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二章

666話

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 お茶の席では、ポムたちはラシードさまとユーリアさまの近くに集まってる。 
 誰に可愛がって貰えばこの席に同席できるかを考えた結果らしい。

 リュフェリー家ではうちの子たちのことはバレてるので隠した過ごす必要がないの。

「はは、聞いてはいたが変わった生き物だ」
 ラジェールさまが子供たちが楽しそうなのを見て破顔している。

 リュフェリー家も辺境三家と言われる家門なのでイカつい男性が多いけれど、ホーン家、グレーデン家の男性陣とでは少し都会的なのは気候のせいかしら?

 ラジェールさまは社交的な場はルシードさまとハンメルさまにお任せでほとんど領地から出らないそう。
 ジュリアスさま的には理想の暮らしになるかしら。

「増えたよな?」
 シャムはジャスパーのことかな。ハンメルさまがラシードさまとユーリアさまの側でポムたちを覗く。

「おじーしゃま、じゃましないでくだしゃいませ」
 ユーリアさまが左手でハンメルさまのお口をむいっと押す。

「おじーさま?ハンメル、おじーさまなんだー」
 同年代のハンメルさまが「おじーさま」と呼ばれていることにニヤついちゃうセリウスさま。大人気ないなぁ。
「何でか変な癖ついちゃったんだよな」
 でも姪っ子が可愛いから良いんだと笑ってる。セリウスさまも潔くおじーさんとか言われちゃってください。
 ルークとニーナやレオルカさまとマデリーさまの子供が育ったら、おじさま扱いだよ。
 私もおばさまだい。

「そう言えば、ルークに子供だって?」
「耳が早いな」
 ラジェールさまが訊ねてジュリアスさまは苦笑する。
「さっき、チェイスが厩舎で話していたらしいぞ」
 お前かー!ってヤツだよ。チェイスさん。

「あのルークがっとなるとみんな盛り上がるからな」
 ルシードさまにも「あのルーク」って言われちゃうくらい青天の霹靂扱いなんだね。

「サーキス夫人にはギリギリまで内緒だそうだ」
「ははは、サーキス夫人に知られると産前から半年以上はグレーデンで暮らすだろうな」
 うはぁ。悪いお姑さんじゃなくてもしんどいのでは?

「でも夫人にとっては可愛い末息子の待望のお子でしょう?知らせないと寂しい思いをなさるわよ」
 カリナさまがおっとりした雰囲気で男性たちを嗜める。
 確かに、息子には過干渉うざいって思われてても、愛情ゆえなのだから、大事な報告はちゃんとしないとなのよね。

「ニーナの体調が安定してから知らせると思う」
 嫌々だろうがってジュリアスさまが言うとカリナさまがコロコロと笑う。

「ふふ、うちはお義父さまがとても心配症になってびっくりしましたけど、私は幸せでしてよ?」
 うはー、ルシードさまってば、うちのお義父さまと並ぶ巨体で心配症って可愛すぎだ。
 みんなでほっこりした空気になっちゃったよ。

「ごほん。うちに嫁いでくれて子宝までもたらせてくれるのだから大事にして当たり前であろう」
 ホーン家のアークさまと言い、うちのお義父さまと言い、伝説の猛者がみんな可愛い系オジなの萌えちゃう。

「おじいしゃまは、アテクチのこちょだいしゅきでございましゅのよ」
 ユーリアさまがティムをブラーンさせながら、にっこり笑う。

 お母さまのカリナさまの真似をして敬語を話すと噛んじゃうらしい。

「ユーリア、お祖父様は僕のことも大好きなんだよ」
「アテクチのほうがかわいいでしゅもの」
 ラシードさまが隣に座らせたジャスパーの首をもふりながら言うとユーリアさまがぷくっと頬を膨らませて主張する。

 何だろう。とっても癒される家族だね。

「あはは、二人ともとーっても可愛いよー」
 セリウスさまが二人の近くに行って目線を合わせて頭を撫でる。

 子供たちはハンメルさまとセリウスさま、ポムたちとでお話を始めちゃったので、残った私たちはお茶を頂きながら、お土産やウォレス領でのことを話す。

「あちらは魔の森が少なく暮らしやすい分、収益が得にくいから苦労も多かろう」
「普通の森でもいろんな可能性が眠っていると言うことか・・・」

 リュフェリー領も自然豊かなので、いろんな樹木があるはず。

「魔の森はグレーデンよりは弱い魔獣だが植生の調査はあまりしていないな」
 魔の森は普通の職人がお仕事できないので、あまり期待出来ないですよ。

「職人が手入れ出来る場所でじゃないと安定した収益を見込む事業は難しいと思います」
「それもそうだな」

 まぁ、グレーデンもだけど引退騎士さんが張り切っちゃうんだろうけど、魔の森は魔素溜りの変異で姿も植生も変わっちゃうので、期待しないほうが良いと思っている。

 危なくない森を軽く調べる許可を貰えた。

 滞在中、アドラービス国への牽制を兼ねた演習を見せていただけることになった。

 リュフェリー領のマッチョもしっかり堪能だよ!





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