ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

597話

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 ふくふく~。
 む・・・っちりー。

 気持ちいい感触で目が覚めた。

 ジュリアスさまとジャスパーでサンドイッチは天国だよ。

 幸せだ。しばし私の幸せを噛み締めてる。

 ジャスパーが私の背中でふみふみ始めた。
 こしょばゆい。 
『それは我のお肉なんだぞ』
 何の夢見てるんだ。

「んー」
 ジュリアスさまが少し寝ぼけた声でぼんやりしてる。

 おヒゲがちょっぴり生えてるのでジョリジョリしてみると顔を捻った。

「リーシャ?」
「おはよう、ジュリアスさま」
「イタズラっ子は誰だ」
 私の頬でジョリジョリ。
 痛くないけどこそばい!!

 そのままハグとキス。
 いつの間にか起きたジャスパーも参戦の頬擦り。マズルは可愛いからずるいよ。

「あー、毎日起きたらリーシャがいるのが良い」
「あはは、私もです」

 ジュリアスさまが着替えのためにベルを鳴らす。
 もちろん今日はニーナが来てくれる。
 もう少し休んでも良いんだけど固辞されるからね。

「おはようございます」
「おはよう」
「おはよう。ニーナ」

 ジュリアスさまが私をニーナに預けて自分の着替え。

「リーシャさま、なぜ頭が爆発です?」
「あ、ジャスパーにされたの」
 ニーナが一瞬すごく羨まし気な顔をした。
「それは大変でしたね」
 取り繕われた。

 今日はお義母さまたちが戻る予定なので少し良いドレスを着る。
 お昼までは簡易ワンピースでも良いんだけど、予定が早くなる場合も考慮。

「大奥様は可愛いのがお好きなので今日はこうしましょう」
 薄いピンクのレースたっぷり、足首までのドレスにツインテール、巻き多めで大きいリボン。
 靴も上底で可愛いやつ。
 前にマダム・シフォンに色々デザイン渡した中の一つ。
 ニーナが虎視眈々と着せる場面を狙ってたのね。
 しかも付属品にフリル傘とハート型バッグって言う。

 これは姫ロリ状態。

 メグミだと公開処刑のやつ。

 喜んで良いのかリーシャには鬼可愛い。

 着替えが終わったジュリアスさまの顔が少し悶絶風味。
 頑張って崩れないように耐えてる。

 耐えなくても良いんだよ。

「ジャスパー、ちょっとこれ着けてリーシャさまに抱っこされてくれませんか?」
『ん!!!良いんだぞ』
 ニーナにレースとリボンで装飾された帽子と首にリボンを巻かれてから、持ち上げられて私の腕に収まるジャスパー。
 いつの間に従魔用作ってたの。

 鏡越しに見れば、私もジャスパーもめっちゃラブリー!!

 ニーナってば自分でやらせておいてプルプル。感動して鼻息が。
 どんどんニーナが可愛い中毒悪化してる。

『我の愛らしさが罪深いんだぞ』
 
 私の腕の中で得意げ。何この小悪魔。
 
「さあ、食事に行こうか」
 傘とバッグはニーナが預かってくれて、ジャスパーと私を抱き上げるジュリアスさま。

 ニーナがそっと扉を開けて、先導してくれる。

 廊下にはジェイクが待機してて、私たちのラブっぷりをほんのりニヤニヤ。
 いつか彼女と一緒のとこ見てやるんだから。

 食堂に行くとお祖父さまとお祖母さまたちが座ってて、
「おや、おはよう。リーシャちゃん、可愛いドレスだね」
「色気のあるドレスとは違ってまた良いものだな」
 色気が無くてすみません!

 ジュリアスさまはジャスパーをテーブルの専用位置に置いて、私は膝抱っこ。

「おはようー」
「おはよ~」
 セリウスさまとクラウスさまが入ってきて座る。
 なぜかポムたちがクラウスさまの形に乗ってる。
 セリウスさまはシャムを頭に乗せてアズライトを腕に抱いてる。

「あー、母上がマダムと騒いでたやつだねー」
「僕なんか男物の方着てみろって迫られたー」

 いつの間に。
 メンズのゴスロリも作ったんだ。ちょっと見たい。

 じっとジュリアスさまを見ると、
「俺はレースは似合わないぞ」
って首を振られた。
 レースは何もフリフリだけじゃないよ。

「カッコいいのデザインしますから」
「それなら良い・・・のか?」
 困った顔をしてる。

「カッコいいなら僕も着るよー」
 クラウスさま、どんな衣装出されたの?

 マダムも王都まで同行してたからしばらくはお休みかな。お義母さまにお願いして次来てくれた時に相談しよう。

 みんな揃ったので朝食開始。

 今日はパスタだ。生ハムとアボカドみたいなのが載ってる。アボカドみたいな実はポムが植えた種の一つから採れたそう。
 ねっとりだけど、ほんのりミカンの香りでわりと好き。

 私はこれだけで満足なんだけど、みんなはコーンスープにパンとお肉も盛り盛り。

「今夜は外で食べるよー」
「父上が準備しておけって~」
「王都行きで着いて行った方も残った方も大変だったろうから無礼講でやろうさ」
 
「プッキュー」
「モッキューン」
「きゃん!」

 お祭り好きばっかりなので、従者さんも厨房からも歓喜の声が響く。

「工場からエールもウィスキーもいっぱい出していいってさー」
と、言いながらも私に集まる視線。
「私の酒蔵からも出します」
 ケビンが休みなく増やしてくれてたからいっぱいあるよ。

「そう来なくっちゃね」
 お祖母さまがガッツポーズした。多分マギー先生としこたま飲む。

「やったぜ」
 スピネルさんがザイルさんに持ち上げられてる。一人で胴上げする腕力。
 
 お義母さまたちが戻ってきてみんな揃うのも嬉しいし、私も楽しみ。

「・・・準備はセバスチャンに任せるからセリウスとクラウスは仕事だぞ」

「「えー!」」

 あ、サボれそうと思ってたのね。




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