしょうから、受け付けます」
そして上がる手……真っ先に挙げたのは魔法使いのガルだった。
「ルールは分かったけどさ。この火山帯とかの広さってどのぐらいなの?」「そうですね、皆様が全力で走れば恐らく五分弱でしょうか。極端に広くはありません」
なるほど、そこまで極端に広いフィールドではない、と。次の質問を行ったのはゼラァ。
「さっきアースの勝利条件として牢に封じるとあったけどさ、そこの説明を詳しくしてくれない?」「了解いたしました、これは実物を使って説明させていただきます」
その言葉と共に試験官さんの指が鳴らされ、その後ろに静かに現れたのは鳥かごのような物。この中に閉じ込める形とになるのか。そしてさらに自分とグラッド達の合間に軽鎧を着た人型の模型も現れた。
「これが牢となります。閉じ込められる流れを、この疑似的な存在をつかって皆様の前に実演させていただきます。まずは、アース様が皆さんに対して攻撃を行い皆様の誰かに致命傷を与えたとします。このような形ですね」
試験官さんの言葉に従って、人型の模型が地に伏せる。
「ですが、致命傷を受けても皆様がこの試験の間は即座に死ぬと言う事にはなりません。このように地面にうつ伏せになり、這いずりまわる事しかできない状態になります。這いまわる姿は動きは遅いですが、それでも動けますので隠れたりすることも不可能ではないでしょう」
ふむ、ここら辺も非対称対戦ゲームをやっていればすぐに理解できる範疇だな。で、ここからとどめを入れる事で完全なダウンを奪えるってのがお約束だが……
「このはいずり状態になった時にアース様がこの後お渡しする事になるこちらの道具、鎖をぶつけますと自動で絡みつき、完全に拘束した後に檻に転送される形となります。これはアース様、実際にこの疑似的存在にお試しください」
そう言われたので自分は椅子から立ち上がり、早速鎖を倒れているダミーに向けて軽く投げつけてみる。ダミーに当たった瞬間、鎖は四肢を這いまわってあっという間に拘束。それから三〇秒ぐらいした後に檻へとダミーを転送した。
「なるほど、こうやって捕まえろと言う事ですか。が、鎖が絡みついてから転送までに時間が少しかかっていましたね? つまり、この転送される前に何らかの手段で妨害を受けると捉えることが出来ずに逃げられる、と言う訳ですか」「お察しの通りです、転送される前に妨害を受け、鎖を破壊されると檻に捉える事は出来ません」
自分の言葉に、試験官さんは頷く。ここら辺もお約束か……仲間が捕まっても何らかの手段で怯ませたり視界を潰したりして妨害し、その隙に仲間が逃げ出せるようにするというのはこの手のゲームの駆け引きの一つだ。次に手を挙げたのはザッドか。
「先ほどから妨害と言う言葉がいくつも出てきているが……つまりこの勝負の最中に妨害できる道具などが手に入れられるという認識で良いのか? そして手に入れる方法はどうなっている?」
「それは、あらゆる場所に宝箱と言う形で置かれています。投げつけて当てる事で動きを封じる物、回復薬、鉤のある方向が分かるコンパスなど……様々な手助けをする道具が各所に散りばめられています。手に入れた時に詳しい説明も出ますので、扱いが分からないと言う事はないでしょう。また、開けられるのはグラッド様たちのみです。アース様は宝箱に触れる事は出来ません」
アイテムを手に出来るのは、グラッド達だけと。ゲームによっては強い方も一部手に入れられることがあったりするんだけどここではナシと言う事になるんだろう。次の質問はゼッドか。
「なんか話を聞いていると俺達が圧倒的に有利じゃねえか? アースがあまりにも不利すぎるぞ? だから当然アース側には強化が入るんだろうがそこを知りてえ」「アース様は、全能力一〇倍の強化が入ります。これはステータスと言うだけではなく《危険察知》などの範囲強化も含まれます。音を立てる、全力で走り続けるなどの安易な動き方を多用すれば、すぐに位置を特定されてしまうでしょう」
一〇倍か。それならグラッド側を同時に二、三人相手をしても問題はなさそうだ。さすがに全員同時に相手をすればきついだろうが……そこは上手くやれって事だろう。数の力を活かせないように分断するのは、少数側の基本戦術だ。ここまでの話を聞いて、グラッドが顎に手を当てて少し考えているようだ。恐らく、聞いた話を頭の中で纏めているんだろう。自分ももう一度確認するか。
*****
と言う事で、グラッドパーティとの対戦が最終試練となります。これは最初から決めていました。
特殊な条件となりますが、楽しんでいただけると幸いです。
それにしても夏と言うだけあって、雷様が頻繁にいらっしゃいますね。
もちろん雷様がいらっしゃるとPCを使った作業は全て止まってしまう為、作業が進められなくなります。
機能は夕方にもよるにもいらっしゃったため、作業を完全に足止めされてしまいました。
ただ、出てくるモンスターは有翼人関係を除いたワンモアに存在するすべてのモンスターが出てきたのでバリエーションは豊富だった。が、バリエーション豊富であっても守護者さんの前では全てが同じ結末をたどったので代わり映えという物が、ね? もし普通に進むとなったらかなり大変だっただろう。
とにかく、最終試練に到着した自分は……そこでよく知った顔を見る事になった。グラッドを始めとした最強の六人パーティ……彼等が、椅子に座っていたのである。これはどういう状況なのだろうか?
