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最後の部隊長との戦い、決着
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先ほどの部隊長の言葉は偽りなどではなく、文字通り今までと変わらない戦闘を見せてきた。足から矢を無理やり引き抜いたことでかなりの出血をしたはずなのだが……それでもダメージを受ける前と同じような戦いが出来るとは、なんという。が、それでも表情はしかめた状態から変わらず、動くほどに地面に大きな血痕が残る。
──これだけの出血を続けている以上、このまま戦い続けて行けば出血が原因となって部隊長は確実に弱っていくだろう。それを待てば……確実に勝てるはずだ。これは卑怯な行為ではない、戦術だ。それは分かっているのだが……
「はあああっ!」
顔をしかめながらも、全く衰える事の無い鋭い突きを繰り出してくる部隊長。そんな相手に──そんな勝ち方をしていいのだろうか? それで自分は納得できるんだろうか? 心残りは生まれないだろうか? ソロでここまで来る馬鹿であると、自分は分かっている。ならば、馬鹿らしく行動する事をとことん貫き通す方がよっぽどいい。自分が納得できるのならば、それにここでは自己満足に走っても他に迷惑をかける人はいない。
自分は打ち合いを止め、後ろに大きくバックステップ。更に八岐の月を背中に背負い、レガリオンを分割して、鞘に納めた。この自分の行動を見て、流石に部隊長も不審に思ったのだろう。厳しい表情をより厳しくして叫んできた。
「何をしている! 貴殿はここに来て戦いを止めるというのか!? それとも、こちらの出血を鑑みて一旦休戦などと情けをかけようとでもいうのか!? そう考えるのであればこちらに対する愚弄に他ならない! 剣を抜け、戦いを続けろ!」
そうだな、確かにそう思われても仕方がない行為だ。だが、自分は戦いを止めるつもりも、一旦休戦して回復させるという考えもない。鞘に納めたうちの一本、ガナードを収めた鞘を左手で、ガナードを右手で握り、腰をゆっくりと落としていく。そう、ロストロスにも行ったあの居合に酷似した一撃。それを今から部隊長に向けて放つ。カザミネやカナさんも防げなかったこの一太刀で部隊長との戦いに決着をつける。
「戦いを止めるつもりなど、ありませんよ。確かにそちらの足から出る出血量を鑑みれば、戦いを長引かせることでさらに出血を誘い、動きを鈍らせたところに自分が猛攻を仕掛ければ勝つ確率は上がるでしょう。それは立派な戦いの方法であり、卑怯な行為ではない。だが、それをこちらは良しとしない」
話をしているのは何も理由を説明しているだけではない。あの一撃を繰り出すための時間稼ぎも兼ねているのだ。
「そもそも、効率などを考えればこちらについてくれた分身体と共にそちらと戦えばいいだけの事。だが、それでは納得が出来ない性分でして……まあ世間的に言えば馬鹿そのものなんでしょう。そう、白の塔をここまで単独で登ってきた時点で自分は相当な大馬鹿者に他ならない。だが、それでもかまわない。それに、ここで試練に失敗しても困るのは自分自身のみ。ならば自分が納得のいかない決着など望まないという馬鹿な考えを貫き通すまで!」
まだ、まだまだ足りない。あの一撃は、本当に集中力を高めに高めた上で放つ必殺の一撃。こうやって話をして時間を稼いでも、ロストロスやカザミネ、カナさんに放った時の様な感覚に至らない。今の状態で無理に振ったところで、不完全な何の威力もない稚拙な技しか出ないだろう。もう少し、時間が必要だ。
「故に、次に繰り出す自分が持てる最高の一撃をもってそちらを倒す。出血が長引いて弱った時の貴女ではなく、十分に戦える時の貴女をだ。そうでなければ、この後に待っている守護者との戦いに、胸を張って向かえない。そして、塔を登り切ってあの時出血による弱体を待つような真似をしなければよかったと後悔したくない! 故に、この行動に出たまで! 覚悟して頂こう、これはかつて君臨していた空の暴君すら屠った一撃! 貴女に、止められるか?」
