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二章
606話
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船着場周りの宴会場でラヴァたちと少しだけ混ざって祭りを楽しむ。
陸に上がったワイバーンたちを仰ぎ見た王妃さまたちは改めてその大きさにびっくりしたみたい。
王国騎士団が使役しているワイバーンたちより一回り以上はでかい。運動量と食べる餌の量が違うからね。
野生のワイバーンを定期的に迎えるグレーデンと繁殖で増やす王都の差も。
血が濃くなり過ぎないように、辺境三家などワイバーン隊が立ち寄った際はお見合いしたりしてるようだ。
ワイバーン界も強いオスがモテる。でも知能が高く伴侶がいる子はオスでもメスでも他の子に行かない。浮気症の子はちょっとおバカってことかなぁ?
気性の激しいメスだと浮気したオスはボッコボコだって。人間と変わらないね!
脱線しちゃった。
でもウチの子たち、王都の子たちよりカッコいい自慢。人間もワイバーンもマッチョ最高!!
「グッギャギャゥオー」
「ンッギャグギャオォオオンッ」
ご機嫌なラヴァたちのちょっと可愛くない歌声は王妃さまたちにウケてる。
さすがに慣れてない女性に顔をグンと寄せたりしないようだ。私は女性じゃないのかなぁ。
ワイバーンたちを見上げながらも、王妃さまはミルゼさまの腕をずっと取って離さない。かなりお気に入りに。
ミルゼさんはグレーデン領出身の騎士の娘で、貴族としてドレスになる事を踏まえて体を女性らしさを残しているアンゼリカさまやマデリーさまとは違って、全身鍛えてて、強いていうなら、アモンさんやルルゥくらいマッチョ。
身長も高いしカッコいいよねー。
もちろん小柄な人や筋肉つきにくい女性騎士もいるのだそう。女性騎士は人数が少ないので全員アンゼリカさまの部隊で、普段はほぼグレーデンにいないんだよ。
今はアッガスに残ってるけど、どこかに遠征に行っちゃうかも。
王妃さまもマッチョに目覚めちゃった?王様はヒョロくはないけど薄め。
「そろそろ屋敷の方に移りましょうか」
お義母さまが王妃さまにお声をかけると、王妃さまや侍女女官さんたちはワイバーンたちを名残惜しそうに見る。
王妃さまは「また今度」と気軽に言えないから、「ありがとう。楽しかったわ」とワイバーンたちに声を掛けた。
「ギャゥウー」
「ギャギャオオー」
首を上下にして少し切なげな声でお見送り。
お義父さまとお義母さまが両脇でミルゼさんにエスコートをされる王妃さまと屋敷の方に歩いて行く。
私はラヴァたちに「まだここで遊んでいくの?」って聞くと顔を寄せてくれて「ギャギャギュ」と返された。うん。わかんない。
ジュリアスさまとジャスパーに、
「ここの宴会が終わるまでいると言ってる」と通訳してもらった。
あ、朝まで騒ぐ感じだ。
「そっか。じゃぁ、また今度会いに行くね」
ジュリアスさまの時間が取れないと遊べないけど。
「ギャギャギャ」
「グッギャギュギュ」
ベローン!チュチュ!ベロベロ!
ラヴァにベロベロされた。
今日は誰にもしてないと思ったら。
しかも他の子にベロベロ待ちされてる。
『嫁は美味しそうだし、可愛いからマーキングしてるんだぞ』
え!食べる予定を組まれてた!?
『嫁の周りには魔力が漂っているからそれが美味しい!主の嫁は自分の嫁!だから匂いを付けてるんだぞ』
え、他の子はなぜ待ってるの?
『ラヴァだけズルいと思ってるんだぞ』
主人がいる子たちまでいるけど。
『結局可愛いのは自分のにしたいんだぞ!』
それ、ラヴァと喧嘩にならないのか。
『嫁が可愛いの、自慢なんだぞ。ラヴァの匂いが一番強いから塗り替えにならないから気にしないんだぞ』
よくわからないけど、揉めないならいいか。
って生臭いから〈洗浄〉していいよね?
