ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

文字の大きさ
上 下
702 / 764
二章

690話

しおりを挟む
 翌朝、朝食を頂いたあと、私たちはグレーデンに帰るためにワイバーンのいる広場に。
 リュフェリー家の皆さまがお見送りに来てくれた。

「世話になったな」
「お世話になりました」
 ジュリアスさまとラジェールさまが肩をぶつけてのハグ。
 胸板厚すぎて大変です♡

 ラシードさまはセリウスさまに「またきてください」と足に抱きつかれている。
 いっぱい遊んでもらったねぇ。うんうん。近所のおばさんの気持ちでほっこりした。

 ユーリアさまは、ルルゥにだった。この場面は私じゃないか?って思いつつ、マッチョ好きのユーリアさまは、イケメンでマッチョで美味しいデザート作るルルゥが好きなの当たり前かと納得しちゃう。
 私に筋肉は無い。
 アンゼリカさまなら、ユーリアさまに好かれたんだ。きっと。

「リーシャさま、私は絶対グレーデンのエステ旅館に泊まりに参りますからね。スノウリリィーさまにもよろしくお伝えくださいませね」
 カリナ夫人にはハグしてもらえた。良い匂いだよー。
 王都にいたグイグイ女性みたいな香りじゃ無いって素敵なことだ。

「はい、いらっしゃるのを楽しみにおまちしておりますね」

「ルドガーに次はホーンのダンジョンで勝負しようと伝えておいてくれ」
 ルシードさまが楽しそうにジュリアスに言った。
 お義父さまがホーンに行っちゃうとしばらく留守になっちゃう。
 でも私たちもたくさんお休み頂いたから、良いのかな。クラウスさまもお休み貰わないと怒っちゃうかも。

「ほどほどにお願いしますよ」
 ジュリアスさまも同じように思っているのか苦笑いだよ。
 ユーリアさまから離れたく無いっぽいルシードさまと、お義母さまがいないと寂しくなっちゃうお義父さま、二人とも自分が出かけるときには気にならなくなるの、不思議だね。

「グォオオオオォー」
 そんなわけで私たちはそれぞれワイバーンに乗り上げて、お別れなのだ。

「「ではまた!!」」
「気をつけてな」

 リュフェリー家の騎士さんたちも手を振って見送ってくれた。

「さぁ、休暇はおしまいだな。この空の旅を堪能して帰ろう」
 
 一気に高度を上げて上に飛んでいく。

「リーシャ、あちらがアドラービスの砦だ」
 封鎖中の国境門、長く続く壁が両国の不仲の証だ。
 ちなみに壁は二列になってて両方レイドラアースの建てたもの。

「リュフェリーはうちのように魔物もそこそこ出てくる領地だが、昔はあの国の奴らが魔獣をこちらに押し込んできたりとやりたい放題だったことが一番厄介だったんだ」
 え、倒せない魔獣を押し付けてきちゃうパターンなんだ。だからあちら側からの壁を作ってないのかな?
「そんな浅はかな方法を取る連中があの領地を治められるわけもないんだが」
 弱いなら領地広げても、ここで暮らせないよね。

「だが昨今はああして壁もあるし、魔物除けもしっかり配置しているからな」
 リュフェリー側の壁付近は安全ってことみたい。

 魔獣を押し付けられないし、定期的?に威嚇されるしで、アドラービスは国境には最低限の騎士隊しか配置してない。

 でもチャンスを伺っては壁を崩そうとかしてると。それはもう開戦の合図と受け取って良いんでは?勝っちゃえ!
 まぁ安易に戦争になちゃうのは良くないね。こちらも損害ゼロとはいかないだろうし、無関係の民が巻き込まれるのダメ。

 アドラービスで政権交代か何か起きてまともな頭の人がトップになることを祈ろう。


 どんどん飛んで、リュフェリーをかなり離れると国境も見えなくなった。

 ラヴァたちのお気に入りの渓谷で地上に降りて、休憩タイムだ。

「ギャギャ」
「ギャャゥ」
 ルルゥやっぱ騎士さんたちに魔獣肉を貰って、バクバク。
 大迫力だねぇと見てるとポムたちが闘争心に火が付いて?しまったのか、ラヴァたちの食べてるお肉にかぶりつく。

「ちょっと、そんなことしたら間違ってラヴァ食べられちゃうよ」

 サイズが違い過ぎるんだから。

『わはは、大っきいのに張り合っても腹のサイズが違いすぎて勝てないんだぞ』
 ジャスパーが普通に突っ込む。

「プッキュ!」
「モキュモキュ!!」
 お肉にくっついたままジタバタして怒ってる。
『森で自分達に取り分が取られたから取り返しているんだと言っておるの』

 まだ根に持ってた!!

「だからってラヴァたちに当たらないの」
「プキュー」

 同族のモニパルには何か思うところがあるのかも。

「グレーデンに帰ったらニーナやニックス、ベンがいっぱいお菓子くれるよ」
「プッッキュ」
「モッキュ」
「ギャ」
「きゃん!」

 ニーナに反応したのか、オヤツに反応したのか、わからないけれどテンションが上がったみたいなので、ほらお肉から離れなさい。
 ルルゥがちゃんと君たちのお肉とおやつを出してくれたよ。


 そのあと、私たちにパニーニと肉串が届いたよ。
 










しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~

水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート! ***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!

ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。

千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。 気付いたら、異世界に転生していた。 なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!? 物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です! ※この話は小説家になろう様へも掲載しています

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。

柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。 詰んでる。 そう悟った主人公10歳。 主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど… 何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど… なろうにも掲載しております。

聖女転生? だが断る

日村透
恋愛
生まれ変わったら、勝ち逃げ確定の悪役聖女になっていた―――  形ばかりと思っていた聖女召喚の儀式で、本当に異世界の少女が訪れてしまった。 それがきっかけで聖女セレスティーヌは思い出す。 この世界はどうも、前世の母親が書いた恋愛小説の世界ではないか。 しかも自分は、本物の聖女をいじめて陥れる悪役聖女に転生してしまったらしい。 若くして生涯を終えるものの、断罪されることなく悠々自適に暮らし、苦しみのない最期を迎えるのだが…… 本当にそうだろうか?  「怪しいですわね。話がうますぎですわ」 何やらあの召喚聖女も怪しい臭いがプンプンする。 セレスティーヌは逃亡を決意した。

ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい

珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。 本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。 …………私も消えることができるかな。 私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。 私は、邪魔な子だから。 私は、いらない子だから。 だからきっと、誰も悲しまない。 どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。 そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。 異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。 ☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。 彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

処理中です...