とあるおっさんのVRMMO活動記

椎名ほわほわ

文字の大きさ
表紙へ
上 下
324 / 724
21巻

21-3

しおりを挟む
 5


「では、決めた通りに」
「了解、配置につく」
「頼むぞ」

 翌日のログイン後、協力者達と最終確認をした後、捕縛作戦を行うための配置についていく。そして「ワンモア」世界に夜のとばりが下り始める頃……全ての配置が完了したと連絡が入る。あとは、必要最小限の食事をとって体力を温存しながら、ターゲットがやってくるのを待つだけだ。
 やがて完全に夜になり、リアルで言うなら草木も眠る丑三うしみどきという頃合いに、奴らは現れた。

(では、始める)
(へい、承知で)

 そんなやり取りを小声で交わした後、自分は弓を構えて矢をつがえる。これはターゲットに直接当てるわけじゃない。相手のやや前に撃って、足を止めるのに使うのだ。
 以前立てた予定通り、今回はいきなり捕縛とはいかない。まずは連中の足を止めた後、自分から説得を行う。この説得を聞き入れて、行いを改めるか足を洗うかすれば、それ以上は何もしない。何かするのは、今まで通りの行動をこれからもやり続ける意思を見せたときだ。
 自分は矢を放ち、連中の数歩手前に突き立てた。すると連中は足を止めて周囲を見渡す。さあ、ここからが本番だな。
《大跳躍》を使って、連中の前に屋根から飛び降りる。自分だけではなく、小人リーダーと精鋭数名も一緒だ。

「――お前ら、何なんだよ? 俺達義賊団の邪魔をするつもりか? これから悪党を裁きに行くんだから、害意がないと言うなら消えろよ」

 こちらを見た連中のうち、一番先頭にいた覆面姿の男が威圧するように言葉を投げつけてきた。
 が、この程度では今更自分がひるむ事はない。さて、どう話を切り出そうかな?

「いや待て、マズいぞ。あいつら、始まりの義賊団だ。あの小人達は始まりの義賊団にしかいない連中だ。そしてあの男が頭か。下手に逆らうな」

 と思っていたら、別の覆面男がそんな言葉を吐いた。へえ、『始まりの義賊団』なんて呼ばれ方をしてたんだ、自分達は。初めて知ったよ。
 まあいい、それなら手間がはぶけるというもんだ。借り受けてきた変声の道具の調子を確認してから、自分は喋り始めた。

「こちらの事を多少なりとも知っているようだな? ならば面倒な挨拶は飛ばして本題といこうか。お前達は自らを義賊だと言っているようだが、残念ながら多くの人々がそうは見ていない。そもそも義賊とは、存在を大っぴらに見せるものではない。あくまで、闇の中で仕事を済ませて闇の中に去るべきものだ。なのにお前達はむやみやたらと派手に立ち回り、その成果を一般市民に言いふらして存在を宣伝する。その上、静かに暮らしていた人々の生活をかき乱し、挙句休むべき夜に爆発物を用いて安らぎをぶち壊す。そんなお前達の行動に義があるとは、到底認められん」

 ここまでは、向こうもこちらに手を出してくる様子は見せない、か。なら、話を続けよう。

「故に、こうして我々が出てこざるを得なかった。お前達には道が二つある。一つは、今までのやり方を捨てて真の義賊としての心構えを覚え、市井しせいに迷惑をかけぬようにする事。もう一つは、今宵限りで足を洗い、団を解散して二度とこんな真似をしない事だ。よく考えて決めるがいい」

 さてと、自分の言葉に連中はどのような反応を見せるか。
 が、考える間もなく、覆面男の一人が苛立ちを隠さずに言葉を吐く。

「始まりの義賊団だか何だか知らねえが、どうしてそんな事をお前達に指図されなきゃいけない? こっちの自由にやらせろよ」

 などと言ってきたので、小人リーダーらが集めてきた記録の写しを奴らの前に投げて「読んでみろ、それが理由だ」と告げてやる。
 その記録には、連中のおかげで家を捨てなければならなくなった者、恋人や伴侶はんりょとの別れを余儀なくされた者、夜に起こる爆発のストレスからノイローゼになって職を失った者や病気になってしまった者――更には、それらが積み重なったせいで自殺してしまった者といった、彼らの活動の被害者達の名前とその原因が記されている。