自分の言葉と、何より自分が集中力を異様に高めている事ではったりでも何でもないと向こうも察したようだ。口をつぐみ、盾を構え、そしてこちらの動きを見逃さんとばかりにより鋭い目つきとなった。完全に、迎撃の体勢に入ったな……ならば、こちらの一太刀が勝るか、それとも向こうが迎撃に成功して自分を切り伏せるか……勝負だ。ややあって、遂に集中力が十分に高まった。剣を僅かに鞘から抜き、仕掛ける最終準備を行う。
「それでは、参ります」「来るがいい、受け止めた後に貴殿の首を刎ねてくれる!」
心臓が一回、二回、そして三回目の鼓動を立てた瞬間、自分は全力で前に出た。一瞬の抜刀術……そして気が付けば、自分は剣をすでに振りぬいた姿で止まっていた。手ごたえは──十分だ。
「──見事っ!」
後ろから、そんな声の後に人が崩れ落ちるような音が聞こえた。砂龍師匠から最後に伝授されたこの一太刀、例え魔剣真同化を失おうともその一閃に曇りなし。間違いなく、変身なしで自分が放てる技の中では最高の物だ。そして感じたのは、集中力の高まりが確実に速くなっているという事実。やはり、明鏡止水系のスキルレベルが高まったことが理由だろう。そして、この一太刀を放ったので、明鏡止水状態は解除されている。
ゆっくりと後ろを振り返ると、そこには腹部を大きく切り裂かれた部隊長が倒れていた。その傷の大きさはとてもスネークソードでつけた傷とは思えない大きなものだった。まるで大太刀でバッサリと切り裂いたかのようにすら見える。一目で誰もが致命傷だと断じるだろう。
「見事、だった……空の、暴君を……破ったのは……貴殿、だったのだな……それを、いやがおうにも、理解させる……見事な、一撃、だった、ぞ」
そんな傷を受けているのにもかかわらず、息こそ絶え絶えだが、しっかりと聞き取れる声で、近くで膝を付いている自分に部隊長は話しかけてきた。
「ロスト・ロス、などと言ったか……あの男は……倒されたと言う事は知ってはいたが、あの男の護りを、どうやって崩したのか、それは、こちら側も知らない事だった。そう、ただ、あの男が、地上の命運をかけて送り込まれた、ハアハア、連合軍の命と引き換えに、討たれたと言う事だけだったから、な、知っていたのは」
腹部からは大量の血が流れ続けている、この感じなら部隊長はもうすぐ力尽きる。だが、それでも部隊長は近くに居る自分に震える手を伸ばしてきたので自分はその手をしっかりと握る。
「確信、した。今の貴殿なら……我らの本体に勝てる、と。そして、きっと、我々全員の、ハアハア、主である塔の主人、主人が願う事を、叶えてくれる人物である、と……だから、こそ……周囲から何を言われようが……貴殿の、貴殿の納得が行くように戦い続けて、欲しい……それが、きっと、一番、伝わるはずだろう……」
手から力が抜けてきた。そうなる原因を作ったのは自分だから、最後まで彼女が言いたいこと、伝えたい事を最後までしっかりと聞いておかなければならない。それが、戦った相手への最低限の礼儀だと自分は考える。
「この階での、試練は今後も、あるだろう。挑戦者も、来るだろう。だが、分身体をまた本体が作っても、私という存在は二度と、生まれない。そう言う、仕組みになっている。だからこそ……このような、素晴らしい形で、終えられることに、感謝しているぞ……勝てよ……そして塔を登り切って……見せてくれ……」
この言葉を最後に、腕から力が抜けて──部隊長は静かに消滅した。光の残滓が宙に舞い上がって消えていく。自分は黙とうを行い、部隊長に敬意を払った。その後、ゆっくりと立ち上がってこの階の守護者に向き直った。
「長らくお待たせしました。遂に、貴女の前に立つ事が効出ましたよ」
自分の言葉に、守護者は獰猛な笑みを浮かべた。まるで、やっと待ちに待ち続けたご馳走が目の前に現れた雌ライオンの様な……そして闘気が守護者から膨れ上がり始めた。
