ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

589話

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 ジュリアスさまは仕事の合間に出て来ちゃったそうで、私を縦抱きで本邸に運んでお茶を飲んでからお仕事に戻った。
 ルークもニーナと少しお話しする時間を取ったようで、あまり氷点下な感じを出さずに笑顔でジュリアスさまを引っ張って行った。

『ふふん!主の代わりに我が一緒にいてやるんだぞ』
 ジャスパーが可愛いポーズで威張りんぼして、残ってくれた。
 もふもふ!
 アズライトとポムたちも今日はもう出歩かないとニーナの胸に飛び乗った。
 もしもーし?私の胸空いてますよー?


「お留守の間のお仕事は全てクラウスさまとセリウスさまが担当されていましたので急ぎのものはございません。リーシャさまのお疲れを癒すために数日はお休みください」
 セバスチャンとハロルドさんにそう言われたけど、多分セリウスさまもクラウスさまもほぼ休みなくお仕事してるから申し訳ないよう。

「リーシャさまはまだお身体が丈夫と言い切れませんので」
 ガビーン!もう丈夫だよ。
 馬車旅も王宮のストレス?も体調崩すこと何も無かったよ!

「今回、王都ではリーシャさまは慣れない環境下でお過ごしでしたので大事をとってゆっくりするようにとマギー師とロジャーのお話しです」
 うー、マギー先生とロジャー先生が言うなら仕方ないかな。

 もう健康だと思うんだけど。

 私はともかく、ニーナとアラン、ジェイクも超過勤務なので二日ほど休んではと伝えたら、一日で良いって言われちゃった。

 ニーナは新婚さんだし、アランとジェイクも彼女いるのに。
 今回アッガスから王都とほぼ休みなしだったから、一週間とかまとめて休んでもバチは当たらないよ。

「家にいるよりこっちで賄い食べた方が良いですし」 
 なんてこった。罰当たりな息子だよ。
「たまに帰ったなら家具動かせとか薪割りしろとか、休まらないですよ」
 おー、それはなんとも言えない。
 
 ともかく私何動き回るとみんな休めないので今日はお部屋に籠るからとアランとジェイクは解放した。

 夕食まではそんなに時間がないから、可愛く盛って貰ったドレスをニーナに簡易ワンピースに着替えさせて貰った。

 ニーナはお部屋で寛いでいるポムたちにお土産のお菓子や小物を渡した。いつの間にお買い物を!

「プッキュウ?」
「モッキューン?」
「ギャオ」 
 貰ったものを掲げ上げ激しくダンス始めちゃったよ。

 ニーナってば、物凄く癒された顔してる。

 アズライトとジャスパーも貰ったお土産に尻尾を振って喜ぶ。

『ありがとうなんだぞ』
『気がきくの』

 最後にシャムのバッグとシャミ用のお土産を預かって、ニーナも下がった。
 ちゃんと明日一日休んでね。


 さて。特別疲れちゃいないし、暇なの。
 でも外に出ると誰か付けないとダメだし。

 お部屋で錬金台出して、シャムのバッグだけ仕上げようかな。

 アイテムボックスから道具を出してふと思い出して取り出したのは、クリスタルスノウバードの卵殻。とろりとしたパールのような色合いでとても綺麗。

『美しいが我の鱗ほどではないの』
 張り合わなくても別格ってわかってるよ。
 
 以前貰ったアズライトの鱗と並べれば、保有している魔素が段違いなのがわかる。

 これを活かすための方法が思いつかない。

 アズライトは水、クリスタルスノウバードは氷。
 どちらも水魔法の強化と相性がいい。

 私はすでにピアスや指輪、ブレスレットとゴリゴリに魔導装身具を身に付けてるので新たに何を作ろうか悩むよ。

 悩みすぎて困ったので、とにかくシャムのバッグをマジックバッグにした。
 容量はそこそこ大きめ。一緒に行動するセリウスさまがたくさん狩るから。
 ポムたちと同じ性格なら、お菓子と宝物を詰めるかな。

 シャムにもディディエの卵殻でお守り追加だなと、みんなお揃いの装身具を追加。

 ちまちまと集中していたら扉をノックされた。
 隠し部屋に篭らなくて良かった。
 慌てて片付けて、入室許可した。

「リーシャさま、クラウドさまとデリアさまがお帰りになりました」

 お二人はディゴーに出てたそう。

 玄関ホールまで出て行くとお祖父さまとお祖母さまが手を広げて迎え入れてくれた。

「「おかえり」」
「お帰りなさいませ」
「「ただいま」」
「戻りました」
 お互いでおかえりとただいまの応酬。
 ザイルさんたちも私に「おかえり」と笑顔で迎えてくれた。いや、今出迎えたのは私だけど。

「グリーンリバーの王子が来たってな」
「はい。びっくりしました」
「あそこの連中はみんな動きが派手だからな」

 お祖父さまもザイルさんたちも過去のことを少し話してくれた。
 先代王と王弟が剣舞が得意で、何かしらの式典で剣舞を披露して、さらに合間に歌劇調で話してたそうだ。
 剣舞は良いけど、話しは長かったんだろうな。
 あと姉王女と侍女が、お花を巻き散らせて踊ったりでおもてなし。
 全体的におもてなしが王家総出で派手だったのね。歓迎の仕方が濃ゆい。

「あの頃は、お花や野の草が前菜で出て来て面食らった」
 詳しく聞くと七草みたいな食べられる野草。生で?

「地のものが豊富とは知っていたが俺たちは芋とか想像していたからなぁ」
 芋なしの葉っぱ系だけ??

「芋や人参など地中のものは人は食べれないものと家畜や肥料にしてたそうだぞ」

 ん?ジャガイモが緑になってるに食べてお腹壊したとか過去にあったかな。

「今も食べないのですか?」
「いや、多少は食べておるだろうが基本は花とは葉っぱだろうな」
 勿体無いね。

「芋を必要とせんほど野菜が育っておるのはすごいがな」
 このグレーデン、芋すら育たないくらい不毛だったから切ないね。






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