「読んだか? お前達はそれだけ大勢の人々を苦しめた、その行動のどこに義があると言うのだ? お前達はもはや義賊ではなくただの賊だ。これ以上放置できなくなったが故に、我々は今ここにいる。それと、お前達はある商人が悪行に手を染めているという情報を知ってやってきたんだろうが――それはこちらが流したガセネタだ。あの商人はまっとうな仕事しかしていない。そんな事すらろくに調べない時点で、話にならない。先程渡した記録の中にもあったはずだ。噂だけで実際には悪事を働いていなかった者が、お前達のせいで被害を受けたと」

 こいつらが、ひがみややっかみから生まれたただの噂をもとに動いていたという話が、小人リーダーの集めてきた情報の中にあったのだった。
 本当に何をやってるんだか……情報を軽視しているのか、それとも自分達が絶対的な善だと思い込んでいたのか。もしくは、単に自分達の行動にっていたのかもな。

「そ、そんなバカな。俺達は義によって動く義賊団だぞ⁉ こんな被害を出しているわけがない!」

 っと、反応があったな。手がガタガタ震えている奴もいる。もしかすると、本当に今初めて自分達がやってきた事の影響というものを知ったのかも。あまりにお粗末過ぎるが、今の反応からすると十分あり得るんだよなぁ。

「こんなのはでっち上げさ。義賊に感謝する連中はそれなりにいるんだぞ?」

 その人達が感謝しているのは、自分達以外の義賊かもしれないだろうに。でもこいつらは、人の仕事を自分の功績にしちゃう連中でもあるから、目の前に大きな穴が開いてても気づかずにその中に落ちていくような雰囲気がある。

「そ、そうだそうだ。あの炸裂弾にしろ、研究を重ねて火は出さないようにしてるんだ。音ぐらいで大きな迷惑をかけているとは思えねえ」

 おいおいおいおい、さすがにそれはないだろう⁉
 お前が寝ているときに突如近くで爆発音が聞こえてきたらどう思うんだよ? テロか⁉ 事故か⁉――って大慌てなり警戒なりするだろう? 少なくとも、その夜はまともに寝られないだろ。そんな事すら分からないと? だいたい本当に火事が起きる可能性だってあったんだし……
 こりゃ、話をしても無駄だったかねぇ……

「こんな言いがかりに、俺達は屈さない。さっさと消えな、俺達は俺達なりの義賊としての仕事をする。邪魔をするなら、お前らを斬って排除するぜ」

 こんな結論に至るなら、こいつらはもうダメだ。
 交渉が決裂した事を他の協力者に知らせる合図として、自分は左手を垂直に上げる。その後すぐ、《大跳躍》で小人リーダー達と一緒に再び屋根の上に飛ぶ。それとほぼ同時に、あちこちからポーション瓶が割れる音がして、水煙が幾つも吹き上がった。

「何だこれは⁉ お前ら、息を止めろ!」

 そんな指示も飛ぶが、残念ながら実行できた者は少なかったようだ。《百里眼》で見てみると、ターゲット達が次々と倒れていくのが確認できた。
 水煙が晴れたとき、立っていた奴は三人。膝をついて何とか寝ないようにしているのが四人。他は全て夢の世界に旅立っていた。
 あとは捕まえるだけである。ここからは、捕縛する大義名分を持っている人を前面に押し出す形をとる。

「義賊を自称して多大な被害をもたらしていた一団よ、貴様らを拘束する。逆らうならこの場で首をねるぞ! 我々は獣人連合北街直属の部隊ゆえ、反抗は獣人連合そのものに対してとみなす!」

 この言葉を叫んだのは、以前あった南街の一件で協力し合ったカリーネさん。彼女も本件には頭を痛めていたらしく、こちらの計画を聞くと積極的に協力してくれた。商人の噂話を流すのにも一役買ってくれていたりする。
 そして何より、ちゃんとした公的な立場にいる人が捕まえないと、ちゃんとした裁きにならないというやっかいな部分を解決してくれたのがありがたい。この一団のせいで被害を受けた人は非常に多い。公式に捕まえた事を宣言して相応の罰を下してもらわないと、市民の皆さんが安心して眠れないままになってしまう。
 あと、今自分が使っている変声の道具を貸し出してくれたのもカリーネさんだ。こちらの団員を貸し出して部隊員を鍛えてあげた事に対する、少しばかりの礼なんだと。