ジュリアスさまにそっと聞いたら、「少し離れたらな」って。
ジュリアスさまは舐められてないから私だけ生臭い。しょんぼり。
「ではまた明日な!きちんと寝るんだぞ」
「グッギャーーーー!!」
「「「「「「ギャオオーーーーン」」」」」」
ここが王都なら鳴き声に住民が震えるかも。
ジュリアスさまが私を抱き上げて、お義父さまたちの後を追う。
「〈洗浄〉」
少し離れたところでジュリアスさまが自分ごとで魔法を使ってくれた。
「ヨダレやらは消えるがマーキングの匂いは消えないからな」
「リーシャは可愛いから守らないといけないとラヴァたちに思われていてあった時はマーキングするんだ」
マーキングは人には匂わないけど魔獣には強烈に匂う。のでラヴァたちより弱い魔獣には狙われないようにって。
アズライトやジャスパーの匂いで十分だと思うがなって笑われた。
私ってば魔獣たちに「めっちゃクセェ」とか思われるんだ。ちょっとウケる。
人間に思われたらかなりブルーって言うか死ねるけど、魔獣ならいいか。
「ジャスパーは私のこと臭くない?」
アズライトやポムたちに普段「クッサ」って思われてたら泣く。
『身内のマーキングは気にならないんだぞ!』
そう言うもんなの?
「飼ってるわんことか床とか壁にやっちゃった時は気になるよ?」
しかもずっとそこでやっちゃうじゃん。
『飼われているペットと同列は納得できないんだぞ!』
契約は飼うじゃないか?
ポムたちに至っては居着いてるだね。
まぁ君らはそこらでマーキングもおトイレもしないしね。
ポムだけ○んこな種投げてくるけど。
ジャスパーには本邸の庭に戻るまでずっと怒られちゃった。
途中で宴会のテーブルに寄ってもずっとプンプン。ごめんって。
ジュリアスさまが苦笑いだった。
陸に上がったワイバーンたちを仰ぎ見た王妃さまたちは改めてその大きさにびっくりしたみたい。
王国騎士団が使役しているワイバーンたちより一回り以上はでかい。運動量と食べる餌の量が違うからね。
野生のワイバーンを定期的に迎えるグレーデンと繁殖で増やす王都の差も。
血が濃くなり過ぎないように、辺境三家などワイバーン隊が立ち寄った際はお見合いしたりしてるようだ。
ワイバーン界も強いオスがモテる。でも知能が高く伴侶がいる子はオスでもメスでも他の子に行かない。浮気症の子はちょっとおバカってことかなぁ?
気性の激しいメスだと浮気したオスはボッコボコだって。人間と変わらないね!
脱線しちゃった。
でもウチの子たち、王都の子たちよりカッコいい自慢。人間もワイバーンもマッチョ最高!!