「一六〇〇〇を超える我が分身をよくぞ見事乗り越えてきたわね。ここまで来てくれる時を待ちに待っていたわ……それに、先ほどの一撃。ああ、もうそれを見てから戦いたくって仕方がないわ。今までの挑戦者の誰よりも、戦闘意欲が書きたてられるわね。でも、ルールはルール、貴方に休息を与えなければね……それが終われば、後は貴方が倒れるか私が勝つか迄、止まる事はないでしょう。最後の休息をしっかりと取りなさい」
と言っては来たが、明らかに声には待ちきれないという感情がありありと浮かんでいる。と、ここで後ろに下がっていた分身体達が自分の所にやってくる。
「お見事でした……それしか言いようがありません。そして……申し訳ないのですが本体との戦いに私達は参加する事が出来ません……なぜなら、この後本体が戦い始める前に私達は回収されるからです。ですから、その前にこうして挨拶に参りました」
なるほど、それじゃあどうやっても助力を頼めはしないな。それでも最後の分身体との戦いでは非常に助けられた。それだけで十分すぎる援護だったのだから、これ以上あれこれ言うのは無しだ。
「分かりました。ここまでの助力に感謝します。ありがとうございました」
自分はゆっくりと頭を下げて、感謝の言葉を述べた。感謝はちゃんと伝えなければ意味がない。
「私達も、共に戦えたことを光栄に思います。言うまでもありませんが、本体は私達よりはるかに強く、タフで、厳しい相手です。ですが、貴方ならきっと勝ってくれると私達も思っています。ご武運を!」
分身体達は全員が自分に向かって敬礼をしてきた。なので、自分も敬礼をすることで返した。一歩運ぐらいお互いにそのままの状態で動かず、敬意を伝え合った。その後分身体は守護者の元に行き、自分は胡坐をかく形で床に座り込み目を閉じて静かに休憩時間の終わりを待った。やっと、やっと守護者との戦いに待ちこむことが出来た。この階層でどれだけ時間を使わされた事か──今日、この挑戦でここを突破する、して見せる。
(次のチャンスはない、そう言う考えで挑まなければな。勝つぞ、勝って先に進むんだ。塔はまだ先がある、ここで終わりじゃないのだから)
──これだけの出血を続けている以上、このまま戦い続けて行けば出血が原因となって部隊長は確実に弱っていくだろう。それを待てば……確実に勝てるはずだ。これは卑怯な行為ではない、戦術だ。それは分かっているのだが……
「はあああっ!」
顔をしかめながらも、全く衰える事の無い鋭い突きを繰り出してくる部隊長。そんな相手に──そんな勝ち方をしていいのだろうか? それで自分は納得できるんだろうか? 心残りは生まれないだろうか? ソロでここまで来る馬鹿であると、自分は分かっている。ならば、馬鹿らしく行動する事をとことん貫き通す方がよっぽどいい。自分が納得できるのならば、それにここでは自己満足に走っても他に迷惑をかける人はいない。
自分は打ち合いを止め、後ろに大きくバックステップ。更に八岐の月を背中に背負い、レガリオンを分割して、鞘に納めた。この自分の行動を見て、流石に部隊長も不審に思ったのだろう。厳しい表情をより厳しくして叫んできた。
「何をしている! 貴殿はここに来て戦いを止めるというのか!? それとも、こちらの出血を鑑みて一旦休戦などと情けをかけようとでもいうのか!? そう考えるのであればこちらに対する愚弄に他ならない! 剣を抜け、戦いを続けろ!」
そうだな、確かにそう思われても仕方がない行為だ。だが、自分は戦いを止めるつもりも、一旦休戦して回復させるという考えもない。鞘に納めたうちの一本、ガナードを収めた鞘を左手で、ガナードを右手で握り、腰をゆっくりと落としていく。そう、ロストロスにも行ったあの居合に酷似した一撃。それを今から部隊長に向けて放つ。カザミネやカナさんも防げなかったこの一太刀で部隊長との戦いに決着をつける。
