ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

608話

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 夜の闇が深くなっても続くマッチョたちの乱舞。
 マッチョたちの筋肉と汗が月明かりとキャンプファイヤーな炎の光で煌めくよ。
 精霊たちも楽しそうだと集まって来てふわふわマッチョにぶつかって遊んでる。

「「「「フォッフォッフォッフォッ」」」」
「「「「「フォッフォッフォッフォッフォッフォッ」」」」」(野太い)

「「「「フォッフォッフォッフォッ!!!」」」」
「「「「「フォッフォッフォッフォッフォッフォッーーーーーゥ!!」」」」」(甲高い)

 王妃さまたちは都会の女性たちなのに忌避感はなく、全力で楽しんでる。
 筋肉や男の人の半裸とか全部とっぱらいで初めての体験が嬉しいんじゃないかなぁ?って推測なんだけど、あれからずっと踊ってるのを全力で楽しんでる。

 本当にマッチョに目覚めちゃったのかも。
 ようこそ!!マッスルキングダム!!
 ゴーゴー!!マッソー!!
 
 クミちゃん!!イベント行けなかったの悔しいけど、すんごいの観れたよ!!実況音声ないけど楽しいよ!!

 ジュリアスさまが途中「もう戻って寝よう」となんどう言うけど、嫌!!!

 すでに吹っ切れまくったセリウスさまとクラウスさま、アランとジェイクも巻き込まれ広がって行く筋肉の輪。

 ルルゥとルークだけは断固拒否。
 シャツ一枚にはなるけど半裸は嫌ならしいよ。そこだけ都会っこ?

 領民の女性たちは脱がない(当たり前)けど、お囃子したり、踊り子(オジサンたち)飲み物持たせたり、一緒に楽しんでるし、「フォッフォッ」って王妃さまたちと拳を振り上げて飛び跳ねてる。

「いつもより盛り上がってるわねぇ」
 
 その「いつも」を存じ上げないのですぅ。

 だんだん踊りにぶつかる動作が増えて来て、応援も最高潮。

「「「「フォッフォッフォッフォッ」」」」
「「「「「フォッフォッフォッフォッフォッフォッ」」」」」(野太い)

「「「「フォッフォッフォッフォッ!!!」」」」
「「「「「フォッフォッフォッフォッフォッフォッーーーーーゥ!!」」」」」(甲高い)

 円陣から二人が躍り出て来て、右肩ドーン、左肩ドーンとやってから、空手かな?手も足も使って筋肉隆々な場所をぶつけ合う。
 
 これ一組ずつやるの!?すっごい!

 何組かの後にザイルさんとドーリーさんのちょっと年配組が組み合った。

「行けー!!」
「押されんなぁ!!」

 お祖父さまの冒険仲間とお義父さまの元側近な馬屋番、庭師たちがすごい熱量で応援だ。みんな半裸。

「すごいわねぇ、こんな力強いお祭りをしているから王国騎士も近衛も敵わないのね」
 王妃さまがミルゼさんの腕を支えに、うっとりして見ている。

 多分、こんなお祭りしても一部の人しか参戦しないよ。王都の人たちで開催したら、筋肉断裂しちゃったり骨折して、騎士団崩壊するのでやめてあげてほしい。

「うちに鍛錬でやってくる王国騎士団や他家の騎士はこの光景を見ると地獄だと言いますよ」
 ルークが平坦な声で言う。
「私はこの辺境が気に入っていますが男同士で汗を交じり合わせて肌を合わせることは受け入れません」
 ルーーーーーク!!!
 言葉が破廉恥になっていまーーーす!!!
「いやねぇ!確かにぶつけ合ってくっつくけど、肌を・・・触れ合ってるわねぇ?」
 お義母さまー?コテンと首を傾げてとても可愛らしいです!!でもフォローは最後までしましょう。

 女官侍女さんたちが若干赤面しちゃった。ルークみたいな美丈夫が卑猥な言葉言うの危険。
 ちなみに王妃さま付きのお方たちなので、お義母さまより少しお若い方から、お祖母さまのくらいの年齢層のお方たちである。乙女のように赤面させちゃってルークってばイケナイんだよー。

 ますます世が更けて、祭りは最高潮で私も興奮MAXくらいでジュリアスさまに抱き上げられて強制退場にされて、ちょっと泣いた。
 お義母さまと王妃さまが「あらあらおやすみなさい」ってお気の毒って感じだったよ。
 とってもとっても悲しいよ!!
 ルークとニーナもついて来てくれそうだったけど、ジュリアスさまが「もう遅いから休んでくれ」って。

「ジュリアスさまのバカー!」
 ボスボス胸叩いちゃう。
「興奮しすぎだ。もう休もう」
『嫁、嫁の体力は少ないと聞いたんだぞ』
 ジャスパーまで宥めてくる。
「うぇーん!お義父さまとお祖父さま見たかったのにぃ・・・ゥゥアァ」
 最高峰マッチョたちの熱き戦いがぁ。

「リーシャは俺だけ見てれば良いだろう?」
 グアー!!マッチョ格闘場面から、いきなり少女漫画になった。
 あまりの唐突なジュリアスさまの甘ーい言葉にキョトンとなったのは仕方ないと思うの。

 抱っこ状態でお部屋に向かって、背中トントンと宥められて。

「体力を使い過ぎたから風呂は朝にしよう?」
と、着替えさせられてジャスパーと一緒にベッドに運ばれた。

「ほら触って良いから」
 胸元を肌けて、私の顔を胸に寄せてくれた。
 うぅー。嬉しいけど、躍動的マッチョと平常時マッチョはちょっと味わいが違うのぉ!

 だけどせっかくなので思いっきりお触りした。ジャスパーの腹毛も『良いんだぞ』って差し出されたのでめっちゃサワサワさせてもらったよ。

「あの踊りは宴会をすればまたやるから元気な日にな?」
 私はとても元気だったのにぃ。

 でも普段ぐっすりな時間、すぐに寝てしまったようだ。


◻︎◻︎◻︎

 ボス!!

「んぎぎぃ!」

 はむはむと俺の脇を甘噛みするリーシャはとても眉を顰めて、魘されている。
 祭りを最後まで見れなかったのが相当悔しいようだ。

 望むようにさせてやりたいが、リーシャはまだまだ細いし、身長もほしいと言っているから睡眠は大事だろう。
 父上たちの好調な時の踊りはみんなが疲れて寝るまで続くこともある。
 俺は明日も仕事だし、付き合いきれない。

「そこだー!!行けー!決まったぁああ!!」

 今日の寝言はかなり凄そうだ。

 ボス!!
「ヴォ!」

 肘が喉に入った。

「んひひ」

 ジャスパーは賢く足元に丸くなっているが甘いと思うぞ。


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