「お待ちしておりました。それでは試練に必要な人物が出そろいましたので最後となる試練の内容を発表いたします。こちらにおかけください」
この階の試験官と思われる人物が椅子を用意してきた。ここの試験官は明確な人族の外見を持っていて、藍色の腰まで伸ばしたロングヘアに黒いシスターの服を身にまとっている。ただ、頭には何もかぶっていない。そして目が糸目? それとも閉じている? とにかくその目が特徴的だった。
とにかく用意された椅子は二つなので、自分と守護者さんが着席する。状況は、自分と守護者さんが横に並び、対面にグラッド達六名が座っている形だ。その間にこの階の試験官さんがいるという形となる。
「試験の内容は、グラッドさん達六名とアースさん一人による直接対決となります。勝った方が先に進め、負けた方は二日間だけこの階層で足止めされたのち、先に進めるようになります」
試験内容が発表されるや否や、すぐさま口をはさんだ人物がいる。グラッドだ。
「おい、それはどういうつもりだ? 俺達六人でアースを叩き潰せと言うのか? 俺達六人で一斉にかからねえとアースとは勝負にならねえと判断したのか? 流石にそれは、俺達を馬鹿にし過ぎじゃねえのか!」
明確な怒りといら立ちを含ませたその言葉に、グラッドのプライドも見え隠れしている。勝負をするのは良い、だが六人で一人を袋叩きにするような真似は恥ずかしくてできるか、と言った感じだな。
「もちろん、普通の直接対決には致しません……まずは、こちらをご覧ください」
試験官さんが軽く指を慣らすと、自分とグラッドの間にあるものがホログラムのような感じで浮かび上がってきた。中央に草原が広がっており、その周囲に六つのバイオームと言えばいいんだっけ? 特殊な環境の地形がくっついている。環境は時計回りに六つ存在し、順に起伏のある雪原、ジャングル、火山帯、市街地、荒野、幾つもの洞窟を通じて地下が広がっている世界の六つだ。
「この場所が、皆様が直接対決する場所となります。そして……グラッド様達一行の勝利条件を発表いたします。それは三〇分以内にこの草原の周囲にある五つの鍵を見つけ出し、草原に設置される扉へと鍵を差し込み開ける事。もしくはアース様を倒す事となります」
この条件を聞いて、自分は何をするか理解した。これは間違いなく、非対称型対戦だ。ホラーテイストな鬼ごっこゲームなどが有名で、他にも片方がモンスター、もう片方はそのモンスターを倒しに来た戦士達と言うのもあったな。そしてこの手の物は、一人で戦う側のスペックが圧倒的に強い事でバランスを取るのだ。
数の多い方は戦うにしろ逃げるにしろ、単独で勝負が出来る事はまずない。手に入る道具や地形を利用して隠れたり欺いたりして撃退や逃亡を狙うのである。そうしないとスペックの差であっという間に叩き潰されることになるのだ。バランスを取る事が難しいゲームジャンルなのだが……まさかここで出してくるとは。
「そしてアース様の勝利条件は、グラッド様達を全員倒して牢に封じるか三〇分扉を守り通す事になります。質問はもちろんございますでしょうから、受け付けます」
そして上がる手……真っ先に挙げたのは魔法使いのガルだった。
「ルールは分かったけどさ。この火山帯とかの広さってどのぐらいなの?」「そうですね、皆様が全力で走れば恐らく五分弱でしょうか。極端に広くはありません」
なるほど、そこまで極端に広いフィールドではない、と。次の質問を行ったのはゼラァ。
「さっきアースの勝利条件として牢に封じるとあったけどさ、そこの説明を詳しくしてくれない?」「了解いたしました、これは実物を使って説明させていただきます」
その言葉と共に試験官さんの指が鳴らされ、その後ろに静かに現れたのは鳥かごのような物。この中に閉じ込める形とになるのか。そしてさらに自分とグラッド達の合間に軽鎧を着た人型の模型も現れた。
「これが牢となります。閉じ込められる流れを、この疑似的な存在をつかって皆様の前に実演させていただきます。まずは、アース様が皆さんに対して攻撃を行い皆様の誰かに致命傷を与えたとします。このような形ですね」