「ば、馬鹿なっ⁉ 義賊とお上が繋がっているだと⁉ そんなふざけた話があるのかっ」

 悪事を働くわけじゃないんだから、別に繋がっていたっていいじゃないか。いちいち細かい手続きをやっていたら面倒だし、こういうときスムーズに事が進むのはいいよね。

「では、捕縛開始。反撃してきた奴は斬ってかまわん」

 カリーネさんの宣言と共に、彼女の部隊や隠れていた他の義賊団も姿を現して、ターゲット達を拘束していく。【昏睡ポーション・改】をしのいだ三人もすっかり逃げる事を諦めて、大人しくお縄を頂戴されていた。
 自棄やけを起こして攻撃してくる奴への反撃も想定していたのだが、その準備は幸い無駄になったな。
 結果だけ見てみれば、大捕り物は大成功に終わった。カリーネさんはそのまま連中を引っ張っていき、自分をはじめ残った義賊の一部は小さな打ち上げを開く事にした。

「お疲れさん」
「ああ、お前さんもな」

 義賊の頭と、その右腕の部下だけが参加する小さな宴会。今回協力し合った義賊団は全部で四つだったのだが、そのうち自分のところともう一つがプレイヤーを頭とする義賊団だった。

「血が流れずに終わってよかったぜ。あんな連中のために団の仲間に怪我をさせたくはなかった」

 もう一人のプレイヤーである義賊頭が、ブランデーを喉に流し込みながら言う。

「まったくだ、あいつらは義賊と言えば何でも許されるとでも思ってたんだろうか? メガトン級の阿呆あほう共だった」

 別の義賊頭も、呆れたような口調でそう言ってラム酒を口の中に運ぶ。

「何にせよ、議会が公式に罰を下せば、彼奴きゃつらのせいで被害に遭った者達の留飲も少しは下がるだろう。被害者達にはさりげなくサポートもしてやらなくちゃな……余計な仕事を増やしやがって」

 こちらの義賊頭はビールを好むようだ。

「まあ、コツコツやるしかねえ。頭が痛い話だが、ここで被害者を見捨てるのは義に背く行為だ」

 自分は日本酒っぽいものを飲みながら相づちを打つ。我々四人にはカリーネさんから報酬が与えられるらしいので、自分はそれを全部被害者のサポートに回す予定だった。

「そうだな、お前の言う通りだ。あいつらは義というものを分かっちゃいねえ。あんな風に自分の手柄を誇りたいのなら、もっと別の道を歩むべきだったんだ」

 自分の言葉にうんうんと頷いた後、ブランデー義賊頭がそんな事を言う。同意見だな、あれでなんで義賊になったんだかな?

「おそらくかっこいいとかそんな理由だろうよ。俺達は陰で全てを終わらせて、普通に生きている人達には何もない平和な一日だったと思わせなきゃいけねえってのによ」

 ラム酒義賊頭の言葉もその通りだな。あの連中は、義賊という言葉の響きに酔っていただけの可能性が高い。

「何にせよ、厄介事が一つ減ってよかったとしよう。これからも、義賊らしい行動をとっていこうじゃねえか」

 ビール義賊頭の言葉に皆が頷き、カチンと静かに酒器をあて合った。
 この数日後、捕まった連中に相応の処罰が行われた事が確認でき、そうして今回の一件は完全に決着したのだった。



 馬鹿降臨)雑談掲示板 No.2054(薬を漬けても治りません


 61:名無しの冒険者 ID:f522gtWeB
 世間を騒がしていた悪党が捕まったって噂を聞いたんだが……
 誰か詳しい話知らね?


 62:名無しの冒険者 ID:Dfas5ERWe
 あー、確かにそんな話を「ワンモア」の住人がしてたよーな
 どんな奴らだろ?


 63:名無しの冒険者 ID:DRhseh5e7
 それって、ここ最近急に現れた連中の事かな?
 いろんな国で色々やらかして自画自賛してる連中がいるとは聞いてたが


 64:名無しの冒険者 ID:kjy2oirr9
 自画自賛ってw そいつら、何をやってたんだか


 65:名無しの冒険者 ID:SDFGsdfh3
 なんか、義賊っぽい真似をしてたみたいなんだがよ……
 時代劇の残り10分みたいな大立ち回りをわざと演出するらしいんだ
 かなり迷惑だって知り合いが言ってたな


 66:名無しの冒険者 ID:ERhserh5w
 なんやねんそいつらは……
 そういえば「ワンモア」世界の知り合いが、夜に突然爆発音がするから、
 落ち着いて寝られないとか言ってたのも、それか?


