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二章
677話
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私とカリナ夫人は動きやすい簡易ワンピースに着替えて、エプロンをして、お料理開始。
リュフェリー家のコックさんたちが居心地悪そうだったので、「気を使わないように」と伝えた。
気を使わないわけないけれど、持ち場を決めて、ウロチョロして邪魔にならないようにするからって。
ルルゥを境界にして作業を始める。
カリナ夫人にはまずルルゥの作業をじっくり観察してもらう。
外での食事なので食べやすさに重点を置いてなので作るものは限られる。
ピザ生地はやっぱ私もカリナ夫人も腕力が持たないので、ルルゥたちが捏ねてる合間に小分けにすることしか出来ない。
ソース類はルルゥが持ってるストックに微調整を加えたり傘増しして増やしたり。
ピザもピタパンも半分は焼いてマジックボックスに収納した。現場で作るの追いつかないだろうって。
お肉は串焼き、お肉ばっかバージョンと野菜交互バージョンと唐揚げの下拵え。
カリナ夫人は生肉は触ったことがないそうで、野菜だけお任せしようとしたら、「リーシャさまのやれることは私もやってみたいです」って、「ぴえ」「うぎゅ」っと生肉の感触に慄きながら切り分けたり、串に刺したりしてくれたよ。
「これはぜひ、ラジェールさまとラシードさまとユーリアさまに食べていただきましょうね」
と、分けておくと言えば、ちょっと恥ずかしげに頷いた。
旦那さまと子供たちに手料理を振る舞いたい健気な奥様だ。
「初々しいことねぇ」
「まぁ!ルーデウスさま、揶揄わないでくださいまし」
なんか距離が近いなぁと思っていたら、カリナ夫人の方が年上だけれど、実家の関係で、学園に入る前から顔見知りだそう。
ルルゥは元はオネェとして弾けて無かったはずだけど、カリナ夫人がラジェールさまと結婚して、ルルゥがグレーデンの騎士になってリュフェリー領に演習や合同訓練に参加したりで再会したそうで、その頃にはオネェになってたらしく、わりと古い付き合いなので開き直ってしまって、猫は飛んで行った感じ?
「初々しいってもう結婚して十一年ですのよ」
「うふふ、幾つになっても初々しくって良いじゃない」
「もぅ」
ルルゥは唐揚げの鳥肉をスパイスでモミモミ、それを見たカリナ夫人も「うひぅ」と顔を背けながらチャレンジ。
生肉はハードルが高いだろうにガッツが半端ない。
「ラシードとユーリアに、お母様が作れるのはクッキーだけじゃないって言いたいですわ」
ほほぅ!愛ですね!素敵だわ。
でも普通のクッキーが気になった私、ついお願いしちゃったら、おもてなしになるかしらって受け入れてもらえた。
「ルーデウスさまの作ったとデザートを食べた後じゃ恥ずかしいのですけれど」
「あら?伝統の味も大事よぅ」
「うふふ、お祖母様の味ですの」
作り方を見せてもらうと、バター無しのヘルシーで素朴なクッキーになった。
最後にジャムのせて。
甘味は少ないけどジャムの風味がたっぷり、懐かしいようなそんなお菓子だ。
「美味しいです」
「嬉しいわ」
普通の高位貴族の令嬢はほとんど料理やお菓子を作る事はないけど、婚約者に差し入れたいとか仲を深めたいなどの理由でちょっとだけ習うことがあるんだって。
お母さまもハーブのクッキーを作ってくれた記憶がある。
他の物を作りながらなので、二枚ばかり立ち食いと言う端なさを、カリナ夫人も笑いながら受け入れてくれて、ルルゥやコックさんたちと一緒に味見しちゃう。
「いつもはしない事って楽しいのよって、お祖母様がおっしゃっていましたわ」
「確かに、ダメって言われてる事をこっそりするのはワクワクしちゃうのよねぇ」
カリナ夫人のお祖母様はきっとうちのデリアお祖母さまと気が合うタイプ。
懐かしそうで切なそうなのでご存命ではないかも。
唐揚げを揚げたら、コックさんたち以上にカリナ夫人が食いついた。
「このお湯?お茶?はなんですの?」
大量の油を見たことがなかったようで、鍋に入った油を覗き込もうとするのには驚いた。
知らないとそうなるのか。
「油が跳ねたら火傷しちゃいます」
「あら!?」
今回の油は植物油だそう。ルルゥが外部に持ち出す物を厳選してる。
リュフェリー家は動物油の元の魔獣はたくさん集められそうだから動物油でも良かったと思うけど。ウェルス領の後だから在庫の関係かな。
「レシピに揚げ焼きがあったので油は用意していますが、一回でこんなに使うんですか?」
「一回じゃないわよ。揚げた量で油の色が変わっていくから、様子を見て交換よ」
「え、毎回では無いのですか?」
毎回って一人前とか!?そんなに変えてたら油足りないよ。贅沢すぎるよ。
「レシピの書き方が悪かったかしら?たくさん作るから、悪くなったら変えるのよ」
「ほー」
大量の唐揚げを揚げてお芋も揚げて。
つまみ食いはサイコー!!
