ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

726話

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 食後のお茶を楽しんで解散になった。

 ダニエラさまとのお話は明日の朝食後でどうかと相談して快諾をもらった。

 手っ取り早く今夜でもよかったのだけど、そこは貴族的にゆっくり勿体ぶる感じだ。

 ただリックさまとお祖父様と伯父様たちとは少しお酒タイムを持った。

 少し酔いたいそうなのでバーボンと生トリュフチョコ、海鮮珍味、ナッツ、チーズと出してもらえた。
 晩餐の席は出られなかったポムたちも御相伴にあずかる。

「プッキュン」
 カリカリポリポリ。
「モッキュン」
 ゴリゴリカリカリ。
「グッギャ」
 パキン、カシュカシュ。

 ナッツを美味しそうに食べる姿は和むね。


「はぁー、なかなかの威圧感だった」
 リックさまとお祖父様はとても肩が凝る気持ちだったようだ。
 大伯父クリスタニア公爵ほどでは無いけれど、緊張しちゃう感じらしい。

 実は要人の入国の先触れで誰が来るかをリックさまは知っていたらしい。
 王様が私の警護にとリックさまを寄越してくれたのだそう。

「本気で争う気があったり、リーシャさまを誘拐したりする考えだったら対抗し切れる気がしないんだけどね」
「〈転移〉使えちゃうんですか?」
「使えるねー」
 ひょー。

「基本は転移陣のある区間で動くでしょう、ネイマーシェの魔導師は座標を決めれば動けるんだよ」
 制限とか無いんだ。
「アホほど魔力が喰われるから普通じゃ使えないんだ」
 おお。大伯父さまはアホほど魔力を使って一瞬で帰って行ったのね。

「私は学院でダニエラさまの教室にいたことがあります。規則正しく正当なことをおっしゃられるので嫌いな先生ではありませんでしたが、彼女の望む到達点まで自分を引き上げることはかなり厳しく必死に食らいつきましたよ」
 スパルタ先生なんだ。

「良く錬金窯が爆発して教室中、ヘドロが散りました」
「私は文学部であったたらさほど困ったことはないが、セラーナと出会って周囲の視線が変わったんだ」
 お祖父様はお祖母様に一目惚れをされグイグイこられて、見目の良さとさっぱりした性格にずきゅーーーんだったのだ。
 祖国に帰るから恋愛ができないと逃げるお祖父様を「自分が国を出るから」って。
 小説の中のような恋だよ。

 当時ご存命だった大祖父様と大祖母さまは激怒した。
 国の四つ離れた魔導王国からのわざわざ魔力の薄い、錬金術師でもない男に娘はやれないと、魔素も少ないような土地に娘はやれないと。

 お祖父様は親御さんの言うことは間違いないし、自分は国力の低い国でただ文官を希望しているだけの男なので無理だと思っていた。
 クリスタニア公爵家に釣り合わない男だと固辞して、学院修了でそのまま国に戻るつもりで荷物をまとめたら、お祖母様は家出同然で一緒に行くと着いてきちゃった。

「いつ聞いても恥ずかしい」
「ただの惚気だよ」

 惚気られるほど仲良しで良きこと。

「あそこは本来兄弟姉妹の結束が固いんだ。それを全部とっぱらっって駆け落ちしたもんだから最初の半年はしつこかったって聞いた」
 とにかくお祖母様を連れ戻そうと言うクリスタニア家は手紙や追っ手がひっきりなしだったそう。


 レイドラアースに着いて、マーベルハント家に籍を入れたら、もう何も言えないのでそこで猛攻は終わった。

 貴族なので家同士契約したりあるものだけど、お祖母様は「この身一つ」で嫁ぎに来た。平民として扱ってくれて良いと言って。
 ただし家にためにならぬ嫁は必要ないでしょうから、この国において自分の価値を上げて見せると豪語した。
 そこから学園の教師や家庭教師など初めて、魔導具なども作っていたそう。

「うちは伯爵家で公爵家の令嬢とは私の方が不釣り合いで、仕事なんかせずにいてくれて良かったんだがね」
 お祖父様はしんみり。

「その母上の性格と能力を色濃く継いで駆け落ちしたのがナタリアだ」
「国内だったから母上ほどスケールは大きくないけれどね」
 父カイダールは人柄は良かったけれど、あのハーボット侯爵家の三男で色々きな臭かった故に反対したら出て行っちゃったらしい。

 お祖母様は「私の子だね」なんて笑ってたそうだ。

 思わぬ昔話が聞けて嬉しい。

 みんなでほろ酔いになってから解散した。


————— 

 あと少しと言うところで寝てました
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