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ラストエリアに突入
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粘った結果。ヒヒイロカネ装備は一つも落ちなかった。一方で食料はかなり調達できた。レベルは全員六上がって三六へ上昇。呪力石は昏睡を一つ、地刃が一つ入手できた。そして今、食事中である。
「ヒヒイロカネ装備が落ちなかったのは残念だが、そろそろ先に進もう」「なあ、食料はかなり集まったよな? もうちょっと粘ってもいいんじゃないか?」「それは止めた方が良いと思いますよ?」
食事の合間、タンカー役の男性プレイヤーの言葉に両手剣使いの男性プレイヤーがもう少し粘ってみてはどうかという意見を出したので、自分はすぐさま否定させてもらった。当然両手剣使いの男性プレイヤーは自分にどういう事だ? と視線を向けてくる。
「この手のローグライクって、時間制限がある可能性が否定できないんですよ。で、時間制限を超えると一発アウトという場合がほとんどです。この城のエリアに滞在して、かなりの時間がたっています。これ以上留まると、強制的に失敗させられるような何かが起きるかもしれません」
そう、永久に稼ぎ続ける事を禁止するためにローグライクゲームには一定ターンで強制的に失敗扱いにさせるイベントが仕込まれている作品がある。特に食料が手に入れやすいフロアなどでプレイヤーが長期滞在し、延々とレベルとアイテム稼ぎをすることを阻止する目的が多分メイン。別の言い方では永久パターン禁止措置とも。
で、ワンモアの事を考えると十中八九そのシステムは入れられているとみるべきだ。ここまで上手く行っているのに、その手の強制イベントで挑戦失敗となればテンションが駄々下がりするのは間違いない。そうならないようにする為に、もう先に進んだ方が良いと自分は考えている。
「そう言う仕掛けがある可能性か……確かに否定できないな」「むしろ俺はあると思っている。だから、これ以上粘るという選択肢は出さなかったんだ」
自分の話を聞いて、両手剣使いの男性プレイヤーがその可能性に同意し、タンカー役の男性プレイヤーはゆっくりと頷いた。
「じゃあ、この食事が終わったらすぐに次のエリアに行くと言う事で良いのね?」「そうなりますね、次のエリアへの入り口はもう見つけていますし、迅速に行動するべきでしょう」
格闘家の女性プレイヤーの言葉に、魔法使いの女性プレイヤーがそう返答していた。口に出しはしないが、個人的な経験からくる勘からして──タイムリミットはもう目と鼻の先に来ていると感じている。だが、あくまで勘であって確証が持てている訳はないし……今からすぐに次のエリアに向かうのであれば問題はないはずだ。
(まだ粘りたいという意見が出ないかが心配だったが、それは杞憂で済んでくれてよかった。話が通じるメンバーは助かる)
現実に時々いる、話を全く聞かない人。もしくは結論がすでにこうあるべきと固まっていて、それ以外の話を受け入れない人との話し合いは大変だからね……そうならなくてよかったよ。食事を終えると共に、すぐさま次のエリアに向かうべく移動を開始。モンスターが突如襲ってこない限り、問題なく次のエリアに行ける。
そのまま周囲の警戒を怠らずに歩いたおかげか、問題なく次のエリアに進むための道へと入ることが出来た。背中から、ゆっくりと死のイメージみたいな冷たい感覚が迫ってきていたのだが振り切る事に成功。城を出るときにボスが襲ってくる可能性も考えていたのだが──そう言う事もなかった。
結果的にメンバーの大幅強化&各種アイテムを大量に確保することが出来たという美味しいエリアであった。だがそれが意味する事は……これから向かう最後のエリアが稼いでいないと辛い、いや稼いでいても辛い場所である可能性がある。もちろんこれはそのエリアの敵や地形を見てみないと分からないけど、簡単にすむはずもない。
城を出て道を進み、たどり着いた場所は……霧によって先があまり見渡せない荒野のようである。地面は赤茶けた硬い土でできており、足場としては何の問題もないが……こうも霧が深いと、先に進むのが大変だ。
「全然先が見えねえ」「モンスターの接近も気が付くのが遅れそうね……」「それより、落下する場所がある可能性がある。前進速度を落とさざるを得ないだろうな」
自分が思っていたことを、同行している面子が次々と口にしてくれた。同行者の言う通り、モンスターの接近と足場の先がどうなっているのかが分かりにくい。突破はかなり大変だろう、流石最終エリアだ。
「それでも進むしかない、行こうぜ」
タンカー役の男性プレイヤーの言葉に皆で頷き、前進を再開した。どうしても慎重になる以上、一歩一歩踏み出すのに時間がかかる。霧さえなければ……普段なら〈百里眼〉スキルがあるから無視できるんだが、今は残念ながらレベルが上がってスキルがある程度解放されているとはいえ、残念ながら霧を見通すほどの力はない。
そんなおっかなびっくりで進んでいる自分達の前に、何らかの影が映った。モンスターだろう。誰もが即座に戦闘態勢に入る。その影はこちらに向かってきており、徐々に大きくなっている。一定距離で立ち止まり、体を伏せるような動きを──飛び込んでくるぞ!
