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中堅戦その2

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 こちらの次鋒は大太刀使いの男性プレイヤー。彼はすぐに武舞台に上がった……先ほどの戦いの最中に闘志がみなぎっており、さっさと武舞台に上がらないとそのみなぎった闘志が抑えきれないのだろう。

『よし、では双方準備が整ったら声を上げてくれ』

 司会者の声に、両者ともにすぐさまいつでも始めて良いという意思を込めた声を上げた。

『双方の意思を確認した。それでは四回戦、次鋒VS中堅、始め!』

 声が上がるとともに、大太刀使いの男性プレイヤーは大太刀を構えてダイヤモンドゴーレムの胴体に突きを見舞うべく突撃した。ダイヤモンドゴーレムは腕でその突きを防ごうとしたが、大太刀の方が一瞬早かった。ダイヤモンドゴーレムの胴体を護るべく、光の幕も形成されたが──大太刀はそんなものなど知らぬとばかりに貫いた。

 激しい音と共に、ダイヤモンドゴーレムの胴体から火花が散る。突きを入れた大太刀使いのプレイヤーは、すぐさま大太刀を引いて後ろに下がりダイヤモンドゴーレムの腕の間合いから離れた。さて、闘志をみなぎらせた気迫の突き攻撃にによるダメージは……ほんのわずかではあるが、小さなヒビが入っていた。

「小さいながらもヒビを確認、あの一撃はダメージを与えているぞ」「大太刀の鋭さなら、あの光の幕を貫けるって事ですね!」

 自分の言葉に、魔法使いの女性プレイヤーも声を上げる。攻撃が通る事が分かった事は大きな一歩だ。恐らく武舞台の上にいる彼も、手ごたえを感じて思ったはずだ……これならば行けると。浮かべている表情からして、それが分かる。

『Shii!』

 一方で体にヒビを入れられたダイヤモンドゴーレムはカチンと来たようだ。苛立つような声を上げた後に、左手を大きく開いて──先ほどの試合で見せたショットガンのような攻撃を撃つつもりなのだろう。それを見ている大太刀使いの男性プレイヤーは、なぜか回避行動をとらない。何か、使うつもりだな?

『Shuu!』

 ダイヤモンドゴーレムの声と共に、左手からショットガンのように複数のビームが放たれる。しかし、その放たれたことを確認してから、大太刀使いの男性プレイヤーは紫色に発行する光を纏わせた大太刀を真横に薙ぎ払った。

『《妖刀・術式喰らい》!』

 そのアーツと思われる行動によって、ダイヤモンドゴーレムの左手から放たれた複数のビームはすべて大太刀に吸収されてしまった。一方でビームを吸収した大太刀は、紫色の光を纏っているだけでなく周囲に紫電まで放っている。

『《妖刀・術式返礼》!』

 その宣言と共に、大太刀使いの男性プレイヤーが横薙ぎの斬撃を行うと、紫色の光が紫色の刃を成して大太刀を離れ、ダイヤモンドゴーレムに向かって飛ぶ。しかし、その速度はちょっと遅い。対人だったら横に飛べば簡単に回避できるぐらいの速度しかない。さて、ダイヤモンドゴーレムは──この攻撃に対して回避ではなく相殺を狙う様だ。

 飛んでくる紫色の刃に向かって右手を開き、少しの溜めの後に光のレーザーを照射した。なるほど、そうやってかき消す算段と言う訳か。照射されたレーザーは、紫の刃をしっかりと捉える。

「魔法殺しのあいつに、そんな手段は通じないのだがな」

 大太刀使いの女性プレイヤーの言葉の意味はすぐに分かった。レーザーの照射を受けるとより刃は大きくなり、その刃にまとっている紫電はさらに激しくなった。焦ったっと思われるダイヤモンドゴーレムは、右手だけでなく左手も使って照射しているレーザーの出力を上げたようだが……紫の刃はさらにご馳走が来たとばかりに吸収し巨大化する一方だ。

 そうしてゆっくりとだが確実に、レーザーを吸収しながら前に進む巨大化した紫の刃。ダイヤモンドゴーレムはついに相殺を諦めてレーザー照射を止め、両手を前に突き出した後に全力で前方に分厚い光の幕を展開した。あれで凌ごうというのだろう──だが、ダイヤモンドゴーレムは忘れてしまったのだろうか? 刃を放った後の、大太刀使いの存在を。

