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本編
思い掛けない提案
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朝の食事は断って、昼前に東屋に行って、カーマインを呼び出すことにした。
ついでに悪友に伝心鳥も放っとく。
カーマインは寝不足っぽい感じでお茶セットを持ってきてくれた。
「隣に座ってくれない?」
「・・・いえ」
あくまでも横でサーブすると。
カーマインが並べた菓子や淹れてくれたお茶はいつもながら完璧。
「カーマイン、昨日はごめんね」
「いいえ」
「あなたの意思確認をしないまま行動してたわね。居心地悪くしてないかしら?」
家族も侍従もみんな意地悪な真似はしないだろうけど、やっぱり気を使うもの。
「あのね?カーマインは今後どうしたい?お父様付きになるかお兄様付きになるか」
苦いものを飲んだような顔で何かを耐えている。
「もうお嬢様の元には付けませんか?」
今にも泣きそうな顔で俯くカーマインにそっと触れる。
「カーマインが支えてくれるなら今まで通り側にいて。でもしばらくは書類仕事や店舗周りをして私に気持ちの整理の時間をちょうだい」
「そうすればいつかお嬢様の元に戻れますか?」
「そうね。私は今の生き方がしたいから執事で秘書で護衛までこなしてくれる貴方は必要ね」
恋心を封印してしまうにしても、カーマインがカッコ良すぎるの。
ルージュもカーマインも重過ぎる忠誠を誓ってるからいつか解放してあげないと。
とりあえず、カーマインのお仕事は内勤?
私は近場を見て回ることに。
出先で待ち合わせ相手と合流。
先日、伝心鳥を出した相手が近くに行くから落ち合おうって誘ってくれたの。
完全個室でメイドも護衛も無し。
「久しぶりだなぁ。サファイア」
「ええ、久しぶりね、レイ」
レイニード・シルバーリーフは学園時代の悪友。で宰相の三男。
「王都から領地に戻って忙しくて散々だったよ」
「うち領地は父兄がやっててくてる。事業なんかはスタッフ総出で回してくれてるからもう落ち着いてきたわ」
「いきなり領地戻って共和国って父上も兄上も俺を蚊帳の外にしすぎだろ~」
肩をすくめて笑っているけど情報収集は自力でするものよ。
「で、呼び出すからには何かあるんだろう?」
急にスイッチが入れ替わる。
学生時代から変わらないレイに思わず笑みがこぼれた。
「カーマインに振られちゃった」
レイは私が執事に恋をしているのを見抜いていつもからかってきた。あいつは重すぎるから無理だろう~って茶化して。
実際無理だったから、ついレイに連絡しちゃた。
「・・・命令したらいけたんじゃない?」
「それじゃ意味ないでしょ」
傅かれて暮らしていくんじゃ今までと変わらないし、そんなの嬉しくないじゃない。
「ふーん、じゃあさ、俺と結婚しない?」
「なんで!?」
いきなりの話に思わず大声出しちゃったわ。
「サファイアはさ、今一番稼いでて一番強者のアーバン一族の一人娘だろ?お前が望む望まないを置いといて注目されてるわけ」
「まぁそうね」
だからさくっと分家か平民になりたかったの。
「で、提案なんだけどさ。俺は今まで通り研究したい。金を出してくれて口うるさくない嫁がいたら最高。俺は嫁の仕事に口出さない。留守ガチでも文句は言わない。どう?」
ざっくり金目当てです?って言っちゃうの?
「契約結婚ってこと?」
「んにゃ、それなりに愛し愛されたいとは思ってるよ?」
レイは髪をかき上げながらボソボソと続ける。
「俺はお前のこと綺麗だと思ってるしこうやって言いたいこと言えるのも気に入ってる。ずっと好きな人がいたのも知ってるし別にそれにとやかく言うつもりもない。ただ・・・そうだな、結婚したらお前は絶対ウチに帰ってくるって約束と、俺は絶対待ってるってそう言う関係にならないかって提案だな」
あちこち仕事で旅に出る私にいい条件の旦那になるって言ってくれるの?
「・・・両親が過保護だからアーバンに家を構えることになるわよ?」
「俺は三男、どこにでもいける気軽な身分さ。研究はどこでも出来るしな」
シルバーリーフの人たちは仕事上じゃ怖い人だけど家族のことは大事にしてるから簡単に婿にくれるかしら?
「美味しい酒と葡萄農園との提携とかなんか酒絡みの話持ってけば父上はちょろいよ」
え?元宰相ってそんなだっけ?
「母上は化粧品と甘い菓子に弱い」
嘘でしょう?あの玲瓏なお方がそんな!
とりあえずお父様に報告して婚約の申込みを入れないとだわ。
振られてからほんの少しの間にこんな話を持っていくとまたびっくりされちゃうけど、家から出る話は進むし、カーマインがこのまま仕えてくれるって言うなら私は立場を作らないとだし。
でもレイニードがこんなこと言うなんて思ってなかった。
恋とかじゃないとこんなあっさり進められちゃうのね?
