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二章
572話
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次の日は、国内お偉いさんたちの泥試合な会議があった。
セリウスさまが出席したけど、やっぱり利権に食い込みたい人たちと、グレーデンが力を持ちすぎてるとか。
お兄さまに対しても、カイダールお父さまの手柄は他所者にはお勿体無いから、薬術関連の権利を国に寄贈したらどうかとか。
国にあげても大した腕の役術師がいないと薬の管理も新薬の発明もできないでしょうに。
かと言って娘の私が一人で相続してても文句言ったんじゃない?
自分以外が得をすることが気に入らない人はどこにでもいるね。
でも徳をしているようで面倒くさいことも引き受けてるんだって気が付かないかな。
何もしないで入ってくる不労所得だけじゃないんだよ。
大株主になってウハウハとかなら良いのにね。ほんと。
でも上位貴族のほとんどは、持つ者の苦悩
や権力を持つ者の役割を心得てるみたいで、文句言ってるのが中位貴族ってね。
下位になると半々。文句言うのはおバカさんってことだ。
私は王妃さまと王女さまたちとのお茶会に誘われているので会議に参加せずに済んだ。
茶菓子は、ルルゥが作ったケーキやクッキーで、王妃さまが幸せすぎて太っちゃうけど、ルルゥがグレーデンに帰った後のことを思うと痩せるって、真剣に言うので笑ってしまった。
ルルゥにみっちり扱かれたコックさんたちが腕を上げてるはずなのできっと太りますよ。
いや、謙遜で言ってるだけで、お義母さまのようにミラクルボディかもしれない。
『『確かにこの夢のようなお菓子に慣れてしまうと元の暮らしに戻る時に悲しみを覚えるだろう』』
ルルゥってば、罪なオネェだね。
お菓子をモリモリ食べつつのお話しが、国の抱える問題についてとか、大陸の歴史についてとかで、王女さまたちの大陸に嫁ぎたい熱がかなり本気度が高いと認識した。
正直、来れたら良いなくらいかと思ってたのね。だって十二歳。
でもそうだね。結婚は十六歳から可能だと思えば、王族の嫁ぎ先探しは早い方がいいのか。
王女さまたちは王族に固執してないけれど、国としてはそれなりの相手が良いのは確かなので、妃教育的なレベルは受けてて当然なので、私の思う十二歳に当てはまらなくて当然だった。
『うふふ、ファリン殿下もルアラン殿下もさすが外交に付き添うわけね。私が子供の頃はここまで考えていなかったと思うわ。私は大勢いた妃候補の真ん中くらいだったの。だから選ばれるわけないと思って気楽に過ごしていたら、気がついたらってねぇ』
おっと。何かドラマが。
王女さまたちもキラキラとした表情で続きに期待してる。
『大した話じゃないのよ。他にいたご令嬢がちょっと乙女じゃなくなったり、他のご令嬢に嫌がらせをして自滅してしまってねぇ』
ああ、やる気がなかったから逆に問題が起こらなかったって。
王様と一途な恋とか浪漫じゃなかった。
『『候補に上がっていたのに乙女じゃなくなった??』』
あ、そこ気にしちゃいますか。
『私も詳しくは聞いてないの』
鮮やかにスルー。
『『王の妻になるには婚礼前に乙女の証を確認すると聞く。この国では違うのか?』』
おー!?証の確認ってどうやるのか気になっちゃう。
『そうねぇ?王族は初夜で証の確認できるまで婚姻届が受領されないから、それが確認かしら』
それって、お式をしてお披露目してから、バレるととんでもないです事になるよね。
『『証は偽造できるから、婚礼の前に[御匙]が調べねばならぬのだよな』』
私の顔を見て聞かれても。
まぁ出血のことだから、どうにでもなるかな。
ナギでは医師を御匙というのね。
『王族に限っては詐欺は働けないのよ。新床の間には魔道具があるから』
なんと初めてのお部屋は専用にあるのか。
『『なるほど。では女性側も安心なのだな』』
ナギの教育??怖い。すでに閨教育も済んでるんだ。でも早く知ってた方が間違い起こさないかな。うん。
『『しかし選ばれる気がなかったのに王妃となるのは大変だったな』』
『びっくりしたけれど、陛下は良い方だったから頑張れたのよ』
わー、ここから物語が!!
『でも王女が生まれた後、なかなか子を授かれなくて、それだけは辛かったかしら』
『『この国は側妃がいないようだが持てぬのか?』』
『いいえ、子が出来ない場合は持てるのよ。王女が生まれて三年くらいからはうるさかったわね』
王女でも王になれるけど、子が一人では万が一何かあればって言われちゃうもんね。
『陛下が王女に何かあっても親戚筋から有能な者を選べば良いと側妃は断ってくださったの』
ファテマ王女が王になる覚悟を持っていたのを知っているから切ない話だけど。
『『我が国は妻を多く養えるのが良い男なので側妃がいるのが当たり前だが、私は夫と二人がいいので羨ましきことだ』』
腹違いの兄弟姉妹が多いことでしみじみ苦労を知っている王女さまたちは、一夫一妻の国で結婚したいんだよね。
大陸でも、王族や高位貴族ではちょっと難しいんだよ。
『立場や国柄で苦労が違いますからね。選べるなら、殿方の周りのこともしっかり観察して良きお方を探しなさいね』
あー、放任とは違うけど、王女さまたちは自ら探しに出られてるから、ちょっと羨ましい立場にも思えるね。
『私はいろいろ予想外でしたが幸せなのよ?』
王様は逃亡癖があるけど、ちゃんといい旦那さまのようだ。
一人で逃げちゃうけど!!
