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オーガの弱点
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オーガとの距離が詰まり、遠距離武器の射程に入ったため攻撃を開始する。だが、うん、あの筋肉は飾りじゃないというばかりに矢が刺さっても大したダメージになっていない感じがする。浅く刺さっているだけなんだろう。有効打には程遠いか……なので自然と頭部を狙う訳だが。
向こうもそれは想定内とばかりに、腕で顔をカバーしてくる。がら空きになった胴体を狙っても、その異様にてかてかしているシックスパックの前にこれまた手ごたえが無い。酷い時は矢が跳ね返されているし……それでもやらないよりははるかにマシだろう。とにかく距離が詰まる前に少しでもオーガにダメージを与えたい。
(やっぱり普段使っている獲物との差がひどすぎる……持ち込めたら確かに試練にはならんのだろうけど)
あのシックスパックを、八岐の月でぶち抜きたいという衝動が湧き上がってくる。こうも矢が跳ね返されると、流石にイラっと来る。でも今できる事は、頭部と胴体に打ち分けて、少しでもダメージを与えることぐらいだ。一撃必殺は叶わない。まあローグライクで一撃必殺はよっぽどの装備の強化値が付いているか、特攻装備による一撃が決まるかしかないけれど。
オーガを一匹も倒せはしなかったが、それでも前衛とぶつかり合う前にそこそこ削ったとは思う。鬼気迫る雰囲気を出しながら前衛が戦闘を開始したので、ここからは自分もスネークソードを用いた戦闘方法に切り替える。今の遠距離武器じゃダメージが取れないからね……それに、スネークソードの一部アーツも開放されている。MPを消費するが、ここは使っていくべきだろう。
「うおおおおお! 今度こそ落とされはせんぞー!!!」
タンカー役の男性プレイヤーのそんな叫びと共に、近接戦闘がスタート。オーガ達の攻撃を《タウント》で引きつけつつ、カウンターの要領で攻撃してオーガを引き付けている。引き付けている間に接近戦が出来る三人が、オーガに対して横から攻撃を加えていく。オーガ達もそれらの攻撃を受けつつも、お構いなしで反撃を仕掛けてくる。ここのオーガ達は近接戦闘になるとノーガード戦法がメインなんだろうか?
そのおかげで遠距離攻撃の弓と魔法による攻撃は必中と言ってもいいぐらいに当たっている。だが、あまり有効打を与えているようには見えないな。彼等はもしかすると、遠距離攻撃に対しては、何らかの条件を満たすと防御力が高まるような特性を持っているのかもしれない。こうして近接戦闘を始めるまでは頭部を防御する動きを見せていたのだから。
考察はとりあえず横に置いて、自分も攻撃だ。とりあえず伸ばした状態のスネークソードでオーガの目を狙う。ノーガード状態のオーガなので、もろに命中したのだが……なんだ? 手ごたえがおかしい。剣を戻すと、突き刺したはずのオーガの目はつぶれていない。これもここのルールなのか? 次は首を狙う。
だが、この首狙いに対してオーガは回避行動をとった。今までノーガードだったはずなのに……つまり、首を狙って即死、もしくは大ダメージを狙う戦闘方法は有効と言う事か? それとも、これは誘いなのか? なんにせよ、もう一度チャンスが来たら狙う。命中すればはっきりするだろう。
おっと、オーガの一匹が大きく左腕を振りかぶった。恐らくこちらのメンバーの一人を足場から叩き落とそうというのだろう。もちろん、そんな事はさせない。振りかぶった腕を振り下ろす瞬間に、スネークソードを伸ばしながらアーツ《ブラッドカット》を発動させて手首付近を切り裂くようにする。すると、オーガの手首がたやすく飛んだ。なぜだ?