「戦いを止めるつもりなど、ありませんよ。確かにそちらの足から出る出血量を鑑みれば、戦いを長引かせることでさらに出血を誘い、動きを鈍らせたところに自分が猛攻を仕掛ければ勝つ確率は上がるでしょう。それは立派な戦いの方法であり、卑怯な行為ではない。だが、それをこちらは良しとしない」
話をしているのは何も理由を説明しているだけではない。あの一撃を繰り出すための時間稼ぎも兼ねているのだ。
「そもそも、効率などを考えればこちらについてくれた分身体と共にそちらと戦えばいいだけの事。だが、それでは納得が出来ない性分でして……まあ世間的に言えば馬鹿そのものなんでしょう。そう、白の塔をここまで単独で登ってきた時点で自分は相当な大馬鹿者に他ならない。だが、それでもかまわない。それに、ここで試練に失敗しても困るのは自分自身のみ。ならば自分が納得のいかない決着など望まないという馬鹿な考えを貫き通すまで!」
まだ、まだまだ足りない。あの一撃は、本当に集中力を高めに高めた上で放つ必殺の一撃。こうやって話をして時間を稼いでも、ロストロスやカザミネ、カナさんに放った時の様な感覚に至らない。今の状態で無理に振ったところで、不完全な何の威力もない稚拙な技しか出ないだろう。もう少し、時間が必要だ。
「故に、次に繰り出す自分が持てる最高の一撃をもってそちらを倒す。出血が長引いて弱った時の貴女ではなく、十分に戦える時の貴女をだ。そうでなければ、この後に待っている守護者との戦いに、胸を張って向かえない。そして、塔を登り切ってあの時出血による弱体を待つような真似をしなければよかったと後悔したくない! 故に、この行動に出たまで! 覚悟して頂こう、これはかつて君臨していた空の暴君すら屠った一撃! 貴女に、止められるか?」
自分の言葉と、何より自分が集中力を異様に高めている事ではったりでも何でもないと向こうも察したようだ。口をつぐみ、盾を構え、そしてこちらの動きを見逃さんとばかりにより鋭い目つきとなった。完全に、迎撃の体勢に入ったな……ならば、こちらの一太刀が勝るか、それとも向こうが迎撃に成功して自分を切り伏せるか……勝負だ。ややあって、遂に集中力が十分に高まった。剣を僅かに鞘から抜き、仕掛ける最終準備を行う。
「それでは、参ります」「来るがいい、受け止めた後に貴殿の首を刎ねてくれる!」
心臓が一回、二回、そして三回目の鼓動を立てた瞬間、自分は全力で前に出た。一瞬の抜刀術……そして気が付けば、自分は剣をすでに振りぬいた姿で止まっていた。手ごたえは──十分だ。
「──見事っ!」
後ろから、そんな声の後に人が崩れ落ちるような音が聞こえた。砂龍師匠から最後に伝授されたこの一太刀、例え魔剣真同化を失おうともその一閃に曇りなし。間違いなく、変身なしで自分が放てる技の中では最高の物だ。そして感じたのは、集中力の高まりが確実に速くなっているという事実。やはり、明鏡止水系のスキルレベルが高まったことが理由だろう。そして、この一太刀を放ったので、明鏡止水状態は解除されている。
ゆっくりと後ろを振り返ると、そこには腹部を大きく切り裂かれた部隊長が倒れていた。その傷の大きさはとてもスネークソードでつけた傷とは思えない大きなものだった。まるで大太刀でバッサリと切り裂いたかのようにすら見える。一目で誰もが致命傷だと断じるだろう。
「見事、だった……空の、暴君を……破ったのは……貴殿、だったのだな……それを、いやがおうにも、理解させる……見事な、一撃、だった、ぞ」
そんな傷を受けているのにもかかわらず、息こそ絶え絶えだが、しっかりと聞き取れる声で、近くで膝を付いている自分に部隊長は話しかけてきた。
「ロスト・ロス、などと言ったか……あの男は……倒されたと言う事は知ってはいたが、あの男の護りを、どうやって崩したのか、それは、こちら側も知らない事だった。そう、ただ、あの男が、地上の命運をかけて送り込まれた、ハアハア、連合軍の命と引き換えに、討たれたと言う事だけだったから、な、知っていたのは」
