507 / 724
連載
番外編、龍の国でのお正月
しおりを挟む
新年あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
********************************************
「今年もこうしてみなと共に新しい年を迎えられた事、嬉しく思う。わが国の民よ、そして他国から訪れてくれた旅人達よ、他の人に多大な迷惑をかけない様にしつつ、正月という一年に一回の機会を思う存分楽しんでいって欲しい!」
龍王直々の挨拶が終わると同時に、あちこちで琴の優しい音楽が奏で始められる。龍の国にも新年が来た事で、普段は一般人お断りの神社なども開放されており、大勢の人で賑わいを見せる。雑煮やお神酒もこの日は訪れてきた多くの人にケチることなく分け与えられる。
「父上、新年の挨拶お疲れ様じゃ」
龍姫が新年の挨拶を終えて、城の中に帰ってきた父をねぎらう。新年の挨拶は、龍の国においては王が行うべき新年の初仕事になっている。
「うむ、今年は自国の者だけではなく人族、妖精族、エルフ、ダークエルフ、獣人族、魔族の者達も大勢来ているからな。雑煮や神酒の準備はかなり多めに行っておいてよかったな」
雑煮や神酒は去年の数倍ほどの量を用意したが、一が武からここの六が武まで非常に多くの人が行きかっているし、大勢の人に出されていることからそれでも1人1人に満足な量が回せるかどうかは少し不安が残るところだ。もし足りなければ、来年はより多く用意せねばなるまい、と龍王は考えているようだ。
「新年の押し出しが湿っぽくなっては、その一年全てが湿っぽくなってしまうからのう……元旦こそその一年を占う大事な日。その点今年は、実ににぎやかになっておるようでなによりじゃ!」
龍姫も多くの人が雑煮を食し、酒を嗜む風景を見てうむうむと頷く。正月はこれぐらいの活気がなくては始まらない。
「──うむ、そうか。多少の喧嘩は大目に見ろ。だがあまりにも酷くなった場合は止めに入れ。ある程度までなら余興だ」
父上、どうしたのかの? と問いかけてきた龍姫に、龍王は通信を終わらせてから……。
「なに、少々神酒を飲みすぎた者が酔っ払って喧嘩をしたそうだ。周りに極端な迷惑をかけないうちは手を出すなと、見張りの者にいっただけだ」
この手の話は人が大勢集まるとどうしても出てくるのは避けられない。喧嘩といってもお互いかなり酒が入っているようだったので、放っておけと龍王指示を出したのである。
「ま、我々の生み出す神酒の酒精は強い。喧嘩をする為に動いていれば、あっという間に全身に回って勝手に止まるだろう。止まった所で適当な場所に転がしておけばいい」
喧嘩していたのが龍族同士だったというのもある。他の種族に喧嘩を売ったというのであれば即座に止めるが、同族同士なら放置しても問題はない。報告にもやれやれー! と周りの人たちが歓声を上げているとあった。
「そういう者はやはり何時になっても無くならぬのう。かといって掟で縛ると反発する物も出てきおる……血の気が多い輩も、正月ぐらいはおとなしゅうしろと言いたい所じゃ……」
余計なことかもしれないが、龍姫が少々いらだっているのはアースに新年の挨拶という名の言い訳で会いに行くことが出来ないからである。外に出ることが禁止云々の話ではなく、アースが今はログインしていないのでどうやっても会えないのだ。ちなみにアースの方の行動だが、流石に新年という節目の時には仕方なく実家に帰って親戚と会って色々と話をしなければならないので、元日から3日までは絶対にログインしてこない。
「全くだな、それだけの元気があるのなら龍の儀に積極的に挑戦しろと喧嘩をする者達に言うと、とたんに静かになるから困った物だ。今年こそもっと多くの龍人が龍の儀に挑んで欲しい所なのだがな」
龍王はそう呟くと、キセルを取り出し火をつける。窓際に移動して軽く吸い、ふうーっと外に向かって煙を吐き出す。
「父上、その擬似キセルの方はどうですかの?」
龍王が吸っているキセルは煙草ではない。煙草に似せてはいるが、中身は完全に別物である。煙草をやめたいが、その中毒性から抜け出せない龍人のために新しく龍王主導で作っている新しい品物だ。複数の薬草を調合して解毒の香として服用する事で、ゆっくりと煙草の毒を抜いていく一品……の試作品である。
「うむ、煙も控えめになってきたな。まだ少々薬としての匂いが強いがまあまあの出来だろう。極度に煙草の深みにはまった者でなければ我慢が出来る範囲かも知れん」
龍王も煙草をやめて久しいが、どうしても吸いたくなる時がある。だが、そこで吸ってしまってはまた煙草の毒にやられてしまう。ならばということで、民からの相談も解決することを兼ねてこの擬似キセルの開発に手を出したのだ。美味く開発が出来れば、煙草の毒に当てられて吸うのをやめたいがやめられないという悩みを打ち明けてくる民にも順次提供する予定となっている。
「正月だというのに、あまりのんびりとは出来ませぬのう」
結局正月という一日を迎えているというのに、話しているうちに普段と変わらぬ話になってしまっていることに苦笑いを浮かべる様子の龍姫。
