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迷宮突入
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掲示板を閉じる。ふうむ、援軍として採用される人が少ない、しかし需要は多い。なんだか、現実でもよく聞くタイプの話だなぁ。自分はあと少しで終わりなんだが……どうしよう、延長を申請していろんなプレイヤーを手助けした方が良いのかな? 別に自分は最速登頂なんて始めから狙っていないし、出来るだけ多くのプレイヤーが登頂できるようにサポートするのも悪くないかも。
ここの手伝いが終わったら話を振ってみようか。その返答次第でどうするかを考えよう──っと、向こうの相談も終わったようだな。
「済まない、来てもらって長々と待たせてしまった。最初の階は、こいつのサポートをお願いしたい」「よろしく頼む、俺が一番ゴール率が低いんだ。何とか汚名返上のチャンスを掴みたい」
まずは、重鎧を着た彼のサポートからか。アイテムボックスから槍を取り出しているが……うん、長いな。五メートル以上は間違いなくある。
「分かりました、ではよろしくお願いします」
自分も、槍を取り出した彼に軽く頭を下げて挨拶をする。その後は各自スタートラインに向かって移動する。ふむ、各自箱のような物の中に入って少しすると、少し沈み込んだ後にガチャリという音と共に箱が閉じられる。箱のン様な物の大きさは、大の大人が二人までなら並んでは入れる位のスペースがある。
先に槍を持った重鎧の彼が入り、自分がその後に続く。中に入ると、これはたぶんエレベーターになっているな。エレベーターが下に降りていくときに感じる軽い浮遊感を感じる。やがてその浮遊感もなくなり、動きを止めた事が感じ取れた。さて、いよいよスタートかな? と、どこからともなく声が聞こえてきた。これは、カウントダウンか。
ファイブから始まったカウントダウンは、ゼロを告げると同時に箱の前面が倒れる形で開いた。目の前に見えるのはレンガっぽい正統派な迷宮の入り口。
「入り口付近に罠は無し、前進に問題なし!」「罠の有無が分かるのはありがたい! では急いで前進だ!」
自分と同行者の彼は走り出す。とにかく時間との勝負である以上、移動は駆け足だ。罠がある場所だけはそうはいかないが、今の所罠の存在は確認できない。ならばただひたすらに前進あるのみである。
「分かれ道、どっちがいい?」「迷うだけ無駄ですよ! 好きな方に入って走るだけです! それでも決められないなら右で!」
分かれ道が出てきたので、自分は直感に従って右に行った方が良いような気がするという意思を伝える。自分の言葉に従って、同行者は右に進む。時間制限がある以上、迷う時間がもったいない。外れルートであっても遠回りをさせられるだけだろう……時間制限ありで行き止まりを作るのは、詰む事に繋がるからやらないと思うんだよね。
そのまま通路をひた走ると、次は罠がみえた。罠の存在を伝え、罠が発動せずに済む場所を教えるために自分が先に進む。解除する時間が惜しい、解除するのは、解除しないと絶対に罠に引っかかってしまうという時のみだ。
「よっはっとっ」「次はこっちです!」
飛び石をやっている感覚て、罠と罠の隙間を飛び跳ねながら進む。重鎧を着込んだ彼でもジャンプすれば超えられる形で罠が配置されているので、場所さえ間違わなければ問題はなかった。ここら辺はきちんと調整が入っていると分かる。
「罠エリアを抜けました」「ありがたい、いつも罠でとりもちなどを喰らった事で時間を浪費させられていたんだ。それをこうも早く抜けられたのは嬉しいよ!」
なるほど、その辺がゴールできなかった要因なんだろう。ここまで彼の動きを見ていたが、彼は重鎧を着込んでいるのに敏捷性は十分にある。走る速度も十分に速い方だし、跳躍力もある。そうなると原因は罠を踏んでしまう彼個人の運の低さが原因だったのかもしれない。再び走り出した自分達だったが、いくつかの部屋を越えると突如入り口と出口を格子で塞がれた。
