ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

文字の大きさ
上 下
606 / 764
二章

595話

しおりを挟む
 夕食は、お祖父さまたちが狩ってきた蜘蛛だ。

 カーニカニカニカニ!脚はタラバガニ~!!

 胴体も白子やフォアグラのような食感のクリーミィ部分があって。

 焼きガニ、蒸しガニー!
 グラタンとお鍋とか謎のメニューだけど。

 さっき回収してきたお酒の中に日本酒もどきがあったのでだしてもらう。
 冷酒が好きー。みんなも熱いのにあまり馴染みがないから冷やした方が飲みやすいって。


 ジュリアスさまに脚をアーンされながら、カニクリームコロッケも欲しいなと思った。

 ところでセリウスさまのシャム、ポムたち並みに食いしん坊みたい。

 グラタンさらに身体半分埋まった状態でガツガツしてる。

「あはは、火傷しないー?」
「キャン??」

 顔を上げたら、ほっぺパンパン、口からニュッとカニカマみたいなの生えてる。
 おでこと鼻はクリームまみれ。

「プキュキュン」
「モキュキュン」
 ポムとティムがシャムを指差し(てるつもりっぽい)て笑う。
 似たような状態だけど?

「鍋おかわりー」
 スピネルさんが言う鍋は真っ赤っかな辛い実のスープ。カニが真っ赤に染まる。

「プッキューーーン」
「モッキューン」

 あ、ポムたちが僕たちもそれ!!って。この見た目で辛党っていうか、赤い実そのものが好きな子たち。

 シャムはセリウスさまが食べるものを一緒がいいらしい。健気。

 アズライトは生のカニ身にパバブ。通過ぎる。
 ディディエは胴体にチーズを炙ってもらってる。

「あ、僕もチーズのちょうだい」
「俺も!」

 他にはボアとか出てきてる。

「明日は昼頃に父上たちが戻る」
「そうなんだー」

 お義父さまたちは、リュフェリー家に寄ってから帰って来るんだそう。
 辺境三家は仲良し。

「ナギご一行は無事グリーンリバー側に入ったしホーン家も一安心だろう」

 おお。問題なく旅が進んでて良かった。あのノリに付き合うのは難儀なことだけど。
 心の中でエールを贈る。特にユエさま、ストレス凄そう。

 王女さまたちには、半年以内にまた会える予定。楽しみ。

「ふむ!明日は久しぶりに家族全員揃うな!宴だな」

 あ、お祖父さまがスピネルさんたちと盛り上がっちゃた。
 日本酒で酔ったかな。

「へー、お祖父さまー、僕はサーペントとクロコダイルが食べたいなー」
 クラウスさまがおねだり。

「プッキュ!」
「モッキュ!」
「ギャオ!」

 あ、ポムたちがサーペントに反応。タレが好きなんだよ。山椒と唐辛子かけるの。
 アズライトはパバブだけど。

『ほほう!明日は我もクラウドに着いて行こうかの』
「お、それは楽しみだな!」

 明日は森が揺れるね。お義父さまがおっきな亀投げたみたいな状況になっちゃうかも。

「お祖父さま・・・、俺も狩の方がいいな」
 ジュリアスさまがポツリ。

「あっははは!楽隠居は後継が決まってからだよ!早く作るか育てるんだね!」
 作るか育てるって。

 最短で楽隠居は養子を取って後を任せる。
 セリウスさまもクラウスさまも後継になりたくないらしいので、狙うならシグルドさまの子達かなぁ。レオルカさまの子はまだ先だし。

「そんなの何年後ですか」
「セリウスもクラウスも自分の次がいないと役職外れないよ」

 二人とも結婚しないつもりだから、部下を鍛えるしかないね。

「俺は四十まで頑張ったしな」
「ジュリアスもあと十年は頑張れるな」

 ふつうなら四十代は働き盛りだけど肉体勝負な辺境騎士なので早めの隠居が良いのかな?
 老後の楽しみで冒険の旅にって、若すぎー!全然老後じゃない。
 二十年分迷宮でズレたから、お祖父さまたち見た目四十代だしね。

「プッキュプキュキュン」
「モッキュモキュモキュ」

 ポムたちが腕組みポーズで何か言ってる。

『ジジたちはすごく強い、若いのは少し強い、若いのはまだまだだから修行しろと言っておるの』

 アズライト、それは訳さなくてもいいのに。

「お前たちは良い子だな」
「うむ、照れるな」
「うはは。モニパルに褒められたぞ」

 ザイルさんがポムたちにお酒を注ぐ。嬉しかったんだね。

「プッキュ」
「モッキュ」
「ギャギャ」

 戦うポーズをしてからバンザイ。

『自分たちも強いと言っておるの』

 なんの主張・・・。
 大地抉ったり、突風吹かしたりするんだから強いのは知ってるよ。

「きゃぅん?」
 あ、これはわかった。
 「強いの?」って言ってると思う。

 ポムたち「心外!」って感じで、シャムに抗議してる。

「あっははは、強くて可愛いで良いさね」
 お祖母さま、大雑把だな。

「お祖父さまと父上たちと比べられてもねー」
 クラウスさまが蜘蛛脚をポムの口に突っ込む。

 ポムがカシカシ噛みながら頬に貯める。

 それを見てみんながポムとディディエとシャムに同じようにした。

 もう顔より頬が大きいんだけど!

『我にやったら口の中に水を沸き出させるからの』
『ン?』

 ジャスパーはアーン待ちして『ダメなこと?』って困惑してるんだけど。

「食べたいなら良いけどジャスパーの頬はあんなに伸びないよ?」
『そうなのか!!!!????』
 いや、伸びたことないでしょ。

 話してる間にポムたち全身膨らんでボールみたい。

 だからね?
 ディディエも頬袋は持ってないってば。 

 シャムもまんまるなのに自分は丸くならないって、君は種族的にはアズライト寄りだよ?

「可愛いねぇ」
「シャムー、もっと行くー?」

 ダメな大人がいっぱいな食卓だよ。

 ジュリアスさま、なんだかんだジャスパーにずっと口に運んでるけど、ジャスパーのほっぺはそれ以上伸びないよ。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

ラスボス姫に転生したけど、ドS兄貴はシスコン設定になっていたようです

ぷりりん
ファンタジー
転生ラスボス姫がドS兄貴の溺愛に大困惑する、ラブコメファンタジー

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~

水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート! ***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。

柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。 詰んでる。 そう悟った主人公10歳。 主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど… 何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど… なろうにも掲載しております。

聖女転生? だが断る

日村透
恋愛
生まれ変わったら、勝ち逃げ確定の悪役聖女になっていた―――  形ばかりと思っていた聖女召喚の儀式で、本当に異世界の少女が訪れてしまった。 それがきっかけで聖女セレスティーヌは思い出す。 この世界はどうも、前世の母親が書いた恋愛小説の世界ではないか。 しかも自分は、本物の聖女をいじめて陥れる悪役聖女に転生してしまったらしい。 若くして生涯を終えるものの、断罪されることなく悠々自適に暮らし、苦しみのない最期を迎えるのだが…… 本当にそうだろうか?  「怪しいですわね。話がうますぎですわ」 何やらあの召喚聖女も怪しい臭いがプンプンする。 セレスティーヌは逃亡を決意した。

ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい

珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。 本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。 …………私も消えることができるかな。 私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。 私は、邪魔な子だから。 私は、いらない子だから。 だからきっと、誰も悲しまない。 どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。 そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。 異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。 ☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。 彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

処理中です...