「霧の向こうから飛び掛かってくると予想! 構えて!」
自分の言葉にタンカー役の男性が反応したのと、モンスターが襲い掛かってきたのはほぼ同時。盾に阻まれ、飛びのいて後ろに下がったモンスターの正体は……猿。ただし立ち上がれば身長は二メートルぐらいある上に、あまりにも異様に発達した前歯、血走った目、そして黒く輝く爪に、逆立っている赤茶色の毛。
そんな連中が、霧の向こうから四匹出てきた。最初の飛び掛かってきた奴を含めれば五匹。最初の一匹目はこちらの様子をうかがう先鋒役だったのかもしれない。と、そんな事を考えていると猿たちが動く。次々と飛び掛かり、前歯でこちらを突き刺して来ようとしたり、爪で突き刺そうとしてきたり、押し倒そうとしてりと飛び掛かってくる。タンカーの盾で二匹は阻まれたが、残り三匹はそのまま他の面子に襲い掛かってきた!
「ちいっ!」「はあっ!」
その三匹のうち二匹は、それぞれ前衛である大太刀使いの男性プレイヤーと格闘家の女性プレイヤーの襲い掛かったので彼らは自力で対処。だが最後の一匹が予想以上の跳躍力で魔法使いの女性プレイヤーを爪で串刺しにしようとしてきたのだ。
「はっ!」
その攻撃を、自分がスネークソードで迎撃。ある程度弾き飛ばしたところに、すかさずアーチャーの女性プレイヤーが追撃。ある程度のダメージを与える事には成功した、が……前後を挟まれる形となってしまった。でもさすがにはじき返す方向まで選べるタイミングじゃなかったから仕方がない。
「おい、そっちは大丈夫か!?」「一匹だけなんで何とかします、そちらはそちらで集中を!」
あっちは四匹とにらみ合っている状況なので、こっちにまで下手に気をまわされると危険すぎる。むしろこっちが目の前の一匹をできるだけ早く倒してあっちの支援に回らなきゃいけない所である。
「自分が前に出るので、お二方はフォローを」「わ、分かったわ」「了解です」
二人の前に出て、猿と対峙する。再び爪でこちらを突き刺そうとしてきた所をスネークソードで弾き、動きを潰す。そうして動きを止めた所に後ろから矢と魔法が飛んできて猿にダメージを与える……あんまり効いた様に見えないな? 流石最後のエリアの敵、普通の敵でも相応の耐久力を持っているか。
それでも、このエリアを抜ければ彼らの試練は達成なのだ。だからこいつにやられるわけにはいかない。それに、この猿の爪を使った攻撃の動きも二回見てある程度分かった。次はカウンターを取って見せようじゃないの。
「ヒヒイロカネ装備が落ちなかったのは残念だが、そろそろ先に進もう」「なあ、食料はかなり集まったよな? もうちょっと粘ってもいいんじゃないか?」「それは止めた方が良いと思いますよ?」
食事の合間、タンカー役の男性プレイヤーの言葉に両手剣使いの男性プレイヤーがもう少し粘ってみてはどうかという意見を出したので、自分はすぐさま否定させてもらった。当然両手剣使いの男性プレイヤーは自分にどういう事だ? と視線を向けてくる。
「この手のローグライクって、時間制限がある可能性が否定できないんですよ。で、時間制限を超えると一発アウトという場合がほとんどです。この城のエリアに滞在して、かなりの時間がたっています。これ以上留まると、強制的に失敗させられるような何かが起きるかもしれません」
そう、永久に稼ぎ続ける事を禁止するためにローグライクゲームには一定ターンで強制的に失敗扱いにさせるイベントが仕込まれている作品がある。特に食料が手に入れやすいフロアなどでプレイヤーが長期滞在し、延々とレベルとアイテム稼ぎをすることを阻止する目的が多分メイン。別の言い方では永久パターン禁止措置とも。
で、ワンモアの事を考えると十中八九そのシステムは入れられているとみるべきだ。ここまで上手く行っているのに、その手の強制イベントで挑戦失敗となればテンションが駄々下がりするのは間違いない。そうならないようにする為に、もう先に進んだ方が良いと自分は考えている。
「そう言う仕掛けがある可能性か……確かに否定できないな」「むしろ俺はあると思っている。だから、これ以上粘るという選択肢は出さなかったんだ」
自分の話を聞いて、両手剣使いの男性プレイヤーがその可能性に同意し、タンカー役の男性プレイヤーはゆっくりと頷いた。
「じゃあ、この食事が終わったらすぐに次のエリアに行くと言う事で良いのね?」「そうなりますね、次のエリアへの入り口はもう見つけていますし、迅速に行動するべきでしょう」
格闘家の女性プレイヤーの言葉に、魔法使いの女性プレイヤーがそう返答していた。口に出しはしないが、個人的な経験からくる勘からして──タイムリミットはもう目と鼻の先に来ていると感じている。だが、あくまで勘であって確証が持てている訳はないし……今からすぐに次のエリアに向かうのであれば問題はないはずだ。
(まだ粘りたいという意見が出ないかが心配だったが、それは杞憂で済んでくれてよかった。話が通じるメンバーは助かる)
