ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

594話

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 ジュリアスさまたちの帰宅時間になったので、アズライトを抱っこして部屋を出る。

 アランとジェイクの代わりに付いてくれたのはモックさん。普段はクラウスさまの護衛の休暇時の担当だって。
 モックさんは、毛深めのおじさんだ。眉毛が「俺の後ろに立つな」だっけかの人だ。
 でもよく喋る陽気な人で、お部屋から玄関までで奥さんと娘さんの好物や楽しい思い出を聞いちゃった。
 家族で居住区の方で暮らしてるそうだ。

「本邸は滅多に当たらないけど、帰りにベンさんたちが娘に可愛いお菓子くれるから帰ると「パパしゅきっ」って言って貰えるんですわ」
 わぁ!可愛いなぁ。モックさんのごんぶと眉毛がハの字だよ。

 ベンさんなら形が可愛いクッキーとかだね。

「お、ちょうど良いタイミングだ」

 ジュリアスさまたちとお祖父さまたちが一斉に戻って来た!

「お帰りなさいませ」
 魔馬を預けて、歩いて来たジュリアスさまに弾丸特攻~!
 私に気付いたジュリアスさまが腰を落として手を広げてくれる。

「ただいま!リーシャ」
 全く足をずらさずに受け止めてそのまま抱き上げられた。
 お義母さまのような威力はまだ無い。

「「ただいまー」」
「いま帰ったよ」
「「「ただいま」」」

 モックさんは、私の行動をお義母さまと同じだと笑った。だって真似だもの。

『我も抱っこなんだぞ』
 
 ジュリアスさまは私とアズライトを抱えたまま屈んでジャスパーも私に乗せる感じで抱き上げた。

 バーベルあげるみたいな。軽々となの。

「兄上~」
「ん?」
「尻が破けたよー」
「「「は!?」」」

 え、強化された素材だよね。騎士衣装!!

 お祖父さまやザイルさん、モックさんに侍女長さんたちがみんなジュリアスさまのお尻に全集中。

「あはは、うっそー!」

 セリウスさまが手を振って笑いながら屋敷に入った。

「「「「「「はぁ!?」」」」」」

 いつもおちゃらけだけど、今回のは珍しいタイプの揶揄いだったなぁ。

「なんだぁ?」
「可愛い嫁にヤキモチか?」
「逆にお兄ちゃん取られたって方か?」

 どっちも違ってそうだけど、スピネルさんとザイルさんは確定だと言い張る。

「休みが欲しいんじゃないかなー」
 あ、お疲れなのね。

「なんだぁ?残っておるのを片付けて、休み明けに溜まった仕事で泣いてもいいならいくらでも休めば良いではないか」
 
 お祖父さまが不思議そうに言うけど、仕事溜まるとルークが怖いよ。

「え、それで良いなら俺も全力で仕事しよう!!」
 セリウスさまじゃなくて、ジュリアスさまが燃えたよ。

 ルークとセバスチャンの目がキツくなったけど大丈夫かな。

「ふふふ、まだ本気を出してないだけ、でしたか?明日から配分を変えましょうか?」

 私を抱える腕が震えたよ。

 ジュリアスさまってルークといると要領が悪いんだよね。

「いや、俺は毎日いっぱいいっぱいやっているぞ」
「そうですか?」

 もう~、そんなにいじめないであげて欲しい。

「ルーク、セリウスさまとクラウスさまがお休みを多めに取った後、なるべく早くウォレス領とカイダール領に行けるように計画してください」 

 私の欲しい物探しなのでジュリアスさまには純粋なお休みじゃ無いけど、旅行気分は味わえるよね。

「承知しました」

 ルークがちょっと口角上げたのが不安だけど、旅行楽しみだよ。

 でもセリウスさまもクラウスさまも王都行きで皺寄せ食ってるので、みんなきちんとお休みしないとね。

「リーシャちゃん、そのウォレス行き、僕も行けるー?」

 あ。カマランの時セリウスさまが付いてきたから次の遠出はクラウスさまの番?

 私はジュリアスさまとルークを見る。

「そうですね・・・調整の予定を立ててから相談しましょう」

 最低二週間は欲しいので、お義父さまとお祖父さまにも協力してもらわないとだしね。

 ジュリアスさまのお着替えのためにお部屋に戻る。

「はー、ズボン無事だ」
 早速ラフな格好に着替えたジュリアスさまは履いていたズボンをチェックした。嘘って言われても気になってたらしい。

「強化してあっても訓練や討伐で破ける時は破けるからな」

 皮の伸縮率は微妙だもんねぇ。かなり頑丈だけど、ジュリアスさまの太ももは動かすとバインっとなるし。

 ゴムの木が見つかったら、ラテックス素材・・・どうだろう?

 〈洗浄〉魔法を使って片付けると、ジャスパーと一緒にソファーに。

「リーシャは今日何してた?」
「離れに向かったら畑が広くなってて、もしかしてって思ったら池もとんでも無いことになって驚きました」
 本当に。ジャスパーもアズライトも何も気にして無い。

「ああー、なんか広げたいと言うので許可したらあの状態なった」
 アズライトもポムたちにも際限はないので、範囲は指定しないと。

「土地は余ってるから問題ない」

 おおらか!!問題ないのかな。

「水も大地も豊かになる分には構わないだろう?」
 アズライトが得意げなんですけど。

「そうですか?」

 まぁアズライトは色々な知識を持ってるから、問題無しって判断してるのかも。

 地球の常識で考えてもあんまり意味ないかな。

「池は魔の森の範囲内のようなものだからな。急に山が出来たり谷が出来たりしても不思議ではない場所だ。アズライトのナワバリになって逆に安定するのではないか?」

 え~!あそこそんな感じなの!
 危険区域とか言ってたけど、そんな地殻が変わるとか予想外だよ!

 アズライトが『そうであろうの』って。

 まぁ大丈夫なら良いかなぁ?





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