「隙だらけだ」

 回り込んで攻撃を仕掛けた大太刀使いの男性プレイヤーの一撃が、ダイヤモンドゴーレムの右足かかとに命中する。大きなダメージが入った様子はないが、ダイヤモンドゴーレムの体勢が少し崩れた。そして同じ場所にもう一太刀追撃が。これによってダイヤモンドゴーレムはより体勢を崩す。ダイヤモンドゴーレムの様子を確認した彼は、すぐさま距離を取った。

 ダイヤモンドゴーレムの体勢が崩れたことにより、紫の刃に対しての幕の形成が乱れていた。その乱れた幕では、巨大化した紫の刃を防ぐにはとてもじゃないが強度が足りない。膜はあっさりと紫の刃によって食い破られ、ダイヤモンドゴーレムに直撃した……と同時に、紫色の渦が形成されてダイヤモンドゴーレムを包み込む。

 渦の中からは様々な打撃音が聞こえてくる。理屈は分からないが、内側はかなりえぐい事になっているのだろう。その紫の渦は三十秒ほど継続し、ダイヤモンドゴーレムを攻撃し続ける。渦が消えた後にこちら側が確認できたダイヤモンドゴーレムの姿は、体に無数のヒビが入り、いまにも砕け散りそうな姿であった。

 しかし、それにしてはおかしい。あのダイヤモンドゴーレムが弱っているようには感じられないのだ。まだ、何か手を持っている奴と対峙した時に感じる圧みたいなものを、あのヒビだらけになったダイヤモンドゴーレムから感じる。まだ、これで終わりとはならなそうだ。武舞台に上にいる彼も、多分同じ事を感じ取っている。警戒を一切解いていないのだ。

 一方でダイヤモンドゴーレムのヒビはますます大きくなり、追撃を入れなくても勝手に砕けていく。やがてひときわ大きく『バキィン!』という音がした直後、ダイヤモンドゴーレムは砕け散った。だが、砕け散った残骸の上に一人の女性を模した輝くフィギュアのような存在が立っていた。スカートをはいた女性剣士のような感じを受ける。

 あの体の輝きからして、あのフィギュアはダイアモンドで出来ている。それだけではない、動き出すとまるで人のように滑らかに動いたではないか。そんなダイヤモンドゴーレムの中にいた、と思われる彼女は残骸の中から一本のレイピアと、一本のパーリングダガーをり出していた。右手にレイピアを、左手にパーリングダガーを逆手持ちして構える。どうやらあれが戦闘スタイルらしい。

(なるほど、あんな存在が体内にいたのなら終わった感じがしないのも道理だな)

 つまり、ダイヤモンドゴーレムは二回戦が発生するボスのような存在だったと言う訳だ。幸い序盤は大きなダメージを戦っている大太刀使いの男性プレイヤーは受けていない。余裕をもってこの二回戦に挑めるだろう。

 お互いに武器を構えなおし、様子をうかがっている。先に動いたのはダイヤもモンドゴーレムの中から出てきた彼女だ。レイピアを構えて、一直線に大太刀使いの男性プレイヤーに迫る。この行動に対し、大太刀使いのプレイヤーは先読みで攻撃を置くべく、引き付けてから大太刀を振るったのだが──これが彼女の罠だった。

 振るわれた大太刀を、彼女はパーリングダガーで弾いた。あんな細いダガーで大太刀をよく弾けるものだと思ったが、その光景は目の前の事実だ。弾かれた事により、大太刀使いの男性プレイヤーは膨大な隙を晒してしまった。当然そこに来るのは、彼女のレイピアの鋭い切っ先!

 まるで武舞台そのものが揺れたのではないだろうか? と言うぐらいの凄まじい音と共に、彼女のレイピアが大太刀使いの男性プレイヤーの腹部を貫いた。それだけでは終わらず、彼女は大太刀使いの男性プレイヤーをレイピアで突き刺したまま地面に縫い付けるような勢いで叩きつけた。容赦がない!

 その後に悠々とレイピアを抜き取る彼女。あれは相当なダメージが入ったはず……即死してもおかしくはない。だが、こんな形で終われるかとばかりに大太刀使いの男性プレイヤーは横に少し転がってからバク転するかのような勢いではね起きた。そのまま距離を取ってHP回復のポーションを口に運んで飲み干した。

「くっそ、凄まじく痛かったぞ!」

 そんな本音を大声で上げる大太刀使いの男性プレイヤー。一方でダイヤモンドの彼女はそんなの知りませんわとばかりに表情を崩さない。いや、表情があるかどうかも分からんが一応そんな感じだと言う事で。とにかく、まだこの戦いは終わりが見えない。



*****

どうしても話が作れず、一日遅れになりました、ごめんなさい。
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