ついでに悪友に伝心鳥も放っとく。
カーマインは寝不足っぽい感じでお茶セットを持ってきてくれた。
「隣に座ってくれない?」
「・・・いえ」
あくまでも横でサーブすると。
カーマインが並べた菓子や淹れてくれたお茶はいつもながら完璧。
「カーマイン、昨日はごめんね」
「いいえ」
「あなたの意思確認をしないまま行動してたわね。居心地悪くしてないかしら?」
家族も侍従もみんな意地悪な真似はしないだろうけど、やっぱり気を使うもの。
「あのね?カーマインは今後どうしたい?お父様付きになるかお兄様付きになるか」
苦いものを飲んだような顔で何かを耐えている。
「もうお嬢様の元には付けませんか?」
今にも泣きそうな顔で俯くカーマインにそっと触れる。
「カーマインが支えてくれるなら今まで通り側にいて。でもしばらくは書類仕事や店舗周りをして私に気持ちの整理の時間をちょうだい」
「そうすればいつかお嬢様の元に戻れますか?」
「そうね。私は今の生き方がしたいから執事で秘書で護衛までこなしてくれる貴方は必要ね」
恋心を封印してしまうにしても、カーマインがカッコ良すぎるの。
ルージュもカーマインも重過ぎる忠誠を誓ってるからいつか解放してあげないと。
とりあえず、カーマインのお仕事は内勤?
私は近場を見て回ることに。
出先で待ち合わせ相手と合流。
先日、伝心鳥を出した相手が近くに行くから落ち合おうって誘ってくれたの。
完全個室でメイドも護衛も無し。
「久しぶりだなぁ。サファイア」
「ええ、久しぶりね、レイ」
レイニード・シルバーリーフは学園時代の悪友。で宰相の三男。
「王都から領地に戻って忙しくて散々だったよ」
「うち領地は父兄がやっててくてる。事業なんかはスタッフ総出で回してくれてるからもう落ち着いてきたわ」
「いきなり領地戻って共和国って父上も兄上も俺を蚊帳の外にしすぎだろ~」
肩をすくめて笑っているけど情報収集は自力でするものよ。
「で、呼び出すからには何かあるんだろう?」
急にスイッチが入れ替わる。
学生時代から変わらないレイに思わず笑みがこぼれた。
「カーマインに振られちゃった」
レイは私が執事に恋をしているのを見抜いていつもからかってきた。あいつは重すぎるから無理だろう~って茶化して。
実際無理だったから、ついレイに連絡しちゃた。
「・・・命令したらいけたんじゃない?」
「それじゃ意味ないでしょ」
傅かれて暮らしていくんじゃ今までと変わらないし、そんなの嬉しくないじゃない。
「ふーん、じゃあさ、俺と結婚しない?」
「なんで!?」
いきなりの話に思わず大声出しちゃったわ。
「サファイアはさ、今一番稼いでて一番強者のアーバン一族の一人娘だろ?お前が望む望まないを置いといて注目されてるわけ」
「まぁそうね」
だからさくっと分家か平民になりたかったの。
「で、提案なんだけどさ。俺は今まで通り研究したい。金を出してくれて口うるさくない嫁がいたら最高。俺は嫁の仕事に口出さない。留守ガチでも文句は言わない。どう?」
ざっくり金目当てです?って言っちゃうの?
「契約結婚ってこと?」
「んにゃ、それなりに愛し愛されたいとは思ってるよ?」
レイは髪をかき上げながらボソボソと続ける。
「俺はお前のこと綺麗だと思ってるしこうやって言いたいこと言えるのも気に入ってる。ずっと好きな人がいたのも知ってるし別にそれにとやかく言うつもりもない。ただ・・・そうだな、結婚したらお前は絶対ウチに帰ってくるって約束と、俺は絶対待ってるってそう言う関係にならないかって提案だな」
あちこち仕事で旅に出る私にいい条件の旦那になるって言ってくれるの?
「・・・両親が過保護だからアーバンに家を構えることになるわよ?」
「俺は三男、どこにでもいける気軽な身分さ。研究はどこでも出来るしな」
シルバーリーフの人たちは仕事上じゃ怖い人だけど家族のことは大事にしてるから簡単に婿にくれるかしら?
「美味しい酒と葡萄農園との提携とかなんか酒絡みの話持ってけば父上はちょろいよ」
え?元宰相ってそんなだっけ?
「母上は化粧品と甘い菓子に弱い」
嘘でしょう?あの玲瓏なお方がそんな!
とりあえずお父様に報告して婚約の申込みを入れないとだわ。
振られてからほんの少しの間にこんな話を持っていくとまたびっくりされちゃうけど、家から出る話は進むし、カーマインがこのまま仕えてくれるって言うなら私は立場を作らないとだし。
でもレイニードがこんなこと言うなんて思ってなかった。
恋とかじゃないとこんなあっさり進められちゃうのね?
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