ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

文字の大きさ
上 下
586 / 764
二章

575話

しおりを挟む
 セリウスさまもジュリアスさまもルルゥも契約獣のお愛想に嬉しそうにしてる。
 私にもアズライトが肩に乗って来てくれた。

 ジャスパーとシャムのもふもふとした柔らかそうな毛を見て、アズライトを見る。
 とっても艶々滑らかしいパールなツルツルボディ。
 ひんやり気持ちいいけど、モフッとしたい気もするぞ。

 羨ましいと思ってたら、ポムとティムがお菓子を持ったまま突撃してきた。

「プッキュン」
「モッキュン」

 可愛いけど、頬もお腹もパンパンで別の生き物みたいになってるよ。

『コックのお菓子は格別じゃからの。食べ貯めしておるんじゃの』
「あらぁ、嬉しいこと言うわねぇ♡」

 頬袋って何日貯めて置けるのか?

「えっと、そのバックにオヤツ仕舞っておけば良いんじゃない?」
 
 せっかくニーナと作った時間経過停止なマジックバッグ持たせてるのに。

「「キュゥ!?」」

 え、その手があったかじゃないのよ。飾りじゃないのよ。それ。

『そう言えばそうじゃったの』
「ギャオ!?」

 ディディエまでびっくりしてるじゃん。

 いつでも豊富にお菓子もらってるから仕舞う必要がなかったからかな。

「プキュー」
「モキュー」
「ギャオー」
 自分たちのマジックバッグを逆さにして空にしようとする三匹。

 ポムのバッグからは、種(う○ち)。
 ティムのバッグからは、石(魔石と宝石と綺麗な硝石?)。
 ディディエのバッグからは、おもちゃ(木の枝、干した果物の芯、綺麗な鳥の羽や爬虫類の鱗)?

 それぞれ宝物を入れていたらしい。

 宝物をポイしてお菓子を入れる気なの??

「それ入れたままでもオヤツ入るんじゃない?」

「「「!???」」」

 そうかな?じゃなくて。
 きゃるーんって腰を横に曲げて首傾げてて可愛いぞ。

 三匹で何やら話し合いをした結果は、これをあげるからお菓子をマジックバッグいっぱい入れたいだそうで。

 ちょ、待てよ!

 無限じゃないけどそれなりに入る設定してあるのよ?

「あらぁ・・・作り貯めたのじゃ追いつかないわよぉ~」
 
 ですよねー。

「今は忙しいからグレーデンに戻ったらで良いかしらぁ?」

 マジか。毎日結構な量作ってるのに追加で作るのか。

「「きゅぅーん!!」」

 ポムとティムは仕方ないなぁって言ってそう。

「ギャオゥ!」

 ディディエは素直にやったー♫って感じかな。

『俺はいっぱいじゃなくてもいいけど、おやつとお肉の料理を頼むぞ』
『我も酒のツマミとオヤツが欲しいの』

 うぉーい!

 ジャスパーとアズライトも予算だって言って魔石と何やらすごい牙とか出してきた。

「材料代はグレーデン家だから、ジュリアスさまかリーシャちゃん、受け取っておいてぇ」
「ルルゥの給金は?」
「要らないわよぉ。仕事中に作るんだものぉ」
 ルルゥは、料理の研究とかで無限残業してるじゃないの。

