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二章
605話
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アズライトは自分の寝床である島は大きくしないみたいで、前回来た時とは植物が成長したなぁくらいの変化。
精霊樹はすでに成長期?は終わってるのであとはゆっくり年輪を重ねていくんだろう。
この池の島はダンジョンがある島と収穫が許された植物のある島しか出入りを解放してないので、精霊樹を直に見たことがある人は少ない。
王妃さまだけじゃなく、グレーデン家、側近以外のほとんどの人が精霊樹の存在感、幹や枝葉にまとっている光に感動を覚えている。
アズライト、ポム、ティム、ディディエ、ジャスパーがお供え物を置くための台の周りに集って「早く供物を」と急かす。
シエルはアズライトの隣でまるで神官のような雰囲気で精霊樹を見上げる。
ニーナやルークを中心に運ばれてきた物を並べて、私もマイ酒蔵の中でも出来が良い物を捧げる。
最後の王妃さまがお祈りを捧げる。
女官さん、侍女さんが何やら大きな杯を精霊樹に捧げた。
お義母さまは最初から王妃さまをここにお連れする予定だったのか。先に教えておいて欲しかったな。
「レイドラアースを守護されます精霊の王、全ての精霊たち、念願叶って精霊王の御許にまかりこすことが出来ました。この地をレイドラ神より預かり、主祭を任されておりますレイドラアース家のマクシミリアン・ラ・レイドラアースの妃、フェアリス・ラ・レイドラアースにございます」
王妃さまから放たれる魔力が精霊樹からの霊力と混じり合わさっていく。
「精霊王の気配が満ち、霊力の強いこの精霊樹の御許に聖具を捧げることをお許し下さい」
やっぱり神殿は形骸化されてて、レイドラ神、精霊王の気配が薄いのだそう。ただ王宮内の祭殿はまだ機能してるし、ポムから譲られた精霊樹の種を成長魔法をかけずにゆっくり育てて、時間をかけて神と精霊王の信仰と信頼を深めようと王族は日々祈りを捧げてる。
って、神殿!!神官たちは試験や免許がないからトップは自分の親族やコネで下を固めてしまう。
ここも大改革が必要なんだろうけど、王家神道と神官神道みたいに権力が分離されててテコ入れが難しいって、貴族たちに良いようにされてた事といい、王家はどんだけ蔑ろなの!
王妃さまの祈りの声に呼応したのか、ポムたちが王妃さまの周りに集まって、舞を始めた。
カゴメカゴメみたいになってますよー!!
「プッキュウウキュ」
「モッキュウキュ」
「ギャオオ」
『歌え。踊れ!』
ポムたちとジャスパーが掛け声みたいな声を出す。
「「「「ギャオッォーーー」」」」
「「「ギュッギャァギャウーーー」」」
ワイバーンたちが島の周りで首を振って歌い出した。
今までで一番派手な状況なんじゃないかな。
精霊樹が発光して、お供え物が消えた。
「「「おおっ」」」
グレーデンの領民な騎士さんたちは精霊の日に寮全体でこの現象を見てるけどやっぱり驚いた。
『・・・レイドラアースの王妃よ。我らは今の王家が信仰厚き事、民を導くために尽くしてきた事を知っておる。ここグレーデンで良きの縁がうまく纏まったは王の采配。その縁から我ら精霊との縁を引き寄せたはグレーデンの徳あってこそ。結び結ばれた縁、大事にするが良い』
おお・・・、四大精霊王の気配が揃ったのは初めてかも。いつもは火の精霊王か水の精霊王だもの。
「お言葉肝に銘じます」
王妃さま筆頭にみんな平伏してる中、ポムたちのテンションがすごい。ワイバーンたちも踊りたいんだろうけど、島に波を打ち付けないようにしてくれてる。
舞が最高潮になったら、やっぱり精霊樹から光の玉がいっぱい放たれた。
各地に流星群みたいに見えて遠騒ぎになりそう。
あの勢いだとグレーデン領越えるかなぁ?
