ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

文字の大きさ
上 下
707 / 764
二章

695話

しおりを挟む
 ポムとティムのダンスをひとしきり堪能させられて、お義母さまとポムとティムがパンケーキをもう一回おかわりして。

「明日は夕方からバーベキューになるでしょ?だからシフォンちゃんにはお昼から来てもらって夕飯を食べて行ってもらおうと思うのぉ」

 なんてこったい。帰ったばかりで着せ替え人形が決定してしまった。

「ニーナにもゆったり服を着てもらいましょうね」
「あ、リュフェリーで肌触りの良い布をたくさん買ってきたのでマダムに見てもらいたいんです」
 お土産なのでまとめてセバスチャンが管理してくれてるだろう。

「そうなのねぇ、あとでじっくり見せてもらうわねぇ」
「お皿なども好みなのが合ったので色々か買っちゃいました」
「そうなのねぇ♪リーシャちゃんの好みなら良いものねぇ」
 お義母さまの方が審美眼はすごいと思うの。私はやっぱりシンプル好みになるので、貴族的ではないかなぁ。

「あらぁ?お義父さまたちがお戻りになったかしらぁ」
 外から何やら歓声?驚愕した時のような大きな声がしている。
 普通の帰宅ならこんなに騒がしくないので予想やつ想像を超えた獲物を持ち帰ってきたか、悪い方向だと怪我人がいるかも?

 ともかくお出迎えにと動こうとしたら、ニーナがよっこいしょと立ちあがろうとしてる。

「ニーナはここで待ってて」
 慌てて止めるとニーナは困った顔をする。
「そんなわけには・・・」
「今は我慢の時よぉ。人手はあるんだから体調を優先してちょうだいな?」
 お義母さまがそう言えば渋々座り直す。

「気持ち悪くなるのが落ち着いたら一緒にお散歩しよう?」
 適度な運動大事っていうしね。

「ポムとティムはニーナを見ててね?」
「プッキュ!」
「モッキュ!」
 ポムとティムが「了解!!」って感じで、手をピッてあげたのでお任せだ。

 お義母さまと一緒に玄関ホールに向かおうと出ると、
「大奥さまぁ、裏側のようだわぁ」
ってルルゥが言うので行き先変更。

 みんな足音を立てないようにしてるのにめっちゃ早い。
 追いつけないと思ったらアランが「失礼を」ってスッと片手抱きにしてくれた。
 久々にアランに運ばれちゃった。

 足の長さと筋力が違いすぎる。
 ルルゥやアラン、ジェイクは当然でも、お義母さまや侍女ーズさんたちはヒールだからね。裾も長いのに。
 鍛えてるんだ!私が知らないところでこっそり!
 
 私はヒールの踵はパンプスタイプだぞ。侍女ーズさんたちは多少低めでちょっちょっとだけ太いけど、お義母さまさまはピンヒールだ。
 ところでピンヒールって、うっかり土の地面に行ったらめり込みそうじゃない?行くわけないって、そうですか。
 メグミはローヒールかスニーカーだったから、ピンヒールは今後も無理かな。

 アランに運ばれてる間にしょうもないこと考えちゃった。

「まぁぁ!!」
「あらぁ、大物ぉ☆」
 先に現場にたどり着いたお義母さまとルルゥが驚嘆してる。

 アランとジェイクも「わぁ」って。
 私は「ん!?」って。
 
 だって視界いっぱい赤い鱗なんだもの。

『ほう、久方ぶりにみたのぅ』
 アズライトが心なしか嬉しそうに言う。

「ファイアドラゴンとは腕がなるわぁ」
「ドラゴン?」
 どうやら亜竜とかでアズライトの同格ではなく、ワイバーンよりは強いんだそう。

 アースドラゴンやウォータードラゴン、アイスドラゴン、サンダードラゴン、ウィンドドラゴンは、アズライトのような古代竜とは違うんだって。
 どう違うのかと言えば、加護持ちで長生きで強いのが古代竜で、属性持ちでそれなりに長生きで、人間でも頑張れば倒せるのが亜竜って。
 その頑張ればって言うレベルがどのレベルだ!って思うよ。
 王都の騎士さんじゃ逃げるでしょ。

「おお、リーシャちゃん、おかえり」
「お祖父さま、おかえりなさいませ」
 お互いにおかえりを言いつつ、ハグを。
「おかえり、リーシャちゃん、栄養満点のドラゴン狩ってきたよ。今日はラッキーだったわ」
 お祖母さまにもハグ。ドラゴンが出てラッキーって言える強さがすごいんだけど、屁とも思ってなさげだ。

「この前、アッガスでクラーケンが出たって言うんで半分貰ってきたからいっぱいたべれるぞ」
 
 怪獣大戦争みたいな食卓になるよ。

 アッガスのみんなも嬉々として討伐したんだろうな。
 アンゼリカさまもいたのかも。

「バーベキューは明日だそうなので明日食べましょう?」
「なんだと、俺はもうドラゴンの気分だぞ」

 俺たちもだってスピネルさんたちも。

「はいはい~、一番良いところを切り出してお出ししますからぁ着替えてきて下さ~いなぁ」
 ルルゥがお祖父さまたちを宥めてお話を収めてくれた。

「皮は全部使うからね。あ、内臓はリーシャちゃん、好きなの持って行ってな」
 おー、太っ腹ですね。

 正直要らないんだけど、錬金素材は欲しい時に手に入るとは限らないので出来るだけストックしておくに限る。

 そう言う感じで、セラーナお祖母様の素材が隠し部屋に山ほどあるんだけどね。

「ありがとうごさいます」
 鱗が綺麗で嬉しいな・・・。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。

柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。 詰んでる。 そう悟った主人公10歳。 主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど… 何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど… なろうにも掲載しております。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~

水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート! ***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!

聖女転生? だが断る

日村透
恋愛
生まれ変わったら、勝ち逃げ確定の悪役聖女になっていた―――  形ばかりと思っていた聖女召喚の儀式で、本当に異世界の少女が訪れてしまった。 それがきっかけで聖女セレスティーヌは思い出す。 この世界はどうも、前世の母親が書いた恋愛小説の世界ではないか。 しかも自分は、本物の聖女をいじめて陥れる悪役聖女に転生してしまったらしい。 若くして生涯を終えるものの、断罪されることなく悠々自適に暮らし、苦しみのない最期を迎えるのだが…… 本当にそうだろうか?  「怪しいですわね。話がうますぎですわ」 何やらあの召喚聖女も怪しい臭いがプンプンする。 セレスティーヌは逃亡を決意した。

ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい

珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。 本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。 …………私も消えることができるかな。 私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。 私は、邪魔な子だから。 私は、いらない子だから。 だからきっと、誰も悲しまない。 どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。 そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。 異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。 ☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。 彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

処理中です...