遅い時間になってるのに、セリウスさまとハンメルさま、ラシードさまとユーリアさまが厨房を覗いててびっくりするのはすぐ後のこと。
リュフェリー家のコックさんたちが居心地悪そうだったので、「気を使わないように」と伝えた。
気を使わないわけないけれど、持ち場を決めて、ウロチョロして邪魔にならないようにするからって。
ルルゥを境界にして作業を始める。
カリナ夫人にはまずルルゥの作業をじっくり観察してもらう。
外での食事なので食べやすさに重点を置いてなので作るものは限られる。
ピザ生地はやっぱ私もカリナ夫人も腕力が持たないので、ルルゥたちが捏ねてる合間に小分けにすることしか出来ない。
ソース類はルルゥが持ってるストックに微調整を加えたり傘増しして増やしたり。
ピザもピタパンも半分は焼いてマジックボックスに収納した。現場で作るの追いつかないだろうって。
お肉は串焼き、お肉ばっかバージョンと野菜交互バージョンと唐揚げの下拵え。
カリナ夫人は生肉は触ったことがないそうで、野菜だけお任せしようとしたら、「リーシャさまのやれることは私もやってみたいです」って、「ぴえ」「うぎゅ」っと生肉の感触に慄きながら切り分けたり、串に刺したりしてくれたよ。
「これはぜひ、ラジェールさまとラシードさまとユーリアさまに食べていただきましょうね」
と、分けておくと言えば、ちょっと恥ずかしげに頷いた。
旦那さまと子供たちに手料理を振る舞いたい健気な奥様だ。
「初々しいことねぇ」
「まぁ!ルーデウスさま、揶揄わないでくださいまし」
なんか距離が近いなぁと思っていたら、カリナ夫人の方が年上だけれど、実家の関係で、学園に入る前から顔見知りだそう。
ルルゥは元はオネェとして弾けて無かったはずだけど、カリナ夫人がラジェールさまと結婚して、ルルゥがグレーデンの騎士になってリュフェリー領に演習や合同訓練に参加したりで再会したそうで、その頃にはオネェになってたらしく、わりと古い付き合いなので開き直ってしまって、猫は飛んで行った感じ?
「初々しいってもう結婚して十一年ですのよ」
「うふふ、幾つになっても初々しくって良いじゃない」
「もぅ」
ルルゥは唐揚げの鳥肉をスパイスでモミモミ、それを見たカリナ夫人も「うひぅ」と顔を背けながらチャレンジ。
生肉はハードルが高いだろうにガッツが半端ない。
「ラシードとユーリアに、お母様が作れるのはクッキーだけじゃないって言いたいですわ」
ほほぅ!愛ですね!素敵だわ。
でも普通のクッキーが気になった私、ついお願いしちゃったら、おもてなしになるかしらって受け入れてもらえた。
「ルーデウスさまの作ったとデザートを食べた後じゃ恥ずかしいのですけれど」
「あら?伝統の味も大事よぅ」
「うふふ、お祖母様の味ですの」
作り方を見せてもらうと、バター無しのヘルシーで素朴なクッキーになった。
最後にジャムのせて。
甘味は少ないけどジャムの風味がたっぷり、懐かしいようなそんなお菓子だ。
「美味しいです」
「嬉しいわ」
普通の高位貴族の令嬢はほとんど料理やお菓子を作る事はないけど、婚約者に差し入れたいとか仲を深めたいなどの理由でちょっとだけ習うことがあるんだって。
お母さまもハーブのクッキーを作ってくれた記憶がある。
他の物を作りながらなので、二枚ばかり立ち食いと言う端なさを、カリナ夫人も笑いながら受け入れてくれて、ルルゥやコックさんたちと一緒に味見しちゃう。
「いつもはしない事って楽しいのよって、お祖母様がおっしゃっていましたわ」
「確かに、ダメって言われてる事をこっそりするのはワクワクしちゃうのよねぇ」
カリナ夫人のお祖母様はきっとうちのデリアお祖母さまと気が合うタイプ。
懐かしそうで切なそうなのでご存命ではないかも。
唐揚げを揚げたら、コックさんたち以上にカリナ夫人が食いついた。
「このお湯?お茶?はなんですの?」
大量の油を見たことがなかったようで、鍋に入った油を覗き込もうとするのには驚いた。
知らないとそうなるのか。
「油が跳ねたら火傷しちゃいます」
「あら!?」
今回の油は植物油だそう。ルルゥが外部に持ち出す物を厳選してる。
リュフェリー家は動物油の元の魔獣はたくさん集められそうだから動物油でも良かったと思うけど。ウェルス領の後だから在庫の関係かな。
「レシピに揚げ焼きがあったので油は用意していますが、一回でこんなに使うんですか?」
「一回じゃないわよ。揚げた量で油の色が変わっていくから、様子を見て交換よ」
「え、毎回では無いのですか?」
毎回って一人前とか!?そんなに変えてたら油足りないよ。贅沢すぎるよ。
「レシピの書き方が悪かったかしら?たくさん作るから、悪くなったら変えるのよ」
「ほー」
大量の唐揚げを揚げてお芋も揚げて。
つまみ食いはサイコー!!
遅い時間になってるのに、セリウスさまとハンメルさま、ラシードさまとユーリアさまが厨房を覗いててびっくりするのはすぐ後のこと。
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