ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

580話

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 三国の王族は夕食を一緒にとるそうだけど、私は遠慮させてもらえることになったので、ありがたく通訳から逃げた。
 王宮ならちゃんと公用語に対応出来る人材がいるわけだしね!

 王女さまたちにはちょっと申し訳ないんだけど、修行が足りない私では、ミュージカル調に吹き出すか苛立つかで、顔に出しちゃうよ。
 ユエさまは保護者枠で参加になって、ちょっと悪い微笑み(雰囲気で)をさせつつ、背中に哀愁が漂ってた。

 セリウスさまやガルフ侯爵もあからさまにホッとしてるんだ。

「いやー、直接交渉にあたる大使たちはまぁ普通なんだよ。少々の腹黒い面はあるがね。殿下方が程度の差はあれ、あのような感じでね」
 一番激しい二人が来ちゃったそう。一人でもお腹いっぱいなのに。
 シャリアンヌは兄が好き過ぎて、あんな感じらしい。
 ブラコンはいいけど、アレは真似しちゃいかんよ。しかもペタンコとか言いやがって!!てぇ!!

 ちなみに王も王妃も会話が突然オペラ調になるそうだ。

 変な人を寄越したとかではなく、王と王妃が元々そうしてるから、盛大にもてなしてるつもりの選考の結果なのかも。

 いろんな国に行ってみたいって思ってたけど、グリーンリバーには絶対行かないでおこう。絶対にだ!!

 普通に劇場にプロのを観に行くとかならしたいけど、素人のなんちゃってとかはね。

 権力と美貌(が王族全員にあるかは知らないけど)があるから誰も注意しないのかな。

「穏やかな性格をしていらっしゃるのは第二王子と王弟である大公なので、向こうに着けば、ナギのお方達のお相手はお二人がなさるはず」
 だと良いね。

 お部屋に戻ってきたー楽な衣装に変えてもらってから、応接室でお茶をとニーナに呼ばれて行くと、セリウスさまとアンゼリカさまが着替えて座ってた。

「ひさびさに見たけどー、やっぱ面倒だったねー」
「演出過剰なんだ」
 セリウスさまが知ってる範囲では、カイサル殿下は過去四回、国王夫妻は二回ほど来てるんだって。シャリアンヌも四回。小さな頃から兄と離れたがらなかったとか。

 お義父さまはグリーンリバーには、交流試合に参加したり、陛下の護衛で、三回行ってて。先代王の時もミュージカルっぽい行動はあったんだとか。常春なお国柄なのか陽気だね!

「子供の頃は王女もドレスを着ていたが兄と同じが良かったんだろうな」

 えー!嫁がいる兄とお揃いはちょっとすごいね。

「母親の王妃さまに寄せると後の襟が顔くらいまで立ってるドレスになるからねー」
 なんとなくわかるけど、カイサル殿下も襞襟で、どっちもド派手ですよ。

「向こうの流行のデザインだろうけど、邪魔じゃないのかなー」
 つけた事ないからわからないよ。

「あの様子だとー、国境まではホーンも付くしー、俺たちはここでお役御免かなー」
 そうだと嬉しい。
 王女さまたちには申し訳ないけど、グレーデンに早く帰りたい。

 ご帰還時にアッガスに来てくれたら盛大におもてなしするから許して!

「明日の宴を乗り越えて、明後日に出立の予定だからねー。後はクラウスに任せよー」

 そういえば、セリウスさまは今日帰っちゃうんだった。ズルい!
「そんな顔しないのー」
 私の両頬を片手で潰して笑うセリウスさまが憎いよ!

 今日は、グリーンリバーの到着の歓迎のために警護などで訓練はないから、アンゼリカさまもゆっくりするらしい。
 要人警護は王国騎士団の仕事だから、頼まれない限りは参加しないんだって。
 訓練は、王様と騎士団長から手が空いてる時はなるべく鍛えてやって欲しいと言われてるんだとか。
 普段タウンハウスに詰めてるグレーデンやホーン、リュフェリーの騎士たちも交代で訓練に出るそう。

 だからホーンの緊急時とか参加出来る仕上がりではあるけど、常日頃から魔獣に接してないからあまり成長がないらしい。

 ふむむ。
 ホーンは強さより環境対応が大変な気がする。

 弱いとか思っていても辺境三家が際立ってるからっていうのがあるよね。

 まぁ、お義父さま一人で王国騎士全員ぶっ飛ばせそうだから弱いであってるのかな。
 基準がわからなくなってきたぞ。


「やっほー!兄さん~!リーシャちゃん!アンゼリカ~!来たよー」
 廊下から足音がしたと思ったら、扉が開いて、クラウスさまが入ってきた。

「おー、思ったより早かったなー。夕食後かと思ってたー」
「リーシャちゃんがいないと兄上がウザいからー逃げてきたよー」
 同じようなノリで話してる兄弟。

「兄上って過保護だよなー」
「保護対象がリーシャちゃんに移ってちょっと寂し~☆なんてねー?」
 年下を甘やかすタイプではあるかも?

「逃げてきたところでグリーンリバーのがいるぞ」
 アンゼリカさまがしらっと伝えるとクラウスさまの顔が苦いもの食べたみたいになる。

「王子ー?王女ー?」
 あらら。歓迎ムードじゃないとその二択なの。

「ふふふ、両方ー」
 悪い顔のセリウスさまが指二本出す。ピースじゃないのだ。二つとか二人って意味の方ね。
「わぁ、マジかー!」

 クラウスさまが言うには、シャリアンヌが兄に近づく(ただの挨拶)女性を威嚇したり、ミュージカル調に兄の素晴らしさを語ったりで面倒な印象を持っていて、兄カイサルの方も、すべての女性が自分を好きだと思っているから、
「ふぅううんっぬ!わったぁしは罪ぶっかぁいうぉっとこどぅわぁっぁぬ!くぉれぇでぇ、いっもうとぅうぉうっんぬっ!ゆるっしてぇくぅれぇっんっぬっ!」
(私は罪深い男だ!これで妹を許してくれ!)
って、令嬢の手を取って口付けをするから、シャリアンヌがさらに騒ぐって悪循環を起こすから、近付きたくないんだそう。

 自惚れ男に嫉妬深い妹かー。

 勝手にやってて欲しいね。

「さすがのヘイト嬢みたいな色魔令嬢も突撃しないんだよー。僕も押しかけに困ったら、アレやろうかぁなっぁんんぬ!」
「それはいいっんねぇっ!っんぬっ!!」

 えー、第一王子で美形なんだから行けば良かったのにね!
 ってセリウスさまとクラウスさまが前髪ファッサとさせてウィンクって、笑わさないで。

 アンゼリカさまがすごい顔になっちゃったよ。


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