上 下
648 / 701
二章

637話

しおりを挟む
 今日は久しぶりにクラウスさまとフーゴの村に行きます。

 ジュリアスさまが「一緒に行きたかった」と売られて行く羊のようにルークに連れて行かれました。

 完!!

 じゃなくて。

 私を「護衛するんだぞ」ってジャスパーもジュリアスさまをお見送りしちゃったので余計に切ない顔だった。ジュリアスさま、今夜はマッサージするね!

 ジャスパーはアズライトやポムたちにフーゴの村が楽しいと言うことと、子供たちに会ってみたいんだそう。
 獣人はここにはいないし、騎士団にも少ない。私は実際まだグレーデン騎士団の中では見たことがないよ。いまだに全員に会えない領地と騎士団の規模の凄さ!!

 ルルゥがキッチン馬車の準備をしててポム、ティム、ディディエを乗せて、私はクラウスさまに魔馬に乗っけてもらって行くよ。

 一人で乗れるようになりたいけど、魔馬はめっちゃ大きいのでまず騎乗出来たりして操作が出来ないよ。
 かと言って、普通の馬はグレーデンでは魔獣避けの範囲以外は怯えちゃうから暮らせない。
 外部から来る馬車は?って思えば、近隣領で魔馬に乗り換えてるって。
 そっか。
 普通の馬は長距離走らせる時は、馬屋さんで預かってもらって交換して進むんだった。
 グレーデン近隣で魔馬に変えるの当たり前か。
 うちの魔馬たちは王都までだって交代が必要ない強い子たちなのだった。

 お義母さまは乗れるのに・・・。激しくしょんぼり。激しょんだよ。

『我は一番に到着するんだぞ!』
『道をわかっておるのかの?』
 アズライトがおバカっ子!?属性のジャスパーを道案内するのかな。

 ジャスパーはアズライトを乗せて嬉しそうにぴょんぴょん跳ねて走る。
 にゃんこかワンコか謎のジャスパーはお散歩気分だ。
 いつも通り、アランとジェイク、ニーナ、あとはサラとメル、クラウスさまの護衛って感じで向かう。

「子供たちがちょっと大きくなってるし、畑も工場も池も温泉も増えてるしー、楽しいと思うよー!」

 池?温泉!?
 アズライトさん、出張で開発してくれてるんだね。
 自分の棲家広げるだけじゃ足らないんだ。  
 源泉探して、ポムたちとあちこち開発してくれてるから大感謝だけど、水っ気なしだったグレーデンが急激に変化して大丈夫なのかなぁ。
 あー、でも池とか温泉が湧くってことは地下水が豊富だったんだよね。相当な地下なだけで・・・。

「みんな労働後のひとっ風呂が幸せだって仕事が捗ってるんだよー」
 それは大変に良きかな。

 フーゴの村近くになるとうちの離れ回りみたいにもっさりもさもさな畑と林??果物の木が繁ってる。

「小物の魔獣もよく出るようになったから子供たちが喜んでるよー」
 ちょっと!?それは良いことなの!?

 言ってる側から、ルルゥも小型ナイフ投げてる。
「唐揚げ肉ゲットねぇ♡」
 そこそこ大きな鳥が降ってきたよ。

「あーあ、先越されたー」
『我も捕まえたいんだぞ!』
「プッキュウ」
「モッキュン」
 
 悔しそうなのは護衛さんたちも。何事もなく到着がいいのよ?


 フーゴの村の門で、フーゴたちが待っていてくれた。

「ようこそ」
「リーシャさま、お久しぶりです」
「嫁さまー」
「クラウシュしゃまー」
 子供たちもワラワラっと集まってきてくれる。
 賑やかなで嬉しいな。

 お出迎えに感謝の挨拶をしてから、子供達のお勉強を見せてもらう。

「僕はもう九のくらいいけるよ」
「俺は七ー」
 九九表はこの世界でも使えて良かった。
 バンカは物覚えが良いのかな?アッシュはちょっと悔しそうでかわいいぞ。

「私は三桁計算出来るー」
「暗算難しいー」
 わぁ!結構進んでるっぽい。
 ジジは計算が得意で、ロックは暗算が苦手なんだね。これからだよー。

 バーベラとデイジーが子供たちの主張を楽しそうに聞いてる。

「みんな、得意なことが違うので興味を持ったことを中心に学んでいます」
 デイジーが子供達の成績表?みたいな記録を見せてくれた。評価じゃなくて褒める言葉が並んでて、こんな成績表なら嬉しいなぁっと思った。
 