「モンスターのお出まし、ですかね?」「ああ、だがここは俺が本領を発揮できる数少ない場所だ! 休んでいてくれて構わない」
モンスターが五匹、上から降ってきた光の粒子の中から現れた。ふむ、ならばまずはお手並み拝見と行こう。それに、彼の動き方や戦い方を見ずに支援しようとしたら、かえって邪魔になってしまう可能性も十分にある。だからここは見に徹する。モンスターはオーガ系が三体、イエティ系が二体。大柄でタフなモンスター達だな。これも時間稼ぎを主としているのだろう。
「あまり時間が無いんでな、サクサク行かせてもらう!」
彼はそう叫ぶや否や、最初に近寄って金属製のこん棒を振る塔としてきたオーガに向かって突きを放つ。早い、多分一秒で四回突いたぞ。突いた場所は両肩に心臓、みぞおちだ。槍が突き刺さった場所から、噴水のように血が噴き出す。そしてオーガは倒れ、動かなくなった後に粒子へと変わって消えた。強い、何という技の冴えと威力だ。体力があるオーガ系のモンスターをこうも容易く屠るとは。
残る二匹のオーガも同じ形で後を追った。まず両肩、特に武器を持つ右を先について相手の武器攻撃を封じ、みぞおちで動きを止め、心臓でとどめを刺していると感じられる。そして何より、その動きがアーツに頼った動きではない。プレイヤー本人の能力でやってのけている。ここにも猛者がいた。
「一気に来ても良かったんだぜ? それとも、多数に無勢はそちらの理念に反するかい?」
イエティ系のモンスターは、オーガ系がやられるまで後ろに控えており、手を出してこなかった。だからこそ同行者の彼もそんな言葉を口にしたのだろう。が、いててぃはそんな言葉を機にスロそぶりを見せず、二体のうち一体が前に進み出てきた。
「そうかい、そう言う考えならばこちらがあれこれ言う事じゃないな。手合わせ願う、行くぞ!」
再び振るわれる槍。だがイエティ側もそう簡単にはやられない。白い毛には一定の鎧のような効果があるようで、槍が突き刺さっても血が出ていない。当然、槍の穂先に新しい血も付着していない。刺さりはするものの、肉体までは届いていない。
「GUAAAAA!」
今度はこちらの番だとばかりに、イエティがその剛腕からのパンチを繰り出す。この攻撃に対して彼は──回避しながらその腕に対して槍を突き立てた。この攻撃は届いたようで、槍が刺さったところが赤く染まる。だが、深くまでは刺さっていないようで、オーガのように血が噴水の様に噴き出すという光景にはならなかった。
「なかなか固い、な。やはり容易くはいかせてくれないか。時間が惜しいんだが」
危ない所は無いが、時間がかかりそうだ。ならば……もう一体の後ろに待機しているイエティに自分は近寄る。
「待っているだけなのもあれなので……こちらと手合わせしてもらえませんか?」
自分の申し出を聞いたイエティは自分を少し観察すると、自分の目の前に拳をゆっくりと出してきた。ふむ、これは自分も拳を作って合わせてあげるべきだろう。軽く拳を合わせ合うと、言えティは満足したようにうなずいてから既に戦っているh多利からやや離れた場所へと移動した。
「それでは、参ります」「GU!」
自分の言葉に来い、と言わんばかりの声を上げながら気合を入れるかのように両手の拳を数回ぶつけるイエティ。その動きが終わったのを見計らってから、自分はレガリオンによる攻撃を行った。このファーストアタックは、イエティの毛を軽く飛ばすにとどまった。ふむ、こちらも様子見の一撃だったが、イエティの反射速度はかなりいいな。
次にイエティが左手のパンチを自分の顔面目掛けて飛ばしてきたので、バックステップで間合いの外に逃れる。もう一度胴体を狙ってレガリオンによる斬撃を試みる。今度は攻撃がしっかりと命中し、イエティの鮮血がパッと宙に舞った。だが、あまり深手を負わせた感じはしない。ぎりぎりで少しのけ反る形で深手は回避されたか?
