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二章

568話

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 私としてはキョンシーの解体とお札の観察をしたいんだけど、そんなことは許されない。

 ドレスのデザインや布選びで王女さまたちと私が人形にされるのだった。

『『さすがにここまでされたことはないぞ』』
 王女さまたちもびっくりな熱意だった。

 王女さまたちは側妃の子で、十一番目と十二番目と言うことで熱心に教育されないし、他の妃たちや義姉たちほど、家臣も構い倒さない。必要な教育はされているし、欲したものは手に入るので楽な立場だと笑う。

 熱心に教育を受けていないと言うのに、大陸側の公用語がペラペラってすごいと思う。

 しかも大事にされていないらしい(?)王女さまたちが、半年も外交を兼ねているとは言え、遊学できちゃう国力よ。

 レイドラアースの隣がナギだったらとっくに侵攻されて潰れてるね!

 キョンシーってどれくらいのことができるのかなぁ。
 巨大ロボみたいに出来ちゃったら兵器だよ。
 五体くらいのが集まると最終合体とか。
 あれ出来たら飛行型とドリル型とかクレーンとか。
 めっちゃ楽しいなぁ。

『リーシャちゃん!』
 
 あ!着せ替え中だった。

 だってヒーローやライダーってマッチョいたりするからね!ちょっと想像の翼が広がっちゃったよ。

『この生地とこちらの生地を重ねて使うのはどうでしょうか?』

 マダムが持ってたのは西陣織みたいな豪奢な帯生地!!!
 やっぱナギって東南アジア全般混じってるじゃん?

『こちらもナギのものですか?』
『『ん?それは我が国の北に位置する小さな島国コガネのものだ』』

 コガネ!?黄金!?ジパーーーング!?

『『それが気に入ったのか?だがコガネは基本的に外部と接触したがらなくてな。それも個人的な商人から手に入れたものだったか。今後も手に入るかわからぬぞ』』

 鎖国!!!
 コガネは江戸時代の可能性が!
 サムライや富士山や寿司や芸者がいるやも!?

 ってそんな貴重な生地を他のにしれっと混ぜてる怖い。

『これは扱いにくいらしくて針子が嫌がるのです』
 お衣装さんが帯を広げて見せてくれる。

 確かに厚みがあって、裁断すると解れていくからねぇ。

『確かに癖が付きにくそうですねぇ』
 マダムがドレスに向かないと断念したようだ。

 チャイナ生地も結構解れると思うけど、厚さと柄が扱いにくいのかな。
 手芸好きな子が中古の帯をバッグとかにしようとして「次から次にキンキラキンの糸がぁ!!」って荒れてた。

 この世界ならテーブルランナーとかにしてもオシャレかも?だけど、せっかくなら帯にしたいよねぇ。
 あ、帯の結び方、浴衣の文庫か蝶結びしかだけどきないわ。

 和風ゴス衣装くらいしか思いつかないけど、王女さまたちにはおすすめ出来ないよねぇ。

『『ふむ、私たちでは使えないだろうし、気に入ったなら飾りとしてでも良いから使ってやってくれ』』
 え!貴重な生地をあっさり!

『『気に入った者が持つ方がそれも嬉しかろう』』
『有り難く頂戴します』
 とても綺麗で素敵な生地。メグミの時は七五三や成人式の時貸衣装で着たくらいしか着物に縁がなかったから、懐かしいとかじゃないはずだけど、故郷のものに触れた気がするのなんでだろう。

『リーシャちゃん、リーシャちゃんのお宿に飾ったら似合いそうねぇ』
 お義母さまはタペストリーみたいにしたらと提案してくれた。
 それもアリかも。

『『お宿?』』
『この国の建築とは違った建物で、温泉に浸かってゆっくりして丁寧なお料理を食べるためにリーシャちゃんが作ったお家ですよぅ』
 まぁ、概ねそんな感じです。
『私もお仕事が落ち着いたら泊めて頂くつもりですの』
 王妃さま、王妃さまのお泊まりになるのは豪華エステ付きの温泉旅館の方じゃなかったかしら?

『『ほう!それはナギに帰国する前にぜひ立ち寄りたいものだ』』

 にゃー!予約希望がいっぱいだ。

『ぜひ、お泊りくださいませ』

 お断りができないやつですよ。

『『他国から戻る時に帰国予定を早めに知らせるようにしよう』』
『ぜひお願いいたします』

 予約の調整とかあるので。

 こんな話の間もせっせと布を合わされたりして。

『最後のパーティには私たちもお揃い衣装で出たいわね』
『ええ、お互いの国の良さが引き立つようなデザインをお願いしたいわぁ』

 私と王女さまたちと王妃さまとお義母さまが同じは無理なので、可愛い系と美人系みたいな超えられない壁を感じるデザインで落ち着いた。
 マダムもお衣装さんたちもげっそりだけど、楽しそう。
 新しいデザインに挑戦するのは燃えるようだ。

 お飾りやお化粧の話まで及ぶと私にはわからないので、改めてキョンシーを観察した。

 サイズ的には小学生高学年?あ、日本基準ね。
 色は真っ白で、顔がない。
 指先は動いてないので物を運ぶのは、対象物を魔法で浮かして持ち上げる感じ?
 お札にめっちゃ指令が詰まってるのかなって見れば、魔法陣じゃなくて、文字が書かれてるだけ。
 象形文字?古代語でも神聖語でもないので読めない。
 
『これはナギの文字ですか?』
『『ナギの古代のドゥラン文字だな』』
 符呪用の文字らしい。

『もう古代の符呪は決められた文言のみ伝わるのみで、今はかなり短縮された簡単なものしかない』
 なんと。

『ファリン殿下とルアラン殿下は古代の符呪が扱えると言うことですか?』
 天才じゃない!?
『『いや、使えるのは三つくらいか。古代の方が指令が細かく出来るのだが、短縮したものは大した事ができぬでな。便利なのだけ覚えた』』
 ひょー。簡単に言うけど、お札には大きな文字から細かい文字まで書かれてて、魔力が結構こもってる。
 
『殿下方は一つ教えれば十覚えるような天才だと教師が言っておりますよ』

 やっぱ天才だった。
 教育に熱心じゃないんじゃなくて教えられる事がない方のやつ。

『『私たちは興味があることだけだ。能力で言うなら二番目か七番目が高いであろう』』

 おっと一番目は?王太子じゃないのかな。

『『符呪は門外不出だから教えてやれぬが、魔道具とやらは色々出来るのであろう?人形を動かしてみれば良いのではないか?』』

 古代のドゥラン気になるけど、やっぱダメか~。マーベルハント家が知らない言語めっちゃ興味あるんだけど。

 さすがに仕方がないよね。




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