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二章

650話

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 ジュリアスさまたちは夜遅くに戻って来た。
 お出迎えはお部屋でしたよ。

 普段はルークやセバスチャンが調整して定時?なので、留守中の分っていうのは残業になっちゃうんだねぇ。

 ルークはソワソワしちゃってて、妻と子が心配なのはジュリアスさまもセバスチャンも当たり前だと思う性格なので、早めに帰れって追い出したそうだ。
 あの氷原の魔王さまが。人は変わるものだ。
 仕事はきっちりしたいけど妻が気になるって一時間だけ抜けて戻って来たそうだ。真面目。

 お疲れのジュリアスさまをジャスパーとマッサージしてあげる。
 肉球と毛皮の感触フルコースだよ。
 アズライトもジュリアスさまの足腰をビタンビタン。効くかな?
 
 二人と二匹でブランデーを飲んでお休みなさい。お酒美味しい。



 私はお義母さまと子供用品の話と、お義父さまとセリウスさまにウォレスで欲しい物を発見できた場合の話を詰めたり、ニーナとお茶タイムを取ったりしつつ、出発の日を迎えた。

 ワイバーンの受け入れがOKだったので、ラヴァたちで行くことになった。

 お見送りにはニーナとルークも来てくれた。
 一緒に行く予定だったのにってルークにジトッと文句言うのを宥めた。
 三週間なんてあっという間だよ。

 ウォレス行きは、ジュリアスさま、ジャスパーにアズライト、ポム、ティム、セリウスさまにシャム、ルルゥにディディエ、セバスチャン、シエル、アランとジェイク、チェイスさんとアモンさん、サラとメル、他騎士隊十名と言ったメンバー。

 もふもふが残らない事にお義母さま、ニーナをはじめ、コックさん、侍女さんたちが嘆いちゃったけど、ポムもティムも絶対行くって言うし、シャムはセリウスさまと離れたくないし、ディディエは、ルルゥがこの旅に絶対同行するって言うので当然参加だ。

 ルルゥ、私は美味しい物が食べられるし嬉しいけど、自由だなぁ。
 自由が許されるグレーデン家の大らかさと、それを可能にするほど、ルルゥの腕が確かだからね。
 しかも騎士としても強いから頼りになるのだ。

「では父上、クラウス、留守を頼む。ルーク、俺の代行を頼むぞ」
 ルークには騎士団総帥代行、お義父さまとクラウスさまには総領主の代行をお願いした。
 

「良い旅路をぉ」
「お土産よろしくー」
「気をつけてな」
「いってくるのじゃ」
 お義母さまとお祖母さまにハグされ、クラウスさまはセリウスさまをちょっと恨めしげに、お義父さまは力強い笑顔で。 

「「「「いってらっしゃいませ」」」」

 侍従侍女さん、騎士さんたちに見送られて出発。

「「行ってきます」」
「「「「グルギャォオオーー」」」」

 私はジュリアスさまにがっしり守られてラヴァの背に乗って上空に。
 ぐんぐんと昇って行くのに、魔法で結界を張ってるので空気抵抗なく、ただ絶叫マシンに乗り込んだような気持ちで周りを見渡す。

「わぁ~」
 一緒に乗っているのはアズライトとジャスパー。
 ポムはアラン、ティムはジェイクが連れてる。

「ここから三時間ほど一気に飛ぶぞ」
 
 わぁ、サラとメルはゴンドラだけど大丈夫かな??

 周りにセリウスさまを乗せたジュエル、ルルゥを乗せたルージュ、それぞれ色合いも違う個性的な子が並ぶ。

 セバスチャンは紫の子に乗ってる。
 騎士服じゃなくて執事服。周りが騎士たちなので違和感が。でもセバスチャンも強いし、グレーデンっ子なので普通、普通ってなんだろうね?

「ギャーーーーォ♬」
「グォーーーーァァァ♪」
 ワイバーンたちはご機嫌だ。

「リーシャやアズライトと一緒で嬉しいのだろう」
 ジュリアスさまが、そう言ってくれる。
 アズライトは竜種の中で頂点の存在だからわかるけど、私のことも好きでいてくれるの可愛すぎるよね。

『ふむ。愛い奴らよの!一緒に飛ぼうかの』
「アズライトは目立つからダメでしょ」
 本来の姿はとてもデカくて綺麗なパールホワイトの古代竜なんだから!
 サイズ控えめにしても、ドラゴンなんだよ。ワイバーンとはまた違うんだからね。

『人間はこんな上まで見えぬだろうにの』
 それはそうだろうけど、他領の騎士が見ちゃったら、絶望しちゃうかもでしょ。

『我も飛べるんだぞ!』
 ジャスパー派張り合わなくても良いのよ。
 フンスと翼を出して広げようとするのを止めた。

「もー、大人しくしてないと落ちるよ」
『そんなドジではないの』
『落ちても飛べるんだぞ!』

「ははは、これは楽しい旅になりそうだ」
 ジュリアスさまがラヴァの手綱を引いてスピードを上げた。

「兄上、右方向強風」
「了解、進路は予定通りで行こう」

 雲の流れが近くで見える。

「ギューーーォ」
『あれは食べれないと言うておろうに』
 
 ラヴァたちが真っ白で綺麗な雲を見て綿菓子を思い出したらしい。
 アズライトが『食えぬ』と言うと残念そうな声があがった。

 みんな食いしん坊だね。


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