イエティは両腕で自分を掴もうとしてきたので、自分は《スライディングチャージ》をイエティの右足を削るように当てながら背後へと離脱。更に背後から本当に久々に使う《禊》という蹴り技のアーツをあてる。つま先で素早く三回攻撃し、三回とも命中させることが出来れば蹴った場所にラインが形成され、敵の内部で爆発するというアーツだ。イエティの毛皮を突破しやすいだろうと思って使用してみた。
イエティの内側で、くぐもった爆発音が三回。それなりには効いているはずだ……お、イエティが軽くだが確実によろけたな。ならば追撃を行こうとした自分はすかさずバク転をして飛びのいた。バク転になってしまったのはたまたまである、リアルでは絶対にやれない。そして、その判断は楽しかった。大ぶりだが威力がありそうな裏拳の様な攻撃が自分が先ほどいた場所を通過していったのである。
(欲張らずに引いて正解か、だがダメージは入った。時間もないし、ここからは積極的に攻める。引き際を見誤らないようにしながら、な)
そこからは、確実に攻め、確実に引き、欲張らないという某死にゲーのような動きで確実にイエティを弱らせた。イエティは弱っても、その剛腕は衰えを見せない。あの剛腕をもろに食らえば、クラネス師匠が作った鎧と魔王様から貰ったマントがあったとしてもそれなりに痛いでは済まない気がする。相手を侮るのは、愚かな事だと散々学んできた。故に、最後までしっかりと仕留め切る。
その戦法を徹底し、ついにイエティは地に伏した。最後に介錯をしてこちらの戦いは終わった。さて、あちらさんは……どうやらこちらよりも先に終わっていたようだ。槍を持った彼がこちらを興味深そうに見ていたからだ。
「体術と、スネークソードの進化系なのか? なんにせよ、見事だった。さあ、これで全滅させたから扉が開くはずだ。先を急ごう」
彼の言葉通り、出入り口をふさいでいた格子が上がっていく。これで先に進める。のこされている時間はあとどれぐらいだろうか?
「後、俺の感覚だと後一分ぐらいでこの階層の迷宮崩壊が始まると思う。それまでに少しでも先に進みたいところだな」
経験者の言葉なら、たぶん間違いはないだろう。なら、もっと走らないとだめだな。お互いに頷きあった自分と彼は、再び通路を走り始めた。ゴールは後どのぐらい先にあるのだろうか? 一回到着すれば、感覚がつかめるんだが。
ここの手伝いが終わったら話を振ってみようか。その返答次第でどうするかを考えよう──っと、向こうの相談も終わったようだな。
「済まない、来てもらって長々と待たせてしまった。最初の階は、こいつのサポートをお願いしたい」「よろしく頼む、俺が一番ゴール率が低いんだ。何とか汚名返上のチャンスを掴みたい」
まずは、重鎧を着た彼のサポートからか。アイテムボックスから槍を取り出しているが……うん、長いな。五メートル以上は間違いなくある。
「分かりました、ではよろしくお願いします」
自分も、槍を取り出した彼に軽く頭を下げて挨拶をする。その後は各自スタートラインに向かって移動する。ふむ、各自箱のような物の中に入って少しすると、少し沈み込んだ後にガチャリという音と共に箱が閉じられる。箱のン様な物の大きさは、大の大人が二人までなら並んでは入れる位のスペースがある。
先に槍を持った重鎧の彼が入り、自分がその後に続く。中に入ると、これはたぶんエレベーターになっているな。エレベーターが下に降りていくときに感じる軽い浮遊感を感じる。やがてその浮遊感もなくなり、動きを止めた事が感じ取れた。さて、いよいよスタートかな? と、どこからともなく声が聞こえてきた。これは、カウントダウンか。
ファイブから始まったカウントダウンは、ゼロを告げると同時に箱の前面が倒れる形で開いた。目の前に見えるのはレンガっぽい正統派な迷宮の入り口。
「入り口付近に罠は無し、前進に問題なし!」「罠の有無が分かるのはありがたい! では急いで前進だ!」
自分と同行者の彼は走り出す。とにかく時間との勝負である以上、移動は駆け足だ。罠がある場所だけはそうはいかないが、今の所罠の存在は確認できない。ならばただひたすらに前進あるのみである。