腹部からは大量の血が流れ続けている、この感じなら部隊長はもうすぐ力尽きる。だが、それでも部隊長は近くに居る自分に震える手を伸ばしてきたので自分はその手をしっかりと握る。
「確信、した。今の貴殿なら……我らの本体に勝てる、と。そして、きっと、我々全員の、ハアハア、主である塔の主人、主人が願う事を、叶えてくれる人物である、と……だから、こそ……周囲から何を言われようが……貴殿の、貴殿の納得が行くように戦い続けて、欲しい……それが、きっと、一番、伝わるはずだろう……」
手から力が抜けてきた。そうなる原因を作ったのは自分だから、最後まで彼女が言いたいこと、伝えたい事を最後までしっかりと聞いておかなければならない。それが、戦った相手への最低限の礼儀だと自分は考える。
「この階での、試練は今後も、あるだろう。挑戦者も、来るだろう。だが、分身体をまた本体が作っても、私という存在は二度と、生まれない。そう言う、仕組みになっている。だからこそ……このような、素晴らしい形で、終えられることに、感謝しているぞ……勝てよ……そして塔を登り切って……見せてくれ……」
この言葉を最後に、腕から力が抜けて──部隊長は静かに消滅した。光の残滓が宙に舞い上がって消えていく。自分は黙とうを行い、部隊長に敬意を払った。その後、ゆっくりと立ち上がってこの階の守護者に向き直った。
「長らくお待たせしました。遂に、貴女の前に立つ事が効出ましたよ」
自分の言葉に、守護者は獰猛な笑みを浮かべた。まるで、やっと待ちに待ち続けたご馳走が目の前に現れた雌ライオンの様な……そして闘気が守護者から膨れ上がり始めた。
「一六〇〇〇を超える我が分身をよくぞ見事乗り越えてきたわね。ここまで来てくれる時を待ちに待っていたわ……それに、先ほどの一撃。ああ、もうそれを見てから戦いたくって仕方がないわ。今までの挑戦者の誰よりも、戦闘意欲が書きたてられるわね。でも、ルールはルール、貴方に休息を与えなければね……それが終われば、後は貴方が倒れるか私が勝つか迄、止まる事はないでしょう。最後の休息をしっかりと取りなさい」
と言っては来たが、明らかに声には待ちきれないという感情がありありと浮かんでいる。と、ここで後ろに下がっていた分身体達が自分の所にやってくる。
「お見事でした……それしか言いようがありません。そして……申し訳ないのですが本体との戦いに私達は参加する事が出来ません……なぜなら、この後本体が戦い始める前に私達は回収されるからです。ですから、その前にこうして挨拶に参りました」
なるほど、それじゃあどうやっても助力を頼めはしないな。それでも最後の分身体との戦いでは非常に助けられた。それだけで十分すぎる援護だったのだから、これ以上あれこれ言うのは無しだ。
「分かりました。ここまでの助力に感謝します。ありがとうございました」
自分はゆっくりと頭を下げて、感謝の言葉を述べた。感謝はちゃんと伝えなければ意味がない。
「私達も、共に戦えたことを光栄に思います。言うまでもありませんが、本体は私達よりはるかに強く、タフで、厳しい相手です。ですが、貴方ならきっと勝ってくれると私達も思っています。ご武運を!」
分身体達は全員が自分に向かって敬礼をしてきた。なので、自分も敬礼をすることで返した。一歩運ぐらいお互いにそのままの状態で動かず、敬意を伝え合った。その後分身体は守護者の元に行き、自分は胡坐をかく形で床に座り込み目を閉じて静かに休憩時間の終わりを待った。やっと、やっと守護者との戦いに待ちこむことが出来た。この階層でどれだけ時間を使わされた事か──今日、この挑戦でここを突破する、して見せる。
(次のチャンスはない、そう言う考えで挑まなければな。勝つぞ、勝って先に進むんだ。塔はまだ先がある、ここで終わりじゃないのだから)
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