 67:名無しの冒険者 ID:Sdgfsadg8
 おそらくそうだな、獣人連合の北街にいる行政関係の人から、
 夜な夜な爆発物を用いていた連中を捕まえたって発表が出てる


 68:名無しの冒険者 ID:SDRgs65e9
 ああー、あいつらかよ
 なんか悪党を捕まえたとか困ってる奴を助けたとか、
 いちいちビラ撒いて宣伝してたよなぁ


 69:名無しの冒険者 ID:dsrhser32
 本人達はかっこいいつもりだったんだろうけど、
 他の人からしてみればただの迷惑行為だよな


 70:名無しの冒険者 ID:asdfadf2w
 何でだよ! こっちは悪い事している連中を捕まえていたんだぞ!
 どこが迷惑なんだよ⁉


 71:名無しの冒険者 ID:Efew5F23W
 まさかの本人登場。ってか、アレやってたのプレイヤーだったのかよ⁉
 あまりの馬鹿っぷりに運営が仕掛けたイベントキャラだと思ってたのに


 72:名無しの冒険者 ID:SDgsdg3U4
 そして迷惑行為やってる自覚なしか……そら捕まるわな
 それが世のため人のためだ


 73:名無しの冒険者 ID:2jRT2Opas
 あほか!
 夜中に街中で爆発物を使ってる時点でおつむが足らなすぎるわ!


 74:名無しの冒険者 ID:asdfadf2w
 仕方がなかったんだよ!
 悪党の居所は揃いも揃って鍵とかが頑丈で、
 爆発物を使ってふっ飛ばすしかなかったんだからよ!
 それにあくまで爆発だけで、火事にはしてねえ!


 75:名無しの冒険者 ID:Efaf3UYr9
 このウルトラ級の大馬鹿!
 お前は、自分が寝ている時にいきなり爆発音が聞こえたら、
 どういう心境になるかって分からねえのか‼
 心配でノイローゼになってるっての!
 妖精国でも人族の街でもそうだ!


 76:名無しの冒険者 ID:Rsgaas3Wv
 火事にはしてねえって……火事にまでしたらただの放火魔やろ
 そんなところを堂々とアピールする時点でもう、ね……


 77:名無しの冒険者 ID:gee6feiec
 ホント、捕まってよかったわぁ……
 これでやっと知り合いもゆっくり寝られるだろ……教えてあげなきゃ


 78:名無しの冒険者 ID:iy2pdq6dC
 俺も知り合いに教えて回ろう
 もう落ち着いて寝られますよーって伝えなきゃ


 79:名無しの冒険者 ID:DSFda52nc
 うんうん、これで世界は一つ平和になったな。良い事だ


 80:名無しの冒険者 ID:asdfadf2w
 何で揃ってそんな風に言うんだよ! 俺達がそこまで悪いってのか!


 81:名無しの冒険者 ID:DHtes32eW
 当たり前やん


 82:名無しの冒険者 ID:RYEfg2rG2
 その通りとしか言いようがないんですが何か


 83:名無しの冒険者 ID:EFGwea32W
 本物の義賊の皆さんに土下座したらどうなん?
 あんたらは義賊じゃなくて単なる悪党よ?


 84:名無しの冒険者 ID:Efgewa3Fe
 以下同文、で良さそやね
 本人達だけが良い事をしてると思い込んで悦に入ってるパターンだもの
 漬ける薬はねーな


 85:名無しの冒険者 ID:ERysse2uw
 スレのタイトルさ、『馬鹿降臨』ってつけるべきじゃないのかこれw
 てか、薬を『付ける』じゃなくて『漬ける』ってのがいいなw
 確かに漬けこんでも改善しなさそう


 86:名無しの冒険者 ID:aDGfShjWw
 あ、それいいかも
 久々に「ワンモア」でここまでぶっ飛んだ馬鹿を見たわ
 タイトルの後半には『薬に漬けても治りません』とかどうよ?