「分かれ道、どっちがいい?」「迷うだけ無駄ですよ! 好きな方に入って走るだけです! それでも決められないなら右で!」
分かれ道が出てきたので、自分は直感に従って右に行った方が良いような気がするという意思を伝える。自分の言葉に従って、同行者は右に進む。時間制限がある以上、迷う時間がもったいない。外れルートであっても遠回りをさせられるだけだろう……時間制限ありで行き止まりを作るのは、詰む事に繋がるからやらないと思うんだよね。
そのまま通路をひた走ると、次は罠がみえた。罠の存在を伝え、罠が発動せずに済む場所を教えるために自分が先に進む。解除する時間が惜しい、解除するのは、解除しないと絶対に罠に引っかかってしまうという時のみだ。
「よっはっとっ」「次はこっちです!」
飛び石をやっている感覚て、罠と罠の隙間を飛び跳ねながら進む。重鎧を着込んだ彼でもジャンプすれば超えられる形で罠が配置されているので、場所さえ間違わなければ問題はなかった。ここら辺はきちんと調整が入っていると分かる。
「罠エリアを抜けました」「ありがたい、いつも罠でとりもちなどを喰らった事で時間を浪費させられていたんだ。それをこうも早く抜けられたのは嬉しいよ!」
なるほど、その辺がゴールできなかった要因なんだろう。ここまで彼の動きを見ていたが、彼は重鎧を着込んでいるのに敏捷性は十分にある。走る速度も十分に速い方だし、跳躍力もある。そうなると原因は罠を踏んでしまう彼個人の運の低さが原因だったのかもしれない。再び走り出した自分達だったが、いくつかの部屋を越えると突如入り口と出口を格子で塞がれた。
「モンスターのお出まし、ですかね?」「ああ、だがここは俺が本領を発揮できる数少ない場所だ! 休んでいてくれて構わない」
モンスターが五匹、上から降ってきた光の粒子の中から現れた。ふむ、ならばまずはお手並み拝見と行こう。それに、彼の動き方や戦い方を見ずに支援しようとしたら、かえって邪魔になってしまう可能性も十分にある。だからここは見に徹する。モンスターはオーガ系が三体、イエティ系が二体。大柄でタフなモンスター達だな。これも時間稼ぎを主としているのだろう。
「あまり時間が無いんでな、サクサク行かせてもらう!」
彼はそう叫ぶや否や、最初に近寄って金属製のこん棒を振る塔としてきたオーガに向かって突きを放つ。早い、多分一秒で四回突いたぞ。突いた場所は両肩に心臓、みぞおちだ。槍が突き刺さった場所から、噴水のように血が噴き出す。そしてオーガは倒れ、動かなくなった後に粒子へと変わって消えた。強い、何という技の冴えと威力だ。体力があるオーガ系のモンスターをこうも容易く屠るとは。
残る二匹のオーガも同じ形で後を追った。まず両肩、特に武器を持つ右を先について相手の武器攻撃を封じ、みぞおちで動きを止め、心臓でとどめを刺していると感じられる。そして何より、その動きがアーツに頼った動きではない。プレイヤー本人の能力でやってのけている。ここにも猛者がいた。
「一気に来ても良かったんだぜ? それとも、多数に無勢はそちらの理念に反するかい?」
イエティ系のモンスターは、オーガ系がやられるまで後ろに控えており、手を出してこなかった。だからこそ同行者の彼もそんな言葉を口にしたのだろう。が、いててぃはそんな言葉を機にスロそぶりを見せず、二体のうち一体が前に進み出てきた。
「そうかい、そう言う考えならばこちらがあれこれ言う事じゃないな。手合わせ願う、行くぞ!」
再び振るわれる槍。だがイエティ側もそう簡単にはやられない。白い毛には一定の鎧のような効果があるようで、槍が突き刺さっても血が出ていない。当然、槍の穂先に新しい血も付着していない。刺さりはするものの、肉体までは届いていない。
「GUAAAAA!」
今度はこちらの番だとばかりに、イエティがその剛腕からのパンチを繰り出す。この攻撃に対して彼は──回避しながらその腕に対して槍を突き立てた。この攻撃は届いたようで、槍が刺さったところが赤く染まる。だが、深くまでは刺さっていないようで、オーガのように血が噴水の様に噴き出すという光景にはならなかった。