「きゃんきゃん」

 シャムがセリウスさまの頬をポフポフした。

『自分もバッグとオヤツが欲しいと言っているの』

 可愛いおねだりだけど。

「シャム、自分のスキルでアイテムボックス持ってるでしょ」
「きゃきゃーっんっ」
 頬を膨らませて、セリウスさまの頬をペシペシ。肉球羨まし。

『みんなとお揃いが欲しいと言うことだの』
「なるほど。じゃぁ、グレーデンに帰ったら作るで良い?」

 私の作業はどこでもやれないことはないけど、バッグそのものはニーナの手作りだから。

 シャムといえば、仕方ないなーって妥協してる顔されたよ。

「リーシャちゃん、よろしくねー」
 セリウスさまにもお願いされちゃった。

 しっかし、ポムたちの宝物の量が。

「魔石や素材もすごいが何の種だろうな」

 ジュリアスさまが呆然としてる。
 変わった種は投げて来たり、枕元にプレゼントしてくれるから、多分そこまでレアじゃないと思う。

 でも作物が育ちにくいところに埋めれば、土の加護持ちが出した種だから、良く育つんじゃないかなぁ。結構なお宝だね。

「あはは、お菓子代にしてもすごいねー」

 どうやら売ったらすごい金額になるお宝だったみたい。

「プッキュン」
「モッキュン」
「ギャオー」

 僕たちのお宝すごいでしょって、胸(どう見てもお腹)を張られた。

『コックよ。我の分にはパバブをたくさん入れるのだぞ』
「はいはーい」

 アズライトにはワサビソースとかワサビペーストみたいなの樽で渡した方が早い気がする。

「きゃん!」

 シャムが小さな手を口元で動かす。

『ほぅ、シャムはオヤツとボムを使った料理が良いそうだの』

 ボムは唐辛子類のこと。なるほど、嗜好はモラ(リスのような齧歯類)に近いのね。

「この見た目で辛いのが良いのかー」
「きゃん!」
『甘い果物も好きだそうだの』

 なんて言うか、白いふわふわ可愛すぎるなぁ。
 ニーナや侍女さんたちがまた鼻息荒くなりそう。

 あとセリウスさまズルいよね!
 匂いが気に入られて、契約獣ゲットってどんななの。

 私もその匂いさせたいぞ。

「でもさー、王宮は連れて歩けないけど、どうするー?」
「きゃん?」

 レアな契約獣は王都の貴族もだけど他国の人の前に出せないからね

「あー、明日の夜にはクラウスが交代にくるから一日だけ我慢してくれ」
「あ、そうなんだー」

 あらら、グレーデンに帰れるの羨ましいな。

 ルルゥがグ○コのお菓子を出したら、みんな大喜びで食べて、シャムは初めて食べたマロングラッセを気に入ったみたいで、クネクネしながら、踊り出した。
 それを見たポムとティム、ディディエが真似して踊り出して、なんかすっごい癒されたよ。

 ジュリアスさまとジャスパーに挟まれてソファに座って、筋肉と毛皮を堪能。
 アズライトのスベスベもばっちり楽しんで、ポムたちの謎のダンスを眺めて、天国だよ。

 王都での日々のストレスが結構あったみたい。

















しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~

水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート! ***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!

ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。

千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。 気付いたら、異世界に転生していた。 なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!? 物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です! ※この話は小説家になろう様へも掲載しています

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。

柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。 詰んでる。 そう悟った主人公10歳。 主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど… 何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど… なろうにも掲載しております。

聖女転生? だが断る

日村透
恋愛
生まれ変わったら、勝ち逃げ確定の悪役聖女になっていた―――  形ばかりと思っていた聖女召喚の儀式で、本当に異世界の少女が訪れてしまった。 それがきっかけで聖女セレスティーヌは思い出す。 この世界はどうも、前世の母親が書いた恋愛小説の世界ではないか。 しかも自分は、本物の聖女をいじめて陥れる悪役聖女に転生してしまったらしい。 若くして生涯を終えるものの、断罪されることなく悠々自適に暮らし、苦しみのない最期を迎えるのだが…… 本当にそうだろうか?  「怪しいですわね。話がうますぎですわ」 何やらあの召喚聖女も怪しい臭いがプンプンする。 セレスティーヌは逃亡を決意した。

ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい

珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。 本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。 …………私も消えることができるかな。 私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。 私は、邪魔な子だから。 私は、いらない子だから。 だからきっと、誰も悲しまない。 どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。 そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。 異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。 ☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。 彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

処理中です...