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二章
660話
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厨房にたくさんは入れないので私とルルゥ、ウォレス家のコック長ニキさんとお弟子のノックさんで仕込みをする。
ジュリアスさまは一緒にって言ってくれたけど、セリウスさまと一緒にレオンくんとハインツくんと遊んでてねって。
アランとジェイクは厨房の入り口と勝手口で待機。
他所の厨房にポムたちは呼べないので、まずはルルゥと一緒に木の実の中身を確認。
鑑定では完熟でなければ、真ん中の種を割らないように切れば良いって出てたので、ルルゥにお願い。
外皮はアボガドより分厚くて少し堅い感じ。
実もアボカドっぽい気がする。
種は実サイズの三分の一くらいかなぁ。
「これは苦いのですぞ」
ニキさんは食べたことがあるようだ。
私とルルゥは毒じゃなければとりあえず味見とスプーンでちょっとだけ掬って舐める。
「苦いわね」
「うぇ」
重曹をそのまま食べたことは無いので、よくわからないけど、結構な苦さ。
これは少しで使わないとお菓子の仕上げに響きそう。
「乾燥させる?そのまま?」
「うーん?材料に混ぜやすいのはどっちかなぁ」
「クッキーならこの状態でも良いけどケーキだと練りすぎちゃうかしら?」
作り慣れてるのは圧倒的にルルゥなので、ルルゥの感覚に任せた方がいいね。
「クッキーからいってみようか?」
「了解よぉ~」
そんなわけでニキさんとノックさんにウォレス領でよく食べられるナッツ系の木の実を出して欲しいとお願い。
せっかくだからね。
大まかに言っちゃえば、この世界のピーナッツやアーモンド、クルミなどナッツ系はどこでも似たようなものしかないんだけど、形は違ってたりするし、クリーミーさ、歯応え、味わいは地域差が出てる気がする。
大きなどんぐりはちょっとテンションが上がる。どんぐりクッキーってなんか可愛いよね!
ポムたち用に崩す前のを分けてもらった。
「私が修行した先とは随分と作り方が違いますねぇ」
ルルゥが素材と材料を混ぜていくのをニキさんたちは真剣に見つめる。
バターや砂糖をふんだんに使えないもんね。
この国の普通のクッキーはちょっとビスコッティのような堅めのだ。素朴で美味しいけど、バターたっぷりのサクサククッキーも美味しいよね。
「さてクッキーは寝かすから、窯の火を見ながら唐揚げの準備ね」
私は解体できないので、ルルゥにお任せ。
サンダーフロッグは生きてる時に触ると危険だけど、しめた後は心臓に気を付ければ大丈夫なんだって。
ニキさんもノックさんも手際良く剥く。
「これを一口大に切り分けて」
味付けはフリュアとニンニク、フリュアとショウガ風味のハーブの二種類。
片栗粉、お芋のデンプン(グレーデン工場で量産中なのだ)をお肉にまぶして。
そしてルルゥが味見用を揚げようと、マジックバッグはーから油壺を出して鍋に移し入れて火にかける。
「油をこんなに!?」
そう言えば揚げ物は一般的じゃなかったんだった。
「これは獣の油の部分を使ってます」
「「ふぉぉ・・・」」
製造方法はレシピで出してるんだっけ?
ルルゥを見上げるとニッコリしてるので、後でウォレス男爵とセリウスさまに応相談だ。
「今はまず作っちゃいましょう」
油に火が回ってきたので二種類四人分の唐揚げをジュワー。
「良い匂いが・・・」
「これは・・・」
厨房に香ばしい香りが広がる。アランとジェイクもゴクリだ。慌てて二人の分も油にインだ。
本当ならルルゥも唐揚げ用の薬味ハーブのソースやタルタルも作りたいところだけど、情報をバカスカ出せないので抑え気味なのだ。
「さぁお味見どうぞ」
まずはニキさんとノックさんに出して、アランとジェイク、ルルゥと私と取り分けたお皿を持つ。
「「「「いただきます!!!」」」」
美味しいものを見た時の嬉しそうなお顔は気分が良いよね。
ルルゥも満足気に様子を見ている。
「うっっま!!」
「ビリビリ・・・!!きくぅ!」
あ、サンダーなんだった。サンダーフロックはグレーデンで狩る鳥や牛よりはビリビリ度が低いそうだ。
「ルルゥ、子供用に普通のお肉も」
「わかってるわぁ」
ニンニクも控えめにね。
「・・・」
ビリビリに警戒しつつ、パクッと食べると、ちょっと辛めのラーメン食べた時くらいのビリビリ度だった。これくらいなら・・・?