「グオオオオオ!?」
手首を飛ばされたオーガが悲鳴を上げた。もしかすると、こいつらは足場から叩き落とす大技をしようとするとその時だけ防御力が下がる? 先の首狙いも含めて確認しておく必要があるな。今度はまた別のオーガが大きく右腕を振りかぶった。今回は振り下ろそうとした瞬間にスネークソードでオーガの右ひじ辺りを狙った。血飛沫と共に吹き飛ぶオーガの右ひじからの先。間違いない、こいつらは大技中に脆くなるタイプだ。
「オーガの腕が飛んだ!?」「こいつらは、こちらを吹き飛ばそうとしてくるときがチャンスです! 特に両手剣や大太刀の一撃なら、振りかぶった腕に攻撃をあてれば恐らく簡単にぶった切れるかと!」
前衛からの戸惑い交じりの声に、自分はそう叫んだ。そこから前衛の動きは早かった。オーガにむやみやたらと攻撃せず、オーガの大技を誘った所に攻撃と当てる。ローグライク的にあてはめて言えば、攻撃を止めて足踏み行為でターンを進ませて様子を見る。そして相手が大技を放つモーションに入ったら、そこに攻撃をあてるという感じだろう。
「本当だ、たやすく腕を奪えた!」「腕がなくなってしまえば、こいつら相手でも怖くはないぞ!」
両手剣と大太刀使いの男性プレイヤー、そして自分によってオーガの腕は切り裂かれた。腕を切り裂いても足による蹴り攻撃は飛んでくるが、腕の一撃より怖くはない。緊張から解き放たれた前衛は、オーガを確実に屠っていく。そうして誰一人欠けることなくオーガの集団を殲滅した。
「なるほどな、こうやって戦えば良かったのか」「戦い方が分かれば、極端に怖い敵だという感じは無くなったな」
オーガ殲滅後、戦闘に関する感想がいくつも出た。とにかく、彼らはオーガとの戦い方を知った。今後は体が硬直することなく戦えるだろう。
「よく、オーガの弱点が分かりましたね?」「偶然なんですよ、オーガが腕を振りかぶって叩き落そうとしてきたのを止めたかったので、阻止するために行動したらそれがたまたまハマっただけの話です」
魔法使いの女性プレイヤーからの問いかけにはそう返答を返した。今までも攻撃しようとした敵の腕を狙うという行動は何度もやってきた。今回はそれがたまたま相手のウィークポイントだったというだけに過ぎない。だが、これで今後はオーガに怯える事なく前進できるだろう。
事実、その後数回オーガの集団に出くわしたものの、その全てを屠って進めている。オーガ達は今までのモンスターよりもアイテムドロップ率が高いようで、革鎧や食料、たまにポーションを落としていく。お陰で、全員に鎧が行き渡った。ただの革鎧であっても、着ていないよりははるかにいい。
食料も潤沢になった事で、落ち着きが出た。なんでも前まではここら辺で食料の底が見えはじめ、先を急ごうとしてオーガやモンスターを呼ぶカラスにやられて進めないというパターンが多かったそうだ。だが、今はオーガは美味しい相手となり、経験値に各種アイテムをいっぱいおいていってくれる。
それがパーティの精神状態に落ち着きをもたらしている。ここに来た時の張りつめて雰囲気はある程度やわらぎ、過剰すぎる警戒の雰囲気も引っ込んだ。過剰すぎる警戒は疲労を蓄積させやすい。それが、彼らが実力があるのにここを越せなかった理由の一つであることは間違いないだろう。
「そろそろ食事にしようか」「周囲に敵影はないし、確かに頃合いかも。お腹空いてきたなーって思ってたし」
食事も自然な笑顔で取れている。良い事だ、緊張が取れていなければあんな顔は出来ない。この様子ならこの先も問題なく進めるだろう──当然そうはさせないとばかりにトラップがあるんだろうが。だが、それでも過剰な緊張さえなければ同行者である彼らは十分に戦える能力を持っている。自分の役目はそんな緊張を和らげることなのかもしれない。
「美味いんだが」「お肉に偏ってたわよね、オーガのドロップ」「いいじゃないか、リアルと違って肉ばっかり食っても体がおかしくなるわけでもなし。そもそも前回はオーガから逃げまくった結果、食料が手に入らずメンバー全員が餓死していったって展開だったろ? それに比べれば、こうして飯が食えるだけで充分だろ?」
うわぁ、餓死は辛いな。空腹感をしっかり感じられるワンモアで、餓死するほどの強烈な空腹を味わったのはきつすぎるだろう。自分は味わいたいとは絶対に思わない。もちろん彼等だってお断りだろうけど。
「そうね、こうして食事ができるだけでも十分いい事よね。あの餓死させられた時の空腹感と絶望感は酷かったわ」「最後は三角状の石をおにぎりと見間違えて拾って口に入れてから石だってわかって絶望し、そこで息絶えて全滅したんだ。絶対忘れられないぜ……」
話の内容からして、その時最後まで生き残ったのは大太刀使いの彼のようであった。それにしても、やっと食料が手に入った。食べられると思って石だと分かった瞬間はそりゃ絶望だっただろう。絶望という言葉が生ぬるいぐらいのショックを受けて力尽きたんだろうな、心が折れてもおかしくない。