 87:名無しの冒険者 ID:Saegaw3WEn
 ま、そこまで言われても仕方ないレベルだわなこれは
 ここ最近、街の人達が不安げにしてたもんなぁ……
 やってる連中は、そういう反応を一切見てなかったんかい


 88:名無しの冒険者 ID:asdfadf2w
 そ、それじゃ俺達を捕まえた義賊を名乗る連中はどうなんだよ⁉
 あいつらだって俺達と同じだろうが!


 89:名無しの冒険者 ID:AEffea9gb
 ああ、誰が捕まえたんだろうと思ったら『本物』にやられたんか


 90:名無しの冒険者 ID:egfa65fmn
 さすが本物はいい仕事するな
 お疲れ様です


 91:名無しの冒険者 ID:Id3jUrFwv
 そうか、本物が仇を取ってくれたのか……感謝だな


 92:名無しの冒険者 ID:rhdfb2j71
 義賊の真似事をして大勢に迷惑かけて、本物に捕まってお縄って
 まさに時代劇だなぁ


 93:名無しの冒険者 ID:Kjy12or5g
 つか、仇って言葉が出てきてるんだけど何があったのさ〉〉91さんは


 94:名無しの冒険者 ID:Hrteg25re
 馬鹿を止めてくれた本物さんに感謝だな
 どうやって止めたのかが気になるところだ


 95:名無しの冒険者 ID:Id3jUrFwv
 聞きたいか?
 細かいところまで話すときりがないから大雑把に言うが、
 こちらの世界の住人である友の一人が、知られたくない過去を
 偽義賊によって世間に暴露された事が原因で自殺してしまった
 それだけじゃなく、その事に絶望したそいつの恋人が壊れてしまい、
 通り魔を犯して罪のない人を殺してしまって処刑された
 俺が知った時には、全てが終わった後だった……
 この怒りを、どこにぶつければいいんだよ


 96:名無しの冒険者 ID:f2wdW23TZ
 何、それ……


 97:名無しの冒険者 ID:RGaw23rFj
 ひでえ……


 98:名無しの冒険者 ID:SDfsad3Er
 もしかしてそれ、北街の占い師さんが殺された一件の事じゃ……


 99:名無しの冒険者 ID:HRsg25Grt
 あの人が死んだのも偽義賊がきっかけっつー事かよ⁉
 魔剣について色々教えてもらったから感謝してたのに


 100:名無しの冒険者 ID:EF2fge82v
 その時々でどこにスキルレベル上げに行けばいいかアドバイスをくれる、
 凄く良い人だったのに!


 101:名無しの冒険者 ID:efwae21er
 北街の占い師さん、殺されたの⁉
 今龍の国にいるから確認できないんだけど


 102:名無しの冒険者 ID:Id3jUrFwv
 残念だが、本当だ……
 街の人達も自警団の人達も、残念そうな表情で認めてたからな……


 103:名無しの冒険者 ID:Fgsg3U1re
 マジ、なのかよ
 あの人、話も上手くて凄く信頼してたのに!


 104:名無しの冒険者 ID:fg23fg5gE
 知ってる人いっぱいいるんやね、あの占い師さん
「ワンモア」じゃなかったら一定時間で復活するところだけど……
 もう二度と会えないんだ……


 105:名無しの冒険者 ID:E2RGSAga6
 おい、見てるか偽義賊
 お前らのせいでこういう悲惨な事件が起きてるぞ。何か反論あるか


 106:名無しの冒険者 ID:h2tiT52te
 そうだね、ぜひひと言聞きたいね。今の話を聞いてどう思ったのか


 107:名無しの冒険者 ID:RGrwag2er
 いや、もういないんじゃねーの? ずっと反応がないし。逃げたと思われ


 108:名無しの冒険者 ID:dsavas63e
 噛みついてた奴のIDが全然出てこなくなったね。逃げたに一票


 109:名無しの冒険者 ID:Fsdf2rW56
 どうしようもねえな……
 >>91さんの怒りのぶつけ所にすらなれないってもうね


 110:名無しの冒険者 ID:Gef52We1c
 まあ、もう捕まったんだろ?
 相応の重い罰が下される事に期待しようぜ
 最悪、キャラロストなんだろ? こういう悪事を働いて公的機関に捕まると


