ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

673話

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 店長さんが我に返って、ジュリアスさまも外に出して、プルプルしながら採寸を終えた。

「申し訳ありません。憧れのマダム・シフォンのドレスに触れることが出来てびっくりしまして」
 夜会とかの豪華ドレスじゃないのにここまで感動されちゃうマダム、さすがだ。

「そうなんですね」
「マダム・シフォンのドレスはグレーデン派閥の方しかお持ちでないので実物が・・・」
 お義母さまのドレス以外はほとんどお弟子さんに任されているので、希少品なのはわかる。
「カリナ夫人がいつもグレーデン前辺境伯夫人のドレスのお話をしてくださるんです」

 マダムは私の落書きも最大限に活かして素敵ドレスを作ってくれて、お義母さまの希望なんかはモリモリ叶えちゃう敏腕デザイナーなので、憧れちゃうのわかるけれど、活躍がグレーデン派閥内なのに意匠の刺繍見ただけで卒倒しちゃうほどなんて。

「私の師匠がカリナ夫人専属なのですが、いつもグレーデン前辺境伯夫人のように華やかで個性的なと依頼なさいます」

 貴族のドレスは真似されてなんぼの、流行を作るのがステイタスなので追随は許されている。
 パクリとか盗用の問題はないのだ。
 オリジナリティは流行を作る人が出すもの。
 完コピはダサいって言われるので要注意だぞ。
 ちなみに流行を作れる人はお金持ちなわけで、かける予算でクオリティは当然違うので程々にしないとダサくなる。
 私は中間にいたい方だけど、グレーデン家のためには頑張っていかねばと思う。

 店長さんにはこの地域で好まれるデザインで、私に似合う色合い、布は肌触りの気に入ったもので気軽な外出着を三着お願いした。
 ニーナがいないこの隙にラフな物を買っちゃう。

 ニーナのお土産に妊婦用にゆったりめの部屋着を二着依頼した。サイズはリュフェリー夫人に近いと伝え、ボディラインが関係ないデザインを選んだよ。

 あと、こちらの生地をいくつか反物で買わせてもらった。
 マダムはいろんな地域で買い付けしてるのでこの生地も持ってるかもだけれど、色合いが気に入ったので私やお義母さま、お祖母様用の衣装を作って欲しいと思って。

 だいぶ時間使っちゃったので、ジュリアスさまの元に戻って「お待たせしました」と伝えるとジュリアスさまは「うむ」とちょっと苦笑してて、ハンメルさまが真っ赤な顔で目を逸らしてる。
 中学生男子かな??

 お店を出てもハンメルさまが挙動不審。
 人妻の下着姿を見ちゃうのは相当ダメなことらしい。
 キャミソールにカボチャパンツなのに、この世界の男性って新宿や渋谷を歩いたら鼻血出すレベルじゃない?
 
「緊急事態と判断してのことでしたのでお気になさらず」
「はぁ・・・うん、すまない」

 胸が見えるとかお腹が見えたとかじゃないのでエロス度ゼロなのよ。
 お義母さまくらいボンキュッボンならセクシーかもだけど。

 あ、自分で言って切なくなる。

 多少は丸みが出て平原から脱出してるのよ。

「ハンメル、あの場面ならセリウスもラジェールも入っていた。気にしなくて良いから見たものは忘れろ」
 あら?
「部屋着程度で大袈裟ですよ」
 部屋着は長めのネグリジェだけど、膝丈くらいのカボチャパンツもそう変わらない。

「・・・」

 見られた方が気にしないのがおかしいみたいな顔してないで。
 私が恥ずかしい事をしたみたいな気持ちになるよ。

 その後もお店を色々見て回った。
 二人はテンションが低めだったけど、私は結構楽しんだ。

 手芸屋さんがあって、毛糸や刺繍糸をたくさん買ってもらった。
 え?私は使わないよ。
 刺繍は画伯レベルで編み物はアクリルタワシで挫折する女だから。

 ニーナや侍女ーズさんたち、ニックスにあげるんだよ。

 ジュリアスさまが宝石屋さんに寄ると言うので一緒に入った。
 リュフェリー領は金鉱山があるので、金細工が有名。

 色々見せてもらって、ジュリアスさまが私にどれが好きか聞きながら選んでくれた。
 ピンクダイヤモンドとレッドスピネルと合わせて金の縁取りと言うジュリアスさまっぽい色合いのお飾り一式と、ジュリアスさまとお揃いの金鎖のネックスを買ってもらった。
 お義母さまたちにも色々選んだよ。

 ポムたちにも足環でお揃いの装飾を選んだ。

「うわー、すごい買うじゃないか」
 超大人買いにハンメルさまが引く。
「俺は普段級金の使い道がないからな」
「うわー、言ってみたい・・・」
 リュフェリー領もお金持ちでしょうに。

 途中でジュリアスさまが小腹減ったと言うので屋台の肉串を食べた。

「令嬢ってこーいうの嫌がるよねー」
「そうですか?」
 実はやってみたくても端ないって言われるから我慢してるだけだと思う。

「屋台で何か買おうってなると嫌な顔される」
「ハンメルさまって爵位継ぐとか高級取りって認識されてるんじゃないですか?」
「え?」
「生活の質を落としたくない女性としか付き合ってない感じです?」
 次男以下なら准貴族扱いの王宮に仕官や功績を上げて騎士爵かにならないと平民になる。

「あー」
 屋台ご飯を避ける令嬢なら平民にはなれないよね。

「まぁ貧乏にはならないけれど、気取った暮らしがしたいとかは困るね」
 リュフェリー領なら王都に近しい住み心地だけれど、一応危険地域だしねぇ。

「そっか、そう言った方向で気が合う人探さないと無理なんだね」
 ハンメルさまは女性が苦手ではないようだ。
「お見合いですぐ決まりそうじゃ?」
「恋愛結婚希望なんだ」

 んー、ガツガツしてない貴族女性がいると・・・いるだろうけれど、ガツガツしてない女性は婚活市場に出向いてこないんだよ。

 うまいこと行かないね。


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