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番外編
一歩ずつ、少しずつ。
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レイナードは研究者で特許持ちだし、お金は私も正直持ってるので、特にアーバンのお仕事を割り振る必要もないって思ってた。
アーバン家の一員で国民になるから何かしら役に立ちたいって立候補して、兄たちのお仕事を補佐出来ないかって言い出しちゃった。
のでアーバン国内(元領)を視察に行くってことになって。ついでに私も付いて回ることに。
「長閑だね」
「シルバーリーフ国に比べたらね」
視察先に行く途中、少し開けた草原に出たので少し休憩にした。
「このもう少し先に葡萄と林檎農園があるの」
「美味しいお酒飲みたいね」
馬車から降りて、レイナードは私の指先をの握って歩き出す。
ただの原っぱを二人でゆっくりと歩く。
私はアホ王子の婚約者として王宮にいるか、仕事の種を探しにあちこち出向くかでゆっくりとする時間も友人と出歩くなんてこともほとんどなくて。
レイナードとは、学園の図書館や食堂、カフェテラスでわずかな時間軽口を叩く程度だったから。
なのでこうしてただ歩いているのは不思議な感じ。
全部落ち着いたら海向こうの国に行ってそれまでと同じように落ち着きなく活動してるような予定だったし。いや、今だって行く気は満々よ。
「疲れた?」
レイナードが私の歩調に合わせてゆっくり歩いてくれてるから全然平気なのに、すごく心配気にして少し歩くごとに聞いてくる。
あちこち地域周りをしていた私がそんなか弱いわけないでしょう。
王宮での生活だって行動範囲がほぼ決まっているとは言っても各部屋が広くて大きいから移動が大変だったのよ。
でもレイナードにとっては私がただの女性って言うの悪く無いわ。
「ふふ」
「ご機嫌だね」
こんなに穏やかな時間を過ごすのって子供の時以来なんだもの。
「レイ、ゆっくり過ごすのも良いわね」
レイナードも普段は研究室に篭ってるタイプだし、外の空気を吸うのはきっと良い気分よ。
「確かに。でもね、君と居られるからより良いんだよ」
「まぁ」
私との婚姻は打算的に申し込んできたくせに、ちょいちょい甘い事を言い出すんだもの。
悪い気はしないけど、ちょっと居心地が悪いわ。
元婚約者やカーマインのことでささくれ気味の心に少しずつ優しい膜が覆ってくるみたい。
どんどん一緒にいるのが当たり前になっていったら、私はあなたにきっと・・・。
アーバン家の一員で国民になるから何かしら役に立ちたいって立候補して、兄たちのお仕事を補佐出来ないかって言い出しちゃった。
のでアーバン国内(元領)を視察に行くってことになって。ついでに私も付いて回ることに。
「長閑だね」
「シルバーリーフ国に比べたらね」
視察先に行く途中、少し開けた草原に出たので少し休憩にした。
「このもう少し先に葡萄と林檎農園があるの」
「美味しいお酒飲みたいね」
馬車から降りて、レイナードは私の指先をの握って歩き出す。
ただの原っぱを二人でゆっくりと歩く。
私はアホ王子の婚約者として王宮にいるか、仕事の種を探しにあちこち出向くかでゆっくりとする時間も友人と出歩くなんてこともほとんどなくて。
レイナードとは、学園の図書館や食堂、カフェテラスでわずかな時間軽口を叩く程度だったから。
なのでこうしてただ歩いているのは不思議な感じ。
全部落ち着いたら海向こうの国に行ってそれまでと同じように落ち着きなく活動してるような予定だったし。いや、今だって行く気は満々よ。
「疲れた?」
レイナードが私の歩調に合わせてゆっくり歩いてくれてるから全然平気なのに、すごく心配気にして少し歩くごとに聞いてくる。
あちこち地域周りをしていた私がそんなか弱いわけないでしょう。
王宮での生活だって行動範囲がほぼ決まっているとは言っても各部屋が広くて大きいから移動が大変だったのよ。
でもレイナードにとっては私がただの女性って言うの悪く無いわ。
「ふふ」
「ご機嫌だね」
こんなに穏やかな時間を過ごすのって子供の時以来なんだもの。
「レイ、ゆっくり過ごすのも良いわね」
レイナードも普段は研究室に篭ってるタイプだし、外の空気を吸うのはきっと良い気分よ。
「確かに。でもね、君と居られるからより良いんだよ」
「まぁ」
私との婚姻は打算的に申し込んできたくせに、ちょいちょい甘い事を言い出すんだもの。
悪い気はしないけど、ちょっと居心地が悪いわ。
元婚約者やカーマインのことでささくれ気味の心に少しずつ優しい膜が覆ってくるみたい。
どんどん一緒にいるのが当たり前になっていったら、私はあなたにきっと・・・。
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