「あれは、見ている側からしてもうわぁってなってた」「ワンモアがえぐいことするのは十分わかってたけど、あれほどひでぇ! って思った事は無かったわ。絶対開発者が見てたら笑ってただろ」「ありうるな、ここの開発は腹が黒すぎる。紫の服が好きなんじゃないか?」
食事の合間に、それを見ていた他の面子からあれこれと話が出てくる出てくる。自分もその現場を見ていたら、酷すぎると嘆いただろうから彼らの意見は分かる。空腹で朦朧とした意識の中(多分だけど、ワンモアならほぼやる)、ついに食料が見つかった! って見せておいて実はただの石でした~♪ と落とすのは外道すぎるだろう。
「そうね、それに比べれば手に入った食糧が、お肉に偏るぐらいなんでもない事だわ」「それも、援軍として来てくれた彼がオーガの弱点を見つけてくれたからありつけているんだがな……本当にありがとな」
と、感謝されてしまった。軽く手を挙げて応えておく。こうして、話をしながらの食事は無事に終わり、全員で前進を再開する。次のエリアに行く前に、もうちょっとオーガを倒して食料を集めておきたいかな。この先職力を頻繁に落としてくれるモンスターがいる保証はないからね。
向こうもそれは想定内とばかりに、腕で顔をカバーしてくる。がら空きになった胴体を狙っても、その異様にてかてかしているシックスパックの前にこれまた手ごたえが無い。酷い時は矢が跳ね返されているし……それでもやらないよりははるかにマシだろう。とにかく距離が詰まる前に少しでもオーガにダメージを与えたい。
(やっぱり普段使っている獲物との差がひどすぎる……持ち込めたら確かに試練にはならんのだろうけど)
あのシックスパックを、八岐の月でぶち抜きたいという衝動が湧き上がってくる。こうも矢が跳ね返されると、流石にイラっと来る。でも今できる事は、頭部と胴体に打ち分けて、少しでもダメージを与えることぐらいだ。一撃必殺は叶わない。まあローグライクで一撃必殺はよっぽどの装備の強化値が付いているか、特攻装備による一撃が決まるかしかないけれど。
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そのおかげで遠距離攻撃の弓と魔法による攻撃は必中と言ってもいいぐらいに当たっている。だが、あまり有効打を与えているようには見えないな。彼等はもしかすると、遠距離攻撃に対しては、何らかの条件を満たすと防御力が高まるような特性を持っているのかもしれない。こうして近接戦闘を始めるまでは頭部を防御する動きを見せていたのだから。
考察はとりあえず横に置いて、自分も攻撃だ。とりあえず伸ばした状態のスネークソードでオーガの目を狙う。ノーガード状態のオーガなので、もろに命中したのだが……なんだ? 手ごたえがおかしい。剣を戻すと、突き刺したはずのオーガの目はつぶれていない。これもここのルールなのか? 次は首を狙う。
だが、この首狙いに対してオーガは回避行動をとった。今までノーガードだったはずなのに……つまり、首を狙って即死、もしくは大ダメージを狙う戦闘方法は有効と言う事か? それとも、これは誘いなのか? なんにせよ、もう一度チャンスが来たら狙う。命中すればはっきりするだろう。
おっと、オーガの一匹が大きく左腕を振りかぶった。恐らくこちらのメンバーの一人を足場から叩き落とそうというのだろう。もちろん、そんな事はさせない。振りかぶった腕を振り下ろす瞬間に、スネークソードを伸ばしながらアーツ《ブラッドカット》を発動させて手首付近を切り裂くようにする。すると、オーガの手首がたやすく飛んだ。なぜだ?
「グオオオオオ!?」
手首を飛ばされたオーガが悲鳴を上げた。もしかすると、こいつらは足場から叩き落とす大技をしようとするとその時だけ防御力が下がる? 先の首狙いも含めて確認しておく必要があるな。今度はまた別のオーガが大きく右腕を振りかぶった。今回は振り下ろそうとした瞬間にスネークソードでオーガの右ひじ辺りを狙った。血飛沫と共に吹き飛ぶオーガの右ひじからの先。間違いない、こいつらは大技中に脆くなるタイプだ。
「オーガの腕が飛んだ!?」「こいつらは、こちらを吹き飛ばそうとしてくるときがチャンスです! 特に両手剣や大太刀の一撃なら、振りかぶった腕に攻撃をあてれば恐らく簡単にぶった切れるかと!」
前衛からの戸惑い交じりの声に、自分はそう叫んだ。そこから前衛の動きは早かった。オーガにむやみやたらと攻撃せず、オーガの大技を誘った所に攻撃と当てる。ローグライク的にあてはめて言えば、攻撃を止めて足踏み行為でターンを進ませて様子を見る。そして相手が大技を放つモーションに入ったら、そこに攻撃をあてるという感じだろう。
「本当だ、たやすく腕を奪えた!」「腕がなくなってしまえば、こいつら相手でも怖くはないぞ!」