「なかなか固い、な。やはり容易くはいかせてくれないか。時間が惜しいんだが」
危ない所は無いが、時間がかかりそうだ。ならば……もう一体の後ろに待機しているイエティに自分は近寄る。
「待っているだけなのもあれなので……こちらと手合わせしてもらえませんか?」
自分の申し出を聞いたイエティは自分を少し観察すると、自分の目の前に拳をゆっくりと出してきた。ふむ、これは自分も拳を作って合わせてあげるべきだろう。軽く拳を合わせ合うと、言えティは満足したようにうなずいてから既に戦っているh多利からやや離れた場所へと移動した。
「それでは、参ります」「GU!」
自分の言葉に来い、と言わんばかりの声を上げながら気合を入れるかのように両手の拳を数回ぶつけるイエティ。その動きが終わったのを見計らってから、自分はレガリオンによる攻撃を行った。このファーストアタックは、イエティの毛を軽く飛ばすにとどまった。ふむ、こちらも様子見の一撃だったが、イエティの反射速度はかなりいいな。
次にイエティが左手のパンチを自分の顔面目掛けて飛ばしてきたので、バックステップで間合いの外に逃れる。もう一度胴体を狙ってレガリオンによる斬撃を試みる。今度は攻撃がしっかりと命中し、イエティの鮮血がパッと宙に舞った。だが、あまり深手を負わせた感じはしない。ぎりぎりで少しのけ反る形で深手は回避されたか?
イエティは両腕で自分を掴もうとしてきたので、自分は《スライディングチャージ》をイエティの右足を削るように当てながら背後へと離脱。更に背後から本当に久々に使う《禊》という蹴り技のアーツをあてる。つま先で素早く三回攻撃し、三回とも命中させることが出来れば蹴った場所にラインが形成され、敵の内部で爆発するというアーツだ。イエティの毛皮を突破しやすいだろうと思って使用してみた。
イエティの内側で、くぐもった爆発音が三回。それなりには効いているはずだ……お、イエティが軽くだが確実によろけたな。ならば追撃を行こうとした自分はすかさずバク転をして飛びのいた。バク転になってしまったのはたまたまである、リアルでは絶対にやれない。そして、その判断は楽しかった。大ぶりだが威力がありそうな裏拳の様な攻撃が自分が先ほどいた場所を通過していったのである。
(欲張らずに引いて正解か、だがダメージは入った。時間もないし、ここからは積極的に攻める。引き際を見誤らないようにしながら、な)
そこからは、確実に攻め、確実に引き、欲張らないという某死にゲーのような動きで確実にイエティを弱らせた。イエティは弱っても、その剛腕は衰えを見せない。あの剛腕をもろに食らえば、クラネス師匠が作った鎧と魔王様から貰ったマントがあったとしてもそれなりに痛いでは済まない気がする。相手を侮るのは、愚かな事だと散々学んできた。故に、最後までしっかりと仕留め切る。
その戦法を徹底し、ついにイエティは地に伏した。最後に介錯をしてこちらの戦いは終わった。さて、あちらさんは……どうやらこちらよりも先に終わっていたようだ。槍を持った彼がこちらを興味深そうに見ていたからだ。
「体術と、スネークソードの進化系なのか? なんにせよ、見事だった。さあ、これで全滅させたから扉が開くはずだ。先を急ごう」
彼の言葉通り、出入り口をふさいでいた格子が上がっていく。これで先に進める。のこされている時間はあとどれぐらいだろうか?
「後、俺の感覚だと後一分ぐらいでこの階層の迷宮崩壊が始まると思う。それまでに少しでも先に進みたいところだな」
経験者の言葉なら、たぶん間違いはないだろう。なら、もっと走らないとだめだな。お互いに頷きあった自分と彼は、再び通路を走り始めた。ゴールは後どのぐらい先にあるのだろうか? 一回到着すれば、感覚がつかめるんだが。
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