上 下
624 / 710
二章

613話

しおりを挟む
 ルークは半裸のまま、ジュリアスさまの背中の傷が消えて行くさまを凝視してた。
 絵面が、腐ってるんです!

 キラキラ系クール貴公子と熱血系マッチョ戦士がぁって!!
 ジュリアスさまは熱血系ではないけど、見た目ね。
 薄い本が分厚い本に出来そうな眼福さ。

 お腐れモードは置いといて。

 お肌の再生具合に驚愕して、ちょっと眉間をグリグリしてる。
 ニーナがジュリアスさまとルークにシャツを手渡すとサッと羽織っちゃった。
 ちょっと残念って思ったら、ボタン上半分留めないで、セクシー継続。

 しかもお疲れ顔でいつもよりちょっと崩れてる感じがまた、ごちそうさまです。

「リーシャさま、出来上がったもの全てとレシピを騎士団に売ってください」
「え、失敗だし、レシピは美容液(すでに権利登録済)のなんで要らないです」
 要らないはダメだった。ギロッて睨むことないじゃん!
「素材はお義父さまとお祖父さまが貯めてくださってる物なのでグレーデン家に入れてくれれば良いです」
 ちょっと混ぜてペカーッてしただけ!
 仕上げは魔力過多って言う、魔力次第なのでレシピの説明も美容液のレシピに最後は「仕上げ寸前に魔力をドバッと入れましょう」ってなるよ?

 ルークはレモン丸齧りしたみたいな顔で、
「リーシャさまの真似をしてもこの出来で再現出来ないことは承知しています。成分を解析して一般のごく普通の魔導師が製作出来るように模索させますよ」
って言われた。

 何よ。私もごく普通のカンガリー教授とリックさまのお墨付きを得た学園の錬金、魔道具科卒扱いの魔導師だよ!

 反論すると倍以上返ってるからしないけど。

 お代もグレーデン家に素材相当分と私の特殊技能に対する報酬を分けて口座に入れてくれをそうだ。
 グレーデン家としても騎士団としても予算が潤沢なんだよねぇ。

「庭師やコックたちは大きな傷が残っている者も多い。試して貰えるか聞いてみてくれ」
「承知しました」
 ルークは服を整えて、私がジュリアスさまの腰や足に使う分を取り分けてから、超再生ポーションを持って出て行った。

「では着替えて食事に向かおうか?」
「はい」
『お腹空いたんだぞ』
 微妙な空気感の中、大人しくしていたジャスパーは頭のいい子。

 私はニーナに着せ替えてもらって簡易ワンピースになった。久しぶりにとっても軽い。
 髪は後ろで緩くまとめて貰えた。

 私はジュリアスさまの腰とか超ガン見しちゃったら「寝る前にな」って苦笑された。
 どうせ塗るなら風呂上がりにって。

 着替えが終わって食堂に向かうと、セリウスさまとクラウスさま、お祖父さま、お祖母さまたちが揃っていた。
 アズライトとシャム、ディディエもすでに待ってる。ポムとティムはお義父さまとダンジョン。

「リーシャちゃん~、ルークなんだってぇ~?」
 セリウスさまが興味津々で聞いてくる。
「美容液作り失敗して傷の跡が治る液が出来ちゃったので、魔力調整についてチクっと?」
 ジュリアスさまが私を膝に乗せて座りつつ、苦笑して超再生ポーションの説明をした。

「へぇ!私も試したいわ」
「またすごいのが出来たな」
 お祖母さまは美容液派生だからお肌に良さそうって目がキラキラ、お祖父さまとザイルさん、マルゴさんは若い時の傷がそれなりに残ってるんだそうで試したいんだそう。
 スピネルさんは気にするほどの跡は無いって。

「あらぁ!素敵!私も試したいわぁ」
 料理を運んできたルルゥもお祖母さまと美容は大事よねって。
 お祖母さまとルルゥはすでに強い方の百目ポーションも卵膜パックもしてるからすでに傷跡はほぼ無いと思うんだなぁ。

「傷ないならあんまり意味ないんじゃないですか?」
「なぁに言ってんの!皮膚は毎日火傷してるのよぉ~☆日々のケアすんごく頑張ってるんだからぁ」
 物凄い勢いで反論された。日焼けは火傷だって。

「そうだよ。リーシャちゃん、私やルーデウスくらいになるとね、毎日皮膚がボロボロ劣化してるのさ」
 お祖母さまがしれっとルルゥと同年代に年齢偽装してるぅ。さすがのルルゥもちょっと口がヒクッとした。逆にルルゥがお祖母さまの年齢に近い疑惑にも受け取れるしね。

 お祖母さまとルルゥがキャッキャはじめたら男性陣がスゥッと会話から逃げちゃった。
 
「良いか、女性のドレスと化粧と美容についての話に口を挟むのはダメだぞ」
 お祖父さまが真剣な顔でセリウスさまとクラウスさまに言う。スピネルさんたちも激しく首を縦に振ってる。
 何か過去にあったんだろうか?