「グッギャギャゥオー」
「ンッギャグギャオォオオンッ」
ご機嫌なラヴァたちのちょっと可愛くない歌声は王妃さまたちにウケてる。
さすがに慣れてない女性に顔をグンと寄せたりしないようだ。私は女性じゃないのかなぁ。
ワイバーンたちを見上げながらも、王妃さまはミルゼさまの腕をずっと取って離さない。かなりお気に入りに。
ミルゼさんはグレーデン領出身の騎士の娘で、貴族としてドレスになる事を踏まえて体を女性らしさを残しているアンゼリカさまやマデリーさまとは違って、全身鍛えてて、強いていうなら、アモンさんやルルゥくらいマッチョ。
身長も高いしカッコいいよねー。
もちろん小柄な人や筋肉つきにくい女性騎士もいるのだそう。女性騎士は人数が少ないので全員アンゼリカさまの部隊で、普段はほぼグレーデンにいないんだよ。
今はアッガスに残ってるけど、どこかに遠征に行っちゃうかも。
王妃さまもマッチョに目覚めちゃった?王様はヒョロくはないけど薄め。
「そろそろ屋敷の方に移りましょうか」
お義母さまが王妃さまにお声をかけると、王妃さまや侍女女官さんたちはワイバーンたちを名残惜しそうに見る。
王妃さまは「また今度」と気軽に言えないから、「ありがとう。楽しかったわ」とワイバーンたちに声を掛けた。
「ギャゥウー」
「ギャギャオオー」
首を上下にして少し切なげな声でお見送り。
お義父さまとお義母さまが両脇でミルゼさんにエスコートをされる王妃さまと屋敷の方に歩いて行く。
私はラヴァたちに「まだここで遊んでいくの?」って聞くと顔を寄せてくれて「ギャギャギュ」と返された。うん。わかんない。
ジュリアスさまとジャスパーに、
「ここの宴会が終わるまでいると言ってる」と通訳してもらった。
あ、朝まで騒ぐ感じだ。
「そっか。じゃぁ、また今度会いに行くね」
ジュリアスさまの時間が取れないと遊べないけど。
「ギャギャギャ」
「グッギャギュギュ」
ベローン!チュチュ!ベロベロ!
ラヴァにベロベロされた。
今日は誰にもしてないと思ったら。
しかも他の子にベロベロ待ちされてる。
『嫁は美味しそうだし、可愛いからマーキングしてるんだぞ』
え!食べる予定を組まれてた!?
『嫁の周りには魔力が漂っているからそれが美味しい!主の嫁は自分の嫁!だから匂いを付けてるんだぞ』
え、他の子はなぜ待ってるの?
『ラヴァだけズルいと思ってるんだぞ』
主人がいる子たちまでいるけど。
『結局可愛いのは自分のにしたいんだぞ!』
それ、ラヴァと喧嘩にならないのか。
『嫁が可愛いの、自慢なんだぞ。ラヴァの匂いが一番強いから塗り替えにならないから気にしないんだぞ』
よくわからないけど、揉めないならいいか。
って生臭いから〈洗浄〉していいよね?
ジュリアスさまにそっと聞いたら、「少し離れたらな」って。
ジュリアスさまは舐められてないから私だけ生臭い。しょんぼり。
「ではまた明日な!きちんと寝るんだぞ」
「グッギャーーーー!!」
「「「「「「ギャオオーーーーン」」」」」」
ここが王都なら鳴き声に住民が震えるかも。
ジュリアスさまが私を抱き上げて、お義父さまたちの後を追う。
「〈洗浄〉」
少し離れたところでジュリアスさまが自分ごとで魔法を使ってくれた。
「ヨダレやらは消えるがマーキングの匂いは消えないからな」
「リーシャは可愛いから守らないといけないとラヴァたちに思われていてあった時はマーキングするんだ」
マーキングは人には匂わないけど魔獣には強烈に匂う。のでラヴァたちより弱い魔獣には狙われないようにって。
アズライトやジャスパーの匂いで十分だと思うがなって笑われた。
私ってば魔獣たちに「めっちゃクセェ」とか思われるんだ。ちょっとウケる。
人間に思われたらかなりブルーって言うか死ねるけど、魔獣ならいいか。
「ジャスパーは私のこと臭くない?」
アズライトやポムたちに普段「クッサ」って思われてたら泣く。
『身内のマーキングは気にならないんだぞ!』
そう言うもんなの?
「飼ってるわんことか床とか壁にやっちゃった時は気になるよ?」
しかもずっとそこでやっちゃうじゃん。
『飼われているペットと同列は納得できないんだぞ!』
契約は飼うじゃないか?
ポムたちに至っては居着いてるだね。
まぁ君らはそこらでマーキングもおトイレもしないしね。
ポムだけ○んこな種投げてくるけど。
ジャスパーには本邸の庭に戻るまでずっと怒られちゃった。
途中で宴会のテーブルに寄ってもずっとプンプン。ごめんって。
ジュリアスさまが苦笑いだった。
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