ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

574話

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 王宮の転移陣を使わせて貰ったので魔力充填してあげたら、女神かのように拝まれた。
 魔力補充係(騎士団、魔導師団で持ち回り制)はキツいお仕事らしい。

「リーシャちゃん、サービス良過ぎるよー」
「ほぼ私用ですから」
 転移中にボヤかれた。

 私が王様に贔屓(?)されてる理由付けにもなるし、味方が増えた方が良いだろうし、転移陣を使うたびに嫌な顔されるよりは、有り余ってる魔力くらい出すよー。

 グレーデン家のタウンハウスの転移陣に到着した時も充填した。
 管理の人に「大好き」って目で見られたよ。気のせい?
 お義父さまたちとジュリアスさまが使う時に、ついでに補充してるみたいだけど、満タンじゃないらしいので。

「どこのも普通は満タンになってないよー」
 そうなんだ。暇な時にちまちま貯めてるんだって。
 ホーンの時も物凄く有り難がって貰ったから、充填は結構すごい事なのかな。

「なるべく緊急時にしか使わないって意味わかるー?」

 おばかさん扱いだよ!ひどい。

「王宮のは普段は陛下くらいしか使ってないから楽でしょー?夜会みたいな辺境三家とか遠い家が移動してくる時だけしんどいだろうけどさー」

 おおぅ。王様がフリーダムに逃亡してるのは一人だけだから良いだろう(良くはない)けど、一気に人が動く時は大変だろうな。

「知ってるー?このくらいの空魔石に満タンに魔力入れたら金貨五枚で売れるよー?」
 手のひらサイズが金貨五枚(五十万円)!!!
 三立方メートルくらいの魔石に満タンってやり過ぎたかも!

「次からは他所では気持ち半分くらいにしなよねー?」

 ホーンの時は緊急時だったから、気にしてなかったけど、アークさまが大感謝してくれるはずだよ。マジびっくり。

「うちのも入れてくれて助かってるけどねー?」
 あんまり魔力貯めても体に良くないからグレーデンではやりたい放題してるけど、気をつけるよ。

「「おかえりなさいませ」」
 侍女さんが迎えにきてくれて、ジュリアスさまのいるお部屋に案内してくれる。

 扉を開ければ、ジュリアスさまとジャスパー、そしてアズライトにポム、ティム、ディディエと、なぜか一匹増えてる。

 そして、すでにルルゥがいて、おやつタワーを作って。
 ポムたちがダンシングしてて、ジュリアスさま以外、私とセリウスさまをスルーしてるよ。こんにゃろうめー。

「リーシャ、セリウス、おかえり」
「ただいまー」
「ジュリアスさま」

 ただいまのハグをしてもらって、増えた子の説明を求める。

「リーシャの留守中にポムたちが暇を持て余したらしくて、池と畑の増改築をしていたらしいんだが、気が付いたらいたんだそうだ」

 ティムの時みたいな登場!!

「きゃん!」

 自分の事を話されてると気付いてジュリアスさまの肩に乗ってきたのは、モラ?

「えっと、君はうちの子になりたいってことで良いのかな?」

 キュルルーンとしたクリクリお目目で頬袋がパンパンな姿でおねだりポーズって。

『そやつは魔素がたっぷりのポムの畑が気になってやってきたらしいが、どうも他に気になる匂いがしているらしくてな。とりあえず付いて歩いておるのだの』

 やっぱりティムみたいって思ったら、ジュリアスさまからセリウスさまの肩に飛んで、首周りをクンクンハスハスしてる。

「くすぐったいよー」
 セリウスさまが手に乗せて目線を合わそうと手に乗せたモラを顔近くに寄せたら。

 ガチン!!

「「「!!!!!???」」」

 モラが物凄い速さで頭突きをした。

「いったぁー」
「きゃん!きゃんきゃん!」

 物凄い威張ったポーズでセリウスさまに何か言ってるけどわからないよ。

『そいつはチャラいのが気に入って契約を求めてるんだ』
『お前を主人に決めたと言っておるの』
 ジャスパーとアズライトが通訳してくれる。
 えー、暴力的な申込みだな。

 って、ジャスパーってセリウスさまのこと、チャラいのって呼んでる!

「きゃんきゃん」
 ふさふさの白い毛とつぶらな金の目、小さい手に大きな尻尾、可愛いのが必死に求愛?してる。

 セリウスさまもトゥンクとなってるよ。
 あんな可愛ければなっちゃうのもわかる。

 こっそり鑑定さん使ってみたよ。

《モラに似た変異種。神の気まぐれで生まれた。リーディラ神の加護。空間魔法が使える》

 リーディラ?えーと・・・古代神話に出てくるの神だったような。
 何の神様だっけ。

「あー、俺と契約??」
「きゃんきゃきゃん」
 口元にスリスリされてる。羨ましいぞ。

『どうやらしきりにグレーデンの家の匂いを嗅ぎ回っていたのはそなたの残滓を感じていたとかいうことであろうの』

 残滓って残りカスとか匂いの名残とか?ちょっと嫌だな。

「そうとう臭かったんじゃないのぉ?」
「臭くねぇよ!?」
 口の中にいっぱいお菓子を詰めてるディディエを頭に乗せたルルゥに揶揄われて、間延び言葉が抜けちゃったじゃん。

「きゃんー」

 セリウスさまの首に顔を埋めて匂いを嗅いでうっとりな白い子が臭い疑惑を深める。

『チャラいの!はやく名前を付けてやるのだ』

 ジャスパーがお菓子食べながら薦める。

「えー」
「きゃーぅん?」

 早くーって感じでセリウスさまの口を小さな手で押す。

 可愛いのが増えるのは嬉しいけど、リィーディラ神ってほんとに何の神様だっけ。
 レイドラ神の兄弟か何かだっただろうか。

 今は一神教ではないものの、奥さんと子供神くらいの伝承しか残ってないんだよ。

「はぁ、可愛い。君の名前はシャム。シャムで良いー?」

 ポム、ティムに寄せてきたー!

「きゃん!!」
「プッキュ」
「モッキュッ」

 必死にお菓子を詰めてたポムとティムまでバンザイしてる。

 もう仲間にしてたのね。

『チャラいの!そいつは空間魔法持ちだ。大事にしろよな』
『うまく育てるのが良いの』

 空間魔法。アイテムボックスや転移が使える魔法。

「「「はぁ!!???」」」

 セリウスさまとジュリアスさま、ルルゥの驚愕の声が響いた。


「きゃん!!」

 すごいでしょ!!じゃないのよ。

 通訳されなくても言ってることがわかったよ。




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