試験官さんの言葉に従って、人型の模型が地に伏せる。
「ですが、致命傷を受けても皆様がこの試験の間は即座に死ぬと言う事にはなりません。このように地面にうつ伏せになり、這いずりまわる事しかできない状態になります。這いまわる姿は動きは遅いですが、それでも動けますので隠れたりすることも不可能ではないでしょう」
ふむ、ここら辺も非対称対戦ゲームをやっていればすぐに理解できる範疇だな。で、ここからとどめを入れる事で完全なダウンを奪えるってのがお約束だが……
「このはいずり状態になった時にアース様がこの後お渡しする事になるこちらの道具、鎖をぶつけますと自動で絡みつき、完全に拘束した後に檻に転送される形となります。これはアース様、実際にこの疑似的存在にお試しください」
そう言われたので自分は椅子から立ち上がり、早速鎖を倒れているダミーに向けて軽く投げつけてみる。ダミーに当たった瞬間、鎖は四肢を這いまわってあっという間に拘束。それから三〇秒ぐらいした後に檻へとダミーを転送した。
「なるほど、こうやって捕まえろと言う事ですか。が、鎖が絡みついてから転送までに時間が少しかかっていましたね? つまり、この転送される前に何らかの手段で妨害を受けると捉えることが出来ずに逃げられる、と言う訳ですか」「お察しの通りです、転送される前に妨害を受け、鎖を破壊されると檻に捉える事は出来ません」
自分の言葉に、試験官さんは頷く。ここら辺もお約束か……仲間が捕まっても何らかの手段で怯ませたり視界を潰したりして妨害し、その隙に仲間が逃げ出せるようにするというのはこの手のゲームの駆け引きの一つだ。次に手を挙げたのはザッドか。
「先ほどから妨害と言う言葉がいくつも出てきているが……つまりこの勝負の最中に妨害できる道具などが手に入れられるという認識で良いのか? そして手に入れる方法はどうなっている?」
「それは、あらゆる場所に宝箱と言う形で置かれています。投げつけて当てる事で動きを封じる物、回復薬、鉤のある方向が分かるコンパスなど……様々な手助けをする道具が各所に散りばめられています。手に入れた時に詳しい説明も出ますので、扱いが分からないと言う事はないでしょう。また、開けられるのはグラッド様たちのみです。アース様は宝箱に触れる事は出来ません」
アイテムを手に出来るのは、グラッド達だけと。ゲームによっては強い方も一部手に入れられることがあったりするんだけどここではナシと言う事になるんだろう。次の質問はゼッドか。
「なんか話を聞いていると俺達が圧倒的に有利じゃねえか? アースがあまりにも不利すぎるぞ? だから当然アース側には強化が入るんだろうがそこを知りてえ」「アース様は、全能力一〇倍の強化が入ります。これはステータスと言うだけではなく《危険察知》などの範囲強化も含まれます。音を立てる、全力で走り続けるなどの安易な動き方を多用すれば、すぐに位置を特定されてしまうでしょう」
一〇倍か。それならグラッド側を同時に二、三人相手をしても問題はなさそうだ。さすがに全員同時に相手をすればきついだろうが……そこは上手くやれって事だろう。数の力を活かせないように分断するのは、少数側の基本戦術だ。ここまでの話を聞いて、グラッドが顎に手を当てて少し考えているようだ。恐らく、聞いた話を頭の中で纏めているんだろう。自分ももう一度確認するか。
*****
と言う事で、グラッドパーティとの対戦が最終試練となります。これは最初から決めていました。
特殊な条件となりますが、楽しんでいただけると幸いです。
それにしても夏と言うだけあって、雷様が頻繁にいらっしゃいますね。
もちろん雷様がいらっしゃるとPCを使った作業は全て止まってしまう為、作業が進められなくなります。
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