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二章

607話

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 離れ近くも本邸前の道路沿いもまだまだ盛り上がってた。

 王妃さまは興味津々にあちこちのテーブルを覗くから、高貴な女性に出会う機会がない騎士さんや領民がちょっと挙動不審。
 どんな人でも打ち解けちゃう人たちでも王族ってなると困るね。
 でも王妃さまが「これはなぁに?」「どうやって食べるのかしら?」って質問してるので世話焼き気質なグレーデン民は聞かれる前に説明したり、お料理を持ってきて「どうぞ」ってなった。王妃さまの人心術?もすごいぞ。

「うふふ、ガーデンパーティはたまにするけれど、王宮内のお庭でしょう?こんなお外でお肉焼いたりするのって初めてよ」
 ほとんどの貴族夫人は未体験です。多分。
「こぉおんな大きなお肉を手掴みで食べるのって面白いわねぇ」
 王妃さまは騎士さんたちが持つまんが肉よりは小ぶりな骨付き肉を手掴みで持ってニッコリ。

 私はジュリアスさまと手を繋いでテーブルを回る。セリウスさまとクラウスさまもあちらこちら。お祖父様たちは居住区や騎士団棟近くまであちこち顔出しに行ってるって。

 ルルゥ包囲網は若干解消されてたので声を掛けると、「遠慮の無くなった女性はみんな姉に見える」ってゲンナリしてた。お姉様に怒られちゃうよ。

「それよりぃ!今日は特別に精霊が飛んでいったじゃなぁい?」
 あ、やっぱりすごく見えたんだね。
「王妃さまが聖具を献上したから精霊王が出てきたよ」
 一応こっそり言ったら「それはすごいわねぇ」って。
 王様もいずれ行きたがってたけど、なかなか来られず、王妃さまが仕掛けた「いつものお返し」が壮大になってしまった。
 精霊王はこの国の信仰が薄いことに憂いを持っていても怒ってはいない。
 王族の行いはしっかり見てるって聞いて、王妃さまは喜びを感じるとともに決意を新たにしたんだって私は感じた。

「この国の神殿は拝金主義になってるからねぇ。ハーボットっていう大きな財布が消えて今が叩きどきなのよぉ~」
 あ、そうなんだ。
 でも王家は口出しし難いって。
 公爵家や多くの貴族が憂慮してはいるものの、神の家である神殿を潰すことには躊躇がある。今の神殿を明け渡してもらうか?新しい神殿を作るか?どっちも難しそうだなぁ。

 精霊があちこちで見られるようになって反省してくれたら良いけど逆に「神殿のおかげ」とか言って、利用しそう。

 精霊樹の種が各地に植えられたからそこに信仰を集められたら良いねぇ、って王様はそのつもりでポムにお願いしたのかも。

「おーい。みんな踊るぞぅ」
「「「わぁ!!!」」」
 お義父さまが上を脱いでポーズを構えた。
 それに続いてみんな脱ぐ。
 いつもより多めのお酒で超盛り上がってる。

「キャァアア!!」
「「「ワァ」」」
 王妃さまと女官侍女さんたちが黄色い歓声を。「ダメェ」じゃないんだ。
 ちなみに王妃さま、いまだにミルゼさんは離してない。

 私は夜が更けると寝る時間にされてたので今まで見る機会がなかったのかと悔し涙が出そうなマッチョ祭りが始まった。

「「「「フォッフォッフォッフォッ」」」」
「「「「「フォッフォッフォッフォッフォッフォッ」」」」」
 口で笛?みたいな声を出して、スクワットみたいな動きで横跳びしていく。
 どっかの民族みたいな?
 音は空になった酒樽や皿を叩く。
 そのうち片足で飛んだり腕の動きをつけて空手の型みたいな。

 血肉湧き上がるマッチョたちの踊り。
 私もお義母さまも最前列を確保。
 私に引っ張られたジュリアスさまは少し困ってる。
「あら、ジュリアスも踊ってらっしゃい」
「嫌ですよ」
 どんどん広がるマッチョの輪。

「あ、アモンさんとチェイスさん」
 私はアモンさんとチェイスさんを見付けて、近くに控えるアランとジェイクを「踊らないの?」と見る。「護衛中ですから!!」と首を振られた。
 ジュリアスさまの側にいるルークを見上げると良い笑顔で拒否された。
「あれは特に鍛え上げられた筋肉の持ち主しか様になりませんので」

 ルークはもちろんジュリアスさまは相当なナイスマッチョだよ?

 ジャスパーは混ざりには行かないけど私たちの隣で体を大きく跳ねさせてる。

「リーシャちゃん、あの踊りの最後は身体をぶつけ合うのよぉ~、若い子は暑苦しいって嫌がるのぉ」
 なんと最後はレスリング??お相撲さんかな。

「「「「フォッフォッフォッフォッ」」」」
「「「「「フォッフォッフォッフォッフォッフォッ」」」」」(野太い)

「「「「フォッフォッフォッフォッ!!!」」」」
「「「「「フォッフォッフォッフォッフォッフォッーーーーーゥ!!」」」」」(甲高い)

 王妃さまたちを筆頭にうちの侍女ーズさんたちもお酒を片手に大歓声!

 本当にこれ毎回見逃してたのかと思うと悲しみ。
 ジュリアスさまが参加したくなくて私をダシに逃げてたんじゃないかと疑っちゃう。

 ポムたちが参加する姿見たかった。いつもはしてるのかな。

「ギャァーーーァァァ」
 マッチョダンサーズにセリウスさまが捕まって強制参加になった。

「お前たち!俺たちがいない間に始めるとはずるいではないか」
「そうだそうだ」

 お祖父さまとスピネルさんたちが戻ってきてすぐ上を脱いで参加した。

「あーあ、今日は終わらないんじゃないかい」
「お祖母さま」

 アッガスと王都行きで騎士さんたちもかなり動いていたから、みんな仲間が戻って嬉しいらしい。

「騎士団棟では下履き一丁になるんだよ」
「まぁ!!」
 王妃さま、国一番の淑女!!そこ食いついちゃダメ!

「うふふ、最後の揉み合いまで下履きモタナイのよねぇ」
 騎士団ズボンは強化されてるけど下着は無防備!!
 でもパンツ破けちゃうぶつかり合いって何?

「お義母さま、見ちゃったんですか?」
「見ちゃうわねぇ、ここでもズボン脱いじゃう人もいるからぁ」
「「「「「まぁ!」」」」」

 いや、王妃さま!?女官侍女さん!?

 筋肉は良いけどポロリはダメだよ!!
 

=============

いつも応援、エールをありがとうございます!!

たまに下ネタというかおバカネタ入れたくなっちゃってごめんなさい。

クスって笑っていただけると嬉しいです。

ついでに〈ちびっ子〉をお読みくださってる方には好みじゃ無いかもですが、新作〈女神に憐れまれてチートを貰ったので好きに生きてみる〉と言うオッさんのお話を書いてます。
ビックリなことに一瞬だけHOTランキング一位でした。
タバコと酒が好きなダメなオッさん、ちびっ子に出てくる男性陣より、本当にダメなオッさんが好き勝手していくお話、良かったら見てくださいね♪



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