セリウスさまが出席したけど、やっぱり利権に食い込みたい人たちと、グレーデンが力を持ちすぎてるとか。
お兄さまに対しても、カイダールお父さまの手柄は他所者にはお勿体無いから、薬術関連の権利を国に寄贈したらどうかとか。
国にあげても大した腕の役術師がいないと薬の管理も新薬の発明もできないでしょうに。
かと言って娘の私が一人で相続してても文句言ったんじゃない?
自分以外が得をすることが気に入らない人はどこにでもいるね。
でも徳をしているようで面倒くさいことも引き受けてるんだって気が付かないかな。
何もしないで入ってくる不労所得だけじゃないんだよ。
大株主になってウハウハとかなら良いのにね。ほんと。
でも上位貴族のほとんどは、持つ者の苦悩
や権力を持つ者の役割を心得てるみたいで、文句言ってるのが中位貴族ってね。
下位になると半々。文句言うのはおバカさんってことだ。
私は王妃さまと王女さまたちとのお茶会に誘われているので会議に参加せずに済んだ。
茶菓子は、ルルゥが作ったケーキやクッキーで、王妃さまが幸せすぎて太っちゃうけど、ルルゥがグレーデンに帰った後のことを思うと痩せるって、真剣に言うので笑ってしまった。
ルルゥにみっちり扱かれたコックさんたちが腕を上げてるはずなのできっと太りますよ。
いや、謙遜で言ってるだけで、お義母さまのようにミラクルボディかもしれない。
『『確かにこの夢のようなお菓子に慣れてしまうと元の暮らしに戻る時に悲しみを覚えるだろう』』
ルルゥってば、罪なオネェだね。
お菓子をモリモリ食べつつのお話しが、国の抱える問題についてとか、大陸の歴史についてとかで、王女さまたちの大陸に嫁ぎたい熱がかなり本気度が高いと認識した。
正直、来れたら良いなくらいかと思ってたのね。だって十二歳。
でもそうだね。結婚は十六歳から可能だと思えば、王族の嫁ぎ先探しは早い方がいいのか。
王女さまたちは王族に固執してないけれど、国としてはそれなりの相手が良いのは確かなので、妃教育的なレベルは受けてて当然なので、私の思う十二歳に当てはまらなくて当然だった。
『うふふ、ファリン殿下もルアラン殿下もさすが外交に付き添うわけね。私が子供の頃はここまで考えていなかったと思うわ。私は大勢いた妃候補の真ん中くらいだったの。だから選ばれるわけないと思って気楽に過ごしていたら、気がついたらってねぇ』
おっと。何かドラマが。
王女さまたちもキラキラとした表情で続きに期待してる。
『大した話じゃないのよ。他にいたご令嬢がちょっと乙女じゃなくなったり、他のご令嬢に嫌がらせをして自滅してしまってねぇ』
ああ、やる気がなかったから逆に問題が起こらなかったって。
王様と一途な恋とか浪漫じゃなかった。
『『候補に上がっていたのに乙女じゃなくなった??』』
あ、そこ気にしちゃいますか。
『私も詳しくは聞いてないの』
鮮やかにスルー。
『『王の妻になるには婚礼前に乙女の証を確認すると聞く。この国では違うのか?』』
おー!?証の確認ってどうやるのか気になっちゃう。
『そうねぇ?王族は初夜で証の確認できるまで婚姻届が受領されないから、それが確認かしら』
それって、お式をしてお披露目してから、バレるととんでもないです事になるよね。
『『証は偽造できるから、婚礼の前に[御匙]が調べねばならぬのだよな』』
私の顔を見て聞かれても。
まぁ出血のことだから、どうにでもなるかな。
ナギでは医師を御匙というのね。
『王族に限っては詐欺は働けないのよ。新床の間には魔道具があるから』
なんと初めてのお部屋は専用にあるのか。
『『なるほど。では女性側も安心なのだな』』
ナギの教育??怖い。すでに閨教育も済んでるんだ。でも早く知ってた方が間違い起こさないかな。うん。
『『しかし選ばれる気がなかったのに王妃となるのは大変だったな』』
『びっくりしたけれど、陛下は良い方だったから頑張れたのよ』
わー、ここから物語が!!
『でも王女が生まれた後、なかなか子を授かれなくて、それだけは辛かったかしら』
『『この国は側妃がいないようだが持てぬのか?』』
『いいえ、子が出来ない場合は持てるのよ。王女が生まれて三年くらいからはうるさかったわね』
王女でも王になれるけど、子が一人では万が一何かあればって言われちゃうもんね。
『陛下が王女に何かあっても親戚筋から有能な者を選べば良いと側妃は断ってくださったの』
ファテマ王女が王になる覚悟を持っていたのを知っているから切ない話だけど。
『『我が国は妻を多く養えるのが良い男なので側妃がいるのが当たり前だが、私は夫と二人がいいので羨ましきことだ』』
腹違いの兄弟姉妹が多いことでしみじみ苦労を知っている王女さまたちは、一夫一妻の国で結婚したいんだよね。
大陸でも、王族や高位貴族ではちょっと難しいんだよ。
『立場や国柄で苦労が違いますからね。選べるなら、殿方の周りのこともしっかり観察して良きお方を探しなさいね』
あー、放任とは違うけど、王女さまたちは自ら探しに出られてるから、ちょっと羨ましい立場にも思えるね。
『私はいろいろ予想外でしたが幸せなのよ?』
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一人で逃げちゃうけど!!
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