「それだけお前も、民の上に立つということがわかってきたという事だな。次期の龍王としては仕方あるまい。まだまだ俺の引退は先だが、いつかは来る事だ。今からその心構えを少しずつ作っておけ」
キセルを片手にぷかりぷかりとやりながら龍姫に告げる龍王。
「では父上、そろそろ今年一年の目標を書初めにて表しましょうぞ」
すでに用意が出来ていた書初め一式を持ち出しつつ、龍姫は龍王に言う。
「うむ、ではまずお前のから見せてもらおうか」
叩いて燃えている擬似煙草を処理してからキセルを懐にしまいつつ、龍王は龍姫の書く書初めの内容を伺う。龍姫が書き上げた書き初めには……『全力疾走』と書かれていた。
「わらわはこれじゃな。今年一年、全力で物事に当たることを決意しておる。それこそ全力で走り抜けるような勢いで行わねばの」
龍姫の書初めを見た龍王は、次は自分の番だとばかりに筆を取って紙に向かい文字を書く。書き終わった紙には『国家発展』と記されていた。
「王としての心構えとしては、やはり国が栄えねば何も出来ぬ。国が栄えるという事は民が栄える事。今年はより龍の国が栄えるようにしなければな」
どうやら、すでに龍王にとってはのんびりと過ごすという意味での正月は終わっている様子である。
************************************************
今年は自分にとって色々と試される年になりそうです。
とりあえず最初の試練は、とあるおっさんの書籍化による
反響ですね……。
今年もよろしくお願いいたします。
********************************************
「今年もこうしてみなと共に新しい年を迎えられた事、嬉しく思う。わが国の民よ、そして他国から訪れてくれた旅人達よ、他の人に多大な迷惑をかけない様にしつつ、正月という一年に一回の機会を思う存分楽しんでいって欲しい!」
龍王直々の挨拶が終わると同時に、あちこちで琴の優しい音楽が奏で始められる。龍の国にも新年が来た事で、普段は一般人お断りの神社なども開放されており、大勢の人で賑わいを見せる。雑煮やお神酒もこの日は訪れてきた多くの人にケチることなく分け与えられる。
「父上、新年の挨拶お疲れ様じゃ」
龍姫が新年の挨拶を終えて、城の中に帰ってきた父をねぎらう。新年の挨拶は、龍の国においては王が行うべき新年の初仕事になっている。
「うむ、今年は自国の者だけではなく人族、妖精族、エルフ、ダークエルフ、獣人族、魔族の者達も大勢来ているからな。雑煮や神酒の準備はかなり多めに行っておいてよかったな」
雑煮や神酒は去年の数倍ほどの量を用意したが、一が武からここの六が武まで非常に多くの人が行きかっているし、大勢の人に出されていることからそれでも1人1人に満足な量が回せるかどうかは少し不安が残るところだ。もし足りなければ、来年はより多く用意せねばなるまい、と龍王は考えているようだ。
「新年の押し出しが湿っぽくなっては、その一年全てが湿っぽくなってしまうからのう……元旦こそその一年を占う大事な日。その点今年は、実ににぎやかになっておるようでなによりじゃ!」
龍姫も多くの人が雑煮を食し、酒を嗜む風景を見てうむうむと頷く。正月はこれぐらいの活気がなくては始まらない。
「──うむ、そうか。多少の喧嘩は大目に見ろ。だがあまりにも酷くなった場合は止めに入れ。ある程度までなら余興だ」
父上、どうしたのかの? と問いかけてきた龍姫に、龍王は通信を終わらせてから……。
「なに、少々神酒を飲みすぎた者が酔っ払って喧嘩をしたそうだ。周りに極端な迷惑をかけないうちは手を出すなと、見張りの者にいっただけだ」
この手の話は人が大勢集まるとどうしても出てくるのは避けられない。喧嘩といってもお互いかなり酒が入っているようだったので、放っておけと龍王指示を出したのである。
「ま、我々の生み出す神酒の酒精は強い。喧嘩をする為に動いていれば、あっという間に全身に回って勝手に止まるだろう。止まった所で適当な場所に転がしておけばいい」
喧嘩していたのが龍族同士だったというのもある。他の種族に喧嘩を売ったというのであれば即座に止めるが、同族同士なら放置しても問題はない。報告にもやれやれー! と周りの人たちが歓声を上げているとあった。
「そういう者はやはり何時になっても無くならぬのう。かといって掟で縛ると反発する物も出てきおる……血の気が多い輩も、正月ぐらいはおとなしゅうしろと言いたい所じゃ……」
余計なことかもしれないが、龍姫が少々いらだっているのはアースに新年の挨拶という名の言い訳で会いに行くことが出来ないからである。外に出ることが禁止云々の話ではなく、アースが今はログインしていないのでどうやっても会えないのだ。ちなみにアースの方の行動だが、流石に新年という節目の時には仕方なく実家に帰って親戚と会って色々と話をしなければならないので、元日から3日までは絶対にログインしてこない。
「全くだな、それだけの元気があるのなら龍の儀に積極的に挑戦しろと喧嘩をする者達に言うと、とたんに静かになるから困った物だ。今年こそもっと多くの龍人が龍の儀に挑んで欲しい所なのだがな」
