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二章

646話

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 ルークとジュリアスさまがパニックで?ワイバーンに乗ってきたので、私はラヴァたちに出来立てのオヤツをあげて、ラヴァにベロンベロンされちゃった。
 ルークの相棒が、ニーナには遠慮がちに鼻ちゅしかしないのは妊婦さんって気付いてるからかな?
「ギャヒャーゥ」
「ギュルルルゥ」
 首をわしゃわしゃ、ムツゴ○ウさんになったつもりで「よーしよしよし」をして厩舎担当さんに後を願いしてお別れ。

 私はジュリアスさまに抱っこされ、ニーナはめっちゃ嫌がったのに姫抱っこで本邸に戻った。
「ルークってあんなになるのねぇ」
 ルルゥが親友?の変貌にちょっと不思議な気持ちになったようだ。

 ルークもジュリアスさまも慌てて帰ってきたし、マギー先生も呼んだので、グレーデン家には大々的にお知らせになっちゃった。
 ニーナが能面のようになってる。
 お休みの事もあるからどの道知られちゃうんだ。

「まぁ!!まぁ!!素敵ねぇ♡」
「めでたいな」
「これは吉兆だぞ」
 
 お義母さまもお義父さまもルークに抱かれて戻ったニーナに心配顔だったのに報告を聞いて大喜びだ。
 スピネルさんは占い師みたいな事言い出した。

「ルルゥ~。今夜はお祝いよぉ~!ルークちゃん、ニーナ、食べていってねぇ♡栄養に気を使ったメニューにしてねぇ」
「はぁい」
 夕食はお祝いメニューになった。
 妊婦さんに深夜までのバーベキュー宴会は無理なので、ささやかな内輪のお祝い。

 ニーナが恐縮しちゃってるけど、普通に領主兼総団長であるジュリアスさまの側近なルークの奥様なので高待遇受けてて良いのだ。
 私の姉だし!!!

 セリウスさまたちも帰宅して、みんな揃った食卓。ルークはニーナの椅子に自分の椅子をくっつけちゃって過保護になってる。
 あんなクールっぽい人がこんな甘々になっちゃうんだ。すごいなぁ。

「お義母さま、私は叔母になるのですよ」
 自慢しちゃうの。自分のことは置いといてね☆
「まぁ!息子の親友兼側近の子なら孫も同然よぉ!私もお祖母様ですわぁ」
 張り合っちゃうお義母さま可愛いな。

「ならばワシもお祖父様じゃ」
「俺は曾祖父さんだ」
「私ゃ曾祖母さんだね」

 結局、身内の子はみんな家族だ。

「えー、俺も伯父さん」
「僕も?楽しみだなー、ってルークってリーシャちゃんの義兄ってことー?」

 は!!!姉ニーナの夫は・・・!?
 私、うっかり怖いお義兄さんが出来てたのか。いやー。

「え?じゃぁ俺の義兄!?」
 ジュリアスさまも衝撃を受ける。
「お前みたいな怖い義兄は嫌だ」
「俺は義弟ならヘタレでも別に構いませんよ」
 ルーク、笑ってるけど、怖い笑顔だ。

「「ヘタレ!!」」
「兄さんはヘタレなんだー」
「あはは、まぁ何事にも慎重だよねー」

 セリウスさまは少し優しめ。

「ププキュ!」
「モッキュ!」
「ギャ!」
 どう考えてもジュリアスさまを揶揄ったポーズをしてる。ニーナが可愛さに悶絶してるから良いかな。
 ジャスパーはジュリアスさまを肉球でポンとしてる。慰めは辛いんだぞ。

 まぁ、ルークは生涯をグレーデンに捧げてるような人だし、家族って言っても良いんじゃないかな。怖いけど。

「でもニーナ、ルークとの魔力差があるからちゃんと定期的にマギーとロジャーの検査を受けてねぇ?」
「そうだよ。ルークもよくよく気をつけてやりな」
「はい」
 魔力差かぁ?実はニーナの内包魔力はそれなりなんだけど、ルークはジュリアスさまの背中を預かるくらいだからね。
 魔力ポーションがあった方がいいかなぁ。

 甥っ子か姪っ子のために叔母は色々頑張るよ。
 

 ちなみにお義父さまとお義母さまも差があったので、胎児(三兄弟)がめっちゃ魔力を吸って大変だったそう。
 うひょー。この世界のママさん大変だなぁ。

 お義母さまも高位貴族家出身なので魔力は高い方だけど、普段から討伐に出て魔力を使ってる騎士と普通の暮らしをしてきた令嬢では違って当たり前なのだ。

 夫からも胎児に魔力をいっぱい注ぐそうだから、仲良し夫婦じゃないと妊娠中大変そうだなぁ。
 
「ふふ、グレーデンで魔素いっぱいの食事をしてるからそんなに心配は無いわぁ」
 
 先輩ママさんがいる心強さ。

「ふむ。久しくこの家には赤子を寄せれなんだが、今はだいぶ安全じゃし、育児スペースでも置くかのぉ」
「そうだね、産休と育休中はニーナも不安でしょうから屋敷内にルークとニーナの部屋を用意しようか」
 お義父さまもお祖母さまもグイグイだ。

「そうねぇ、屋敷内ならルークちゃんも留守中が安心でしょうしぃ、ニーナもリーシャちゃんと一緒にいられるしどうかしらぁ」

 せっかく一軒家を整えたのに、いいのかな?
「それは安心ですが」
「そこまでお世話になるわけには」
 ルークは前向きでニーナは困惑気味。

「私はニーナが一人でいる時間が心配だし、屋敷内ならポムたちがニーナに会いに行く時間増えそうだしいいと思う」
 断りそうなニーナには必殺もふもふ歓待の誘惑を。

「プッキュン♡」
「モッキュン♡」
「ギャァ♡」
『ニーナとお昼寝したいんだぞ♡』
「きゃ?きゃん♡」

 空気をよんだポムたちのキュルルン攻撃を受けたニーナは「よろしくお願いします」って。白旗をあげたよ。




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