「それは母上と伯母上たちに叩き込まれてるよー」
「そうそう、母上に逆らっちゃダメー」
 ジュリアスさまも「そうだ」って。
 三兄弟を完全に調教済みなお義母さまであった。

「ふっ・・・、褒めることも忘れてはならぬし細かな違いに気付かないのもダメだぞ」
 お祖母さま、そんなに厳しいかなぁ?
 お祖父さまってそんな繊細な違い気にしそうにないし。あ、それは失礼だったか。

「俺の母上や姉上は苛烈だった」
 あ、先先代と大伯母さま??
「あの頃はグレーデンには何もなかったからなぁ、母上たちが王都での流行りの物を身に着けている時に気付かないと「こんなわかりやすい物に気付かずに臣下や民の暮らしに気を使えているつもりか?」と父上と兄上と弟共に説教されたものだ」
 スピネルさんたちも、
「鉄扇が飛んできた」
「俺、肉切りナイフ」
だって。
 うほ。鉄扇あるんだ。

「女性には繊細な心遣いと優しさを持って接するように」
 お祖父さま、三人のお孫さまもジェイデンやアッガスのお孫さまも、みなさん大変優しいです。

 そうかー。お義父さまもジェイデンの伯父様も奥様に超優しいと言うか尻に敷かれ気味と思っていたら、教育厳しかったのか。


 魔獣にはめっぽう強いのに、お祖父さまたち、お祖母さまが一番怖いのかしら?





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

三回も婚約破棄された小リス令嬢は黒豹騎士に睨まれる~実は溺愛されてるようですが怖すぎて気づきません~

鳥花風星
恋愛
常に何かを食べていなければ魔力が枯渇してしまい命も危うい令嬢ヴィオラ。小柄でいつも両頬に食べ物を詰めこみモグモグと食べてばかりいるのでついたあだ名が「小リス令嬢」だった。 大食いのせいで三度も婚約破棄されてしまい家族にも疎まれるヴィオラは、ひょんなことからとある騎士に縁談を申し込まれる。 見た目は申し分ないのに全身黒づくめの服装でいつも無表情。手足が長く戦いの際にとても俊敏なことからついたあだ名が「黒豹騎士」だ。 黒豹に睨まれ怯える小リスだったが、どうやら睨まれているわけではないようで…? 対照的な二人が距離を縮めていくハッピーエンドストーリー。

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた

もふきゅな
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。

【完結】僻地の修道院に入りたいので、断罪の場にしれーっと混ざってみました。

櫻野くるみ
恋愛
王太子による独裁で、貴族が息を潜めながら生きているある日。 夜会で王太子が勝手な言いがかりだけで3人の令嬢達に断罪を始めた。 ひっそりと空気になっていたテレサだったが、ふと気付く。 あれ?これって修道院に入れるチャンスなんじゃ? 子爵令嬢のテレサは、神父をしている初恋の相手の元へ行ける絶好の機会だととっさに考え、しれーっと断罪の列に加わり叫んだ。 「わたくしが代表して修道院へ参ります!」 野次馬から急に現れたテレサに、その場の全員が思った。 この娘、誰!? 王太子による恐怖政治の中、地味に生きてきた子爵令嬢のテレサが、初恋の元伯爵令息に会いたい一心で断罪劇に飛び込むお話。 主人公は猫を被っているだけでお転婆です。 完結しました。 小説家になろう様にも投稿しています。

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

愛なんてどこにもないと知っている

紫楼
恋愛
 私は親の選んだ相手と政略結婚をさせられた。  相手には長年の恋人がいて婚約時から全てを諦め、貴族の娘として割り切った。  白い結婚でも社交界でどんなに噂されてもどうでも良い。  結局は追い出されて、家に帰された。  両親には叱られ、兄にはため息を吐かれる。  一年もしないうちに再婚を命じられた。  彼は兄の親友で、兄が私の初恋だと勘違いした人。  私は何も期待できないことを知っている。  彼は私を愛さない。 主人公以外が愛や恋に迷走して暴走しているので、主人公は最後の方しか、トキメキがないです。  作者の脳内の世界観なので現実世界の法律や常識とは重ねないでお読むください。  誤字脱字は多いと思われますので、先にごめんなさい。 他サイトにも載せています。

転生先が意地悪な王妃でした。うちの子が可愛いので今日から優しいママになります! ~陛下、もしかして一緒に遊びたいのですか?

朱音ゆうひ
恋愛
転生したら、我が子に冷たくする酷い王妃になってしまった!  「お母様、謝るわ。お母様、今日から変わる。あなたを一生懸命愛して、優しくして、幸せにするからね……っ」 王子を抱きしめて誓った私は、その日から愛情をたっぷりと注ぐ。 不仲だった夫(国王)は、そんな私と息子にそわそわと近づいてくる。 もしかして一緒に遊びたいのですか、あなた? 他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5296ig/)

処理中です...