 今日は時計のおもちゃと組み立てるといろんな形になるブロックを持ってきた。

 時計を読むのは実は大人でも苦手なんだ。
 覚えたら就職にかなり有利なはず。

 この世界は一刻二時間一日が十二刻なので大体一刻後、二刻後って予定を表すので半刻や四半刻とかはあまり使わない。
 時計はあるんだけど、大きな時計台かお金持ちの家に大きな壁掛け。
 懐中時計はめっちゃ高価なのであまり持ってない。

 いずれは小型時計が普及できると良いね。

 時計のおもちゃは時間表示の板に手動で針を動かして、針が指した時間を答えるって言う単純なもの。
 さすがに子供向けなので秒針は付けなかった。

「この短いのと長いの違う~」
「ぐるぐるー」
 あー・・・時計自体を滅多に見ないかー。

 村にも中心に日時計みたいなのがある。陰を気にしたことがなければ難しいかも?




-------------------------

フーゴ村 住人
 
ネオとジジ 双子の猫獣人 
バンカ 狐獣人
ロック 狼獣人 

フーゴ  村長
アッシュ 村の子
ベルク  工場長

バーベラ 蛇人
ディード 熊人
シャンク 豹人

デイジー・スコット ディードの嫁
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~

水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート! ***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!

婚約破棄されたら魔法が解けました

かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」 それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。 「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」 あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。 「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」 死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー! ※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です

三回も婚約破棄された小リス令嬢は黒豹騎士に睨まれる~実は溺愛されてるようですが怖すぎて気づきません~

鳥花風星
恋愛
常に何かを食べていなければ魔力が枯渇してしまい命も危うい令嬢ヴィオラ。小柄でいつも両頬に食べ物を詰めこみモグモグと食べてばかりいるのでついたあだ名が「小リス令嬢」だった。 大食いのせいで三度も婚約破棄されてしまい家族にも疎まれるヴィオラは、ひょんなことからとある騎士に縁談を申し込まれる。 見た目は申し分ないのに全身黒づくめの服装でいつも無表情。手足が長く戦いの際にとても俊敏なことからついたあだ名が「黒豹騎士」だ。 黒豹に睨まれ怯える小リスだったが、どうやら睨まれているわけではないようで…? 対照的な二人が距離を縮めていくハッピーエンドストーリー。

卒業パーティーで魅了されている連中がいたから、助けてやった。えっ、どうやって?帝国真拳奥義を使ってな

しげむろ ゆうき
恋愛
 卒業パーティーに呼ばれた俺はピンク頭に魅了された連中に気づく  しかも、魅了された連中は令嬢に向かって婚約破棄をするだの色々と暴言を吐いたのだ  おそらく本意ではないのだろうと思った俺はそいつらを助けることにしたのだ

婚約破棄にも寝過ごした

シアノ
恋愛
 悪役令嬢なんて面倒くさい。  とにかくひたすら寝ていたい。  三度の飯より睡眠が好きな私、エルミーヌ・バタンテールはある朝不意に、この世界が前世にあったドキラブ夢なんちゃらという乙女ゲームによく似ているなーと気が付いたのだった。  そして私は、悪役令嬢と呼ばれるライバルポジションで、最終的に断罪されて塔に幽閉されて一生を送ることになるらしい。  それって──最高じゃない?  ひたすら寝て過ごすためなら努力も惜しまない!まずは寝るけど!おやすみなさい! 10/25 続きました。3はライオール視点、4はエルミーヌ視点です。 これで完結となります。ありがとうございました!

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

処理中です...