ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

591話

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 目が覚めたら朝だった。
 昨日あのまま寝ちゃったみたい。
 最近ずっとベッドから落ちてたのに。今朝はジュリアスさまにガッチリ抱き込まれてる。
 これこれ!これが私の幸せな目覚め!!
 
 腰にはジャスパーが乗り掛かって寝てるし、枕元にアズライトもいる。
 ポムとティムは横で腹テンである。
 天国はここにあった。

 もう一回寝直したら天国継続だね。

『主、番が仕事前にゴネそうだから言い聞かせる時間を取った方が良いの』
 
 アズライトがくぁっとあくびしながら私の頭を尻尾で叩いた。

 (ジュリアスさまがゴネるの?)
『ゴネるの。休みが欲しいと、今日くらい休ませろと騒ぐの』
 あらら。お休みだと私も嬉しいけど、セリウスさまもクラウスさまも王都で休んでたわけじゃないから、お仕事押し付けるのもね?

 まだ熟睡なジュリアスさまを見れば少し目の下にクマ出来てる。

『独り寝が落ち着かず寝つきが悪かったようだの』
 私がいなくて寂しかった?とか小悪魔みたいに聞いちゃいたい。
 でも私も寂しかったから揶揄うようなこと言えないね。

 もう一緒にいるのが当たり前になってるの、なんか嬉しいね。

『んなぅ!それは我のお肉なんだぞ!ポムにはあげないんだぞ』
 ほっこりジュリアスさま見てたら、ジャスパーの寝言が。

「プキュ・・・」
「モキュー」
 あ、寝言で返事するスタイル。

 ポムとティムは普段仲が良いのか悪いのか微妙なのに何故かくっついて寝てるの。

 寝言のせいか、ジュリアスさまの瞼が動いた。起きちゃうかな。

 スゥッと目を開いたジュリアスさまは、私の顔を見つめてにっこりしたと思ったらギュッと抱きしめた。

「ん、いつもの朝に戻った」

 んにゃーー!!ジュリアスさまが可愛い。

「おはよう、お腹空いてないか?」
「おはようございます」

 昨日夕食食べてないから少し減ってるかなぁ。ちゃんと寝着だし、ジュリアスさまが着替えさせてくれたんだよね。
「ちょっと減りました」
「起こしても起きなかったからな」
 安心しちゃったんだよー。

 ジュリアスさまは私とジャスパーを乗せたまま上半身起こして、再び強めにハグ。

「もう夫婦で別々の仕事は受けない」
 ひょー。お義母さまたちもたまに一緒じゃないよ!
 ポムとティムが起きてて、なんか愉快な顔で私たちを見てる。

 ひとしきりハグとキスを受けてから、サラとメルを呼ぶ。今日はニーナがお休みだからね。

 私は何もしない日らしいので簡易ワンピースで。

 ジュリアスさまは今日は休むってラフな格好しようとしてたけど、なんとか騎士団用の革パンツとシャツを着てもらった。

 ちょっとむっすりしちゃたけど。

『主、普段着着てたってアイツは引っ張ってくんだぞ』
 ジャスパーが「諦めろ」って宥めてる。ジャスパーってば、若い?のにわりと大人だ。

 ジュリアスさまが私とアズライト、ポムとティムをまとめて抱き上げて食堂に行く。

 アランもジェイクもついでにチェイスさんもアモンさんもいないので、別の騎士さんたちが待機してた。私を抱えたジュリアスさまを見て「坊・・・」って。古参の人かな。

 食堂にはお祖父さまたち、セリウスさまとクラウスさまが揃ってて、厨房から漂う辛そうな香りをネタに盛り上がってた。

「「「おはよう」」」
「おはようございます」

「キャン!」
 あら、セリウスさまの胸元からシャムが顔出してる。
 そんなわけで私は思わずセリウスさまの胸元を凝視しちゃったわけで。

「あはは!気になるよねー?ここはやめてって言ってるのに聞いてくれないんだよー」
 頭だけでてるシャムのおでこをクリクリ撫でてる。
 くぁー!可愛い。羨ましい。
 え?どっちがって?シャムが懐いてることだと?マッチョな胸がどうとかじゃないからね。

「いーよねー、僕もずっと一緒にいられる子欲しい~」
 クラウスさまも可愛いの好きだしね。

「はいはーい!用意できたわよぉ~」
「ルルゥ?お休みは?」
「料理作ってた方が休まるのよぉ」
 体力お化けだよ!

 朝食は、辛い実スープが出てきたけど、私の分は優しい雑穀スープだった。

「ルルゥー!辛いのは良いけど朝からはやめてよー」
「えー、良いじゃないぃ。夜通し煮込んで良い味になったのよぉ」
 クラウスさまが言うとルルゥは、味の調整をしつつ仕上げたスープを良いタイミングで出したかったって。

「もー、美味しいけどー」
 ちなみにザイルさんとスピネルさんは平然と平らげておかわりしてる。辛党!!
 ルルゥが出したいからのゴリ押しじゃなかったのね。

「私はいつものコンソメがいいわねー」
「俺はコーンスープ」
 おかわりは希望のものが出てきた。
 
 パンやお肉は普段の味付けでホッとした。

 デザートは月餅もどきとお花のゼリー。

 三兄弟は一瞬お花に嫌な顔をしたけど、ちゃんと美味しくアレンジしてあって、お花お花な主張してない甘いゼリーになってたよ。

 月餅には少しスパイスが入ってた。

「ふむ、甘すぎず・・・」
 スピネルさんが三ホール食べてる。
「これは腹に溜まって良い」
 月餅、兵糧に加わる?

「さて、今日もがんばろー」

 みんなが出勤時間になった。
 玄関ホールに良い笑顔のルークとセバスチャンが待ち構えてた。
 主人のことをよく分かってらっしゃる。

「お休みは後日しっかり取れますよ」

 絶対零度の笑顔なルークにジュリアスさまはゴネるのを諦めた。

「兄上ー、とりあえず頑張ろー」
「ゴネた方が時間食うってー」
 弟たちの励まされて、すごく渋々納得したよ。

「行ってくる。リーシャはちゃんとゆっくりしてくれ」
 私はいっぱい寝たし、体力仕事じゃなかったからちょっと申し訳ないよね。

「ジュリアスさま、早く帰ってきてくださいね」
「わかった」
 
 ジャスパーがジュリアスさまの背中に乗っかった。

『我がちゃんと見張っておくんだぞ』

 お祖父様たちもお仕事があるそうで、私はみんなを見送った。





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