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二章

676話

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 食後は、今日もセリウスさまとハンメルさまと子供たち、ポムたち連れてお遊び兼寝かしつけに楽しそうに食堂を出て行った。
 私たちはお茶orお酒タイムだ。
 
「明日のお昼は演習にジュリアスと騎士たちをお借りしたい」
 私は応援係をするのはどうかな?っとラジェールさまが聞いてくれた。

 ジュリアスさまを見上げると頷いたので「喜んで」と返事した。
 グレーデン騎士以外のマッチョを合法的に観戦出来るんだもの、断るわけない。

 ジュリアスさまとラジェールさまの対戦だけでも美味しすぎるの。
 そこにセリウスさまやチェイスさんにアモンさん、ルルゥ、セバスチャン、アラン、ジェイク、ワイバーン隊で来てくれてるみんなの筋肉がみれて、リュフェリー家の皆さんと騎士団員の皆さんの筋肉も見放題ですよ!
 ゴーゴーマッソー!
 クミちゃん、明日だけでも呼びたいよ!

「ふむ、俺も久しぶりに参加しようか。ラシードとユーリアにカッコいいと言ってもらえるかな」
 おじいちゃん!!!
 ルシードさまはリュフェリー侯爵位をまだラジェールさまに譲っていない。
 譲りたくないんじゃなくて、ラシードさまが学園に通うまでは、ルシードさまに侯爵として社交して欲しいとラジェールさまが交代を渋っているからだそう。
 騎士団長と領主、当主を一気に譲らないで欲しいらしい。

 グレーデン家と一緒で家族総出でお仕事回してるんだけど、肩書きの重さはやっぱりあるんだろうね。

「生きてるうちは痩せ細ろうとコキ使うんだよ。ひどい息子だろう?」
 カカカとたのしそうに笑うルシードさまは頼りにされてるのも嬉しいんだろう。

「父上が痩せ細るなんて想像出来ない」
「バカを言うな。ジジイになれば体は小さくなるぞ」
 リュフェリー家の侯爵夫人、ルシードさまの奥様はかなり昔に亡くなってるようだ。後妻は娶らず、ルシードさまの兄弟家族に手を貸してもらって今があると言う。

「後継を叔父上や従兄弟に押し付けたかったんだけど断るんだよ」
「うちもホーンもグレーデンも揃って野心がないからな。気楽な気分で戦場に立つ方が良いさ」
 ほんと、セリウスさまもクラウスさまも権力欲しがらないし、なんならお義父さまは次男なのに兄のダレスさまに押し付けられてるし。
 
「ハンメルも俺の手伝いなら良いけど、トップは嫌だって。俺も嫌なんだけれどね」
「うふふ、ラジェールさま、私もそう思いますけれど、私の父は権力があるからこそ結婚を許してくださったので、頑張ってくださいませ」
 サラッとシビアな事を言うカリナ夫人だ。
 カリナ夫人の父は有力貴族と縁戚になることで名声にあやかる事を望んでるタイプだそう。弟妹も似た感じだって。
 お二人はお見合いののちに、恋愛に発展って素敵な関係だけど、シビアな部分はシビアなのだ。

「それでこそリュフェリー家の次期夫人だ」
 ルシードさまは頼もしいと喜び、ラジェールさまは苦笑しちゃう。

 なんて言うか、お義母さまのように肝が座ってないとダメって事だね。カリナ夫人も貴族的な考えをしっかり持っているって事だ。
 うまいことリュフェリー領の暮らしに馴染めてるのは、ここがホーンやグレーデンほど振り切った辺境じゃないからかしら?


 ともかく、明日の演習は楽しみ。
 ルシードさまに、騎士団の皆さまに差し入れしたいけれど人数はいかほどか訊ねた。
 全員分は厳しいかしら?
 お肉だけは山盛りストックがあるし、ピタパンくらいなら比較的準備しやすいかなとルルゥを呼んで差し入れの相談しちゃうよね。

「キッチン馬車で希望者だけか、バーベキューのようにたくさん焼き場を作れば良いんじゃ無いかしら?」
 そうなると、いつものグレーデンの宴会にした方が早いとジュリアスさまが言い出して。

 演習後、夕食も兼ねた宴会をする事に。 

 リュフェリー家もたくさん食材を出すぞって、今夜狩りに行くとか言い出しちゃった。

 ひゃー。ルシードさま、目が「ダンジョンに行ってくるぞぅ」とワクワクなお義父さまにそっくりだ。

「ふむ、ならば俺も行きます」
 ジュリアスさまとルシードさまがガシッと握手して頷き合ってる。
 夜は危険度が上がるのにぃ。

「え、これは妻子のために俺も行くべきじゃ」
「あら、お留守番は?」
「ハンメルとセリウスがいれば上等だ」
 
 結局この人たち、力有り余ってて発散する機会は逃したくないんだと思う。

 私が差し入れをしたいって言ったせいだけど。

「あっはは、じゃぁリーシャちゃんは私と仕込みしましょうねぇ」
 ルルゥと寝る時間まで厨房に篭る事になって、カリナ夫人が興味津々で「やってみたいわ」とのことなので女子会なノリになった。

「あらぁ、やるって言うからには厳しいわよぉ」
「望むところですわ」
 あ、ルルゥ、カリナ夫人にはオネェのまま行くのね。

「美味しいものを獲ってくる」
「どれ、誰が一番か競争だ」
「それは譲れない戦いだ」

 荒ぶるジュリアスさまたちを見送ってから、厨房に向かったよ。


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