 111:名無しの冒険者 ID:RGwag23eW
 すでに数回実例があるらしいからな、処刑によるアバターの完全消滅
 あいつらもそれぐらいされなきゃダメだ


 112:名無しの冒険者 ID:EGFewg2gE
 やった内容が内容だからね
 ロストまではいかなくても、軽い罰でお終いとはならんだろ
 もしそんな事になったら、住民が納得しねえよ


 113:名無しの冒険者 ID:GRasg23Ge
 PKがない代わりにこういった部分は厳しいからな、「ワンモア」は
 十中八九、処刑によるロストだろーね


 114:名無しの冒険者 ID:GRg2sdfge
 言っておくけど、『本物』の義賊はあんな宣伝とかしないからね
 以前助けられた事がある身としては、
 今回の一件があったからって義賊の人達を悪く言わないでほしい


 115:名無しの冒険者 ID:Grasgf32j
 ああ、そこは同意
 他にも怪盗とか忍者とかいるらしいんだけど……
 あの人達はめったに人前に姿を現さないよな
 自分の事を義賊とか怪盗とか軽々しく言わないし


 116:名無しの冒険者 ID:itif2hgrC
 必要になった時のみ言うって感じ
 俺も一回だけ出会ったけど、助けてくれた後は報酬とか要求せずに
 スッと消えてくし……
 ああいう姿を見てると、今回の連中は偽物としか思えなかったな


 117:名無しの冒険者 ID:jtestj2Ot
 ああいうのが格好いいんだよな
 今回の連中は本当にひどかったわ……何にも分かっちゃいない


 118:名無しの冒険者 ID:efase52fe
 ビラ配って自分自身を褒めたたえるって時点で、
 どうしようもなくかっこ悪かったもんな




 6


「えーっと、これはこっちでアレはこの場所に移動……あとは消臭剤で臭いを消して……あー、ここ薬品がこぼれてたんだな。汚れがなかなか落ちないぞ……」

 偽義賊の捕り物が終わった翌日。獣人連合を後にするべく、自分は借りていた宿の部屋の中をお掃除している。何せ薬品の調合をここでやっていたものだから、薬品が少々こぼれた跡が残っていたり、ちょっとした臭いが染み付いていたりする。このままにして去るのはちょっとまずい。

「忘れていたアイテムだったけど、そのおかげで残っていて良かったよ」

 そんな状況だったのだが、意外な物が助けてくれた。掃除を始める前にアイテムボックス内の整理整頓を行ったところ、底の方に入れたまま忘れていた、あるアイテムが出てきたのだ。
 それは【復活玉】。以前、大勢のオーガ達が人族の街に攻め込んできた事件の際に活躍した事への報酬だった。
 その効果は武具の修繕だと考えていたのだが、それだけに限らないという事を今知った。物は試しで薬品の匂いが移ってしまった椅子に使ってみたところ、臭いが消えるだけでなく、椅子自体が新品と言っていいぐらいに修繕されたのである。

(でも、おそらく、壊れた今の【ドラゴンスケイルライトアーマー】には効果がないんだろうな)

 汚れがひどかった机にも【復活玉】を使いながら、そう考える。
 このように物の状態を回復してくれる【復活玉】だが、きっと耐久力が僅かでも残っている物だけに有効なのだと思われる。そして【ドラゴンスケイルライトアーマー】は確かにまだ形を保ってはいるが、根幹部分は砕けていると見ている。そうでないのであれば、魔王領で鎧の状態を見たサキュバスクィーンさんも、手の施しようがないとは言わなかったはず。
 そんな状態にあるのに【復活玉】を使ったら、一瞬で灰になって崩れ去ってしまうような気がする。アンデッドモンスターに回復魔法を使う感じ、と言えばいいだろうか?
 なんにせよ、【復活玉】のおかげで何の心配もなくこの宿屋を後にできる。周囲の目があるところで変装用の偽顔を作るわけにはいかないから、今回はやむを得なかったけど、やっぱり薬品の調合はできるだけ専用の場所でやるべきだ。


しおりを挟む
表紙へ
感想 4,732

あなたにおすすめの小説

散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。

アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。 それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。 するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。 それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき… 遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。 ……とまぁ、ここまでは良くある話。 僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき… 遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。 「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」 それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。 なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…? 2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。 皆様お陰です、有り難う御座います。

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

月が導く異世界道中extra

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない

一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。 クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。 さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。 両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。 ……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。 それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。 皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。 ※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。