って痛い。喉がちょっと痛い。
私以外は平気みたい。
「追加を入れても・・・?」
それはもう味見では無いよう。
って、厨房の入り口を守っていたアランがめっちゃ困惑顔でルルゥに縋るような目をしている。
アランの体の陰にセリウスさまとレオンくんとハインツくん、ウォレス男爵が厨房を覗いてるのが見えた。
これはグレーデン名物「匂いに釣られてきちゃった」と同じ光景だ。
しかもその後ろに控えめにジュリアスさまとウォレス夫人、部下さんたち・・・。
その後、みんなでお夜食も唐揚げ祭りと、合間に焼き上げたクッキー争奪戦が広げられた。
私はジュリアスさまとこそっとアズライトとジャスパー、ポムもティム、シャム、ディディエ、サラとメルに唐揚げとクッキーを差し入れに行った。
「プキュ」
「モキュ」
「ギャ!」
「きゃん!」
自分たちだけズルいとプンスカされたけど、許して欲しい。
木の実の渋苦い種だけになったのも渡したら、お尻フリフリしてくれたよ。
ジュリアスさまは一緒にって言ってくれたけど、セリウスさまと一緒にレオンくんとハインツくんと遊んでてねって。
アランとジェイクは厨房の入り口と勝手口で待機。
他所の厨房にポムたちは呼べないので、まずはルルゥと一緒に木の実の中身を確認。
鑑定では完熟でなければ、真ん中の種を割らないように切れば良いって出てたので、ルルゥにお願い。
外皮はアボガドより分厚くて少し堅い感じ。
実もアボカドっぽい気がする。
種は実サイズの三分の一くらいかなぁ。
「これは苦いのですぞ」
ニキさんは食べたことがあるようだ。
私とルルゥは毒じゃなければとりあえず味見とスプーンでちょっとだけ掬って舐める。
「苦いわね」
「うぇ」
重曹をそのまま食べたことは無いので、よくわからないけど、結構な苦さ。
これは少しで使わないとお菓子の仕上げに響きそう。
「乾燥させる?そのまま?」
「うーん?材料に混ぜやすいのはどっちかなぁ」
「クッキーならこの状態でも良いけどケーキだと練りすぎちゃうかしら?」
作り慣れてるのは圧倒的にルルゥなので、ルルゥの感覚に任せた方がいいね。
「クッキーからいってみようか?」
「了解よぉ~」
そんなわけでニキさんとノックさんにウォレス領でよく食べられるナッツ系の木の実を出して欲しいとお願い。
せっかくだからね。
大まかに言っちゃえば、この世界のピーナッツやアーモンド、クルミなどナッツ系はどこでも似たようなものしかないんだけど、形は違ってたりするし、クリーミーさ、歯応え、味わいは地域差が出てる気がする。
大きなどんぐりはちょっとテンションが上がる。どんぐりクッキーってなんか可愛いよね!
ポムたち用に崩す前のを分けてもらった。
「私が修行した先とは随分と作り方が違いますねぇ」
ルルゥが素材と材料を混ぜていくのをニキさんたちは真剣に見つめる。
バターや砂糖をふんだんに使えないもんね。
この国の普通のクッキーはちょっとビスコッティのような堅めのだ。素朴で美味しいけど、バターたっぷりのサクサククッキーも美味しいよね。
「さてクッキーは寝かすから、窯の火を見ながら唐揚げの準備ね」
私は解体できないので、ルルゥにお任せ。
サンダーフロッグは生きてる時に触ると危険だけど、しめた後は心臓に気を付ければ大丈夫なんだって。
ニキさんもノックさんも手際良く剥く。
「これを一口大に切り分けて」
味付けはフリュアとニンニク、フリュアとショウガ風味のハーブの二種類。
片栗粉、お芋のデンプン(グレーデン工場で量産中なのだ)をお肉にまぶして。
そしてルルゥが味見用を揚げようと、マジックバッグはーから油壺を出して鍋に移し入れて火にかける。
「油をこんなに!?」
そう言えば揚げ物は一般的じゃなかったんだった。
「これは獣の油の部分を使ってます」
「「ふぉぉ・・・」」
製造方法はレシピで出してるんだっけ?
ルルゥを見上げるとニッコリしてるので、後でウォレス男爵とセリウスさまに応相談だ。
「今はまず作っちゃいましょう」
油に火が回ってきたので二種類四人分の唐揚げをジュワー。
「良い匂いが・・・」
「これは・・・」
厨房に香ばしい香りが広がる。アランとジェイクもゴクリだ。慌てて二人の分も油にインだ。
本当ならルルゥも唐揚げ用の薬味ハーブのソースやタルタルも作りたいところだけど、情報をバカスカ出せないので抑え気味なのだ。
「さぁお味見どうぞ」
まずはニキさんとノックさんに出して、アランとジェイク、ルルゥと私と取り分けたお皿を持つ。
「「「「いただきます!!!」」」」
美味しいものを見た時の嬉しそうなお顔は気分が良いよね。
ルルゥも満足気に様子を見ている。
「うっっま!!」
「ビリビリ・・・!!きくぅ!」
あ、サンダーなんだった。サンダーフロックはグレーデンで狩る鳥や牛よりはビリビリ度が低いそうだ。
「ルルゥ、子供用に普通のお肉も」
「わかってるわぁ」
ニンニクも控えめにね。
「・・・」
ビリビリに警戒しつつ、パクッと食べると、ちょっと辛めのラーメン食べた時くらいのビリビリ度だった。これくらいなら・・・?
って痛い。喉がちょっと痛い。
私以外は平気みたい。
「追加を入れても・・・?」
それはもう味見では無いよう。
って、厨房の入り口を守っていたアランがめっちゃ困惑顔でルルゥに縋るような目をしている。
アランの体の陰にセリウスさまとレオンくんとハインツくん、ウォレス男爵が厨房を覗いてるのが見えた。
これはグレーデン名物「匂いに釣られてきちゃった」と同じ光景だ。
しかもその後ろに控えめにジュリアスさまとウォレス夫人、部下さんたち・・・。
その後、みんなでお夜食も唐揚げ祭りと、合間に焼き上げたクッキー争奪戦が広げられた。
私はジュリアスさまとこそっとアズライトとジャスパー、ポムもティム、シャム、ディディエ、サラとメルに唐揚げとクッキーを差し入れに行った。
「プキュ」
「モキュ」
「ギャ!」
「きゃん!」
自分たちだけズルいとプンスカされたけど、許して欲しい。
木の実の渋苦い種だけになったのも渡したら、お尻フリフリしてくれたよ。
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