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二章

636話

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 次の週から一週間ずつ、セリウスさまとクラウスさまがナギ接待期間の超過勤務のご褒美の休暇を取った。

 ジュリアスさまの哀愁溢れる背中・・・。

 セリウスさまは、カマランの海を堪能して来て、ちょっぴり日焼けで、海のお土産がいっぱいだった。
 巨大ダコもどきと鯨サイズマグロっぽいのを一撃で沈めてやったぜーって。
 沈めたらダメじゃん!って、ちゃんと魔法で回収して半分カマラン領にあげて来たんだって嬉しそう。
 お義父さまが「アッガスにもいるかのう」って言い出した。大物海獣と対決したいとか言い出しちゃって、お祖父さまもスピネルさんたちも興味津々だ。お願いなのでもう百目は持ち帰らないでね。

 シャムは海の食べ物、特に貝類が好きになったそうだ。
「シャムは最初、貝に喰われかけてさー、逆襲につもりで噛んだら美味しかったんだってー」
 あのパクパク襲ってくるオオホタテみたいなのに食われかけたって!?セリウスさま、ちゃんと見てあげてないとダメじゃん!
 
「きゃんきゃんきゃん!きゃん!」
『僕が美味しそうなのは仕方ない!でも返り討ちだ!と言っておるの』
 ふわふわなマシュマロみたいなイメージなのに勇ましいことです。
 ふんすーっと貝殻をペシペシしてる。

「プッキュウウ!」
「モッキュン!」
 なぜか憮然としているポムとティム。美味しいお土産くれたのにって思ったら、自分たちの方が漁が得意だと、自分たちならもっと漁れたと言ってるとアズライトが。
 ポムたち、大人気ないねぇ?

「アルジェがまた来いよって言ってたよー」
「ははは・・・そうだな」
 行きたくてもルークとセバスチャンがお休みをくれませんので。

 入れ替わりでクラウスさまが旅立った。
 クラウスさまはリュフェリー領に行った。それって休暇になるのかな?って思ってたら、とても満足したお顔で戻って来た。
 グレーデン領の魔の森では出ない魔獣が狩れて楽しかったそうだ。
 ゆっくり休むって感覚はないのかなぁ。
 
 ゴリラっぽいのやサイクロプスとか食べれないのが多かったけど、慣れない相手と戦うのが楽しいらしい。戦闘民族だねぇ。
 あとトレントって言う木の魔物もいっぱい狩ったそう。建築材として重宝らしく、今後も旅館や工場を建てていくから使うんだって楽しそう。やっぱ仕事もしてる!!

「ウィンドタイガーが出てねー!手強かったよー!」
 リュフェリー家のハンメルさまたちと充実した狩りを堪能して、シャムやアズライトみたいな存在に出会えないかと期待して奥まで行ったりしたんだって。

「加護持ちはさすがにいなかったよー。タイガー飼いたいって言ったらルシードさまに懐かないぞって言われて諦めたよー」
 加護持ちは意思の疎通ができるけど、普通?の魔獣は人間とは相容れない。
 獣ならワンチャン?あるけど魔獣は人間や他の生き物を食べるって生存本能的にインプットされた生き物だから共存は無理。
 従魔契約があるけど、元々賢い種族じゃないとただ従うだけの使い魔になるから、アズライトやポムたちみたいなお付き合いが出来ない。

「まぁ!魔獣はダメよぉ」
「だって小さいのいたからさー」
 これくらいって示したサイズは中型犬くらい。それはさぞかし可愛い姿なんだろうって思ったらキバがエグいんだって。噛まれたら死んじゃうよ。

「ジャスパーみたいな従魔欲しいなぁ」
 ジャスパーは確かに可愛い。大きくなる予定だけど今くらいだと一緒に寝れるし。

「出会いはそうそうないぞ」
「私も出会えるもんなら出会いたけどねぇ」
 あちこち冒険に出ていたお祖父さまたちも出会ったことがないらしいので、今グレーデンにこんなにいるのがおかしいって状況らしい。

 アズライトとポムは食べ物目当てについて来たし、ティムとシャムは自らここに来ちゃったから、ほぼ押しかけで。
 ディディエはティムがくれた卵で、ジャスパーは精霊王・・・、あれれぇ?だいぶおかしいな。

「ティムがまた変わった石を見つけたら有り得ちゃうかもですねーぇ?」
 みんなでティムォ凝視しちゃう。
 ティムは「うぬ!?」っと言った感じで首を曲げた。ほぼ腰ごと捻ってるのが可愛いね。

『あんなレアな事態は二度となかろうの』
 ですよねー。
 アズライトがスパーンと希望を断ち切った。

「一週間じゃダンジョンには行けなかったけど次は絶対行くよー」
 リュフェリー領もかなりの魔境のようで。
 
「次はワシもついていくかのぅ」
「えー!父上が付いてきたらすぐ終わっちゃうでしょー」
 仲良しで良いですねぇって、ジュリアスさまがお休み貰えないままで行かれてしまうと大変困るので、やめてください。

 お義父さまってばいいお義母さまが留守だと寂しいのに自分が留守をするのは良いって、ダメですよ!

「俺たちもカマランに行きたいなぁ」
「そうねぇ、三十年ぶりに行ってみようかね」
「今は代替わりしてるだろう?」

 あれれ、次のお休みはお祖父さまたちですか。そうですか。



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