ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

658話

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 歩いてると鼻がツンとするような葉っぱの木を見つけた。
 これはポムたちの欲しいらしい辛い種が採れる実らしい。

「これ気になりますか?」
 実の過食部は苦いからウォレス領は食べないらしく、木材は虫が付きにくく樹皮は胃痛に効くらしい。
 なんてこった!!!

 重曹とベーキングパウダーのあいのこみたいなのが見つかりましてござる。
 
 クリーム状の!!謎の実過ぎる。
 実が大きくなっていくと最後は弾け散る危険物だそう。何それ怖い。

 種は渋苦いらしい。ポムとティムには美味しいの!?
 鑑定では苦い木、爆烈の実ってそのまんま、この世界では名前が付けられず、苦いと爆発って言うイメージしかないから。

 多分ポムがいずれうん○種を出してくれるだろうけど、危険物過ぎる。

「この実は爆発する兆候とかわかりますか?」
「そうですねぇ、実に亀裂が出始めて全体が網状になると破裂します」
 見た目がメロン!!!
 
 私とポムたちがフンフンと真剣に頷いてるのをウォレス男爵たちは不思議そうに見る。
 彼らには珍しくない木なんだろう。

「まず虫除けっていう時点で売れる木ですよね?」
「えぇ?ハーブとかの方が売れますよね?」
 木材が売れないって意識が強いようだ。
 確かに木はどこにでもあるけどさ。
 
 これとっても凄いのよ!

「木材としても魅力的ですが木の実は多分王家も欲しがりますよ!」
「「「はぇぇええええ!!!?」」」
 凄い驚き方だよ。

 ウォレス固有種では無さそうだけど、グレーデンでは見た事がないってジュリアスさまが。グレーデンにあればポムたちがすでに見つけてるよね。

「ねぇ?これ何に使うつもりぃ?」
 ルルゥがこそっと聞いてくる。
 
「この実ねぇ、クッキーとかケーキを今までより美味しくする可能性を秘めた実なんだよ」
「「「「!!???」」」」
 ルルゥ、セバスチャン、ポム、ティムが衝撃を受けた。

「今よりですってぇ!!??」

 今はケーキやクッキー作りに使ってるのはほとんどパン用に用意した酵母を応用してるか、ルルゥたちのふわふわメレンゲ作りの成果だよ。

 ジュリアスさまごとガクガク揺らされた。

「リーシャさま!!今夜使い方を教えてくださいね!!?」
 一応人前なので丁寧にお話ししてくれるけど、ジュリアスさまをガクガクさせてたら台無しなの。

「プッキュウウ」
「モッキュゥ」
『・・・』
 キュルンとおねだりの眼差しが可愛い。

「我々もぜひ教えて頂きたいです」
 
 そんなわけで急遽、実を収穫。
 ポムたちも実を落とすのに協力してくれたけど、破裂が怖いので亀裂が少ないのをお願いした。

 枝を揺らしたからか一個破裂してアランと庇おうとしたルルゥは苦いクリームを浴びた。
「・・・ウェ」
「大丈夫?」
 白いドロドロを浴びた二人・・・腐りたくなるなぁ。
 すぐさま〈洗浄〉魔法でですっきりしちゃった。

「種は落ちてないですね」
「種ごと砕けてるのではないですかねぇ」
 え、かなりの衝撃だよね?思わずルルゥとアランを見た。

「こんなのは魔獣討伐でも普通に受ける衝撃ですよ」
 ウォレス男爵たちもドン引きだよ。そんな普通はないよ。

「父上の拳とかのが凄い衝撃だよー」
「そうだな」
 まぁそうですね・・・。
 グレーデンの普通が他所では通じないんだよ~。

 この会話で、うちの騎士さんたちと訓練する予定の護衛さんたちが真っ青になっちゃった。
 対抗戦を棄権しそうだね。

 ポムとティムが実を割って種を食べたいとジェスチャーしてきたんだけど、割る時は弾けないように考えないとだよ。

「お菓子作る時まで待ってね」
「プキュ」
「モキュ」
 ポムとティム、ディディエが残念そうだ。
 シャムはきゅん?と首を傾げてて、ジャスパーとアズライトは静かにしてる。

「そのペットたちは人の言葉を理解できてるようですねぇ」
「そんなわけないですよ」
 ウォレス男爵と部下さんがワハハと笑ってる中、ポムとティムがしまった!と尻尾をボフンとさせた。
 すでに欲しい実をゲットしようと誘導してる時点で怪しいのだけど、ウォレス男爵たちがのんびりした人で良かったね。
 しかも体毛の色が特殊でもグレーデンの固有種かなって流してくれるおおらかさ。

「森に出る獣は可愛いのもいますが懐きませんから、この子たちは凄い人懐こくて驚きますよ。コツでもあるんでしょうかねぇ」
 コツは美味しいクッキーですって、説明出来ないね。
 
「こちらの木は樹液がネバネバなので木材としては使えないのです」
 資料を見せてもらっていた期待大な木だ。

「ご希望を受けてこちらの樽に樹液を貯めております」
 まだ半分くらい。かなり時間がかかるかなぁ?
 鑑定してみたら、松脂っぽい物だった。これに素材を足せば、接着、定着剤、伸びないゴムなどを作れる。

 伸びない!!!!!弾力!!!!

 これはこれで有用!!!!

「これも良いものが出来そうです」

 パンツのゴムはないけど、ゴム長靴が出来るよう!!

 
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