お祈りとお供えが済んだので、島を出ることに。アズライトとシエルとポムとティムはこのまま島で過ごすって言うので「また明日」と別れる事に。
「ミルゼ、王妃さまは安定してワイバーンに乗れるか?」
「はい。とても初めてとは思えない見事な騎乗です」
「王妃さまを支えて飛ぶ自信はあるか?」
お義父さまが突然ミルゼさんに訊ねる。
「は!自身あります」
帰りは飛ぶって事??
「陛下、初めての事で高くは飛べませんし遠くまで行くことは出来ませんがワイバーンで空を飛びませぬか?」
「宜しいのですか?ぜひ」
女官さんたちがギョッとしてるけど王妃さまはノリノリだよ。
「では、ミルゼ、ワシの後に続け」
「は!」
お義父さまはお義母さまを抱えて、ミルゼさんは王妃さまを抱えてワイバーンの背に飛び乗る。
ジュリアスさまは少し困惑しつつ、ルークに他のみんなで行きと同じく静かに戻るようにと命じて。
私はジャスパーを抱っこしてジュリアスさまとラヴァに乗った。
美しい夜空と水面の煌めきに王妃さまとお義母さまの歓声が聞こえる。
お義父さまの後ろについたミルゼさんと、そこ横を離れてジュリアスさまとでいつもより速度を落としての飛行。
ゆっくりグレーデン領の北部に向かってから旋回するとお義父さまは、
「陛下!全ては見渡せませんがこの見渡す地が陛下と王が守り納める国です。陛下が守ってくださる民が住まう大地です」
と言う。
この広い空の下、多くの民が暮らしてる。
外に出ることも稀で、ワイバーンに乗るなんてことも初めてだった王妃さまにとって、今日という日は大冒険だと思う。
ちょっと王様に意趣返しをしようと思い立って、お義母さまと楽しくエステをとやってきて、まさか自分が何者か何を守ってきたのか、再認識するなんて思ってなかったんじゃないかな。
陸に戻った王妃さまは目を潤ませて、乗せてくれたワイバーンを「ありがとう」と撫でた。
精霊樹はすでに成長期?は終わってるのであとはゆっくり年輪を重ねていくんだろう。
この池の島はダンジョンがある島と収穫が許された植物のある島しか出入りを解放してないので、精霊樹を直に見たことがある人は少ない。
王妃さまだけじゃなく、グレーデン家、側近以外のほとんどの人が精霊樹の存在感、幹や枝葉にまとっている光に感動を覚えている。
アズライト、ポム、ティム、ディディエ、ジャスパーがお供え物を置くための台の周りに集って「早く供物を」と急かす。
シエルはアズライトの隣でまるで神官のような雰囲気で精霊樹を見上げる。
ニーナやルークを中心に運ばれてきた物を並べて、私もマイ酒蔵の中でも出来が良い物を捧げる。
最後の王妃さまがお祈りを捧げる。
女官さん、侍女さんが何やら大きな杯を精霊樹に捧げた。
お義母さまは最初から王妃さまをここにお連れする予定だったのか。先に教えておいて欲しかったな。
「レイドラアースを守護されます精霊の王、全ての精霊たち、念願叶って精霊王の御許にまかりこすことが出来ました。この地をレイドラ神より預かり、主祭を任されておりますレイドラアース家のマクシミリアン・ラ・レイドラアースの妃、フェアリス・ラ・レイドラアースにございます」
王妃さまから放たれる魔力が精霊樹からの霊力と混じり合わさっていく。
「精霊王の気配が満ち、霊力の強いこの精霊樹の御許に聖具を捧げることをお許し下さい」
やっぱり神殿は形骸化されてて、レイドラ神、精霊王の気配が薄いのだそう。ただ王宮内の祭殿はまだ機能してるし、ポムから譲られた精霊樹の種を成長魔法をかけずにゆっくり育てて、時間をかけて神と精霊王の信仰と信頼を深めようと王族は日々祈りを捧げてる。
って、神殿!!神官たちは試験や免許がないからトップは自分の親族やコネで下を固めてしまう。
ここも大改革が必要なんだろうけど、王家神道と神官神道みたいに権力が分離されててテコ入れが難しいって、貴族たちに良いようにされてた事といい、王家はどんだけ蔑ろなの!
