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二章

655話

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 私たちがお散歩をして、お茶を頂いていた間にウォレス夫妻は、グレーデン家からのお土産に狂喜乱舞したあと、驚愕で蒼白になったりしてたらしい。
 王家や高位貴族宛よりは控えめではあったものの、貴族界で垂涎の的な美容液やお酒、お菓子類が自分達に!?みたいな。
 彼ら的には生涯お目にかかることがないと言うレベルだったみたいで。
 そこまでの物じゃないし、今回のことで末長くお付き合いしたい下心と何泊も泊めて頂くのだから、心ばかりって物なのだ。

 夕食の席で感動をパワフルな動作で伝えられた。
 もてなされる立場で長く泊まるので堅苦しくしないで普段通りとお願いしているので令息たちも同席で、私たちはセリウスさまはもちろん、ルルゥ、チェイスさん、アモンさんと騎士爵持ちのメンバーは同席している。

 セバスチャンはあくまで従僕の立場だと固辞。セバスチャンも実は騎士爵持ってる。いざとなったらジュリアスさまを守るために騎士団で訓練していて、有事の際にも出動していたそうで。ハロルドもお義父さまが背中任せられるようなこと言ってたよね・・・。グレーデン家の執事って凄いんだね。
 は、シエルも戦うの!?それは心配だけど彼は高魔力持ちだから良いのかなぁ。



「グレーデン家のコックは王家に呼ばれるほどと聞いておりますのでご満足頂けるか不安ですが、素材は新鮮で我が領の固有の山菜を使っているのでご堪能いただければと」

 ウォレス家の夕食はキノコと野菜がたっぷりフルコースで塩味でした。
 お出汁が出てるので美味しいので良かった。
 王都近隣の富豪貴族がグレーデンに修行に来たり、レシピを入手出来てるだけでまだまだ広まってないんだねぇ。
 レシピの権利を安くって言うのはダメって言われてるので幅広く広まらないんだね。

「こちらのキノコはとても肉厚で味も香りも良いですね」
 ヒラタケのような感じのぷりっぷりキノコや舞茸、松茸のようなキノコもあるけれど、グレーデンや他の領で見たのとは少しずつ形が違う。
 そして色合いが普通に茶系で安心だ。
 グレーデンにはキノコに限らず、なぜかカラフルなものが多い。
 見た目は完全に毒キノコって感じなので一瞬身構えちゃうよ。

 逆に地味な色合いに不満があるようなウォレス男爵。

「美味しいからこそ目立たないように自衛しているんでしょう」
 擬態が出来る生物みたいに狙われない工夫じゃないかと想像。
「グレーデン夫人はとても素敵な感性ですのね」
 ウォレス夫人は優しげな笑みでそう言ってくれる。

「ウォレス男爵、こちらは王宮や公爵の食事に出されても通用する物だと思われますが量は採れますか?」
 ルルゥが他所行きの顔と声で質問する。
 確かに上品な味わい。

「いくらでも収穫は出来ますが日持ちと輸送コストを考えると出荷は難しいのです」
 普通のご家庭にはワイバーン便も時間停止もしくは遅延のマジックバッグがないのだった。
「それでしたらそれグレーデンが素材を買い付けに来る時に一緒に運べば良いでしょう」
 セリウスさまがそう提案する。かなり商機と見た感じかな。
 グレーデンの乾燥気味な気候に比べてこちらは湿潤なので森の恵みの系統が違うんだろう。
 これだけ美味しいキノコならお義父さまもお義母さまも喜ぶでしょう。
 販路をグレーデンにすることで一定数は確保って感じかな。

「それほど望んでいただけるとは」
 樹液を探す前に良い物見つけちゃったよ。
 でも樹液探しは手伝ってね。男爵。

 キノコの仕入れはウォレス家の家令さんを交えて契約する話になった。
 セリウスさまがホクホクなのでもしかしたら美味しいキノコに一番喜んでるのかも。

 デザートは素朴な木の実のクッキーと蜂蜜コーティングのナッツタルトだった。
 優しい甘味でジュリアスさま好みだったよう。ルルゥは頭の中で色々想像してるんだろうな。
 
 他所のお宅なのでアズライトたちはお部屋でお留守番だ。彼らは普通の家では一緒に食卓を囲めないことを理解しているので納得はしてる。ちゃんと夕食とおやつを用意しておいたので、サラとメルとアランとジェイクにお世話されて食べてるだろう。
 
 令息レオンくんとハインツくんは食後のお茶タイムで、ジュリアスさまとセリウスさまに王都の学園のことや騎士団のお話をねだった。

 将来は騎士になりたいみたい。
 レオンくんは長男なので後継なんではと思えば、領地の安全を考えて、数年は騎士団に勤めて鍛えたいそう。

 将来のこと、領地のことをしっかり考えてて偉いなぁ。ハインツくんは騎士団で騎士爵を得るまで頑張って、引退後はレオンくんの補佐をと考えてるんだって。

「賢いな」
「将来有望だなー」
 弟と手を繋いで目をキラキラさせてるお兄ちゃんと、お兄ちゃんと一緒にいたい弟って言う健気な様子にジュリアスさまとセリウスさまはほっこりだ。

 夫人が寝る時間よって怒るまで、二人はジュリアスさまとセリウスさまにべったりだった。





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