ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

679話

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 ジュリアスさまは、夜が明ける前に帰ってきた。

 ベッドに入ってきて、匂いと温かさに擦り寄ったら、
「ただいま、そのまま寝てて良いぞ」
って、頭を撫でてくれて、がっちり抱き込み態勢にしてくれた。ホッとするね。

『骨の中はもう空なんだぞ』
「プー」
「モキュー」

 何か夢を見てるらしいジャスパーたちの寝言が聞こえた。
 骨の中は空じゃないよ・・・。


 朝、目覚めたらジュリアスさまの首に噛みついてて、びっくりして跳ね起きた。
「ああ・・・ごめんなさい」
「大丈夫だ。おはよう、クリスマスチキンが美味しいと言っていたが、クリスマスチキンとはなんのことだ?肩の肉か?」
 ひょー。夢は覚えていないけれど、パーティなバレルで家飲みヒャッホーしてたか、クリスマスでヒャッハーしてたか。

「おはようございます・・・、ん~との丸焼きとかです」
「いつも作ってるやつか」
「えーと、そうですね?このくらいの鳥のもも肉を焼いたのです」
 モスやケンタのも好きだけど、クリスマスって言ったなら、アルミホイルで包んだ骨を掴んでガブって食べる方のはず。

「ふむ、そのサイズの肉か」
「別に切り分ければ良いんで大きさはなんでも」
 普通に食べる分には、もも肉にこだわらない。丸ごとケンタ式で大丈夫。

「そうか?」

 寝言の中の食い意地なので、真剣に取り上げないでほしい。

「鳥がたくさんいるところに行った時にいっぱい捕まえてくる」
「あは、楽しみにしてます」

 妻に美味しいお肉を、グレーデン家訓ー。


 着替えにサラとメルを呼んで、今日は演習の応援に行くので軽いめのドレスだ。
 ワンピースの方が楽だと思うんだけど、貴族の女性が応援席にいるって言うのが騎士さんたちのやる気になるそうだ。
 私を見ても盛り上がらないよねー。

 髪も結い上げて、華やかめに。
「応援頼むぞ?」
「はい」
 ジュリアスさまが一番かしら?ルシードさまがお義父さまレベルだとダメかな?

 朝食は男性陣が戦うのでお肉を特盛りだ。
「アテクチもいっぱいたべてマクソンをおうえんしましゅことよ」
「ユーリアちゃん?おじいさまは?」
 ルシードさまが背を丸めてガクリとすると、お膝のユーリアさまは、
「おじいしゃまはおちよすぎなのでぇす」
って、応援する意味がない感じかな?
「俺は強いか」
 あ、満更でもないらしい。

「マ、クソン?」
 ジュリアスさまが衝撃を受けてるのはなぜかしら?
「ユーリアはマクソンが好きなんだ」
 ラジェールさまが苦笑いで言うと、
「子供受けが良いのか?」
「いや、ユーリア以外の女の子は号泣だろう」
 あら?余計興味が湧いちゃう。

「もう!ちゅきじゃないの!あいちてるのよ」
 まぁ!ライクではなくラブですか?
 ユーリアさまがスプーンを机にカチンとさせて、プクッと頬を膨らませる。

 でもかなり年上でしょう?半世紀くらいかしら?

「ははは、マクソンもユーリアが大好きだ。良かったな」
 ラジェールさまが笑うとルシードさまはちょっとふててるけど、ユーリアさまの頭を撫でてる。
「だいすきちがうの!!あいちてるの!!」
 家族公認、微笑ましい初恋かしら?

 カリナ夫人もラシードさまも可愛い子を見る目だ。

 食後は演習の準備に向かう男性陣をお見送りしてから、私たちも出かける準備をする。

 ユーリアさまは「ぜっせいにょびじょにしあげてくださいましぇね」と可愛くお願いしている。

 カリナ夫人にお願いされたので、サラとメルにお義母さま仕込みの可愛いをユーリアさまの侍女さんに伝授。

 おリボンにふわふわ巻毛のツインテール、甘めのドレスをクローゼットから選んで、絶世の美少女に仕上がった。

 ちょっと勝気な印象のユーリアさまが砂糖菓子のようにふんわり甘くなったの。

「まぁ、いつも可愛いけれど、さらに可愛くなったわね」
「びじんでしゅ?」
「ええ、とっても美人さんよ。お父さまもおじいさまもマクソンもメロメロになるわ」

 なるほど、お義母さま憧れの娘がいる生活はこんな感じなのかな。

「でもおじいさまもお父さまもお兄さまもみんな応援してあげないと泣いちゃうからちゃんと応援して差し上げてね?」
「あい!マクソンのちゅぎにおうえんしましゅよ」

 愛が深い。

 ここにニーナがいたら、悶絶してたんじゃ無いかしら?無表情のままの内心ね。


_____________


 マクソン登場まで行きたかったですが、タイムアップでここまで。無念。

 女神に~もまだ途中なのでおやすみなさい。



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