王妃さまの祈りの声に呼応したのか、ポムたちが王妃さまの周りに集まって、舞を始めた。
カゴメカゴメみたいになってますよー!!
「プッキュウウキュ」
「モッキュウキュ」
「ギャオオ」
『歌え。踊れ!』
ポムたちとジャスパーが掛け声みたいな声を出す。
「「「「ギャオッォーーー」」」」
「「「ギュッギャァギャウーーー」」」
ワイバーンたちが島の周りで首を振って歌い出した。
今までで一番派手な状況なんじゃないかな。
精霊樹が発光して、お供え物が消えた。
「「「おおっ」」」
グレーデンの領民な騎士さんたちは精霊の日に寮全体でこの現象を見てるけどやっぱり驚いた。
『・・・レイドラアースの王妃よ。我らは今の王家が信仰厚き事、民を導くために尽くしてきた事を知っておる。ここグレーデンで良きの縁がうまく纏まったは王の采配。その縁から我ら精霊との縁を引き寄せたはグレーデンの徳あってこそ。結び結ばれた縁、大事にするが良い』
おお・・・、四大精霊王の気配が揃ったのは初めてかも。いつもは火の精霊王か水の精霊王だもの。
「お言葉肝に銘じます」
王妃さま筆頭にみんな平伏してる中、ポムたちのテンションがすごい。ワイバーンたちも踊りたいんだろうけど、島に波を打ち付けないようにしてくれてる。
舞が最高潮になったら、やっぱり精霊樹から光の玉がいっぱい放たれた。
各地に流星群みたいに見えて遠騒ぎになりそう。
あの勢いだとグレーデン領越えるかなぁ?
お祈りとお供えが済んだので、島を出ることに。アズライトとシエルとポムとティムはこのまま島で過ごすって言うので「また明日」と別れる事に。
「ミルゼ、王妃さまは安定してワイバーンに乗れるか?」
「はい。とても初めてとは思えない見事な騎乗です」
「王妃さまを支えて飛ぶ自信はあるか?」
お義父さまが突然ミルゼさんに訊ねる。
「は!自身あります」
帰りは飛ぶって事??
「陛下、初めての事で高くは飛べませんし遠くまで行くことは出来ませんがワイバーンで空を飛びませぬか?」
「宜しいのですか?ぜひ」
女官さんたちがギョッとしてるけど王妃さまはノリノリだよ。
「では、ミルゼ、ワシの後に続け」
「は!」
お義父さまはお義母さまを抱えて、ミルゼさんは王妃さまを抱えてワイバーンの背に飛び乗る。
ジュリアスさまは少し困惑しつつ、ルークに他のみんなで行きと同じく静かに戻るようにと命じて。
私はジャスパーを抱っこしてジュリアスさまとラヴァに乗った。
美しい夜空と水面の煌めきに王妃さまとお義母さまの歓声が聞こえる。
お義父さまの後ろについたミルゼさんと、そこ横を離れてジュリアスさまとでいつもより速度を落としての飛行。
ゆっくりグレーデン領の北部に向かってから旋回するとお義父さまは、
「陛下!全ては見渡せませんがこの見渡す地が陛下と王が守り納める国です。陛下が守ってくださる民が住まう大地です」
と言う。
この広い空の下、多くの民が暮らしてる。
外に出ることも稀で、ワイバーンに乗るなんてことも初めてだった王妃さまにとって、今日という日は大冒険だと思う。
ちょっと王様に意趣返しをしようと思い立って、お義母さまと楽しくエステをとやってきて、まさか自分が何者か何を守ってきたのか、再認識するなんて思ってなかったんじゃないかな。
陸に戻った王妃さまは目を潤ませて、乗せてくれたワイバーンを「ありがとう」と撫でた。
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