両手剣と大太刀使いの男性プレイヤー、そして自分によってオーガの腕は切り裂かれた。腕を切り裂いても足による蹴り攻撃は飛んでくるが、腕の一撃より怖くはない。緊張から解き放たれた前衛は、オーガを確実に屠っていく。そうして誰一人欠けることなくオーガの集団を殲滅した。
「なるほどな、こうやって戦えば良かったのか」「戦い方が分かれば、極端に怖い敵だという感じは無くなったな」
オーガ殲滅後、戦闘に関する感想がいくつも出た。とにかく、彼らはオーガとの戦い方を知った。今後は体が硬直することなく戦えるだろう。
「よく、オーガの弱点が分かりましたね?」「偶然なんですよ、オーガが腕を振りかぶって叩き落そうとしてきたのを止めたかったので、阻止するために行動したらそれがたまたまハマっただけの話です」
魔法使いの女性プレイヤーからの問いかけにはそう返答を返した。今までも攻撃しようとした敵の腕を狙うという行動は何度もやってきた。今回はそれがたまたま相手のウィークポイントだったというだけに過ぎない。だが、これで今後はオーガに怯える事なく前進できるだろう。
事実、その後数回オーガの集団に出くわしたものの、その全てを屠って進めている。オーガ達は今までのモンスターよりもアイテムドロップ率が高いようで、革鎧や食料、たまにポーションを落としていく。お陰で、全員に鎧が行き渡った。ただの革鎧であっても、着ていないよりははるかにいい。
食料も潤沢になった事で、落ち着きが出た。なんでも前まではここら辺で食料の底が見えはじめ、先を急ごうとしてオーガやモンスターを呼ぶカラスにやられて進めないというパターンが多かったそうだ。だが、今はオーガは美味しい相手となり、経験値に各種アイテムをいっぱいおいていってくれる。
それがパーティの精神状態に落ち着きをもたらしている。ここに来た時の張りつめて雰囲気はある程度やわらぎ、過剰すぎる警戒の雰囲気も引っ込んだ。過剰すぎる警戒は疲労を蓄積させやすい。それが、彼らが実力があるのにここを越せなかった理由の一つであることは間違いないだろう。
「そろそろ食事にしようか」「周囲に敵影はないし、確かに頃合いかも。お腹空いてきたなーって思ってたし」
食事も自然な笑顔で取れている。良い事だ、緊張が取れていなければあんな顔は出来ない。この様子ならこの先も問題なく進めるだろう──当然そうはさせないとばかりにトラップがあるんだろうが。だが、それでも過剰な緊張さえなければ同行者である彼らは十分に戦える能力を持っている。自分の役目はそんな緊張を和らげることなのかもしれない。
「美味いんだが」「お肉に偏ってたわよね、オーガのドロップ」「いいじゃないか、リアルと違って肉ばっかり食っても体がおかしくなるわけでもなし。そもそも前回はオーガから逃げまくった結果、食料が手に入らずメンバー全員が餓死していったって展開だったろ? それに比べれば、こうして飯が食えるだけで充分だろ?」
うわぁ、餓死は辛いな。空腹感をしっかり感じられるワンモアで、餓死するほどの強烈な空腹を味わったのはきつすぎるだろう。自分は味わいたいとは絶対に思わない。もちろん彼等だってお断りだろうけど。
「そうね、こうして食事ができるだけでも十分いい事よね。あの餓死させられた時の空腹感と絶望感は酷かったわ」「最後は三角状の石をおにぎりと見間違えて拾って口に入れてから石だってわかって絶望し、そこで息絶えて全滅したんだ。絶対忘れられないぜ……」
話の内容からして、その時最後まで生き残ったのは大太刀使いの彼のようであった。それにしても、やっと食料が手に入った。食べられると思って石だと分かった瞬間はそりゃ絶望だっただろう。絶望という言葉が生ぬるいぐらいのショックを受けて力尽きたんだろうな、心が折れてもおかしくない。
「あれは、見ている側からしてもうわぁってなってた」「ワンモアがえぐいことするのは十分わかってたけど、あれほどひでぇ! って思った事は無かったわ。絶対開発者が見てたら笑ってただろ」「ありうるな、ここの開発は腹が黒すぎる。紫の服が好きなんじゃないか?」
食事の合間に、それを見ていた他の面子からあれこれと話が出てくる出てくる。自分もその現場を見ていたら、酷すぎると嘆いただろうから彼らの意見は分かる。空腹で朦朧とした意識の中(多分だけど、ワンモアならほぼやる)、ついに食料が見つかった! って見せておいて実はただの石でした~♪ と落とすのは外道すぎるだろう。
「そうね、それに比べれば手に入った食糧が、お肉に偏るぐらいなんでもない事だわ」「それも、援軍として来てくれた彼がオーガの弱点を見つけてくれたからありつけているんだがな……本当にありがとな」
と、感謝されてしまった。軽く手を挙げて応えておく。こうして、話をしながらの食事は無事に終わり、全員で前進を再開する。次のエリアに行く前に、もうちょっとオーガを倒して食料を集めておきたいかな。この先職力を頻繁に落としてくれるモンスターがいる保証はないからね。
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