龍王はそう呟くと、キセルを取り出し火をつける。窓際に移動して軽く吸い、ふうーっと外に向かって煙を吐き出す。
「父上、その擬似キセルの方はどうですかの?」
龍王が吸っているキセルは煙草ではない。煙草に似せてはいるが、中身は完全に別物である。煙草をやめたいが、その中毒性から抜け出せない龍人のために新しく龍王主導で作っている新しい品物だ。複数の薬草を調合して解毒の香として服用する事で、ゆっくりと煙草の毒を抜いていく一品……の試作品である。
「うむ、煙も控えめになってきたな。まだ少々薬としての匂いが強いがまあまあの出来だろう。極度に煙草の深みにはまった者でなければ我慢が出来る範囲かも知れん」
龍王も煙草をやめて久しいが、どうしても吸いたくなる時がある。だが、そこで吸ってしまってはまた煙草の毒にやられてしまう。ならばということで、民からの相談も解決することを兼ねてこの擬似キセルの開発に手を出したのだ。美味く開発が出来れば、煙草の毒に当てられて吸うのをやめたいがやめられないという悩みを打ち明けてくる民にも順次提供する予定となっている。
「正月だというのに、あまりのんびりとは出来ませぬのう」
結局正月という一日を迎えているというのに、話しているうちに普段と変わらぬ話になってしまっていることに苦笑いを浮かべる様子の龍姫。
「それだけお前も、民の上に立つということがわかってきたという事だな。次期の龍王としては仕方あるまい。まだまだ俺の引退は先だが、いつかは来る事だ。今からその心構えを少しずつ作っておけ」
キセルを片手にぷかりぷかりとやりながら龍姫に告げる龍王。
「では父上、そろそろ今年一年の目標を書初めにて表しましょうぞ」
すでに用意が出来ていた書初め一式を持ち出しつつ、龍姫は龍王に言う。
「うむ、ではまずお前のから見せてもらおうか」
叩いて燃えている擬似煙草を処理してからキセルを懐にしまいつつ、龍王は龍姫の書く書初めの内容を伺う。龍姫が書き上げた書き初めには……『全力疾走』と書かれていた。
「わらわはこれじゃな。今年一年、全力で物事に当たることを決意しておる。それこそ全力で走り抜けるような勢いで行わねばの」
龍姫の書初めを見た龍王は、次は自分の番だとばかりに筆を取って紙に向かい文字を書く。書き終わった紙には『国家発展』と記されていた。
「王としての心構えとしては、やはり国が栄えねば何も出来ぬ。国が栄えるという事は民が栄える事。今年はより龍の国が栄えるようにしなければな」
どうやら、すでに龍王にとってはのんびりと過ごすという意味での正月は終わっている様子である。
************************************************
今年は自分にとって色々と試される年になりそうです。
とりあえず最初の試練は、とあるおっさんの書籍化による
反響ですね……。
57
お気に入りに追加
26,952
あなたにおすすめの小説
月が導く異世界道中
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
漫遊編始めました。
外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。
散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。
アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。
それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。
するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。
それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき…
遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。
……とまぁ、ここまでは良くある話。
僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき…
遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。
「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」
それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。
なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…?
2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。
皆様お陰です、有り難う御座います。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。