現実に時々いる、話を全く聞かない人。もしくは結論がすでにこうあるべきと固まっていて、それ以外の話を受け入れない人との話し合いは大変だからね……そうならなくてよかったよ。食事を終えると共に、すぐさま次のエリアに向かうべく移動を開始。モンスターが突如襲ってこない限り、問題なく次のエリアに行ける。
そのまま周囲の警戒を怠らずに歩いたおかげか、問題なく次のエリアに進むための道へと入ることが出来た。背中から、ゆっくりと死のイメージみたいな冷たい感覚が迫ってきていたのだが振り切る事に成功。城を出るときにボスが襲ってくる可能性も考えていたのだが──そう言う事もなかった。
結果的にメンバーの大幅強化&各種アイテムを大量に確保することが出来たという美味しいエリアであった。だがそれが意味する事は……これから向かう最後のエリアが稼いでいないと辛い、いや稼いでいても辛い場所である可能性がある。もちろんこれはそのエリアの敵や地形を見てみないと分からないけど、簡単にすむはずもない。
城を出て道を進み、たどり着いた場所は……霧によって先があまり見渡せない荒野のようである。地面は赤茶けた硬い土でできており、足場としては何の問題もないが……こうも霧が深いと、先に進むのが大変だ。
「全然先が見えねえ」「モンスターの接近も気が付くのが遅れそうね……」「それより、落下する場所がある可能性がある。前進速度を落とさざるを得ないだろうな」
自分が思っていたことを、同行している面子が次々と口にしてくれた。同行者の言う通り、モンスターの接近と足場の先がどうなっているのかが分かりにくい。突破はかなり大変だろう、流石最終エリアだ。
「それでも進むしかない、行こうぜ」
タンカー役の男性プレイヤーの言葉に皆で頷き、前進を再開した。どうしても慎重になる以上、一歩一歩踏み出すのに時間がかかる。霧さえなければ……普段なら〈百里眼〉スキルがあるから無視できるんだが、今は残念ながらレベルが上がってスキルがある程度解放されているとはいえ、残念ながら霧を見通すほどの力はない。
そんなおっかなびっくりで進んでいる自分達の前に、何らかの影が映った。モンスターだろう。誰もが即座に戦闘態勢に入る。その影はこちらに向かってきており、徐々に大きくなっている。一定距離で立ち止まり、体を伏せるような動きを──飛び込んでくるぞ!
「霧の向こうから飛び掛かってくると予想! 構えて!」
自分の言葉にタンカー役の男性が反応したのと、モンスターが襲い掛かってきたのはほぼ同時。盾に阻まれ、飛びのいて後ろに下がったモンスターの正体は……猿。ただし立ち上がれば身長は二メートルぐらいある上に、あまりにも異様に発達した前歯、血走った目、そして黒く輝く爪に、逆立っている赤茶色の毛。
そんな連中が、霧の向こうから四匹出てきた。最初の飛び掛かってきた奴を含めれば五匹。最初の一匹目はこちらの様子をうかがう先鋒役だったのかもしれない。と、そんな事を考えていると猿たちが動く。次々と飛び掛かり、前歯でこちらを突き刺して来ようとしたり、爪で突き刺そうとしてきたり、押し倒そうとしてりと飛び掛かってくる。タンカーの盾で二匹は阻まれたが、残り三匹はそのまま他の面子に襲い掛かってきた!
「ちいっ!」「はあっ!」
その三匹のうち二匹は、それぞれ前衛である大太刀使いの男性プレイヤーと格闘家の女性プレイヤーの襲い掛かったので彼らは自力で対処。だが最後の一匹が予想以上の跳躍力で魔法使いの女性プレイヤーを爪で串刺しにしようとしてきたのだ。
「はっ!」
その攻撃を、自分がスネークソードで迎撃。ある程度弾き飛ばしたところに、すかさずアーチャーの女性プレイヤーが追撃。ある程度のダメージを与える事には成功した、が……前後を挟まれる形となってしまった。でもさすがにはじき返す方向まで選べるタイミングじゃなかったから仕方がない。
「おい、そっちは大丈夫か!?」「一匹だけなんで何とかします、そちらはそちらで集中を!」
あっちは四匹とにらみ合っている状況なので、こっちにまで下手に気をまわされると危険すぎる。むしろこっちが目の前の一匹をできるだけ早く倒してあっちの支援に回らなきゃいけない所である。
「自分が前に出るので、お二方はフォローを」「わ、分かったわ」「了解です」
二人の前に出て、猿と対峙する。再び爪でこちらを突き刺そうとしてきた所をスネークソードで弾き、動きを潰す。そうして動きを止めた所に後ろから矢と魔法が飛んできて猿にダメージを与える……あんまり効いた様に見えないな? 流石最後のエリアの敵、普通の敵でも相応の耐久力を持っているか。
それでも、このエリアを抜ければ彼らの試練は達成なのだ。だからこいつにやられるわけにはいかない。それに、この猿の爪を使った攻撃の動きも二回見てある程度分かった。次はカウンターを取って見せようじゃないの。
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