ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

728話

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 ネイマーシェの状況はリックさまやカンガリー教授、そしてお祖父様もご存知なので留学先としての不安とかは考えたことがなかった。
 ただ、一番若いリックさまで十年近く前のはず。
 十年の間に激変したとかはないと思うんだけど。

 リックさまとお祖父様を見ると無言だ。どう受け取れば良いのかな。

『ネイマーシェは良くも悪くも実力主義、個人主義でしたよね?悪意を持って余所者を省くようなことはなかったと思いますよ』
『そうだな。多くの国から人が集まるが勉学に付いていけない者はすぐに去る』
 うわー。
「」良い環境だな。

『そなたらは上手く適合しただけであろう。あの国は寛容なようで実は狭量でもある』
 ダニエラさまはなんて言うか見た目が、きちんと大人になった私の姿に見えるから、不遜な態度はちょっと居心地が悪いな。

『ともかく誰か一人はネイマーシェで骨を埋めて欲しいし、一度は国に来て欲しいのだよ』
 遠くで、言語と慣習が違う国では中々勇気がいるよ。
 ネイマーシェはレイドラアースと言葉は似てても、古代語に近い。
 ネイマーシェが京都弁だとしたら、レイドラアースは東北弁くらいになるかな。
 
『私たちは結婚して子がいて子、仕事もそれなりの立場にある。そう思い切り良くはいかない』
『リーシャだとてここで良き家族に恵まれて平穏を手に入れたばかり。貴族であるからには領地や民のこともある。気楽に参るとは言えない』
 伯父様とお祖父様が丁重な断り文句を言う。
 
『何すぐ答えを出してもらおうとは思っていない。先々を考えて決めて欲しい。学者として、錬金術師として、ネイマーシェは最高の場所であるからね』
 確かにレイドラアースは古代魔導書から知る知識の中で見ても、後進的か国かも。
 魔導師が少ないのもある。
 私は錬金術を極めたいと思うほど熱意もない。リーシャはどうだったろう。

 一人、最低限の教材と素材で地道に作業していたリーシャ。彼女の意識が残っていたとしたら、ネイマーシェに行きたかったかな?
 あのままイダルンダの元で腐っていたとしたら。
 もしジュリアスさまじゃない人と結婚してて、居心地が悪い場所だったら。
 
 状況が違っていたら、寂しくて悲しくて、母に似たダニエラさまの手を取ったかもしれない。

 でも、今はグレーデンのみんなといられて、お祖父様たちにも気にかけて貰えて、お兄さまもいて。幸せなのだ。

『私はここが好きなのでネイマーシェには参りません。行くとしたら視察や旅行で行きたいと思います』
 遠すぎるから難しいと言えば。
『転移を使うからすぐよ。今回は旅行を楽しみたくて殿下方に同行したけれど、帰りは一気に帰るよ』
 おー。転移を気軽に使えるのね。

『そなたらも学べば使えよう。セラーナの血を継いでいるのだから魔力も豊富、学び方次第だよ』
 伯父様と叔父様はお互いの顔となぜか手のひらを見た。

『私たちは才能が乏しいと・・・』
『父上のような学者になったほうがいいと』
 叡智のマーベルハントの子供たちだったので期待は頭脳の方に向けられていたはず。
『セラーナの能力をうまく継いだのがナタリアだっただけで、お前たちに苦労多い錬金術を教えたくなかったのだろう』
 お祖父様が困惑の息子二人を宥める。

『確かに自力で素材を集めるのは無理そうな身体だね』
 ダニエラさまは、ドラゴンの鱗やトロールの目玉は苦労したと笑う。
 使うものは自力で集めるって、ほんとの教えだった!!
 私は遺されたものとお義父さまたちの好意でいっぱい持ってるけど。

『ネイマーシェの錬金術師は全部自分で?』
 めっちゃ強い冒険者とか連れて行かないと無理っぽい。
『ネイマーシェじゃないよ。クリスタニア家の家訓だから』
 うぉい!先祖に脳筋みたいな人がいただけ説。

 お祖母様もお母さまも強そうではなかったけど、実はとんでもなかったのか。

『気になるなら一度クリスタニア家の書庫を見に来なさいな。学問としても錬金術のことも全部揃っている』

 伯父様がかなり揺れ動いている。

『俺が本当に錬金術を・・・?』
 どうやら興味は持ってたのだけど言い出せなかった的な。
『母上のように物を作れる・・・』
『まずは見においでなさい』
 ダニエラさまは慈悲深い女神のように笑って伯父様を誘う。
 詐欺っぽいって思っちゃうのは穿ち過ぎ?

『話し合いをさせてくれてありがとう。誰かが来てくれるのを期待してるよ』

 お昼前に話を終えたのでみんなでそのまま昼食に。

 伯父様?戻ってきて~。


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