ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

599話

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 転移陣の魔石が少し減ってたのでついでに充填したら、担当騎士さんたちが喜んでくれた。
 私も有り余る魔力が消費できて嬉しいので良き良きですよ。
 ついて来てくれたハロルドとニーナ、ジェイクは苦笑だけど。

 普段はアズライトやジャスパー、ポムとティムが魔力を吸ってくれてると言う。
 美味しいとは言ってたけど、私が魔力過多状態にならないように調整してくれてるのでウィンウィンなのだ。
 
 転移陣のランプが光って、
「ご帰還です」
って、担当騎士さんが教えてくれる。

 光のカーテンがふわふわ広がって魔法陣の上に人の姿が浮き上がってくる。

 私はお義母さまに突撃しようと腰を落としてタイミングを測っていると、お義父さまらしき大きな姿の周りに複数のドレスのシルエットが。
 侍女さんたちも同時に戻って来たのかな??
 じっくり見極めてからじゃないといけない。

 腰を落としたままのポーズで姿を見極めようと見てたら、カーテンが消えて、到着した人の姿が・・・。

「王妃さま!?!?」

 飛び掛かろうとしたシルエットが王妃さまで、その横に並んでたのがお義母さまだった事に仰天した。
 私の悲鳴のような声、そして名称に、転移陣の間の担当さんたちと、お義父さまたちの帰還を出迎え用と待機していた侍従さん、騎士さんが息を飲んだ後、ザッと跪く。

「あらあらまぁまぁ!!リーシャちゃん!とっても可愛いわぁ!ただいまぁ!」
 腰を落としたまま固まっていた私をお義母さまが持ち上げてから抱きしめてグルングルン回る。
「お・・・おかえりなぁいぃ」

「まぁ、とても可愛いわ。リリィちゃん!私も抱っこさせてちょうだい」
 ぎょえぇ!王妃さまに抱っこはちょっと!!
「まぁ!!さすがに持ち上げて抱っこは私には無理ね」
 コロコロ笑いながら私をハグする。若干浮きましたけど。

 なぜか王妃さまの侍女さんたち、女官さんかも?まで手をワキワキして私を見てる。
「私の特権よぉ~」
 お義母さまが私をプラーンとさせた状態で抱っこする。人形かぬいぐるみのようだよ。

「今帰ったぞ。ハロルド、問題はないかのぅ」
「万事恙無く」
「そうか」
 お義父さまとハロルドの阿吽に痺れるぅ!
 信頼しあってる感が滲み出てるの良いな。

 転移陣は、侍女さんや荷物、馬車と魔馬、護衛さんたちが移動してくるので、ハロルドが先導で屋敷に向かう事に。
 宴会の準備でみんなが忙しく動いてる中、私たちを見て礼を取ろうとするので、お義父さまが、
「そのままで良いぞぅ」
と声を掛けて行く。

「うふふ、久々にここに来たけど前より賑やかねぇ」
 王妃さまが女官さんたちとニコニコ。

「いつも陛下が勝手にこっちに行っちゃうから今回は私が先に行動しましたの」

 国王夫妻がこんな感じで良いのだろうか?王子さまたちは置いて来ちゃったの?

「うふふ、リーシャちゃん、明日か明後日から王妃さまと私、お宿に泊まらせてもらっても良いかしらぁ」

 あ、それが本命なのね。何日グレーデンに??

「はぁ、しばらくは予約を受けてないはずなので大丈夫だと思いますが」
 ルルゥ込みでしょうか?
「ならベンとニックスを借りるわねぇ。ルルゥは王都で忙しかったし、ベンとニックスはずっと屋敷から出てなかったでしょう?」
 あ、ちゃんと振り分けなのですね。

「うふふ、楽しいわねぇ、陛下が結婚以来好きに逃げていた分、私も一週間くらいは罰が当たらないでしょう?」
 おお、約二十年分の恨みが募っているようだ。
「王子たちとずっと離れてるのは心配だし、私も自分のお仕事を溜めちゃうのは困りますもの」
 笑顔だけど何か胸の奥に怒りが籠っていらっしゃる。
 王様、第一子妊娠中からやらかしていたなら一生恨まれてるよ。

「おほほ、陛下が王太子でいらっしゃった頃はいつもルドガーさまとアークさまを追いかけてらしたものねぇ」
 王子さまたちは王様に似たのね。

「リーシャさま、王妃様はちゃんと執事と宰相閣下にお手紙を残して来ておりますので」
 女官さんがこそりと教えてくれた。
 王様とは違うと言いたいのね。
 でもお手紙残されても、きっと混乱してると思う。

「オホホホホ!陛下も王妃陛下にいつもご自分のなされている事を返されて、王妃陛下が普段どのような思いをなされているか理解なさるでしょう」
 女官さんの一人が高笑いを!
 きっと彼女も皺寄せを食ってるのね!

 今夜の宴会とお宿でエステと露天風呂で癒されて来て下さいませ!!

 お義父さまが若干引いてる。ハロルドはちょっと悪い笑みを。

 屋敷の玄関には王妃さまのお出ましを聞いて慌ててお出迎えに並んだらしき侍従侍女さんと騎士さんたちが。

「「「王妃陛下!いらっしゃいませ。ようこそ、グレーデンへ!」」」
「「「大旦那様!大奥様!お帰りなさいませ」」」
 宴会準備中で大慌てだっただろうけど、ピシッとしてる。
 セバスチャンが若干汗かいてる。珍しいな。そこ隣にはシエルが可愛く立ってて大変に愛らしいです。
 
「良い。楽にしてちょうだい。お出迎えに感謝するわ。しばらくお世話になります」
「「「はっ」」」
 
 王妃さまは一瞬シエルを見つめた。何か言いたげだったけど、何も口に出すことはなく、屋敷に入った。

「リーシャさま」

 シエルは気付かなかったみたいで、笑顔でお義母さまに抱っこされている私に声をかけて来た。

「僕も後でリーシャさまのような服を着るんです」
 え??ドレス??って思ったら男の子用だそう。ちょっと残念。

 でもそんな話を聞いたお義母さまとニーナと侍女さんたちの目がギラッとなったよ。

 



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